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第五章 叛逆

第五十話 同胞

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 「それでは、我らの仲間でも紹介しようか……」

 先ほどの会議室にやってきたのは、おおよそ悪魔と言えないような外見の持ち主たちが多数だった。

 まず、その最筆頭である、眼の前の幼女。金髪の滑らかな髪の毛に、ルビーを埋め込んだような綺麗な赤い眼だった。戦闘力……そんなものは勿論、皆無である。良心的な解釈をすると、この内の誰かの子どもが迷い込んだという線だろうか。

 なんてことを考えると、どうやら、他の悪魔たちは席に着いたようだ。

 「では、同胞よ、急な召集、申し訳ない。急ぎの超重大な要件ができたのでな」

 悪魔が会社でプレゼンテーションを行うサラリーマンのように皆の正面に立つ。

 「そんなもんはいらねぇ。さっさとはじめてくれ」

 銀髪の悪魔が欠伸を漏らしながら言った。

 「そうですね。では、まず彼の紹介……といいたいところでしょうが、まずは我々の同胞の紹介をしましょう」

 彼……つまり俺の方を一斉に、幾多の視線が向く。緊張のためか、冷や汗が垂れるのがわかる。

 「では、まず【傲慢】です。ルシフェル……堕天使のルシちゃんとでも覚えてください。皆から、ルシちゃん、と呼ばれています」

 そう呼ばれて立った娘は、先ほどの少女……幼女だった。あぁ、わかる。だって、完全にロリだもん。最初からメンツが不安でしかない。

 「すみませんが、こんな娘が戦えるんですか?」

 俺は耐えきれず、悪魔に聞いてしまう。

 「何を言ってるんだ? 勿論だ」

 さも至極当然のように答えるが、俺は頭を抱えそうになった。

 「そ……うか。じゃあ、次を頼みます」
 「了解だ。次は【怠惰】ベルだ。ベル立って」

 ベルと呼ばれたのは、先ほどの寝むそうに欠伸をしていた悪魔だった。銀髪に、顔立ちは青年といった感じだ。まだ、眠たそうに目を擦っている。またまた、全然、強そうには見えない。

 俺がそんなことを思っていると、ベルが欠伸をしながら言った。

 「話は聞いていた。【怠惰】ベルだ。大罪系の技能【怠惰】を持っている」

 【大罪】!?

 俺のように強力な【特殊技能ユニークスキル】を持っていたのか……それとも、全く別の方法なのか。わからないが、兎に角、この悪魔は強力な存在なのだろう。

 ――信じられないけどな!

 「【怠惰】のベルは、相手の弱体化を担う重要な悪魔の一体です」

 そう言って、悪魔は笑った。

 「【暴食】は最重要な役割です。ただ、これから紹介する【大罪】の技能を持つ彼らは実力者であり、作戦の最終目標を辿りつくまでのサブとしての役割がとても大きいのです」

 悪魔は次の人物の紹介を始める。

 「まぁ、次だ。次は【色欲】リリだ」

 悪魔が指をさした先には妖艶な黒髪の女性が座っていた。髪が若干、湿っているようだ。女性が立つ。

 「はぁーい。リリよぉ。【大罪】の一つである【色欲】を持ってるわ」

 立ちあがり、こちらに歩いてくる。ハイヒールでも履いているのか、カツンカツンという音が響く。チャイナドレスのような格好をしており、衣服の切れ目から見える足は艶かしかった。

 「よろしくねぇ、坊や」

 そう言われて、ドキンッとしてしまう。艶やかな美人。

 だが!やはり! 強さはわからない!

 マジで強いやつがいるの……だって見る限り、後一人だよ。

 「さて、最後の一人が、【憤怒】ラーです。」
 
 ラーは男のようだった。ただ、【憤怒】という言葉は正しくないように思えた。彼はとても大人しい好青年に見えたからだ。メガネをかけ、本を片手に抱えた様子は賢そうな参謀役にも見える。

 「こ、こんにちは【憤怒】のラーです。よろしくお願いします」

 あまりに畏まった態度にある意味、実力を測りかねる。

 「ラーは我ら悪魔の参謀を務めている」

 あぁ、やっぱりね。そんな感じするもん。

 「ちなみに得意攻撃は物理です」

 魔法じゃないのかよ!!!

 何だろう。

 なんか、ずれている。


 何だろう。

 俺を含めて、全員、強そうには見えない。いや、寧ろ弱そうなのが、俺含めて数人混じっている件について。



 こうして、初めて会った【大罪】の技能を持つ強者たちは、独創的というか、ぶっちゃけていうと、変人が多かった。
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