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第2章 シリカ大峡谷
第62話 覚醒したスキル
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「どうやら、英雄になる男だ。と吹いて回る青年と岩人族と女子兎人の3人組が昨夜から魔蟻の巣から帰ってきてないようですね」
「ゔふッ」
思わず、葡萄水を口から噴いてしまった。
もうその組み合わせは、あの人たちしか考えられない。
<米抜きダイエッター>
:3人組って、やっぱりあれだろ?
<ナニワの仔猫>
:あれな、白髪頭とメガネとゲロイン
<米抜きダイエッター>
:そうそう、江戸時代末期に宇宙人の襲来を受けて……ってちがーう! それ銀●w」
<ナニワの仔猫>
:わかった。ダメダメ少年と、音痴イジメっ子とイヤミな坊っちゃん」
<米抜きダイエッター>
:それも違う。ってか静●ちゃんが、抜けててかわいそうだろw
<ナニワの仔猫>
:ならもうあれしかないわ。N●R●T●、ワイはサ●ラちゃん好みや
<米抜きダイエッター>
:もうエエわ。ありがとうございました~
(気が済んだか? ちょっとこれから出かける用事があるから、ヨロシクな)
<米抜きダイエッター>
:なんか匂うな?
<ナニワの仔猫>
:うわッ臭ッ誰や?
<米抜きダイエッター>
:ちゃうわw 主が休日の夕方に出かけるなんて初めてじゃないか?
<ナニワの仔猫>
:ちゅーことは?
<米抜きダイエッター>
:ああ……主に女の影が、よくもオレ達を差し置いて
<ナニワの仔猫>
:ワイで良かったら、遊んだるで
<米抜きダイエッター>
:イヤ、結構
神たちがいつものように楽しく会話をしているのを聞いていると、どんな時でもひとりじゃないと勇気がもらえる。今は仲間もできて孤独感はないが、最初、プールヴの森などでどんなに心強かったことか。
どうしよう?
あの三人は知らない仲でもないし、むしろ一緒に火山島で戦った仲間みたいなもの。ゴンゾさんやルナさんがついているからそう簡単にやられない気がする。
昨夜からだったら、まだ間に合うかもしれない。
ボクはマーファさんとムンク司祭に相談して、すぐに行くことを承諾してもらった。
冒険者ギルドとは別にこの街では 案内人斡旋所というものがあると聞いた。ただ夜は魔蟻が活性化するため、夜中に谷底へ降りてくれる案内人がそもそも見つかるかが、問題だと酒場のマスターから教えてもらった。
そう言われたので、心配してたけどすぐに案内人が見つかった。妹のフェナと歳が近そうな女の子で名前はカノ。
表情が固い。紹介してくれた案内人たちのある特有の目で彼女をみている。ボクは育ったメイズの村で、散々見てきたから痛いほどわかる。
渋々にみえるが了承してもらった。ボクは彼女が好きで案内人をしている訳ではないなら、彼女が他の仕事でも食べていけるくらいの報酬を払うつもりだ。以前、スライムを1万匹討伐した時にすごい量の魔石が手に入り、一粒で100ゴルドはする稀少鉱石〝秘石〟をかなり持っているので、それを土地付きで家を一軒建てられるぐらいの金額3,000ゴルド分くらいは成功報酬として渡すつもりでいる。
町の中央にある昇降装置を使って、シリカ大峡谷に降りる。
カノが、仕掛け扉を開くと、魔蟻は付近にはいないと彼女がボク達に説明してくれた。
ウデのいい子なのかな? 何の迷いもなく魔蟻の一つ目の巣までやってきた。
魔蟻は、キュッキュと叫びながらお腹の部分を地面に叩きつけている。カノさんがすばやく仲間を呼んでいるから気をつけて、と教えてくれた。
