桜の舞う時

唯川さくら

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さくらフワリ

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1942年4月18日 ――――。戦争をしているという割には、うららかな土曜日…。天気は快晴、春の日にふさわしい日だった。
奈々は、桜山のふもとの川べりに佇んでいた。昨日、光から届いた紙飛行機に

“明日の昼に、川の所で待っとって!”

と書いてあったからだ。何をするのかは知らないが、何だか用事があるらしいので、奈々は正午よりも少し早めに川の所でぼんやりとしていたのだった。
見上げた空は、どこまでも青く澄み渡っているのに、もう桜の雨はほとんど降ってはこない。桜山にある1本桜は、もう大部分が散ってしまっていて、赤い茎の部分だけが残っているからなのか、遠くからだと赤い木にしか見えない。そんな桜を見ていると、どこか寂しくなって、もう来年の春が待ち遠しくなる。

『…ずっと咲いてればいいのに…。』

奈々はふと、そう呟いた。きっと、散るのが早すぎるのだ。ずっとずっと春を待ってせっかく咲いたのに、1週間かそこらであっという間に散ってしまう。短期間しか咲かないから、また咲くのを待ってしまって、こんなにも寂しい気持ちになるような気がした。

『…春にしか咲かんから、ええんちゃう?』

突然後ろで声がして、奈々はゆっくりと振り返った。川沿いの道に自転車を止めて、足元に生い茂る青々とした草をかき分けながら、春の日を味わうかのようにゆっくりと歩いてくる光の姿がそこにはあった。

『光ちゃん…。』

『きっとな、寂しがり屋やねん。』

『…桜が?』

『せや。ずーっと咲いとったら、当たり前になってまうやろ?せやから、わざとちょっとしか咲かん。そうすれば、みんな待ってくれるやん。次に咲くの。』

『…待ってて欲しいんだ?』

『そうやなぁ…ずっと忘れんで欲しいんかもな?』

その光の言葉が、なんだかものすごく大切なものに思えて、奈々は返事をするのを忘れてしまった。その理由なんて、その時はまだ知る由もなくて…。
穏やかな春の風は街を包み込むように吹いて、透き通った川のせせらぎがひと際大きく聞こえた。

『ところで、今日どっか行くの?』

『おう。三笠見に行こうや。』

『…三笠?』

『そうや。戦艦三笠や。』

『…ここにもあるの!?三笠って。』

戦艦三笠―――全長131.7m。日露戦争でも活躍した、連合艦隊の中心の戦艦。幾多の戦いに赴き、その役目を果たして廃艦が決まってからも、国民からの熱い要望により記念艦として今でも横須賀の海に鎮座している戦艦だ。現代ではその中を記念館として開放していて、三笠が歩んだ軌跡をたどる事が出来るようになっている。
奈々は中には入った事はないが、外から三笠を見た事は何度かあった。海軍の街を象徴するかのようなそのいでたちは、どこか圧倒されるものがあるのを覚えている。ただ、中に入った事もなければ熱心に調べた事もないので、三笠がいつからあるのかは知らない。でも、この時代にも存在したのは確かだ。

『なんや、三笠は未来でも親しまれとんのか。』

海軍に憧れる光にとっては、三笠は大きな鉛色のアイドル的存在のようだ。愛する三笠が現代でもある事を知って、嬉しそうに笑っている。正直、奈々は戦艦にそんなに愛着もなければ興味もない。それでも、現代にも存在するものをもう1つ見つけて、そこにヒントが隠されている気がして、今まで素通りしていた三笠を見に行く気になったのだ。
しばらくすると雪斗も合流して、3人は自転車で海辺に眠る三笠に向かった。奈々は自転車を持っていないので、近くに置いてあった光の自転車の後ろにまたがって、足をぶらつかせながらのんびりと揺られていた。奈々の髪が、少し強い春風に乗って流れた。

