のろい盾戦士とのろわれ剣士

5064atc

文字の大きさ
上 下
20 / 38

20.対スカルワイバーン戦

しおりを挟む
 
 
 
 識別の結果はスカルワイバーン。
 
 全長4m。翼長8m程のその巨大な姿は、オレ達を威嚇するように骨の翼をカケコケとはためかせる。
 その動きの度に風が巻き起こり、オレ達へと吹き襲ってくる。
 
「にゃ――――っ!?」
「ちぃっ!」
 
 フィアーナがその風に顔を腕かばい、オレは大盾タワーシールドを前に掲げてそれを防ぐ。
 そしてスカルワイバーンはそのまま宙へと浮き上がり上空へと舞い上がる。骨が飛ぶのぉ?
 いや、これはマズいな。
 そもそもオレとフィアーナは近接型のプレイヤーだ。
 空を飛ばれてしまうと、本来のオレ達に攻撃手段がないって話になる。
 
「こらぁ――――っ!おーりーてーこぉ――――ーいっっ!!」
 
 フィアーナが声を上げて、スカルワイバーンへと叫んでいる。
 
▽スカルワイバーンAの攻撃!

▽スカルワイバーンBの攻撃!
 
 口をバカリと開けて空洞の目が怪しく赤黒く光ると、開いた口の中心に炎が集まり火の玉を形作る。
 そしてそれを吐き出した。
 
「ふなぁ~~~~~~っっ!!」
「どぉわっ!火ぃ吐くんか、こいつ!?」
 
 オレ達はその火線から逃れるように右に左にと回避行動をする。あっぶね。
 そして炎の玉は地面に達すると、轟音を上げて破裂する。
 
「ひぃにゃ~~~~っ!!」
「どっひゃあああっっ!!」
 
 オレ達は避難しながらスカルワイバーンの攻撃を避けていく。そして炸裂した衝撃波によって少しばかり吹き飛ばされる。
 そしてダメでHPが減っていく、こなくそっ。
 2体のスカルワイバーンが上空―――天井の高さは20m程、室内の広さは学校の体育館ほどの広さの中を右に左に交差しながら飛び回り、オレ達へと攻撃を繰り出してくる。
 これってレイド用のボスだよな。ったくぅ。
 
 レイドってのは幾つものパーティーが互いに協力してモンスターと対峙するものだ。(まぁ知ってはいると思うが)
 それぞれの役割を担うことにより、戦いをより効率良くするシステムみたいなもんだ。
 得手不得手をリーダーが判断して、如何にそれを運用していくか。
 
 社会に出れば嫌と言うほど認識させられる物事だ。
 ある意味学校よりも小さな社会構図と言えるかも知れない。
 今はオレとフィアーナしかいないから意味ないが。
 B29に竹槍で対峙する気分を味わいつつ、オレは反撃に移ることにする。
 
「フィアーナっ!」
「はいです!とぉりゃああっっ!!」
 
 オレが合図をすると、フィアーナがアイテムを取り出して上空へと思い切り放り投げる。
 スカルワイバーンの鼻先に投げられてそれは、ボフンと破裂して、煙幕を吹き出し周囲を煙まみれにして行く。
 
『カカカカカカッ!?』
『カァァアカカカ!?』
 
 スカルワイバーン達は、煙まみれになって混乱と困惑の声を上げる。
 こんな事態に対しても色々想定はしてるし、対策も実はしていたのだ。へへん。【鷹の目】で位置を確認しつつオレは逃げ回りながら、メニューから出したアイテムを地面へと設置していく。

 次々と置かれたそれは、30cm程の筒に四角い台座がついたものだ。
 見た目市販されてる打ち上げ花火の廉価版って感じだ。
 
 Whoo chair get
                 her navi:設置した場所から設定した魔法を
          1回だけ放つアイテム
          装填する魔法によって
          威力が異なる
          
                        作成者 ピロキシ
 
 なんで訳わかんない英語表示なのかとか見たまんまの名前だとか突っ込みどころはあるものの、使えるのならばオレ達近接組にとってはまたとないアイテムものなのだ。
 もうふつーに打ち上げ花火でいーじゃんと思わないでもないが、仕様なのでどーしようもない。はぁ………。
 
 今回設置したアイテムは光属性の魔法がセットされている。
 アンデットにはやっぱこれっていうお約束のものだ。
 最初はホネネズにも効いた状態異常のやつにしようと思ったんだが、あれは設置した場所に乗らないと発動しないタイプものなので断念した。
 あるいは他に何か手があるのかもしれないが、今のオレのLvとスキルじゃ無理だと悟った次第だ。
 
