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第8章 ザッヴァーク帝国

第37話 新女王の苛立ち

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 ──城庭では、厳かに国葬の準備が進められていた。
 ボクは、第2王女マリーの近衛として、そばに控えている。

 城の入口から、国王ペイジェルマン13世の棺が姿をみせ、ベレム第1王子、サラサ第1王女、そしてラウル第2王子の棺が、城庭の西側へ運ばれていく。

 参列者は王族の遠縁のものや王都に居を構える貴族のみ。
 葬儀はディテクト教ファルカ神殿マロエ神殿長が執り行い、儀式が終わると、ペイジェルマン国王の像の台座にある扉を開け、国王の棺を安置する。

 歴代の国王、女王はこのように像が建設されその中に眠るが、王以外の王族は、当代の王の像裏手にある石墓の下に眠るしきたりになっている。

「私に王位を継ぐ意志はありません。よって第2王女ロゼを第5代女王アルネローゼ5世に任命します」

 ここ10年以上も小競り合いすら起きていないが、アーキテクト王国は、隣国ザッヴァーク帝国と今も「戦争中」であり、いつ大きな戦いが起きるかわからない状況にある。そんななかで、王位を一日でも空けてしまうと、かの国の侵略のきっかけになってしまうため、早急な地盤固めが必要であった。

 ロゼ王女──女王アルネローゼ5世は、もともと国民からも人気が高く、実際、その聡明さに加え、人心掌握術に長け、決定力もあるので、子どもたちのなかで王に相応しいと以前から評判であった。客観的にみてもこの国にとってはもっとも理想的な君主の誕生となった。でもまあ、結婚したら夫になる男性は大変だろうな。

「神プレイヤのご意思は聞いております。それで……セルさんはいつまでこの国にいてくれますか?」
「ラウル王子との約束を果たしましたので葬儀が終わったら、旅に出ようかと思っています」

 すごく小さな囁き声でボクに話しかけてきた。

「そうですか? 旅が終わったら、また戻ってきてくれますか?」
「すみません。ボクみたいなのは父マルコのように近衛騎士をするのは無理なようです」
「いえ、そうじゃなくて、その……」
「はい?」
「──もう。この辺はセルさんが憎いです」
「すみません。ボクなにかしましたか?」
「もう知りません」

 女王を怒らせてしまった……。なぜ機嫌が悪くなったのかボクにはよくわからないが、神々から「これはセルが悪い」とか「鈍感もここまでくると犯罪だな」や「ラブコメの漫画を読ませてやりたいw」などと文字を大量に流して盛り上がっている。

 今のボクにはやらなければいけないことが2つある。キュアを探し出すことと、〝86〟と呼ばれている紫髪の少年をみつけ父のかたきをとること。

「セル殿、一度、トゥルヤ半島にある神プレイヤの神殿に行ってはいかがですかな?」

 葬儀のあと、地下の自室に戻り、出立の準備に取り掛かろうとしたボクにマロエ神殿長が話しかけてきた。光の5大神……狩猟と豊穣の女神「ヴェール」、剣と鎚の神「アトランカー」、知恵の女神「フィメリス」、太陽と月の神「ルーラー」、魂の神「プレイヤ」はこの王都ファルカのように合祀されているが、各神それぞれにこの大陸に主殿がある。
 神プレイヤの使徒としては一度は訪れるべき場所であると教えてもらった。なので、キュアや魔人86の手がかりがないので、神殿長の助言にありがたく従うことにした。


 ✟


 ──10日後、アーキテクト王国とザッヴァーク帝国の国境付近に到着した。
 例の神プレイヤの神殿
 戦時中であるため、国境付近は物々しく、国交も断絶しているため、帝国の情報がほとんど入っていない。だけど、プレイヤ神殿は、帝国を横断しないと辿り着けない場所にある。

 海路も互いに監視し合っているため、抜けることができず、遠洋に出て、大きく迂回できるような船も航海術もない。なので陸路を選択するしかなかったが、帝国の砦を抜けることができるのかはなはだ疑問である。

 ボクは、両国が川を隔てて、にらみ合っている場所……両国に唯一架かっている橋に着いた。アーキテクト王国側は、首都ファルカより伝令が先に来ていたので素通りだったが、橋を渡った先にある帝国側の砦を通してもらえるのか心配である。いきなり大量の矢を射かけられたり、大群に襲われたらたまったものではない。

「ボクはマルコ・B・モティックと申します。プレイヤ神の神殿に赴くため、ここを通らせてもらいたいです」

 一ヵ月も王宮仕えをしたのでボクの階級はB……騎士階級になった。
 父マルコは、ザッヴァーク帝国との小競り合いで幾度となく活躍しその名を轟かせたそうだ。その家名までボクは名乗ってしまった。ここから先はどうなるかわからない。

 含水率が高く、強度も大陸では屈指のコナウ木を構造体として、鉄の板で補強された分厚い扉が、左右に開け放たれる。




 ──つづく


【第37話時点のステータス】
─────────────────────
 セル・B・モティック 男 14歳
 階級:騎士
 筋力  2.496(0.911Up) +0.600(0.300Up)
 瞬発力 3.019(1.118Up) +0.600(0.300Up) 
 耐久力 1.674(0.790Up) +0.600(0.300Up)
 魔力  3.219(1,531Up) +0.600(0.300Up)

<固有スキル>
【指し手(U)】
 発動型(騎士2体、兵士8体の召喚※器の成長により変動あり)

<スロットスキル>
【模写(SSS)】
 発動型(指定条件を満たすと相手のスキルをコピーできる)
融合反応カクテルパーティー(SS)】
 発動型(2つのスキルを融合(AAAまで)させ上位スキルを生成。上位スキルがベースとなる)
【精癒:中(A)】永続型:魔力が毎分0.02回復する。

<能力スキル>
【太陽と月の加護(SSS)Lv2】
 永続型(全ステータスにLv補正。呪い抵抗、自癒力上昇)

 <武器・防具>
巨人殺しジャイアント・キラー
 超大型の剣(筋力が3以上で使用可)
【血吸の猫】
 赤い刃をした真銀ミスリル製のダガー。対象を傷つけた分だけ自分の傷が癒える。
【名の無い小盾】小さな丸い盾
【ハーフスタデッドレザーアーマー】鋲で補強された革鎧

<従魔?>
─────────────────────
 ポチョ 
 すごくレアな鳥
 強さ:ひみつ

 【カード測定】★★★★☆
 対象をカード化して能力などをみることができる。
 【捕獲】★★★★★
 対象を弱らせて、カードの中に魔物を封じて操ることができる。
 【スキルストック】★★★★★
 主人のスキルをカード化して、ストックしておくことができる
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