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鬼人族シュンテイ編

Chapter 053 「実行犯」みぃつけたっ

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 海賊達との戦闘でこちらに被害は出なかったが、海賊側には多少の死傷者が出た。
 やはり手加減できる場面とそうでない場合があるので止むを得ないだろう。

 トルケルに白状させられた海賊船長の話によると、彼らは東大陸の北西に位置する人族が治める〝トゥーリー連邦〟公認の私掠船で、ミルフレイア聖王国を往復する航路内を航行する船を片っ端から襲っているとのこと。
 現在、ミルフレイア聖王国とトゥーリー連邦の間で緊張状態が続いているそうだ。

 しかし、他の種族が乗り合わせている客船を襲うのは、天使の教えから逸脱していて、トゥーリー連邦が一方的にミルフレイア聖王国に攻め込んだ場合、西大陸の人族が治める国々が黙っていないだろう。

 特に自由国オルオは世界の人族の盟主を自負しており、他国同士の小競り合い等が起きた場合、真っ先に介入する。

 軍事力が高く、特に人族の中で最強、英雄〝赤星あかぼしアレン〟が国の要職についてからは他の人族が治める国家への抑止力としてこの二十年近く睨みを利かせているため、大きな戦争が起きていない。    

 ミルフレイア聖王国に到着し、海賊を全員ミルフレイア国に引き渡した。
 海賊船はそのまま海人族の押収となり、海人族の一行が撤退の準備に取り掛かるが、ナンワのコオウがトルケルに声を掛ける。

「アンタ、この旅だけでいいから俺たちと来ないか? 見ての通り、ジャーポは傭兵雇ってるし、レキオのチビどもは海賊どもを捕まえたときに腕前をみたが、とんでもない小僧どもだ。アンタくらいの凄腕がついてくれないと釣り合わない」

 トルケルはコオウの話を聞きながら、なぜか自分シュンテイを見る。

「そう……だな……この先、生温かったら〝なれん〟かもしれん……ミズナのために手を貸す……」

 うーん、何言ってるのかよくわからないが、ナンワのコオウを手伝うことで決まったようだ。
 それを聞いてジャーポのダイゼンが舌打ちをした。

「いやいや参ったね~どうも」

 トオサのシマツが、わざとらしい溜息をつき皆に聞こえるように大きな声で呟く。

「他の〝シマ〟は皆、助っ人がいるのにトオサだけいないなんて割に会わないなぁ、そうだミルフレイア聖王国で助っ人を探すとしよう」

 台詞に聞こえる。多分最初からミルフレイア聖王国で助っ人と合流する予定だったのを、思いついたかのように振る舞ってるように感じる。

「じゃあ、競争再開だ」

 ジャーポのダイゼンの一言で再び、争奪戦が再開された。

 ★

 いやぁ……どうしましょう?
 女神アリアは、神の箱庭の管理室から少し離れた「迎賓館」におり、迎賓室の向かいに「とある女神」がふんぞり返っている。

「それで……女神ペレ、いったい今回はどういったご用向きでこちら惑星メラへ?」

 女神ペレ……地球のとある火山地帯を管理する女神でアリアと同じ部門地脈エネルギーを扱う専門家スペシャリストで、人族にもかなり知名度のある地球でもメジャー級に分類される有名神ゆうめいじん

「いいご身分よね? あんた、この惑星ほし独り占めして、自分でがめついと思わないの?」

「いやぁ……そんなこと言われましても、天界の神の皆が見ている前での公正な抽選会で当たったものですから……あと独り占めと言われましても、ここ私の大事なお家スイートホームですから……」

「私を愚弄する気? いいからここに私達を住まわせなさいよ!!」

 アカン、この女神ひと、自分の話を勝手に進めてそれが通らないと、話を聞かないで勝手に逆上するタイプだ。
 たしかにそんな噂を聞いたことはある。
 癇癪ヒステリック持ちで八つ当たりをよくするって……んっ? 〝たち・・〟とな?

「ちなみに他にもここに移住したい神がいるんですか?」

「いるけど、アンタには教えないわ」

 あ~そうですか……やっぱり目茶苦茶だ。この星惑星メラ主人オーナーに向かってそんなこと言って、自分の要求が通ると思ってるのかな?

「では、女神ペレはこちらに住みたい。でもここの単独所有権を持っている私は一神ひとりでここに住みたい……ということで、話は平行線になってしまいましたので、お引き取り願えますか?」

「あぁそうですか、私にそんな口利いてただで済むと思ってるの? 今に見てなさい……絶対後悔させてやるから!!」

 だめだ、ヤべー女神ヤツに目をつけられた。後で天界に報告しとこっと……。

 女神ペレは怒りながら帰っていった……。なんでやねんっ! こっちが怒りたいわっ!

「ボス……あの女神ペレ、絶対、以前にも何かしてるよ」
「ええ、それも複数犯ですわね、きっと」

 天使タバサと天使エッダが順番に思ったことを進言する。

 え? そうなの? もしかして今までの私の災難は神災?

「主よ! 今しがた、女神ペレが帰り間際に転移門ゲート前で惑星メラに何か投げつけました!!」

 慌てた声で女神ペレを追いかけた天使アラネルから、映像で報告が来た。

 なにぃぃぃ──っ、あの野……、ゴホンっ……、あの女神なにしてくれてんだぁぁぁ!! ゴラァァァァ!!

 急いで監視室に行き、各画面でメラの状況を確認する。

 ──ッ、見つけたっ!
 場所は……自由国オルオの以前発生した黒筐体から生まれた〝地下迷宮《ダンジョン》〟その脅威度は〝複数国家単位〟──。ただし一定の時間が経過すると〝全世界単位〟あるいは〝終末単位〟に発展する可能性あり……とな。 

 あの女神、自分が何したのか分かっているのかな? 
 これはもう立派な犯罪だし「犯行現場やっちまった」のも「記録撮影うつして」いる。まあそっちは後で何とかするとして、まずこっち惑星メラをなんとかしないと……。

 うおりゃぁぁぁパチパチパチパチッ──‼ 
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