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物書きは感想やPVを求めるようです
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突然だが、皆は小説家になろうというサイトを知っているだろうか?
俺はそこに作品を投稿している。
異世界転生
皆が皆、このジャンルで書いて、書籍化まで持っていってる。だから、俺も書籍化の夢を見て、異世界転生の話を書いている。だが、定番のジャンルで書いているが、全然PVが来ない。いや、定番のジャンルだからこそか。
一話目を投稿した時は十分しない内に50PVを超えたが、今では一日中掛けても5すらいかない。感想も来ないし、レビューも来ない。
物語を書きたいと思えない。やる気が萎えていく。
でも、それでも諦めきれず、今日も十三話目を投稿する。
人の夢と書いて、儚い。昔の人はよく言ったものだ。
▼
異世界転生とチーレム。この二つの言葉は深く結びついてる。
なろうの作品群を見ていると、異世界に転生して、ハーレムを作るという内容の話が多い。
だから、俺はそういう風にどんどん主人公を強くさせていき、女の子のキャラをどんどん追加していく。チーレムは加速していった。金髪の美少女、銀髪のロリっ子。獣耳の女の子などなど、沢山のキャラを登場させた。
だが、次第に敵キャラが思いつかなくなってきた。
どうしようか?
俺はカチッとマウスをクリックして、ラスボスをネットで調べる。オーソドックスな邪龍や魔神などが出てくる。中には女神様という斬新な人もいた。
俺は主人公が邪神を殺し、世界を救うというハッピーエンドにしようと考えて投稿した。
▼
五日後、
……今日もアクセス解析に目を通す。やはり、全然アクセスがない。あっても、一や二という数字がちらほらと散らばっているばかりだ。
それでも、一縷の希望を掛けて、感想欄をクリックする。
見ると、感想が一件も来ていた。
俺は急いでマウスを連打する。
カチッ
画面が変わり、感想欄へと移行する。
===
投稿者:人魂
その他
こんなの、書いてて楽しんですか? PVや感想目当てじゃないですか?
===
読んだ後、うん? と思い、読み返してみた。
書いてて楽しいですか?
楽しいですか?
「楽しいか……」
俺は今までを振り返ってみる。書いてて、楽しくない気がしてきた。
改めて、内容を見てみても、表現は単調すぎるし、内容も簡単。赤子同然の物語。そして、なにより、主人公が強すぎてつまらなく感じた。
「でも……ここでやめたら……」
書いてきた物語を殺すことになる。いかに、つまらなかろうと、いかに単調でも、これは俺が書いた初めての連載小説だ。殺すわけにはいかない。かといって、自分が書いていて、面白味が一切感じない小説など、書く意味がない。
「どうしたらいいんだ!?」
俺は画面越しの【人魂】さんに叫ぶ。世界が一瞬、暗くなったように感じた。
俺はその日は小説を投稿するのをやめた。
▼
次の日、学校から帰ってすぐ、俺はパソコンを起動した。
小説家になろうと検索画面に打ち込み、俺はマイページを開いた。
お知らせ欄を見ると、新しい感想が来ていますと、文字が表示されている。
慌てて感想を見てみる。
===
投稿者:アキ
良い点
最初の方は面白いです。
悪い点
主人公が強くなりすぎてつまらなくなってきている。
その他
主人公の苦労も見てみたいです。
===
読んでみて、成る程と思った。初めの強くないところはまだ面白いと思ってもらえるのか。でも、ストーリーを見直すと単純すぎることが多い。全体的に改稿した方がいいのかな、なんて思う。
まず、主人公がチートな特典を得て、転生する。チートな特典は、時間が経てば、自動的に強くなっているというもの。そして、異世界に降り立った主人公は女の子を沢山得る。所謂、ハーレム状態というやつだ。