『アイツは来ないの?』

『剣かぁ?剣道の道具置いたら来よるって。』

『…ふーん…。』

『…ちゃんと謝らなあかんで?ちょお、言うてみ。』

『…先日は、どーもすみませんでしたぁ~。』

『全然謝る気ないやんけ!』

『あははは!嘘ウソ。ちゃんと謝るよ。』

現代で少し流行ったお笑い芸人の謝り方を真似しながら、奈々はそう言って笑った。謝って気まずい雰囲気になったら、きっと光が何とかしてくれるだろう…そんな期待も少しだけあった。
しばらくすると、潮の香りが強くなって、港に打ち寄せる波の音が徐々に大きく聞こえてきた。もう海はすぐそこだ。奈々は光の後ろからひょっこり顔を覗かせて前方を見た。見慣れない街の片隅に、見慣れた戦艦が鎮座している。それはどこか現代のものより大きく感じた。
曇天の空を思わせる、鉛色の船体。1つのアパートと言っても通るほどの圧倒的な大きさと威圧感は、近くで見るとますます強く感じられる。きっと、この戦艦が打ち放す大砲は大地を揺るがすほどに大きく破壊的なのだろう…奈々はそう思った。今まで、三笠をそんな風に見た事はない。きっとそう思わせるのは、この戦乱の時代の仕業なのだろう。この三笠のような戦艦が何隻も、この広い海の上で死闘を繰り広げているのを知っているからなのだろう。

『何度見てもすごいわぁ~!』

光は自転車を降りるなり、真っ先に三笠に向かって走りながらそう叫んでいた。きっとこの時代では、三笠は英雄の扱いを受けるのだろう。それでも、奈々にとってはただの海に浮かぶ鉛の塊にしか見えないのだが…。それも、現代とは違って中に入る事も出来なくて、特別楽しいわけでもない。見ていて飽きないというほど、ビジュアルが素晴らしい船でもない。奈々と雪斗はその場に立ち尽くして、子供みたいにはしゃいで三笠の傍をうろうろする光を、呆れ半分に見つめていた。

『…光ちゃんてさ、飛行機乗りになりたいって言ってなかったっけ?』

『…そうだけど?』

『なのに、何で戦艦にあんなに喜ぶの?戦艦って言ったら、海軍でしょ?』

『…光の親父さんは、海軍なんだよ。その影響なのか、あいつは海軍が好きで、艦上戦闘機に乗るのが夢なんだ。空を飛びたいから、戦艦乗りじゃなくて飛行機乗りがいいんだって。』

『…へぇ~…。飛行機は海軍なんだ。空軍だと思ってた。』

『…艦上戦闘機は、海軍航空部隊。もちろん、陸軍にもあるよ…戦闘機は。』

『えっ?何が違うの?』

『陸軍は陸軍、海軍は海軍でそれぞれ航空部隊を持ってて、作戦もそれぞれ違うんだよ。海軍航空部隊は、空母機動部隊の艦載機とか、島の陸上基地を利用して、海軍の作戦を遂行する。陸軍航空部隊は、陸軍部隊の支援に加えて、戦略爆撃や拠点防空するんだ。』

正直、奈々は途中から話を聞いているようで聞いていないも同然だった。小難しい話に対する拒否反応なのか、理解するよりも早く右耳から左耳に話が通過していく。
歴史を匂わせる話は、なぜかいつも複雑で分かりにくい。そのせいか、聞いているだけで頭が痛くなる思いがした。いっそ、陸上は陸軍、海上は海軍、空を飛ぶ飛行機は空軍でまとめてしまえばいいではないか…そんな思いで首を傾げる奈々の横で、雪斗は奈々と1度も目を合わせようとはしないまま、まっすぐ三笠を見ながらそう言った。その横顔は現代を思い出させるほどに懐かしくて、帰りたい思いが募る気がした。でも、いつも優しかった隼人とは違う…。見た事がないような、厳しい目だ。隼人も怒ったら、こんな顔をするのだろうか?奈々はふとそう思って、雪斗の横顔に小さな声で呟いた。

『…こないだは…すいませんでした…。』

『…こないだ?』

『…超ぶちギレて、嫌な思いさせちゃって…。』

『…?』

聞いた事のない言い方に、雪斗はしばらくきょとんとして、横目で奈々の事を見ていた。それでも、黙って俯いている奈々の表情を見て、先日剣と言い争って殴った時の事だと察したのだろう。納得したかのように小さく頷きながら、雪斗はぼそぼそと返事をした。

『…ものすごい事言ってると思ったけど、あながち間違ってもない気がするから…。オレも…。』

『…えっ?』

『人…殺してるんだなって思ってさ…。誰かの大切な人を、たくさん…。』

『…。』

『正義だ悪だって言っても、やってる事はどっちも人殺し…。「確かにな」って、納得しちゃってさ…。』

『…あっ…いや…思った事そのまま言っちゃっただけだから…。』

『…誰にも内緒な。オレがこんな事思ってるって…。』

俯きながらそう呟いて、雪斗は初めて奈々と目を合わせた。瓜二つである隼人のような琥珀色ではなくて、真っ黒な瞳…。言葉には出さないけれど、どこか悲しげなその表情と、子供のように真っ黒な瞳の中に、言い表せないほどの苦悩と混沌が渦巻いている気がした。
戦争を否定してはいけないこの時代、日本は正義だと信じるしかなかったこの時代、自分の意見などはあってないようなものだった。少しでも人と違う事を言えば、“非国民”だと石を投げつけられたりする事も当たり前のようにあった。欧米文化でもあるキリスト教が、危険な思想犯を罰する【治安維持法】の名のもとに無言の圧力をかけられ、国を否定する者は躊躇なく捕えられ、狂気的なまでの徹底的な軍国社会が作り上げられたのだった。

