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✜40 悠久を生きる者
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「プルポでにゅ」
「リルネって言うんだ、よろしくラピ」
ふたりとも癖が強そう。ドレッドヘアの褐色肌の女性とキュロットパンツを履いたウサ耳をした女の子。
このふたりって、タコさんと音速ウサギだよね?
「それで何の用?」
「妾たちの役目が解かれたので、管理者へ挨拶に参ったのじゃ」
自由になったので、この島の新たな主となった自分のところへ挨拶をしにやってきたそうだ。──自分って、いつの間にか、この島の主になったんだ。
「そっか、じゃあ、よろしくね」
「ふむ……」
3人へ挨拶して、双方ともニコニコすること30秒。3人ともいつまでも動かなければ、喋りもしないので、たまらず口を開いた。
「他にも用があるの?」
「なにを言うておる? 新しい役割を妾たちに与えぬのか?」
役割? 解放されたのにまた役割を貰いたいの?
「ふむ、妾たちのことを少し話した方が良さそうじゃの」
3人の中ではサクラが、率先して話すタイプのようだ。彼女らの過去を教えてもらった。
彼女たちヴァ―ルギュントはキヨマサにより造られたと以前、サクラから聞いていた。清正公が亡くなったのは、たしか関ケ原の戦いより後のはずなので、だいたい400年くらい前。だが、ステータス上では10,000歳を超えているので、以前から気にはなっていた。
「妾たちは1万年以上前に作られたはずじゃが、途中の記憶がほとんど無いのじゃ」
1万年の間に何十人と自分と同じ異世界人……プレイヤーがやってきたそうだ。すぐに死んでしまう者もいれば長くても数年くらいで命を落としてしまう者もいたそうだ。
そんな異世界人たちは彼女らが管理していたヴァ―ルギュントの1次試練さえ突破した者が誰ひとりいなかったという。プレイヤーがいない間は彼女らヴァ―ルギュントは管理しているダンジョンと共にスリープ状態に入るらしく、その間の記憶は無いと話す。そのため、キヨマサが亡くなって、数十年しか経っていないと感じているそうだ。
「じゃあ、管理者になれたのは……」
「お主が初じゃの」
この島で唯一、管理者になれる資格を持っていた古龍カリエテはキヨマサと恋仲だった。だから戦う気は互いに無かったのじゃろう、とサクラが席を立ち、窓のそばで外の景色を見ながら語った。
「それじゃあ、この子は?」
「お主も知っておるじゃろう、古龍じゃ」
肩に止まって目を閉じて休んでいるピコンの頭を撫でながら質問したら知っている答えと知らない答えが同時に返ってきた。
「古龍カリエテやその小鳥、あと妾たちは贈り物だったと聞いておる」
第1位指定管理者……つまりこの惑星を神の代わりに管理している上位天使によって、ダンジョン島の暫定的な運営を任せるべくキヨマサへプレゼントしたらしい。
GR確定ガチャで排出された魂と天使より授かった特別な器……義肢躯をセットで作られた彼女たちは、この島以外の大陸などでは「悠久を生きる者」と言われ、神代から生き続ける神の使いとも呼ばれているそうだ。
「その古龍がなぜ小鳥になっているかは妾たちも知らんのじゃ」
サクラの言葉を肯定するようにプルポとリルネも頷いている。
いろいろ教えてもらったので、事情がだいぶ分かった。でも……。
「なんで役割がいるの?」
「ふむ、どうにも居心地が悪くての」
事情を聞いても、今一つ役割が必要な理由が分らなかったが、要は仕事中毒……ワーカホリックみたいなものなんだ。
でも役割、ねえ……。特に思いつかないなぁ。
サンドボックスゲームをやっていた頃は、たしかにキャラクターの一人ひとりに役割があった。行商人やら農民、鍛冶師など多彩な職業が、村や街を構成する上で役に立っていた。でも目の前の3人はハイスペックすぎてどう扱えばいいのかわからない。
「言い方を変えようかの、アラタはこの島をどうしたいのじゃ?」
この島をどうしたいか? まあ、普通に考えたら、ただのんびりとスローライフを送るだけでいいかなって思う。でも、いろいろな権限を持っているから、試してみたいことなら確かにある。
「この辺りを……いや、ダンジョン島全体を改造してみたい、かな?」
どういう原理なのかは知らないが、ゲーム的な要素はこの島にだけ適用されているっぽい。天使の管理はこの世界……惑星全体に及ぶが、上位天使タバサが言っていたちょっとヤバめの地球の神様が、この島だけにゲーム的要素を導入したのではないだろうか?
大陸の方からやってくる冒険者や冒険者の街にいた人たちは、おそらく大陸から移り住んできた者達なんだろう。だからゲーム的な要素による魔物討伐時に得られる硬貨収入や無限にリポップされる宝箱など、このダンジョン島が、とても魅力的に見えているに違いない。
このままでもいいけど、この島へ訪れる冒険者たちが、もっと安全で安心してダンジョンを冒険できたら、もっと賑わうのではないだろうか?
