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33、一国の王妃
しおりを挟む「そんなに急いで、どこへ行くの?」
王様と王妃様の元へ急いでいると、リンダ様に声をかけられました。
「リンダ様、お久しぶりです。今日はどうされたのですか?」
急いでいたことを隠すように、笑顔で接します。アンダーソン公爵は、使いの者がタジガナルへ書状を届けに行っていると思っているはず。リンダ様に、悟られないようにしなくてはなりません。
「どうされたって、あなたに答える義務はないわ。私はルーク様に会いに来たのよ」
義務はないけど、答えるのですね。って、ルーク様がいないことを知られるわけにはいきません!
「ルーク様は公務でお忙しいので、後日来ていただけますか?」
「どうして、あなたの言うことを聞かなければいけないの? ルーク様の元へ案内して。無能なあなたでも、それくらい出来るでしょ?」
私のいうことは、聞いてくれそうもありません。困り果てていると……
「リンダ、久しぶりね。こんなところで、何をしているの?」
「王妃様!」
「お久しぶりです、王妃様。ルーク様に、お会いしに来ました」
「あなたがルークに、どんな用があるというの? 王太子妃であるアナベルがいるのだから、城に出入りするのは控えなさい。ロイドの墓にも行かないのに、どうして城には頻繁に訪れるのかしら?」
あんなにお優しい王妃様が、別人のようにきつい事を仰っています。
「……お墓は、ロイド様のことを思い出してつらいのです」
「城はつらくないと? まあいいわ。
それより、アナベルへの言葉使いは何? あなたは公爵令嬢、アナベルは王太子妃よ。分をわきまえなさい!」
「……申し訳ありません」
「分かったなら、帰りなさい。私はアナベルと話があるの」
「失礼いたします」
リンダはすごすごと、帰って行きました。
王妃様は、リンダに対してすごくキツイように感じました。
「王妃様、ありがとうございました」
「アナベルは優しすぎるわ。
リンダはロイドの妻になりたかったわけじゃなく、王妃になりたかった。親が決めた婚約者なのだから、愛がなくても仕方がないわ。だけど、あの子にはロイドに対してなんの情もなかった。王様には言えなかったけど、ロイドが亡くなったと聞いた時にリンダは舌打ちをしたの。それ以来、私はあの子を許せないの」
今日は王妃様の違った一面を知りました。一国の王妃は、強くなければならないのだと思い知りました。リンダ様が、ロイド様を愛していなかったことは、私も気付いていたのですが……亡くなった方に舌打ちって……
「それで、ルークはどこに行ったの?」
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それをお伝えしに行くところだったと言うと、王様の元へ案内してくださいました。
「そうか。ルークが自ら行くとは、随分変わったな。これも全て、アナベルのおかげだな」
「私は何もしていません。本音を言えば、行って欲しくないと思っていました」
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王妃様……
こんな私でも、立派な王妃になってみせます。私を信じてくださる王様や王妃様の為にも、国民の為にも、ルーク様の為にも。
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―タジガナル王国―
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王城に着いたルークは応接室に通された。しばらくするとタジガナルの国王が姿を現し、ルークが自ら来たことを驚いていた。
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