『…ねぇ、何でみんな“聖戦”なんて信じてるの?』

『…この戦争は、アジアをヨーロッパから解放させるために起こしたものだからだよ。』

『…えっ?』

奈々は予想もしなかった答えに、不意をつかれたように驚いた。奈々はこの時代背景に詳しいわけではない。むしろ、先日教科書を読みふけって叩き込んだだけの付け焼刃の知識だ。でもそんな事、教科書には書いていなかった。そんな正義のヒーローのような書き方はされていなかった。戦争のしすぎで資源に困って海の向こうにまで手を広げ、その結果アメリカに経済制裁を加えられ、それに対して日本が攻撃に出たと…確かそう書いてあった気がする。果たしてどちらが本当なのだろうか?さすがの奈々にも、雪斗が零した論理を否定するだけの自信はなかった。自分の理解が勘違いかもしれないからだ。

『…それでも、殺し合うのは正しくないかもしれないな…。』

この時代がもっと見えてくるまでは、黙っていた方がいいのかもしれない…。奈々はそう思って、特に反論もせずに頷いた。例えどういう理解をしていたとしても、結論が同じならば結果オーライなのかもしれない…そう思い込んで、自分を納得させていた。

『なぁんやなんや~!2人とも、この世の終わりみたいな顔して。何を辛気臭い顔してんねん。』

光は思う存分三笠を堪能したようで、満足気な表情を浮かべながら2人の顔を覗き込んでケラケラと笑った。いたずらっぽく奈々を見て、心配しているのかからかっているのか分からないような、相変わらずの言い方で奈々に話しかけてくる光は、どこか心ここにあらずと言った状態だ。

『何や、まぁたケンカでもしたん?』

『あたしがケンカっ早いみたいな言い方、やめてよね。ケンカなんかしてないし。』

『ほんなら何でこんな暗い雰囲気なん?目の前に三笠があんねんで?もっと楽しい気持ちになるやんか!』

『…あたし、船に興味ないんだもん…。』

『何言うてんねん!よぉ見てみぃ!あの三笠やで!?』

『…いや、何回も見た事あるし…。それに“あの”とか言われても…知らないし。』

『何や、三笠の事よぉ知らんのか?ほんなら俺が説明したるわ。三笠はな…』

『…待って…静かにしろ…。』

すっかり太陽が高く昇った、午後13時半…。光の話を遮って、突然真剣な顔をした雪斗がそう言って、3人は息を飲んだ。どこからともなく、唸るような体に響く轟音が、微かに聞こえる。
奈々は、一瞬地鳴りなのかと思った。地震の前には地鳴りがする事も多い。現代で頻発していた地震に慣れてしまっているからなのか、奈々は「またか。」と思って海面を見た。海は波紋を広げながら微かに震えているようにも見えたが、何事もなく凪いでいるだけで、津波が起きそうな高波も見えない。ちょっと待ってみても、地震が起きる気配もない。…とすると、これは地鳴りではないのではないか?

『…この音何…?』

奈々はそう言って、恐怖が覗く表情で2人を見た。2人は顔を見合わせて何かを確認すると、突然怒ったように言った。

『…奈々、走れ!!』

『うわっ!ちょっ…!』

雪斗は慌てて傍にいた奈々の腕を力一杯掴んで、どこかに向かって全速力で走り出した。あまりの速さに足がもつれそうになって、首にかけていた防災頭巾を片手で被るだけでも必死だった。一体何が起きたのか分からない。あの微かな轟音が何を意味しているのだろう?奈々は現状を全く理解出来ないまま走った。すると、背後から徐々に大きく、全身に響く重低音が聞こえてきた。音からして、虫の羽音を大きくしたような聞きなれない音だ。それと共に空を覆うのは、大きなエンジン音…プロペラの音も入っているのかもしれない。それがすごい速さでだんだんこちらに近づいてくる。その姿の見えない【何か】に対する恐怖感が、余計に奈々を混乱させた。