どんどん強くなる主人公、苦労なしに、龍を余裕で倒せるになり、邪神を倒しに行く。
「だめだめじゃん」
俺は、主人公が邪神から弱体化の魔法をかけられて、弱くなった。というのを主題に物語を書き、投稿した。
▼
今日も小説家になろうに投稿する。この話で、完結の予定だ。人気な人は、後日談とか入れてる。だけど、俺は本当の本当の完結だ。結局、最後の最後まで書籍化はこなかったどころか、相変わらず、PVすら来ない。
カチッとマウスを鳴らし、物語を投稿する。
ついに、完結した。たぶん、数カ月だったけど、書いててよかったなと思えた。
▼
あれから、数日後、感想が二件来た。
内一件は、面白かったです。とシンプルに一文書かれていた。それだけでも、書いてて良かったと思えた。面白いって思ってもらえて、良かった。
二件目は前の人だった。
===
投稿者:人魂
良い点
完結おめでとうございます。前に感想を入れてから、とても面白くなって、お気に入りの小説になりました。良かれば、他の話も投稿して下さいね。
===
と書かれていた。
そして、その言葉を噛み締めていくうちに、PV目当てで小説を書き、感想やポイントを求めていた自分がアホらしくなった。
同時に、この【人魂】さんにありがとうと思った。多分、前にあの感想を貰えなければ、俺の小説は只々、つまらないだけの話になっていただろう。
だからこそ、俺はマウスを新規小説作成の部分に持っていく。
今度はもっと上手に書けるはずだ。まず、設定から書き出そう。プロットを書こう。
そして、単調じゃないストーリーを書こう。読んでいて、読者の【好き】も大事だけど、一番は俺が大好きと思える小説を書こう。
俺自身が読んでいて……書いていて、楽しいと思える作品を書こう。
俺はそう決めて、キーボードを鳴らし始めた。
俺はそこに作品を投稿している。
異世界転生
皆が皆、このジャンルで書いて、書籍化まで持っていってる。だから、俺も書籍化の夢を見て、異世界転生の話を書いている。だが、定番のジャンルで書いているが、全然PVが来ない。いや、定番のジャンルだからこそか。
一話目を投稿した時は十分しない内に50PVを超えたが、今では一日中掛けても5すらいかない。感想も来ないし、レビューも来ない。
物語を書きたいと思えない。やる気が萎えていく。
でも、それでも諦めきれず、今日も十三話目を投稿する。
人の夢と書いて、儚い。昔の人はよく言ったものだ。
▼
異世界転生とチーレム。この二つの言葉は深く結びついてる。
なろうの作品群を見ていると、異世界に転生して、ハーレムを作るという内容の話が多い。
だから、俺はそういう風にどんどん主人公を強くさせていき、女の子のキャラをどんどん追加していく。チーレムは加速していった。金髪の美少女、銀髪のロリっ子。獣耳の女の子などなど、沢山のキャラを登場させた。
だが、次第に敵キャラが思いつかなくなってきた。
どうしようか?
俺はカチッとマウスをクリックして、ラスボスをネットで調べる。オーソドックスな邪龍や魔神などが出てくる。中には女神様という斬新な人もいた。
俺は主人公が邪神を殺し、世界を救うというハッピーエンドにしようと考えて投稿した。
▼
五日後、
……今日もアクセス解析に目を通す。やはり、全然アクセスがない。あっても、一や二という数字がちらほらと散らばっているばかりだ。
それでも、一縷の希望を掛けて、感想欄をクリックする。
見ると、感想が一件も来ていた。
俺は急いでマウスを連打する。
カチッ
画面が変わり、感想欄へと移行する。
===
投稿者:人魂
その他
こんなの、書いてて楽しんですか? PVや感想目当てじゃないですか?
===
読んだ後、うん? と思い、読み返してみた。
書いてて楽しいですか?
楽しいですか?
