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長編
第2話 一緒に撮りたいかと思った
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「そろそろお昼を食べようか?」
「はーい、近くに沖縄限定のファストフードがありま~す♪」
御堂係長の提案にすぐさま当真くんが答える。
場所は、那覇空港のある那覇から北へ向かっている途中で、老舗ファストフード店を見つけた。
本土では見かけないドライブインというスタイルで、昔、アメリカで流行した車内から注文してそのまま車内で食べるというユニークなお店が今でも沖縄には残っている。
ハンバーガー以外にもサンドイッチやホットドッグが置いてあって、いちばん印象に残ったのはドリンク。オレンジは甘くて美味しいとネットの書き込みでもみたが、ルートビアという飲み物に興味を引かれた。
コーラに近い見た目をしていて、甘くスーッとする香りが口の中に広がる。甘いハッカのような味とも取れるが、これは俺的には病み付きになりそう。それもおかわりが自由なんて、すごく有難い飲み物だ。
「すごい、あれ芸能人ね?」
「違うさ、撮影じゃないの?」
「いやーなんか照れるっすね~」
なんか、視線を複数の方向から感じる。スーツ姿の芸能人とか、撮影ってあまり無いと思うが……。瀬下が頭をかいてなぜか照れている。
「でも、普通のひとがいるよ。うちなーんちゅぢらー(※1」してるさ」
「ホントだね。地元の案内する人じゃないの?」
「ガクっ」
瀬下って、今でも友人と草野球しているらしく日に焼けているから、陽射しの強い沖縄だから、地元のひとに間違えられたのかな?
「でも、女のひとも、ちゅらかーぎーだね~、どっちの男の人と付き合ってるのかね?」
「隣のひとじゃない? メガネ掛けてない方」
聞こえてくるんだが、さらに『ゾクッ』とさせられるんだが、当真くんを初見で男性だと見抜いたひとってはたしてこれまでいただろうか?
「せーんぱい、ポテトが美味しいですよ~♪」
当真くんが、クルクルとネジのような形をした珍しいポテトをひとり頼んでいたので、気にはなっていたが、俺に向かって1本差し出す。
「じゃ、お言葉に甘えて」
「ダメですよ~。はい、アーン」
ちょっ、待って、かなり恥ずかしいかも……。うん? 瀬下、お前も食べたいのか? テーブル挟んだ向こう側から当真くんに向かって「あーん」している。
──させるかぁぁ!
『パクッ』
「どうですか~先輩?」
「うん、美味しい」
なんだろう……独特なスパイスが効いていて、クセになりそうな味をしている。ちなみに周囲のお客さんを見ていると、このポテトにこれでもか、っていうくらいケチャップをつけまくって食べている。
「未央きゅ……未央、ひとつもらっていいかな?」
「那珂川さんだけズルいっす。自分も一本くださいっす」
「はぁ~い、どうぞー♪」
瀬下はいいとして、御堂係長、今「未央きゅ」って言わなかった? 未央くんって言おうとして舌を噛んだのか?
昼食を終えたので、このファストフードの敷地内で20分ほど休憩してから移動することになった。車に戻ってもいいし、建物内にいてもいい。だが、敷地内にちいさな公園があり、その横にはテラス席があるが、まだ蒸し暑いせいか、客はみな店内にいるので、テラス席がガラガラなので、ガーデンパラソルの下、スマホをいじることにした。
幸い、車に置いてある会社の支給用ポケットWi-Fiがテラス席まで電波が届いたので、沖縄のショート動画をみて色々情報を集め始めた。
「先輩、ヒマですか?」
「うん? まあ時間を潰しているけど」
「じゃあ、スマホで写真撮りません?」
「あ、ああ」
当真くんの笑顔が今日は一段と可愛く見える……いつもの俺の発作『ゾクッ』が腰の辺りに起きる。
スマホのインカメラにしたあとタイマーをセットした当真くんが俺の隣にちょこんと座る。
「カシャ」──隣のテラス席に置いたスマホを当真くんが、手に取り画像を確認すると、俺のうしろの方を見た。なにかあるの?
あ、御堂係長。
持参した本を読みながら、さりげなく後ろの席にいつの間にか足を組んで、優雅に座っていた。
まさか一緒に撮りたかった?