『雪斗…!!』

『いいから走れ!』

『…あ…っ…!!』

奈々のその声に、雪斗は少しだけ驚いて後ろを振り返った。緊迫した空気を導く、響き渡る轟音の中で、雪斗の手を放して体のあちこちを触る奈々に、雪斗は怒ったように言った。

『おい…早く…!』

『…携帯…落とした…。』

『…えっ?』

どこを探しても、冷たい機械の感触はなかった。さっきまで、ポケットに入っていたはずだ。今日は1度も見ていないから、ポケットから取り出した覚えもない。チャラチャラと音をたててストラップが揺れていたのだって覚えている。慌ててますます混乱する奈々の姿を、雪斗はただ黙って見つめていた。そして、少しイラついたように奈々に歩み寄って、腕を掴んで言った。

『…今は…自分の命守るのが先なんじゃないのか…?』

『…あ…っ…。』

『…後で探せ…。』

『…ごめん…。』

街に、今更のような空襲警報が響き渡った。轟音を隠すかのように、大きなサイレンの音が聞こえる。そしてそれをまた打ち消そうとしているかのように、背後からバババババという機銃掃射の音が連続して地面を叩きつけた。自分たちに迫りくるその姿は、けして見えない。だからこそ恐怖は倍増して、背中が凍りついたように冷たくなるのを感じた。足がもつれて重く感じるからなのか、上手く走れている気がしない。夢の中で必死に逃げている、あの時の感覚に良く似ている。そして、それを後押しするかのように、背後から強烈な爆風と爆発音が同時に押し寄せた。

『きゃあっ!!』

『止まるな!走れ!』

もつれる足に容赦なく爆風は絡まりついて、そのとんでもない勢いに前につんのめりそうになる。鼓膜を破らんばかりの爆発音は、映画館なんかで聞くものよりも大きくて破壊的だ。体が引き裂かれるのではないかという衝撃が全身を駆け巡る。一体今、すぐ後ろで何が起きているんだろう?奈々には想像もつかなかった。ただ、確実に爆弾が落ちたのは理解出来る。何度も何度も、打ち上げ花火の前に聞こえる、風を切るような音に似た音が空から降り注ぐ。爆弾が真上に落ちてきたらどうしよう…撃たれたらどうしよう…そんな不安が渦巻いて神経まで麻痺させるからなのか、足がますます思うように動かない。ただ、手を引く雪斗についていくだけで精一杯だった。空いている方の手で、防災頭巾越しに耳を押さえながら、ただ地面だけを見つめて走った。…その後ろの足音が遠ざかっていくのにも気付かずに…。


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ひたすら走って逃げた先には、たまたま地面にぽっかりと穴を開けた防空壕があった。多くの人がひしめき合って中に入ろうとしている。雪斗はその人だかりに混じって、奈々の手を引いて防空壕の中に入った。ひんやりとした土造りの大きな壕は、爆発音がするたびに天井から土砂が降ってきて、しゃがんだ背中に入り込んでくる。満員電車に匹敵するぐらいの人混みの中で、雪斗は奈々の頭を押さえて低くかがませた。地面しか見えない暗闇の中で、大地を揺らす爆発音と悲鳴を聞いていると、ますます恐怖が押し寄せてきた。自然と体が震えて、言葉も出ない。
これが、戦争なのだ…。初めてそう実感する。奈々の時代では、いきなり空襲を受けるなんて考えられないし、空襲を予測しながら平然と暮らすような根性もない。きっとこの時代の人たちは、こうなる事を覚悟の上で暮らしていたんだろう。冷静に対応する雪斗を見ていると、そう思う。未来を知る奈々以上に知識があって、対策も万全だ。パニックに陥る事もない。奈々はふと、現代であった大地震を思い出した。地震大国であるという事は百も承知の中で起きた、空前の大災害…。あの時も日本は、地震の対策をちゃんとしている事や、冷静に対応していた事を各国から評価されていたのだ。どんなに集団でいても、混乱する事なく秩序を守って行動していた。それは、この時代でも変わらない。きっと、長年かけて養われた国民性の賜物なのだろう。軍国主義が生みだした、一致団結の強さでもあるのかもしれないが…。
人がひしめき合う壕の暗闇の中でしばらく息を潜めるようにしていると、轟々というエンジン音を響かせて迫っていた敵機が遠くなっていくのが分かった。そして空襲警報が解除され、非難していた人々が安堵の声を上げて外に出始めた時、ふいに雪斗が呟いた。