 こうして設置したアイテムが次々と発動して魔法が上空へと放たれる。
 これでダメを受けて落下してくれればしめたもんだ。
 が、結果はあまりというか全く芳しくなかった。
 
『カカカッ?』
『カァカッカ?』
 
 煙が晴れた上空では何のダメも受けずに“何だ?”という感じで滞空している2体のスカルワイバーンの姿があった。
 
「あちゃあ~………失敗かぁ」
 
 装備と用意をしっかりしたとしても、それが必ずしも功を奏すとは限らない。
 もちろんある程度の情報から予測しうる事態には備えていても、こういう事はままある。
 
「ピロさん。どうします?」
 
 戻って来たフィアーナが眉を八の字にして聞いてくる。
 ほーんと、どうしよっかなっ。あとは手持ちの爆弾を投げ込むしか手がないかな。
 俺が鎧姿で考えあぐねていると、フィアーナが上空を指差して注意を促してくる。
 
「ぴ、ピロさんっ!また火を吐こうとしてますっ」
「ちっ、逃げ、らんねぇか。フィアーナ!俺の後ろに隠れろ!!」
「はいっ!」
 
 2体のスカルワイバーンがオレ達に向けてあぎとを開き、炎の弾を吐き出そうとしている姿が目に入る。
 フィアーナがさささとオレの後ろに退避し、オレは大盾タワーシールドを角度を少しずらようにしてスカルワイバーンへと立てかける。
 
『ガガッッ!』
『ガァガガッッ!』

▽スカルワイバーンA・Bの攻撃!
 
 ボバヘッと吐き出された2つの炎弾がオレ達へと襲い掛かる。
 オレ達はその衝撃に備えて、身を屈ませ前を防御に徹する。
 鎧の高さよりは低いがかなりの長さと、身体が隠れるほどの幅の大盾は、その左右が緩やかに歪曲している。
 あくまでこの大盾は正面から攻撃を阻むのではなく、逸らす往なすように使うことにしているのだ。
 よって上手く行けば、魔法なんかにもそんな芸当が出来たりする。
 だがあの破壊力をまざまざと見せつけた炎弾にこいつが通じるかは、甚だ疑問と不安があるのだが致し方ない。

 かぃんかぃん!ひゅ~~ドガガガガンッッ!!ドガァ――ンッッ!!

「?……?」
 
 けれどその覚悟はあっさりと肩透かしを受けてしまう。
 大盾と接触した炎弾は爆発もその威力を発揮することもなく、何とも微妙な音を立てて当たりそのまま弾かれて壁や天井にぶつかって轟音と衝撃波を撒き散らした。
 
「な、何だぁ?」
「はれぇ?……」
『カカカ………?』
『カァカカカ……?』
 
 思わず首を傾げてしまっても無理はないだろう。
 あれ程の炎弾をオレの盾が弾き返したのだから。
 ………いや、待てよ。まさか、本当にそんな事があるのか?
 ゲームの攻略法としては、あまりにもオーソドックスと言えるような方法だ。
 分かった時はなぁんでこんな事気づかんかったん!と思わず地団駄を踏みたくなるそんなものだ。
 
 とか。
 
 今は他に打開する手も見当たらない。
 であるなら、まずやってみる。実戦あるのみだ。
 でも、マジ怖ぃ~んですけど………。
 上空で右に左に飛び回リながら炎弾を吐いてくるスカルワイバーンを牽制しつつ、盾で右に左にいなしながら意を意を決する。
 
「よしっ!」
 
 声を上げて決意を促し事に備える。
 まぁ、奴らの放つ炎弾を待つだけなんだが………。
 正直めっちゃ怖い。
 考えてもみればいい。自分の頭より大きなバランスボール大の炎を纏ったものが、目の前にかなりの速さで向かって来るのだ。

 
▽スカルワイバーンA・Bの攻撃!

 平面フラットのゲームであるならある程度の冷静さと余裕をもってことに当たれると思うんだが、現実と同様の感覚をもってしまうと、それと同様に立ち向かうのはなかなかに厳しいとオレなんかは思う。
 だが、これは紛うことなきゲームなのだ。
 しょせんは仮想現実VRなのだ。本当の現実ではない。そうは思う。
 まぁ、要は慣れなんだろうけど、オレなんかは未だに慣れることが出来ないでいたりする。
 こればっかりは本人じぶんの感覚の問題なのでどうしようもない。(戦闘ばっかしてるでなし)
 
 それでもオレにとって今現在は仮想でも現実には違いないのだ。
 だがオレの恐れや思惑とは裏腹に、その行動はこうを奏する事となる。
 
「シールドバッシュ!」
 
 スカルワイバーンへと跳ね返るように角度を調整した盾に当たった炎弾は、それを放った自身へと向かいダメを与える。
 ガガァンと轟音と衝撃波がスカルワイバーンを襲う。
 
『カッカカカカカァ……!!』
『カァカカカカッッ……!!』
 
 よしっ!イケるっ!
 