そんな訳ないか。瀬下じゃあるまいし、あのクールな御堂係長がそんな真似はしないな。
「はーい、近くに沖縄限定のファストフードがありま~す♪」
御堂係長の提案にすぐさま当真くんが答える。
場所は、那覇空港のある那覇から北へ向かっている途中で、老舗ファストフード店を見つけた。
本土では見かけないドライブインというスタイルで、昔、アメリカで流行した車内から注文してそのまま車内で食べるというユニークなお店が今でも沖縄には残っている。
ハンバーガー以外にもサンドイッチやホットドッグが置いてあって、いちばん印象に残ったのはドリンク。オレンジは甘くて美味しいとネットの書き込みでもみたが、ルートビアという飲み物に興味を引かれた。
コーラに近い見た目をしていて、甘くスーッとする香りが口の中に広がる。甘いハッカのような味とも取れるが、これは俺的には病み付きになりそう。それもおかわりが自由なんて、すごく有難い飲み物だ。
「すごい、あれ芸能人ね?」
「違うさ、撮影じゃないの?」
「いやーなんか照れるっすね~」
なんか、視線を複数の方向から感じる。スーツ姿の芸能人とか、撮影ってあまり無いと思うが……。瀬下が頭をかいてなぜか照れている。
「でも、普通のひとがいるよ。うちなーんちゅぢらー(※1」してるさ」
「ホントだね。地元の案内する人じゃないの?」
「ガクっ」
瀬下って、今でも友人と草野球しているらしく日に焼けているから、陽射しの強い沖縄だから、地元のひとに間違えられたのかな?
「でも、女のひとも、ちゅらかーぎーだね~、どっちの男の人と付き合ってるのかね?」
「隣のひとじゃない? メガネ掛けてない方」
聞こえてくるんだが、さらに『ゾクッ』とさせられるんだが、当真くんを初見で男性だと見抜いたひとってはたしてこれまでいただろうか?
「せーんぱい、ポテトが美味しいですよ~♪」
当真くんが、クルクルとネジのような形をした珍しいポテトをひとり頼んでいたので、気にはなっていたが、俺に向かって1本差し出す。
「じゃ、お言葉に甘えて」
「ダメですよ~。はい、アーン」
ちょっ、待って、かなり恥ずかしいかも……。うん? 瀬下、お前も食べたいのか? テーブル挟んだ向こう側から当真くんに向かって「あーん」している。
──させるかぁぁ!
『パクッ』
「どうですか~先輩?」
「うん、美味しい」
なんだろう……独特なスパイスが効いていて、クセになりそうな味をしている。ちなみに周囲のお客さんを見ていると、このポテトにこれでもか、っていうくらいケチャップをつけまくって食べている。
「未央きゅ……未央、ひとつもらっていいかな?」
「那珂川さんだけズルいっす。自分も一本くださいっす」
「はぁ~い、どうぞー♪」
瀬下はいいとして、御堂係長、今「未央きゅ」って言わなかった? 未央くんって言おうとして舌を噛んだのか?
昼食を終えたので、このファストフードの敷地内で20分ほど休憩してから移動することになった。車に戻ってもいいし、建物内にいてもいい。だが、敷地内にちいさな公園があり、その横にはテラス席があるが、まだ蒸し暑いせいか、客はみな店内にいるので、テラス席がガラガラなので、ガーデンパラソルの下、スマホをいじることにした。
幸い、車に置いてある会社の支給用ポケットWi-Fiがテラス席まで電波が届いたので、沖縄のショート動画をみて色々情報を集め始めた。
「先輩、ヒマですか?」
「うん? まあ時間を潰しているけど」
「じゃあ、スマホで写真撮りません?」
「あ、ああ」
当真くんの笑顔が今日は一段と可愛く見える……いつもの俺の発作『ゾクッ』が腰の辺りに起きる。
スマホのインカメラにしたあとタイマーをセットした当真くんが俺の隣にちょこんと座る。
「カシャ」──隣のテラス席に置いたスマホを当真くんが、手に取り画像を確認すると、俺のうしろの方を見た。なにかあるの?
あ、御堂係長。
持参した本を読みながら、さりげなく後ろの席にいつの間にか足を組んで、優雅に座っていた。
まさか一緒に撮りたかった?
そんな訳ないか。瀬下じゃあるまいし、あのクールな御堂係長がそんな真似はしないな。
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