「楽しいか……」
俺は今までを振り返ってみる。書いてて、楽しくない気がしてきた。
改めて、内容を見てみても、表現は単調すぎるし、内容も簡単。赤子同然の物語。そして、なにより、主人公が強すぎてつまらなく感じた。
「でも……ここでやめたら……」
書いてきた物語を殺すことになる。いかに、つまらなかろうと、いかに単調でも、これは俺が書いた初めての連載小説だ。殺すわけにはいかない。かといって、自分が書いていて、面白味が一切感じない小説など、書く意味がない。
「どうしたらいいんだ!?」
俺は画面越しの【人魂】さんに叫ぶ。世界が一瞬、暗くなったように感じた。
俺はその日は小説を投稿するのをやめた。
▼
次の日、学校から帰ってすぐ、俺はパソコンを起動した。
小説家になろうと検索画面に打ち込み、俺はマイページを開いた。
お知らせ欄を見ると、新しい感想が来ていますと、文字が表示されている。
慌てて感想を見てみる。
===
投稿者:アキ
良い点
最初の方は面白いです。
悪い点
主人公が強くなりすぎてつまらなくなってきている。
その他
主人公の苦労も見てみたいです。
===
読んでみて、成る程と思った。初めの強くないところはまだ面白いと思ってもらえるのか。でも、ストーリーを見直すと単純すぎることが多い。全体的に改稿した方がいいのかな、なんて思う。
まず、主人公がチートな特典を得て、転生する。チートな特典は、時間が経てば、自動的に強くなっているというもの。そして、異世界に降り立った主人公は女の子を沢山得る。所謂、ハーレム状態というやつだ。
どんどん強くなる主人公、苦労なしに、龍を余裕で倒せるになり、邪神を倒しに行く。
「だめだめじゃん」
俺は、主人公が邪神から弱体化の魔法をかけられて、弱くなった。というのを主題に物語を書き、投稿した。
▼
今日も小説家になろうに投稿する。この話で、完結の予定だ。人気な人は、後日談とか入れてる。だけど、俺は本当の本当の完結だ。結局、最後の最後まで書籍化はこなかったどころか、相変わらず、PVすら来ない。
カチッとマウスを鳴らし、物語を投稿する。
ついに、完結した。たぶん、数カ月だったけど、書いててよかったなと思えた。
▼
あれから、数日後、感想が二件来た。
内一件は、面白かったです。とシンプルに一文書かれていた。それだけでも、書いてて良かったと思えた。面白いって思ってもらえて、良かった。
二件目は前の人だった。
===
投稿者:人魂
良い点
完結おめでとうございます。前に感想を入れてから、とても面白くなって、お気に入りの小説になりました。良かれば、他の話も投稿して下さいね。
===
と書かれていた。
そして、その言葉を噛み締めていくうちに、PV目当てで小説を書き、感想やポイントを求めていた自分がアホらしくなった。
同時に、この【人魂】さんにありがとうと思った。多分、前にあの感想を貰えなければ、俺の小説は只々、つまらないだけの話になっていただろう。
だからこそ、俺はマウスを新規小説作成の部分に持っていく。
今度はもっと上手に書けるはずだ。まず、設定から書き出そう。プロットを書こう。
そして、単調じゃないストーリーを書こう。読んでいて、読者の【好き】も大事だけど、一番は俺が大好きと思える小説を書こう。
俺自身が読んでいて……書いていて、楽しいと思える作品を書こう。
俺はそう決めて、キーボードを鳴らし始めた。
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ちょっと前の作品なので感想を書こうかどうかちょっと迷ったんですが、色々共感出来る部分があったので書かせていただきます。
自分はなろうのノクタの方でエロ小説を書いています。確かに総合評価ptが伸びたり、感想を頂けると嬉しいですよね。
でもやっぱり自分がやりたいこと、好きなことをやるのが一番と感じています。ノリと勢いだけで好き勝手やってます。
星天さんは50作品も投稿していてすごいな! と思いました。
これからも頑張って下さい。
退会済ユーザのコメントです