『…光…?』

『…えっ?』

『…光がいない…。』

体の奥からざわざわという何かがこみ上げてきた。この静かな壕の中に、徐々に心臓の音が響き渡っていくような気がした。外からの明かりが遮断された暗闇の中で、お互いの顔は良く見えない。でも、何度名前を呼びかけても、あのひょうきんな声はどこからも聞こえてこなかった。

『途中まで…後ろにいたよね…?』

『…あいつ…まさか…。』

“まさか”の先を言わないで欲しいと思った。考えたくもないその言葉の先は、何よりも奈々が恐れている事で、心のどこかで“そうかもしれない”と思ったから…。背後で起きたあの見えない恐怖の中に、光が飲み込まれたなんて考えたくもなかったから…。
壕から人が出ていくのを待つ間、2人は一言も喋らなかった。今にも泣きだしそうな不安を打ち消すので精一杯だった。とてつもなく長く思えた時間の後で、雪斗は奈々の手を引いて、慌てて壕を飛び出した。そして、周りを見渡すようにキョロキョロとして、走ってきた道を引き返そうとした、その時…

『雪斗…!』

慌てたように走り寄ってくる剣の姿があった。その表情は、けして穏やかなものではなく、どこか鬼気迫る表情をしていた。剣が何を言おうとしているのか…なぜそんな表情をしているのか…何度頭を振ってもこびりついている残酷な理由が手に取るように読めて、奈々は泣きそうになりながら目を背けたくなった。そして―――

『…光が…やられた…。』


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病院のドアを荒っぽく開けると、3人の目に飛び込んできたのは、腹部と両腕に白い包帯を巻かれた光の姿だった。傍らにいた、眼鏡をかけたボサボサの白髪が目立つ医師が静かに布団をかけて、3人に軽く会釈をした。ベッドに横になって目を閉じる、青白い顔を目の当たりにして、声を出せる者は1人としていなかった。ただ、瞳に飛び込んできた最悪な状況を理解するだけで精一杯で…。

『…光…。』

長く感じた沈黙を最初に打破したのは雪斗だった。よろめくように光に近づいていく雪斗に隠れるように、奈々もゆっくりと光が横たわるベッドに近づいていった。

『…おい…光…。』

『…光…ちゃん…?』

かすれてまともに出なかった声に反応して、光はゆっくりと目を開けた。しばらくぼんやりと天井を見つめて、こちらを見ると弱々しく微笑んだ。必死に、あのいつものようなはちきれんばかりの笑顔を返そうとしているのだ…。それがあまりにもつらくて、奈々は少しだけ俯いた。

『…2人とも…無事やったん…?』

『…うん…。剣もいるよ。』

『…ほんまか…よかった…。』

苦しそうにそう言葉を吐き出すと、光はため息にも似た声で笑った。雪斗は唇をかみ締めて、怒りとも悲しみともとれる感情を押し殺しているようだった。奈々はどうしていいのか分からなくて、ただオロオロとみんなの顔を見るしか出来なかった。

『光…なぜお前が逃げ遅れたりした。雪斗と一緒にいたんだろう?』

剣は冷静に、でも怒りをあらわにしてそう言った。おろしたまま力一杯握りしめた拳がそれを物語っていて、いつものバリトンボイスがひと際低くて震えている。光はしばらく黙って、そしてぎこちなく呟いた。

『何でって…慌てとってはぐれたに決まってるやん…。』

『…はぐれた…?』

『せや。どこいったんかなぁ思ぉてたら…この通り…。俺が勝手に逃げ遅れただけやで…。』

『…バカ野郎…。』

『…ははっ…ホンマごめん…。』

傍らにいた医師が、「このへんで」と目で合図をした。その医師によれば、光の状態は、焼夷弾による両腕の火傷と、わき腹に銃弾の破片で負った深い傷があるという事で、しばらくは容体を安定させるために面会は出来ないと言う。今のところ、命に別状はないらしいが、内臓に傷が付いてしまった恐れもあるため、今はまだ何とも言えないようだった。
話すのも呼吸するのもつらそうな光の姿に、3人はかける言葉も見つからなかった。そして、しばらくただ黙って側にいて、「また来る。」と言って、雪斗を先頭にして病室を後にしようとドアを開けた時…

『…さくら…。』

風に溶けそうなくらいに微かな声に、奈々は慌てて振り返った。雪斗と剣はその声に気付かなかったようで、先に行ってしまった。奈々は何か嫌な予感に暴れる心臓を落ち着かせながら、光に近づいていった。窓辺の白いカーテンが、風でふわりと宙を撫でた。

『…光ちゃん…どうしたの?』

『…これ…。』

光がそういうと、奈々の下ろした手に何かが当たった。布団の中から、光は奈々に何かを渡そうとしているようだ。恐る恐る見てみると、それは…

『…これ…あたしの…。』

『…ないと…あかんねやろ…?』

『……。』

『…なくしたらあかんモノは…ちゃんと持ってなあかんで…。』

なくしたと思っていた、携帯電話だったんだ ―――――。


“これ…さくらの時代ではみんな持ってるものなん?”