「フィアーナ!あの炎弾を打ち返してくれるか?」
「いやいやいやっ!怖いですよっあれぇっっ!」
 
 だよなぁ~……。と言っても今のところ他に策がないしなぁ。
 
「ダメか?そうか無理かぁ………」
「う、うぅ~~ん……」
 
 その間もオレは盾を操って炎弾を跳ね返して奴等に返し放っている。そしてフィアーナはオレの背中に張り付いて悩んでいる。
 このままでも何とかなりそうではあるんだが、攻撃が増えればそれだけ楽にはなるのだ。
 
「うっおっ!やっべっ!フィアーナ!後ろに下がれっ!」
『カッカカカっ!!』
『カァーカカカカァッ!!』

▽スカルワイバーンAの攻撃!
▽スカルワイバーンBの攻撃!

 オレの炎弾返却攻撃に対応するように、左右に別々に移動して炎弾を吐き出してきた。壁に張り付いていれば防げたのだが、今オレ達がいるのは中央部分。
 右と左から放って来たその炎弾に対して、オレはフィアーナへと指示しながら、右の奴にはダメを覚悟するしかないと諦め左の奴に対応する。
 左の炎弾を弾いた後、躱せばいいのだと無理目な考えをしながらやってくる炎弾に備える。
 
 ボバヘッと吐かれた炎弾をオレは認識しながら前から来るそれを右へと逸らすように弾き、後ろの炎弾に対応しようと行動を起こそうとするが、やっぱり間に合いそうにない。
 この鎧ならと覚悟を決めるが、その前にフィアーナがオレの背後に立ってメイスを構え炎弾へとそれを振り抜く。
 
「で、にゃ~~~~あっっ!!」
 
 かぃんひゅ~~~ん、ドガガガガガンッッ!!
 
『カッカカカカカカァア――――アッッ!!』
 
 メイスで打ち返した炎弾は、見事にスカルワイバーンの胴体部分へと命中した。おおっ!ナイス!フィアーナ。
 そして衝撃波で壁へ激突し、さらにダメを負うスカルワイバーン。効く効くぅ。
 
「うおっ!目ぇつぶって振ったら当たりましたっ!」
 
 いやいやいや、目ぇつぶってたら危ないがな。そっちの方が怖ぇ~よ!
 と思わず突っ込みそうになったけど、ここじゃ音も熱も感じ取れる分ある意味タイミングは取りやすいのかもと思い直し、褒めるだけに留める。
 ダメ食らってもすぐ回復させりゃあいいんだ。よもや一撃死ワンパンデスはこんなとこじゃないだろうしな。

「よぉーくやった!フィアーナ。その調子で頼むぞっ!」
「はいっ!ピロさん。コツは掴みましたからっ!」
 
 え?一回だけで何ゆえその自信!?
 ………まぁ本人がそう言うんだったらいいや。うんうん。
 ようやく攻略のいとぐちを見出したオレ達は、しばらくの間この方法でスカルワイバーン達にダメを与えることが出来た。
 特に味をしめたフィアーナが縦横無尽の活躍を果たす。
 
「ぬおりゃあぁ~~~っ!とっりぃやぁあ~~~~ッッ!」
 
 かぃんかぃんひゅ~~ドガガガガンッと狙い過たず、2体のスカルワイバーンへとダメを蓄積させていった。しかも本当に目をつぶっていたりする。
 見てるこっちが怖ぇよ………。
 
 そしてある程度のダメが溜まったところで、スカルワイバーン達の攻撃がガラリと変化する。
 遠距離からの炎弾攻撃から近距離の攻撃へと。
 要は体当たりなんだが、この重量物だと骨でもそれなりの攻撃となる。
 
「おうわっ!ピロさん、あいつ等こっちに来ますよっ!」
 
 調子に乗って炎弾を弾き返していたフィアーナが慌ててオレの方へとやってくる。
 
「任せろ!フィアーナは後ろで待機な」
「はいっ!わっかりました!ピロさん!!」
 
 奴等の残りHPは1割もしくは3割といったところだろう。
 
 
▽スカルワイバーンA・Bの攻撃!
 