とりあえず新しく買ったグレートソードの切れ味を試してみた。巨人殺しと同じ感覚で振ったので、魔蟻を引き裂いたあと、剣が地面にめり込んでしまったので慌てて引き抜いた。
「やっぱり軽いな~。倍以上は重くないとしっくりこない」
ムンク司祭やマーファさんは見慣れた光景なので、驚きもしないが、カノさんは両目を見開いてボクのことを見ている。
ホントだ。大量の魔蟻がやってきたボクらを取り囲んだ。壁を背にして半円状になったボクらは、ボクとマーファさんだけならなんとか凌げるが、一斉に飛びかかれでもしたら、ムンク司祭とカノさんが危ない。
なので、新たに能力が覚醒したスキル【指し手(U)】を発動する。飛騎や砲士は温存し、騎士と兵士だけを喚び出す。
魔蟻は30体以上いたが、1分もかからないうちに全て倒した。戦闘中「筋力0.001Up」「瞬発力0.001Up」といった表示がこれまでと比べものにならない量の文字が目の上の端っこを横に流れていく。
というのも今回【指し手(U)】が覚醒したのは、「召喚した人数分の経験値はすべて使用者へ帰属する」──例えば9人召喚したら、使用者であるボク含めて10人分の経験をすることになる。言い換えると、10倍の速度で強くなれるという異常な能力だった。
これを神々が見て「本物のチーターや、無双系ゲームや」と何やら騒ぎ立てていたが、神々のなかでも権力を持っている〝ムフフ99〟さまが「静かにしないとブロックするぞ?」と宣言した途端に静かになった。ブロックっていったい何なのだろう?
「魔物が多いですな。セル殿大丈夫ですか? 私ここで死んだりしませんよね?」
「さあ? どうでしょうね?」
「ひどいです。セル殿~~ッ大丈夫って言ってくれないと、ムンク泣いちゃいますよぉぉ?」
さて、ムンク司祭のどこまで本気なのかわからない冗談に付き合いながら、周囲を警戒していると、暗い中で、まわりに数えきれないほど赤く光る眼がどんどん増えていく。
先ほどの強さ程度であれば、どんなに数が増えても大丈夫だし、他のメンバーにも危険は及ばない……問題があるとすれば、ボクの持っている主武器が耐えられるかが心配……。
「ゔふッ」
思わず、葡萄水を口から噴いてしまった。
もうその組み合わせは、あの人たちしか考えられない。
<米抜きダイエッター>
:3人組って、やっぱりあれだろ?
<ナニワの仔猫>
:あれな、白髪頭とメガネとゲロイン
<米抜きダイエッター>
:そうそう、江戸時代末期に宇宙人の襲来を受けて……ってちがーう! それ銀●w」
<ナニワの仔猫>
:わかった。ダメダメ少年と、音痴イジメっ子とイヤミな坊っちゃん」
<米抜きダイエッター>
:それも違う。ってか静●ちゃんが、抜けててかわいそうだろw
<ナニワの仔猫>
:ならもうあれしかないわ。N●R●T●、ワイはサ●ラちゃん好みや
<米抜きダイエッター>
:もうエエわ。ありがとうございました~
(気が済んだか? ちょっとこれから出かける用事があるから、ヨロシクな)
<米抜きダイエッター>
:なんか匂うな?
<ナニワの仔猫>
:うわッ臭ッ誰や?
<米抜きダイエッター>
:ちゃうわw 主が休日の夕方に出かけるなんて初めてじゃないか?
<ナニワの仔猫>
:ちゅーことは?
<米抜きダイエッター>
:ああ……主に女の影が、よくもオレ達を差し置いて
<ナニワの仔猫>
:ワイで良かったら、遊んだるで
<米抜きダイエッター>
:イヤ、結構
神たちがいつものように楽しく会話をしているのを聞いていると、どんな時でもひとりじゃないと勇気がもらえる。今は仲間もできて孤独感はないが、最初、プールヴの森などでどんなに心強かったことか。
どうしよう?