“まあ大体の人は持ってるよ。だって、持ってないと不便なんだもん。”

“えぇなぁ…。なんや、漫画に出てくる未来の世界の道具やんな。”

“…うん…。これがないと結構困るんだ。”

         ――――― コレガナイト、ケッコウコマルンダ。 ―――――


『…まさか…だから…だから逃げ遅れたの…?』

『…ちゃうよ…。たまたま見つけてん…。』

震える手に、急に溢れた涙が零れた…。突きつけられた真実に頭の中が真っ白になって、言葉さえも見つからなくて、ただ…止まる事を知らない涙だけが音もなく零れ落ちた。

『…はよぅ行きや。大丈夫やから…。なぁ?』

『…光ちゃん…ごめ…ん。…本当に…ごめ…。』

『…剣には…言わんとき…。あいつすぐにムキになりよるから…。さくらのせいになってまうやん…?』

『…あたしのせいじゃん…。何で…何で…逃げてくれなかったの…?死んじゃうかもしれないのに…。』

『…俺は…それが何かもよぉ分からんし…この時代には必要ないけど…。…さくら…お前の時代にはないとあかんもんなんやろ…?そんぐらい大事なんちゃうん…?』

何も言えなかった…。自分が恐ろしく空虚な人間な気がした…。
これが、現代の象徴…携帯電話は“自分”なのだ…。自分の分身とも言えるべき、現代社会の産物 ――――。それがないと不安で、持っているだけで安心する。例え圏外と表示されていても、使えない場所にいても、手の中にあるだけで満足だった…。すべての人間関係を網羅し、自分の趣味までも把握しているクローンである携帯電話があるだけで、見えない糸が生む“繋がり”に安心感があったのに…。
でも…今はまるで目が覚めたかのようにはっきりと思う。“これはただの機械なのだ”と。これは自分ではない。友達でもない。ただの精密機械の1つでしかない。それを守るために大怪我を負った光を見ていて、申し訳なくて、自分が情けなく思った。こんなものがあっても、この時代には必要はない。そうこの時代で大事なのは…守らなくてはいけないのは“命”なんだ ―――――。でも、自分はこの小さな機械を守ろうとした。それが、“現代に侵食された人間”の性をあらわにしている気がして、とても惨めな生き物のように思えて…。

『…光ちゃん…ごめん…。』

『…気にせんで…。さくらのせいちゃう…。』

言える言葉すら見つからないまま、奈々は病室を後にした。外で待っていた2人は、知らぬ間に泣き腫らしたように落ち込んだ奈々の姿に驚いているようだった。でも誰も何も言わないまま、オレンジ色に染まった街に影を落としながらゆっくり歩いた。
そして分かれ道に差し掛かった時、雪斗は奈々の手に握られた携帯電話に気付いて不思議そうに言った。

『…奈々…それ…なくしたんじゃなかったのか…?』

『…うん…。』

『…お前…いつの間に…?』

『違う…違うの…。これは…。』

携帯電話を持つ手が震えて、どの感情のものか分からない涙が、泳ぐ目から溢れて頬を伝った。こみ上げる感情に喉が押し潰されて、言葉が出ないまま、俯いて肩を震わせる。雪斗に肩を軽く揺すられながら俯いて首を振る奈々の姿を、剣は冷たい目で見つめていた。

『…これ…光ちゃんが拾ってくれてね…。』

『…えっ…?』

『さっき爆撃を受けた時…あたしが…「携帯落とした。」って、取りに戻ろうとしたから…。「ないと困るものなんだ。」って言ったから…光ちゃんはきっと…そんぐらい大事なもんなんだって思って…。』

『…嘘だろ…?』

『…あたしの携帯探してたから…逃げ遅れちゃったんだよ…。』

振り絞るようにそう言葉を吐いた後の沈黙が、異常に怖く思えた…。きっと、蔑んだような目で見られているのだろう…呆れ果てた顔をしているのだろう…。奈々はその重圧に耐えられなくて、押しつぶされるようにその場にしゃがみこんだ。