「リルネって言うんだ、よろしくラピ」
ふたりとも癖が強そう。ドレッドヘアの褐色肌の女性とキュロットパンツを履いたウサ耳をした女の子。
このふたりって、タコさんと音速ウサギだよね?
「それで何の用?」
「妾たちの役目が解かれたので、管理者へ挨拶に参ったのじゃ」
自由になったので、この島の新たな主となった自分のところへ挨拶をしにやってきたそうだ。──自分って、いつの間にか、この島の主になったんだ。
「そっか、じゃあ、よろしくね」
「ふむ……」
3人へ挨拶して、双方ともニコニコすること30秒。3人ともいつまでも動かなければ、喋りもしないので、たまらず口を開いた。
「他にも用があるの?」
「なにを言うておる? 新しい役割を妾たちに与えぬのか?」
役割? 解放されたのにまた役割を貰いたいの?
「ふむ、妾たちのことを少し話した方が良さそうじゃの」
3人の中ではサクラが、率先して話すタイプのようだ。彼女らの過去を教えてもらった。
彼女たちヴァ―ルギュントはキヨマサにより造られたと以前、サクラから聞いていた。清正公が亡くなったのは、たしか関ケ原の戦いより後のはずなので、だいたい400年くらい前。だが、ステータス上では10,000歳を超えているので、以前から気にはなっていた。
「妾たちは1万年以上前に作られたはずじゃが、途中の記憶がほとんど無いのじゃ」
1万年の間に何十人と自分と同じ異世界人……プレイヤーがやってきたそうだ。すぐに死んでしまう者もいれば長くても数年くらいで命を落としてしまう者もいたそうだ。
そんな異世界人たちは彼女らが管理していたヴァ―ルギュントの1次試練さえ突破した者が誰ひとりいなかったという。プレイヤーがいない間は彼女らヴァ―ルギュントは管理しているダンジョンと共にスリープ状態に入るらしく、その間の記憶は無いと話す。そのため、キヨマサが亡くなって、数十年しか経っていないと感じているそうだ。
「じゃあ、管理者になれたのは……」
「お主が初じゃの」
この島で唯一、管理者になれる資格を持っていた古龍カリエテはキヨマサと恋仲だった。だから戦う気は互いに無かったのじゃろう、とサクラが席を立ち、窓のそばで外の景色を見ながら語った。
「それじゃあ、この子は?」
「お主も知っておるじゃろう、古龍じゃ」
肩に止まって目を閉じて休んでいるピコンの頭を撫でながら質問したら知っている答えと知らない答えが同時に返ってきた。
「古龍カリエテやその小鳥、あと妾たちは贈り物だったと聞いておる」
第1位指定管理者……つまりこの惑星を神の代わりに管理している上位天使によって、ダンジョン島の暫定的な運営を任せるべくキヨマサへプレゼントしたらしい。
GR確定ガチャで排出された魂と天使より授かった特別な器……義肢躯をセットで作られた彼女たちは、この島以外の大陸などでは「悠久を生きる者」と言われ、神代から生き続ける神の使いとも呼ばれているそうだ。
「その古龍がなぜ小鳥になっているかは妾たちも知らんのじゃ」
サクラの言葉を肯定するようにプルポとリルネも頷いている。
いろいろ教えてもらったので、事情がだいぶ分かった。でも……。
「なんで役割がいるの?」
「ふむ、どうにも居心地が悪くての」
事情を聞いても、今一つ役割が必要な理由が分らなかったが、要は仕事中毒……ワーカホリックみたいなものなんだ。
でも役割、ねえ……。特に思いつかないなぁ。
サンドボックスゲームをやっていた頃は、たしかにキャラクターの一人ひとりに役割があった。行商人やら農民、鍛冶師など多彩な職業が、村や街を構成する上で役に立っていた。でも目の前の3人はハイスペックすぎてどう扱えばいいのかわからない。
「言い方を変えようかの、アラタはこの島をどうしたいのじゃ?」
この島をどうしたいか? まあ、普通に考えたら、ただのんびりとスローライフを送るだけでいいかなって思う。でも、いろいろな権限を持っているから、試してみたいことなら確かにある。
「この辺りを……いや、ダンジョン島全体を改造してみたい、かな?」
どういう原理なのかは知らないが、ゲーム的な要素はこの島にだけ適用されているっぽい。天使の管理はこの世界……惑星全体に及ぶが、上位天使タバサが言っていたちょっとヤバめの地球の神様が、この島だけにゲーム的要素を導入したのではないだろうか?
大陸の方からやってくる冒険者や冒険者の街にいた人たちは、おそらく大陸から移り住んできた者達なんだろう。だからゲーム的な要素による魔物討伐時に得られる硬貨収入や無限にリポップされる宝箱など、このダンジョン島が、とても魅力的に見えているに違いない。
このままでもいいけど、この島へ訪れる冒険者たちが、もっと安全で安心してダンジョンを冒険できたら、もっと賑わうのではないだろうか?
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