あの三人は知らない仲でもないし、むしろ一緒に火山島で戦った仲間みたいなもの。ゴンゾさんやルナさんがついているからそう簡単にやられない気がする。
昨夜からだったら、まだ間に合うかもしれない。
ボクはマーファさんとムンク司祭に相談して、すぐに行くことを承諾してもらった。
冒険者ギルドとは別にこの街では 案内人斡旋所というものがあると聞いた。ただ夜は魔蟻が活性化するため、夜中に谷底へ降りてくれる案内人がそもそも見つかるかが、問題だと酒場のマスターから教えてもらった。
そう言われたので、心配してたけどすぐに案内人が見つかった。妹のフェナと歳が近そうな女の子で名前はカノ。
表情が固い。紹介してくれた案内人たちのある特有の目で彼女をみている。ボクは育ったメイズの村で、散々見てきたから痛いほどわかる。
渋々にみえるが了承してもらった。ボクは彼女が好きで案内人をしている訳ではないなら、彼女が他の仕事でも食べていけるくらいの報酬を払うつもりだ。以前、スライムを1万匹討伐した時にすごい量の魔石が手に入り、一粒で100ゴルドはする稀少鉱石〝秘石〟をかなり持っているので、それを土地付きで家を一軒建てられるぐらいの金額3,000ゴルド分くらいは成功報酬として渡すつもりでいる。
町の中央にある昇降装置を使って、シリカ大峡谷に降りる。
カノが、仕掛け扉を開くと、魔蟻は付近にはいないと彼女がボク達に説明してくれた。
ウデのいい子なのかな? 何の迷いもなく魔蟻の一つ目の巣までやってきた。
魔蟻は、キュッキュと叫びながらお腹の部分を地面に叩きつけている。カノさんがすばやく仲間を呼んでいるから気をつけて、と教えてくれた。
とりあえず新しく買ったグレートソードの切れ味を試してみた。巨人殺しと同じ感覚で振ったので、魔蟻を引き裂いたあと、剣が地面にめり込んでしまったので慌てて引き抜いた。
「やっぱり軽いな~。倍以上は重くないとしっくりこない」
ムンク司祭やマーファさんは見慣れた光景なので、驚きもしないが、カノさんは両目を見開いてボクのことを見ている。
ホントだ。大量の魔蟻がやってきたボクらを取り囲んだ。壁を背にして半円状になったボクらは、ボクとマーファさんだけならなんとか凌げるが、一斉に飛びかかれでもしたら、ムンク司祭とカノさんが危ない。
なので、新たに能力が覚醒したスキル【指し手(U)】を発動する。飛騎や砲士は温存し、騎士と兵士だけを喚び出す。
魔蟻は30体以上いたが、1分もかからないうちに全て倒した。戦闘中「筋力0.001Up」「瞬発力0.001Up」といった表示がこれまでと比べものにならない量の文字が目の上の端っこを横に流れていく。
というのも今回【指し手(U)】が覚醒したのは、「召喚した人数分の経験値はすべて使用者へ帰属する」──例えば9人召喚したら、使用者であるボク含めて10人分の経験をすることになる。言い換えると、10倍の速度で強くなれるという異常な能力だった。
これを神々が見て「本物のチーターや、無双系ゲームや」と何やら騒ぎ立てていたが、神々のなかでも権力を持っている〝ムフフ99〟さまが「静かにしないとブロックするぞ?」と宣言した途端に静かになった。ブロックっていったい何なのだろう?
「魔物が多いですな。セル殿大丈夫ですか? 私ここで死んだりしませんよね?」
「さあ? どうでしょうね?」
「ひどいです。セル殿~~ッ大丈夫って言ってくれないと、ムンク泣いちゃいますよぉぉ?」
さて、ムンク司祭のどこまで本気なのかわからない冗談に付き合いながら、周囲を警戒していると、暗い中で、まわりに数えきれないほど赤く光る眼がどんどん増えていく。
先ほどの強さ程度であれば、どんなに数が増えても大丈夫だし、他のメンバーにも危険は及ばない……問題があるとすれば、ボクの持っている主武器が耐えられるかが心配……。
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