『…ごめんなさい…。こんな…こんなもののために…。』

『…貴様…人の命を何だと思ってるんだぁっ!』

『剣!やめろよ…。奈々のせいじゃないって…。』

怒りをあらわにして奈々に詰め寄ろうとした剣を、雪斗は戸惑いながらも必死に止めた。奈々は、初めて剣の想いが受け止められるような気がした。現代人の愚かさと、そしてこの時代の過酷さ…。すべてを軽視していたがために、起こってしまった出来事…。もはや、何に対して謝罪していいのかも分からなくなっていた。

『貴様は未来から来たんだろう!?それなのに…それなのになぜそんな軽率な行動が取れる…!?この時代がこういう時代だと知っているんじゃないのか!?』

『…ごめん…。』

『…剣!!やめろって!!』

『未来から来たなら、今日こうして空襲がある事も分かっていたんじゃないのか!?爆撃の恐怖も知っているはずだろう!?違うか!?』

『…ごめん…知らなかった…。』

『奈々…。』

『…知らないだと…?…なぜ知らない?未来から来たと言うなら過去の事ぐらい…』

『知らないの…!!…戦争の事も…いつ何が起きるかも…分からないんだ…。…ごめん…。』

奈々は座りこんだまま、泣きじゃくりながら俯いた。自分が情けなく思った…。いっその事、思い切り殴って欲しいぐらいだった。わずか70年前の日本の事が分からない…。歴史というにはまだ早いようなこの時代の事を、ほとんど知らない…。未来から来たのにどうして知らないと聞かれて答えられる事は、ただ1つ…

『…あたしには…関係ないって思ってたから…知ろうとしなかった…。』

ただ、それだけだったんだ…。

『…そんなに…どうでもいい時代なのか…?貴様の時代では…。』

『……。』

『無駄な時代だという事なんだろう…?』

『…そ…それは…。』

『人の命を何だと思っている…。』

『…えっ…?』

『…俺たちは…無駄な時代でも必死に生きているんだ ――――。』

そのまま、剣は雪斗を振り払って去って行ってしまった…。雪斗はその場に立ち尽くしたまま俯いて、奈々はしゃがんだまま剣の後姿が小さくなるまでずっと見つめていた。
自分の居場所がないような気がしていた…。戦乱の歴史を知らない現世には、戻りたいとは思えなくて、でも現世の色に染まった自分はここにはいてはいけないんじゃないかって…。

『…もう…あたしの事…ほっといていいよ…。』

奈々は鼻をすすりながら立ち上がって、肩を落として足を引きずりながらその場を立ち去った。でも、奈々が本当に立ち去りたかったのは、自分だけが異色に染まった事を白日の下に晒す、このモノクロの時代なのかもしれないけれど…。


❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.


桜山の頂上にある1本桜は、全くと言っていいほど散ってしまっていた。ぼんやりと辺りを照らす月光が、芽を出したばかりの青々とした葉を浮き彫りにしていて、どこか春の終わりを告げているような気がした。
奈々はずっと桜の木の下にうずくまって泣きじゃくっていた。何でもないはずの土曜日、あの短時間で、何もかもすべてを自分の手でぶち壊してしまった。本当に大切な事も、日本が抱えた過酷な歴史も、すべてを見失っていたがために、すべてを失ってしまった。今も耳に残るあの爆撃音は、きっと打つ所を間違えたのだと思う。

『…こんなものさえなかったら…。』

奈々は携帯電話を握りしめて、そう呟いた。大切な友達が命をかけて守ろうとしたガラクタは、冷たい感触を手のひらに与えているだけだ。今の奈々にとって、これは“こんなもの”であり、友達が守ってくれた“大切なもの”だった。相反するその事実はジレンマだけしか生まない。

『…こんなものを守ろうとした…あたしのせいで…。』

そう自分を責めれば責めるほど、光のくったくのない無邪気な笑顔が脳裏に浮かんで、それが更に涙を誘った。光の純粋さはきっと、奈々が知らず知らずのうちに背負っていた現代の負の部分をも何の疑いもなく飲み込んでしまったのだろう。そして、何度涙が頬を伝っても、なくしたものを取り戻す事なんて出来ない。姿が見えない誰かが何万回も逆回しした時計の針を、自分は少しも戻す事なんか出来ない。起きてしまったこの事実を、黙って受け止めるしかなくて、それはもうどこにも居場所なんてないであろう事を示していた。

