〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな

文字の大きさ
上 下
44 / 44

44、子供が2人!?

しおりを挟む


 「おぎゃあ! おぎゃー! おぎゃーーッ!」

 城中に響き渡る赤ん坊の声。

 「お生まれになりました! 元気な男の子です!」

 アナベルは、男の子を出産した。

 「アナベル! よく頑張ったな! 男の子だ! 男の子が生まれたぞ!」

 ルーク様は私の手を握ったまま、興奮しています。

 「ルーク様、赤ちゃんの顔が見たいです」

 「少し待て……今、へその緒を切っているところだ!」

 ルーク様はこの調子で、赤ちゃんを産むまでずっと実況してくれていました。ですが、私は痛みでそれどころではありませんでした。

 ルーク様はへその緒を切り終わった赤ちゃんをそっと抱き上げ、私に抱かせてくださいました。

 「……私の赤ちゃん。生まれてきてくれてありがとう」

 赤ちゃんの顔を見たら、涙が浮かんできました。無事に生まれたことが、すごく嬉しいです。子を失った時のシルビア様の気持ちを考えると、少し複雑ですが……

 「アナベル……その子は、男の子だぞ?」

 ルーク様? なんだか様子がおかしいです。

 「どうして、そんな不満そうなお顔をしているのですか?」

 ルーク様は少し拗ねながら、

 「我が子でも、アナベルがそんなに愛おしそうな顔で見つめていたら嫉妬する!」

 と言いました。

 「へ?」

 冗談ですよね? 我が子ですよ? 男の子といっても赤子ですし……
 
 冗談ではないようで、ルーク様はそれからも度々嫉妬して来ました。
 赤ちゃんの名前はリーベと名付け、私が付きっきりになっているとルーク様は拗ねます。
 リーベとルーク様、まるで子供が2人いるようです。

 「ルーク様、リーベはまだ赤子なのですよ。いい加減、拗ねるのはやめてください」

 「無理だ! ずっとリーベにアナベルをとられている!」

 赤ちゃんなんだから、仕方がないではありませんか。どれだけ、駄々っ子なのでしょう……

 「でも、リーベとはこのようなことは出来ませんよ………」

 ルーク様の唇にそっとキスをしました。

 「!!!!」

 ルーク様の顔が一気に赤くなります。

 「いや、しようと思えば出来る。だから……」

 ルーク様の顔が近付いてきて……

 「……んッ……」

 激しいキスをされました。
 今度は私の顔が一気に赤くなります。

 「仕方がないから、少しだけ譲歩してやる!」

 そう言ってにっこり笑ったルーク様。少し呆れてしまいますが、そんなルーク様も愛しています。




                                              END

しおりを挟む
感想 88

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(88件)

麟華
2023.07.09 麟華

最後、双子なのかと思ったら😂
そういえば旦那は大きな子供って誰かが言ってたよねぇ😁

別のお話からとんできましたので、既に完結済みのものを読んでるのでお気に入り🌟はつけてませんが面白かったです。
作者名でのお気に入りをつけさせてもらいますね✨

藍川みいな
2023.07.09 藍川みいな

おっきな子供でしたね笑
こちらも読んでいただき、ありがとうございます( *ˊᵕˋ*)
わぁ、嬉しいです♪

解除
東堂明美
2022.06.22 東堂明美

完結おめでとうございます‼️大変面白かったので一気に読んでしまいました。また、読み返しを何度もしました。これからも頑張って下さいね‼️応援してますね🎵次の投稿を楽しみに待ってます‼️

藍川みいな
2022.06.22 藍川みいな

ありがとうございます!
すごく嬉しいです(つω`*)
これからも頑張ります!

解除
ゆらぽって
2022.06.17 ゆらぽって

ハピエン、良かったです。

リンダのざまぁはもうちょっと突っ込んで欲しかったです。
鏡を見たのかな?とかちょっと疑問が…

みなさんが言う通り、エルビン頑張った!良くやった❗️
イザベラに入れ込んだ気持ちが分からないけど、顔?顔なの?

全編通して読みやすかったです。
作者様の他のお話も読んでみたいと思いました。
素敵なお話をありがとうございました😊

藍川みいな
2022.06.17 藍川みいな

感想ありがとうございます!
やっぱり、ハッピーエンドがいいですよね( *˙˙*)

とても嬉しい感想ありがとうございました(´;ω;`)

解除

あなたにおすすめの小説

君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。

みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。 マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。 そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。 ※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……

矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。 『もう君はいりません、アリスミ・カロック』 恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。 恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。 『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』 『えっ……』 任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。 私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。 それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。 ――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。 ※このお話の設定は架空のものです。 ※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)

ご自慢の聖女がいるのだから、私は失礼しますわ

ネコ
恋愛
伯爵令嬢ユリアは、幼い頃から第二王子アレクサンドルの婚約者。だが、留学から戻ってきたアレクサンドルは「聖女が僕の真実の花嫁だ」と堂々宣言。周囲は“奇跡の力を持つ聖女”と王子の恋を応援し、ユリアを貶める噂まで広まった。婚約者の座を奪われるより先に、ユリアは自分から破棄を申し出る。「お好きにどうぞ。もう私には関係ありません」そう言った途端、王宮では聖女の力が何かとおかしな騒ぎを起こし始めるのだった。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。 落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。 毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。 様子がおかしい青年に気づく。 ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。 ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 最終話まで予約投稿済です。 次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。 ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。 楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

側近という名の愛人はいりません。というか、そんな婚約者もいりません。

gacchi
恋愛
十歳の時にお見合いで婚約することになった侯爵家のディアナとエラルド。一人娘のディアナのところにエラルドが婿入りする予定となっていたが、エラルドは領主になるための勉強は嫌だと逃げ出してしまった。仕方なく、ディアナが女侯爵となることに。五年後、学園で久しぶりに再会したエラルドは、幼馴染の令嬢三人を連れていた。あまりの距離の近さに友人らしい付き合い方をお願いするが、一向に直す気配はない。卒業する学年になって、いい加減にしてほしいと注意したディアナに、エラルドは令嬢三人を連れて婿入りする気だと言った。

政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました

あおくん
恋愛
父が決めた結婚。 顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。 これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。 だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。 政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。 どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。 ※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。 最後はハッピーエンドで終えます。

あなたには彼女がお似合いです

風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。 妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。 でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。 ずっとあなたが好きでした。 あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。 でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。 公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう? あなたのために婚約を破棄します。 だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。 たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに―― ※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

別に要りませんけど?

ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」 そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。 「……別に要りませんけど?」 ※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。 ※なろうでも掲載中

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。