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22、愛の告白?
しおりを挟む「今日もお疲れ様」
王妃教育を始めて、半年が経ちました。
「ありがとうございます。ですが、まだ終わってはいません」
ルーク王子が作ってくれた夕食をとりながら、30分間の休憩。
5時に起床し、体力をつけるための運動をして7時から30分で朝食をとり、王室のマナーを2時間学び、ダンスの練習を2時間半、昼食を30分でとり、美しい姿勢を保つ為のレッスンを2時間。午後2時半からは国の勉強を3時間、夕食を30分でとり、午後6時から一般の勉強を3時間、最後にその日1日に学んだ事の復習を3時間。
毎日フラフラになりながらも、全てをこなしていきます。元々私は、優秀な方ではないので、人一倍頑張らないと王妃教育を完了させることが出来そうにありません。
「つらくはないか?」
「つらいです。ものすごくつらい。
だけど、幸せでもあります。ルーク様の作ってくださるお料理を食べることも幸せですし、この国の一員になる為に頑張れることも幸せです。それに、皆さんがとても良くしてくださるんです。教えてくださる時は、とーってもスパルタですけどね」
こんな私を受け入れてくれて、真剣に向き合ってくれています。私はそれに応えたいです。
「君は強いな。俺なら、すぐに逃げ出してる」
「すでに1度、逃げたじゃないですか。でも私のこの頑張りを見てたら、もう逃げようなんて思えませんよね?」
「案外、策士だな」
「そうですよ。今頃、気付きました?」
本当は、毎日公務を頑張っていらっしゃる事を知っています。私よりも忙しいのに、毎日食事を作ってくださっています。
忙しい事を私に気付かれないように、疲れた顔ひとつ見せないルーク様が、逃げるわけないじゃないですか。
もう潔く認めます。
「ルーク様、好きです。
では、勉強して来ますね」
恥ずかしさを隠すために、足早にその場から立ち去りました。
「え?…………………………ええーーーーーッ!!!?」
ルーク様が驚いた声が後ろから聞こえて来て、顔が真っ赤になりました。
「ちょっと待ったーーーー!!」
ルーク様が、追いかけて来ました。
恥ずかしいんだから、来ないでくださいーー!!
そんな私の気も知らずに、着いてくるルーク様。
「もう1回言って?」
「ダメです」
「お願い!」
「ダメです」
「頼むよ~!」
「ダメです」
「そんなにダメダメいうなら、キスしちゃおっかな……」
「ダメです」
「うるさい……っ……」
「!!!!!」
早足で歩いていた私を追いかけて来たルーク様は、歩きながら私の頬っぺにキスをしてきました。
「黙ったね。それに、足も止まった。これはチャンス……」
固まってる私の顔に、ルーク様の顔が近付いてきて……チュッと、今度は唇にキスをされました。
私の思考は停止、心臓はバクバク、だけど好きな気持ちが加速していきます。……ルーク様が、大好き。
「アナベル、好きだよ。大好きだ」
ルーク様に好きと言われて、ふわふわと宙に浮いているみたいです。ルーク様との初めてのキスは、幸せいっぱいでした。
この後、勉強に遅れた私は、先生にめちゃくちゃ怒られました。先生……怒られてる間も、ルーク様の事で頭がいっぱいの私を許してください。
あれから毎日、ルーク様はキスをしようとしてきます。
「アナベル……」
「ダメです」
迫って来るルーク様の顔を押しのけます。
「えー!? なんでー!?」
「私はまだ、離縁が成立していません。これ以上は、ダメです」
こんな状態で、ルーク様を受け入れてしまいたくありません。ちゃんとケジメをつけたいのです。
「分かった。じゃあ、離縁が成立したら遠慮しないから、覚悟しといてね」
か、覚悟!? 何だかものすごい事をされそうですね……
こうして、1年があっという間に過ぎていきました。
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