 つーかその大きさで同時攻撃って酷くねっ!?
 そう毒突きつつ大盾タワーシールドを横に倒して構え、その2体の体当たりをまともにガガガンと受ける。

『カカッカカカカッ!?』
『カァアカカカッッ!?』

 必殺の一撃を防がれて歯を鳴らすスカルワイバーン共。
 くっくっく。だてに盾戦士タンク何ぞやってねぇんだよ君ぃ。
 
「シールドバインドっ!!」
『カッ!!?』
『カァア!!?』
 
 オレがスキルを発動させると、スカルワイバーン達は身動きが取れずにさらに歯を打ち鳴らす。
 
「フィアーナっ!今の内に叩けるだけ叩けっ!タコ殴りだっっ!!」
「了~解ですっ!ピロさんっ!!うぉおりゃああぁ~~~~~~っっ!!」
 
 オレの大盾に接触したまま動けずにいるスカルワイバーンへ、フィアーナがメイスを叩き込んでいく。
 スキルが解除されるまでもうちょっと時間がある。
 さぁ!今までの鬱憤を晴らさせてもらうとしようか!

▽フィアーナの攻撃!
 
▽ピロの攻撃!
 
『カッカッカカカカァァア―――――ッッ………!!』
『カァアカカッカッカァ―――――ッッ………!!』
 
 バキボキバキッという打撃音とともにスカルワイバーンの断末魔がフロア内に響き渡っていった。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

我ら新興文明保護艦隊

ビーデシオン
SF
もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら? もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら? これは、実際にそんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているエージェントたちのお話。 ※表紙絵はひのたけきょー(@HinotakeDaYo)様より頂きました!

虚界生物図録

nekojita
SF
序論 1. 虚界生物 界は、生物学においてドメインに次いで2番目に高い分類階級である。古典的な生物学ではすべての生物が六界(動物界、植物界、菌界、原生生物界、古細菌界、細菌/真正細菌)に分類される。しかしこれらの「界」に当てはまらない生物も、我々の知覚の外縁でひそかに息づいている。彼らは既存の進化の法則や生態系に従わない。あるものは時間を歪め、あるものは空間を弄び、あるものは因果の流れすら変えてしまう。 こうした異質な生物群は、「界」による分類を受け付けない生物として「虚界生物」と名付けられた。 虚界生物の姿は、地球上の動植物に似ていることもあれば、夢の中の幻影のように変幻自在であることもある。彼らの生態は我々の理解を超越し、認識を変容させる。目撃者の証言には概して矛盾が多く、科学的手法による解析が困難な場合も少なくない。これらの生物は太古の伝承や神話、芸術作品、禁断の書物の中に断片的に記され、伝統的な科学的分析の対象とはされてこなかった。しかしながら各地での記録や報告を統合し、一定の体系に基づいて分析を行うことで、現代では虚界生物の特性をある程度明らかにすることが可能となってきた。 本図録は、こうした神秘的な存在に関する情報、観察、諸記録、諸仮説を可能な限り収集、整理することで、未知の領域へと踏み出すための道標となることを目的とする。 2. 研究の意義と目的 本図録は、初学者にも分かりやすく、虚界生物の不思議と謎をひも解くことを目的としている。それぞれの記録には、観察された異常現象や生態、目撃談、さらには学術的仮説までを網羅する。 各項は独立しており、前後の項目と直接の関連性はない。読者は必要な、あるいは興味のある項目だけを読むことができる。 いくつかの虚界生物は、人間社会に直接的、あるいは間接的に影響を及ぼしている。南極上空に黄金の巣を築いた帝天蜂は、巣の内部で異常に発達した知性と生産性を持つ群体を形成している。この巣の研究は人類の生産システムに革新をもたらす可能性がある。 カー・ゾン・コーに代表される、人間社会に密接に関与する虚界生物や、逆に復讐珊瑚のように、接触を避けるべき危険な存在も確認されている。 一方で、一部の虚界生物は時空や因果そのものを真っ向から撹乱する。逆行虫やテンノヒカリは、我々の時間概念に重大な示唆を与える。 これらの異常な生物を研究することは単にその生物への対処方法を確立するのみならず、諸々の根源的な問いに新たな視点を与える。本図録が、虚界生物の研究に携わる者、または未知の存在に興味を持つ者にとっての一助となることを願う。 ※※図や文章の一部はAIを用いて作成されている。 ※※すべての内容はフィクションであり、実在の生命、科学、人物、出来事、団体、書籍とは関係ありません。

処理中です...