【完結】後輩の当真くんが、やけに可愛いんだが？

短編形式

【４８】走り去ってしまったんだが？

「ありがとうございました！　あ、あれー当真くん、奇遇だねッ！」

　ガバッと起き上がって、御堂係長に礼を言い、当真くんに声をかける。
　御堂係長はメガネの真ん中の部分を中指で、上げてポジションを直している。

「御堂係長もこんばんは。今、飲んだ帰りですか？」
「うん、そう、当真くんは？」
「はい、ボクも用事が終わって帰るところです」

　なんか紙袋を両手で抱えている当真くんと会った。先ほどぶつかってきた自転車に乗った高齢の女性は「ちゃんと前を見なさいよ」と一方的に怒ったまま、何処かへと去ってしまった。まあ俺も悪いけど、自転車に乗っているひとも、角を曲がる時は気を付けてくれないと事故が起きてしまうのだが……。

「未央、じゃあ３人で帰ろうか？」
「はい、喜んで♪」

『ゾクッ』