『…やっぱりここか…。』

誰かが後ろから近づく気配すらも、もう奈々には感じ取れなくなっていた。この声は雪斗だ…見ないでもすぐに分かった。それでも、自分が1番聞きなれた、鼻にかかったその声の主を、振り向いて見る事すらもためらった。合わせる顔なんてないからだ。

『伊吹さんが心配してたぞ。…帰ってこないって…。』

そう言われても、奈々には返事をする気もなかった。もうこのまま自分の存在を消して、春の風に溶けてしまいたかったからだ。雪斗はそんな奈々の姿をしばらく見つめて、1つ小さくため息をついて意を決したように奈々の隣に座り込んだ。

『ずっと泣いてたって、仕方ないだろ?』

『…。』

『それと、剣は誰よりも仲間思いな奴だから…ちょっと強く言いすぎたんだと思う…。悪く思わないでやって。』

『…。』

『突っ走っちゃう所あるんだよ。剣は。だから、気にしないで…』

『何であの時、あたしの手を引っ張って逃げたの…?』

ずっと沈黙を守った奈々が、急に雪斗の声を遮ってそう呟いたのを、雪斗は聞き逃さなかった。隣で膝を抱えてうずくまっている奈々を、驚いたように見つめた。

『…何で、あたしを助けたりなんかしたの…?』

『…えっ…?』

『あたしを無視して…逃げればよかったんだよ…。あたしが携帯取りに行って撃たれても…よかったじゃん…。』

『…何言ってんだよ…。そんな事出来るわけ…』

『別に撃たれたってよかったじゃん!あたしは元々、この時代に生きてるはずない人間なんだから!』

『…。』

『…光ちゃんじゃなくて…あたしだったらよかったんだ…。』

思いをぶつける場所も、奈々には分からなかった。今ここで八つ当たり同然に雪斗を責めたって仕方がない。それでも、1人で背負うにはあまりにも重すぎる現実に、思わずそんな言葉を吐いてしまったようだった。すべてをぶち壊してしまった自分に対する罰を、誰かに与えて欲しかったのかもしれない。

『…そんだけ言うなら…本当なんだな…。奈々の話は…。』

『…えっ…?』

『演技だったら、こんな所で1人で泣いたりしないだろ。…そんな風に、オレを責めたりしないだろ。』

『…。』

『ずっと…信じていいのかどうか、分からなかったんだ。…未来から来たなんてさ。』

雪斗は足元に落ちている枝を拾って、くるくると指先で回しながらそう言った。奈々は鼻をすすりながら、どこか懐かしく思える雪斗の横顔を見つめていた。

『…何で光が、奈々の事気にかけてたか…知ってる?』

『…知らない…。何で…?』

『あいつは、1人ぼっちのツラさを誰よりも知ってるからだよ。』

『…。』

『右も左も分からない所に来て、誰も友達がいないっていう不安を知ってるから。』

『…あっ…。』

『だからオレたちに、“奈々を信じてやってくれ”って頼んできたんだよ。』

光から初めてメールをもらったあの日、光から聞いた話を思い出した。明るくてムードメーカーの光からは想像も出来ない、幼い頃の孤独な思い出…。それが、あの純粋さの源だったのだ。奈々はそれにやっと気がついて、我に返った気がした。いつの間にか、涙の跡も乾いていた。

『そんな光にしてやれる事って…ただ泣くだけ?』

『…。』

『…1人で自分の事責めて、泣いてるだけ?』

『…ううん…。』

『少なくともあいつは、そんな事望んじゃいないよ。』

言う事までも、隼人にそっくりだ…奈々はそう思った。いつだって冷静に状況を見極めて的確な助言をくれる。自分の感情に素直なまま行動してはうまくいかない奈々に、いつも客観的な言葉をくれた。そしていつも思ったものだ…「その通りだ。」と。

“奈々、そうじゃないだろ?頭冷やして考えろって…。俺だったら…”

『オレだったら、光が喜ぶ事をしてやりたいけどな。』

“相手の立場になって、考えてみ?”

『自分が光だったらって、考えてみたら?』

『…うん…。分かった…。』

泣きすぎたせいか、少しだけ頭がガンガンして痛い。でも、涙の跡を冷ますかのような春風が心地よかった。どことなくすっきりしたような気がした。

『それと…オレが奈々の事を助けたのは、奈々が紫雨にそっくりだからなのかもな。』

『…雪斗の幼なじみだっけ?』

『うん。瓜二つな奈々の事、見捨てられるわけないからさ。』

『…そっか…。』

『紫雨と仲良くしてやって。今度、会わせるからさ。』

『うん…分かった。』
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