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 バンッ!!

 様子を伺っていたのか、シェイドが扉を勢いよく開け、部屋の中に入って来た!

 「奥様っ!!」

 シェイドはロディアの身体を抱き起こした!
 サミュエルはロディアの真っ青な顔を見て、オドオドしていた。
 ジュリアの手には血の滴るナイフが...
 ジュリアはロディアを殺す機会をずっと狙っていた。
 サミュエルを手に入れる為なら、なんだってする...それほどサミュエルを愛していた。

 「ロディア!?ロディア!?」

 「奥様!!ロディア様!!」

 ロディアの体から、流れ続ける真っ赤な血...。
 何度呼んでも、ロディアが目を開けることはなかった。




 「...ん。」
 
 目を覚ますと、そこは実家の自分の部屋だった。 

 あれ?確か私は...死んだはずじゃ...? 
 どうなってるの?背中...に傷はない。痛くない...。

 ロディアは鏡を覗き込んだ。

 「............若い。」

 私はどうなってしまったのだろう...
 旦那様と話し合いをしていたら、ジュリアに背中を刺されて...最後に聞こえたのは、シェイドの声だった。

 コンコン...

 ノックをする音が聞こえた。

 「...はい。」

 扉を開け入ってきたのは、旦那様に嫁ぐ前にリーベルト家で幼い頃から一緒だった使用人、エマだった。

 「お嬢様!まだ寝てるのかと思ったら、起きてるじゃないですか!お客様がお待ちしてるのにー!まったく!私がちょっといないと、いつもこれなんですから!」

 エマは急いで着替えを用意し、着替えるように圧力をかけてきた。

 「エマ怖いー!」

 エマ...また会えて嬉しい!

 エマは4年前に事故で亡くなっていた。

 姉妹のように育った大好きだったエマ...
 もしもこれが現実なら、エマを守りたい!

 エマの圧力に負け、ロディアは急いで着替えた。

 「お嬢様、お客様がすでにお待ちなので急いで行きますよ!」

 お客様......待って!待って!待って!!
 この日のこと、覚えてる!
 この日は初めて旦那様に会った日だ!
 どうしよう...どうしたらいいの!?
 
 ロディアの状況など、分かるはずのないエマは、ロディアの背中を押す。

 「もたもたしないで!ほら!行きますよ!」 

 「待って!ムリ!」

 エマは聞く耳を持たず、ロディアの背中を押しながらサミュエルの待つ応接間へと向かった。
 応接間に着くと、サミュエルは笑顔でロディアを迎えた。

 「ロディア嬢!初めまして、サミュエル・ゼバスと申します。噂通りの美しさで、とても緊張しております。」

 あの日、この笑顔がとても素敵だと思った。
 冷静に...これが旦那様に会う初めての日なのだから...。

 「初めまして。サミュエル様...。」

 もう二度と、あなたを愛することはありません。

 ロディアは心の中で、そっと呟いた。

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