上 下
34 / 79
リリティスとの旅

#33 聖騎士、意外とチョロかった

しおりを挟む
 幸い、逃げたリリティスの馬もすぐに主人を心配して戻ってきた。
 泉に戻るやいなや、リリティスは飛び込むようにきれいな水に入って、全身にこびりついた粘液や藻を洗い落とし始めた。
「お、おれは向こうで火を起こしてるから」
 木陰から声をかける遊太に、リリティスが遠慮がちに言う。
「あ、あの……」
「だ、大丈夫! もう覗かないから安心して!」
 ちょっとだけためらった末、リリティスは思い切って口にする。
「いえ、そうじゃなくて、あの……怖いので、あまり遠くへ行かないでください……」

 むっはー。
 急にしおらしくなる美少女騎士。たまらん。
 遊太の胸に湧き上がる萌えとほっこり感。
「わ、わかった。ここにいるよ」
「ありがとうごさいます……あ、あの……」
「うん。なに?」
 リリティスはさらにためらいがちに、弱々しく請う。
「せ、せ、背中を……洗うのを、手伝っていただけませんか……?」
「えっ! いいの!? やった! 洗う洗う!」
 思わず遊太は、木陰からびよーんと飛び出す。

 膝まで水に浸かったリリティスの後ろ姿を、魔法のランタンがぼんやり照らしている。
 長い金髪は肩の前に集められていて、うなじから細い背中、そして芸術的に美しいお尻がすっかりと露わに。
 うーむ。この美少女は後ろ姿も完璧にきれいだ。
 そしてぐうシコだ。
 ズボンが濡れるのも構わず、遊太は泉に足を入れた。
「で、では、し、失礼します」

 手で水をすくって、リリティスの白い背中にそっと触れる。
「あ……!」
 ぴくん。リリティスがわずかに身を震わせる。
 遊太もギクッとする。
「ご、ごめん。痛かった?」
「い、いえ……その、と、と、殿方に肌を触れられるなど、う、生まれてはじめてで……なんだか、ヘンな感じがします」
「あのー、お、おれも慣れてないもんで……なんかすいません」
 肩越しに振り返って、リリティスはぽっと上気した横顔を見せた。
「つ、続けて……ください……」
「ありがとうごさいます! 心をこめてやらせてもらいます!」
 今度は両手を、肩から腰のくびれまでゆっくりと滑りおろし、乾きかけたネトネトを落としてやる。
「あ……くうんっ!」
 リリティスは指を噛んで、ヘンな声が洩れてしまうのを懸命にこらえている。
 無意識に体はヒクヒクと震え、太ももにきゅっと力が入っている。

 遊太は思った。
(エッロっ! 女子の体エッロっ!)
 もはや遊太を止めるものはない。
 目を下に向ければ、そこにはリリティスの、小ぶりな果実のようなお尻が揺れている。
 思い切って、遊太は両手をその頂きへ進ませた。
 リリティスの声がさらに大きくなる。
「あ……! お、お尻は、お尻は……自分で洗えますから……そこはだめです……!」
 しかし言葉とは裏腹に、リリティスは逃げようとも、遊太の手を払いのけようともしない。
 両手で唇を覆い、せつなげな目つきで遊太をチラッと見ただけだ。

(……行っちゃっていいんじゃないでしょうかこれは!)
「いやいや。ちゃんときれいにしないとですよ、ここは特に!」
 眼光を爛々とさせて、遊太はさらに完璧な曲線を描くヒップラインに手をのばす。
「ああ、いけません……こんなところを殿方に触らせたなんて騎士団長さまに知られたら、すごく叱られてしまいます」
 首をふりふりするリリティスだが、その仕草はどう見ても拒絶というよりおねだりだ。
「だ、だ、大丈夫です! 汚れを洗ってるだけですから! いやらしい行為ではありませんから!」
 声をでんぐり返らせて言い訳する遊太。
 どう好意的に解釈してもその目つきは、いやらしい行為に及ばんとする男子そのものだったが。
「そ、そうです……よね。仕方ないですよね……ど、どうぞ……」
 リリティスも完全に納得して、きゅっと目を閉じて遊太を受け入れる体勢。
「では、いただきます!」
 遊太の手が、リリティスのお尻に触れる、その直前。

「とーう!」

 どこからかすっ飛んできた人間態アフラのミサイルキックが、真上から遊太を一撃する。
「げぶっ!」
 遊太は頭から水に突っ込まされ、リリティスは「きゃー!」と悲鳴をあげる。
「なにすんだよ! いいとこだったのに!」
 水から顔を出した遊太、怒りの抗議。
 キック炸裂からひらりと岸に舞い降りたアフラは、平然と乱れた髪をかき上げる。
「お楽しみはそこまでじゃ」
「うおー! また寸止めかよ! ああ行き場のないおれのダイナマイトパッションがあー!」
 アフラはこのうえなく満足そうに目を細めた。
「うむうむ、それでよい。我が身に力が降り注ぐ心地じゃ」
 アフラは遊太に向かって大きく腕をひろげて胸をそらした。
「くそう! おれの欲求不満をしこたま浴びやがって! この外道!」
 ばしゃんと水を叩いて、悔し涙にくれる遊太であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

推しのダンジョン配信者を死なせたくないので炎の仮面冒険者始めました~日本初の100層踏破者は毎回コメント欄がツッコミの嵐

煌國粋陽
ファンタジー
「配信者の安全を守るのは視聴者の務めだよなぁ」 ある出来事により社畜から冒険者へ転向した主人公の存在が日本中を騒がせる事になるダンジョン配信物語。 ダンジョン内にイレギュラー発生した黒竜から美少女配信冒険者パーティーを救った事で主人公の存在が明るみに。 毎回配信コメント欄がツッコミの嵐になる仮面冒険者は自分のクランを創る事に。

立日の異世界冒険記

ナイトタイガー
ファンタジー
ある日、ニートの立日健が異世界に飛ばされた。勇者として歓迎されると思っていたら、召喚された先はとんでもない世界だった。期待していたチート能力は授けられなかったが、幸いにして健には秘策があった。次から次と降りかかる数々の試練を乗り越え、健は現実世界を目指す。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...