13 / 13
決断
しおりを挟む
「ライさんと何があったのかは知らねーが、そんなに嫌なら一緒に逃げちまうか?」
そう言われ、一瞬理解が追い付かなかった。
しかし、一度理解してしまうと反射的に反論していた。
「・・・そんなことっ――」
「もう騎士団の中ではないんだ。追われる身ではあるが、自分の好きなように生きても罰は当たらないと思うぜ?」
「・・・」
そんなこと、していいはずがない。
そう言おうとしていたが、チガヤの言葉で迷いが生じた。
本当にしてはいけないのだろうか?
相手はあのライだ。
私の憎い相手。
あいつのしたことは許せない。
・・・でも、
「チガヤさん、あの時助けに来てくれてありがとうございました。あなたが来てくださらなかったら、私たちは牢に連れ戻されていたかもしれません」
「お?じゃあ、一緒に行くか?」
私はゆっくりチガヤの胸から顔を離しながら、はっきりと言う。
「いえ、ライを置いてはいけません。確かにあいつのことは憎い。ですが、私のために追われる身になってまで来てくれた。そんなあいつを一人置いて行くなんてやっぱりできません」
「・・・そうか」
言い切ると、チガヤはそれだけ言ってすんなり腕を解いてくれた。
やっと見えたチガヤの顔は、思っていたよりもずっと優しい顔をしていた。
まさか・・・
「もしかして、試しました?」
「7割は本気だったけどな」
つまり、3割は試す気だったわけだ。
この腹黒男。
「ちなみに、私は合格ですか?」
「ああ、もちろん。ミズキの気持ちは分かったよ」
「はぁ。あと、言っておきますけどチガヤさんもですからね」
「ん?」
「あなたもどういうわけかここまで来てくれたんですから、私から手を離すことはありませんから。あ、離れたくなったときは言ってください。それじゃ、私はあっちでこの服に着替えてきますので付いて来ないでくださいね」
「・・・」
そう言われ、一瞬理解が追い付かなかった。
しかし、一度理解してしまうと反射的に反論していた。
「・・・そんなことっ――」
「もう騎士団の中ではないんだ。追われる身ではあるが、自分の好きなように生きても罰は当たらないと思うぜ?」
「・・・」
そんなこと、していいはずがない。
そう言おうとしていたが、チガヤの言葉で迷いが生じた。
本当にしてはいけないのだろうか?
相手はあのライだ。
私の憎い相手。
あいつのしたことは許せない。
・・・でも、
「チガヤさん、あの時助けに来てくれてありがとうございました。あなたが来てくださらなかったら、私たちは牢に連れ戻されていたかもしれません」
「お?じゃあ、一緒に行くか?」
私はゆっくりチガヤの胸から顔を離しながら、はっきりと言う。
「いえ、ライを置いてはいけません。確かにあいつのことは憎い。ですが、私のために追われる身になってまで来てくれた。そんなあいつを一人置いて行くなんてやっぱりできません」
「・・・そうか」
言い切ると、チガヤはそれだけ言ってすんなり腕を解いてくれた。
やっと見えたチガヤの顔は、思っていたよりもずっと優しい顔をしていた。
まさか・・・
「もしかして、試しました?」
「7割は本気だったけどな」
つまり、3割は試す気だったわけだ。
この腹黒男。
「ちなみに、私は合格ですか?」
「ああ、もちろん。ミズキの気持ちは分かったよ」
「はぁ。あと、言っておきますけどチガヤさんもですからね」
「ん?」
「あなたもどういうわけかここまで来てくれたんですから、私から手を離すことはありませんから。あ、離れたくなったときは言ってください。それじゃ、私はあっちでこの服に着替えてきますので付いて来ないでくださいね」
「・・・」
0
お気に入りに追加
27
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】
うすい
恋愛
【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます
柚木ゆず
恋愛
ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。
わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?
当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。
でも。
今は、捨てられてよかったと思っています。
だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
R18完結)夫は私のことが好きだったようです
ハリエニシダ・レン
恋愛
顔も知らずに結婚した夫。
初めて顔を合わせた結婚式のその日に抱かれた。
それからも、ほぼ毎晩のように。
ずっと義務だからだと思っていたのに、ある日夫が言った。
結婚するよりも前から、私のことが好きだったと。
※他の拙作と比べて、エロが大分少ないです。
◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
本編を一通り見直して修正入れました。
2000文字くらい増えたっぽい。
その分、前より流れがよくなってる筈です。
追加の修正はボチボチやっていきます。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる