のろい盾戦士とのろわれ剣士

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28.呪術師の杖の適格者

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 リミタイズダンジョンから魔法陣を抜けると、そこは大罪都市でした。
 
 あまりにもな出来事に、つい名作をパクってしまうほど俺は動揺していた。はぁ?ナニコレ、どうなってんのっ!?
 
「うおぉぉおっ!?びっくりっ!!」
「どぉわっ!?」
 
 困惑のさなか突然隣で大声を上げられて、こっちも思わず声を上げてしまう。
 
「ここって、大罪都市ですよねっ?何でここにいるんです?ダンジョンの出口じゃないんですか?」
「なんで?かな」
 
 それは俺の方こそが聞きたい事だ。
 
『どぉ~じゃ、仮主よ。我の力は』
 
 そうドヤ顔で呪術師の杖の化身はまっ平な胸を反らせる。
 
「これって、お前がやったんか?杖っ!」
 
 俺が化身の方を見て訊ねるも、何かが気に障ったらしくほっぺをぷぅと膨らませる。
 
『お前とか、杖とか言うではないっ!我はサタナキアじゃ、サタナキア様と呼ぶがよい!』
 
 そして化身は小鼻をふんと膨らませ、偉そうに言ってくる。はー………面倒臭ぇのと関わっちまった。
 
「それじゃ、さっちゃんですね?よろしくですっ!さっちゃん!!」
『さ、さっちゃん!?』
 
 威厳を込めて言ったであろう名前をフィアーナによってあっさりあだ名にされてしまい、本人は目を丸くして唖然とする。
 だがこの機会に便乗しなければこの後の展開が見えてくるので、それに倣って俺も声をかける。
 
「おう!よろしくな、さっちん!」
 
 とりあえず微妙に変えてみる。そしてニヤリ。兜を被っているので分からんとも思うけど。にひひ。
 
『ぐぬぬ、お主等ぁ………』
 
 優位性マウンティングなんてのは、受けた相手によってコロコロ変わる。
 どれだけ相手に対してイニシアチブを得るのかが分水嶺となる。(とオレは思っている)
 その辺りは経験がミソになってくるんだが、ただ相手が古兵ふるつわものでも、天然には敵わない時もあるんだろうな。今みたいに。
 
「さっちゃん、さっちゃん!あそこに美味しそうな屋台があるのです!行きましょうっ!!」
『へ?あ、うむっ!久々の食事じゃ。その言葉には頷かさざるを得ぬなっ!よかろう、行こうぞ!フィーとやら!』
「れっつらごーです!」
  
 フィアーナの呼びかけに2人して屋台へと突貫して行った。あれ?杖の化身あいつって、オレが仮主なんだからあんなに自由に動けるのっておかしくないか?
 
「…………」
 
 いや、言っても詮無いことだ。このゲームに於いてオレオ認識範囲外の事が起こってるって事なんだろうな。やれやれだ。
 屋台から戻って来て、串焼き肉をはぐはぐ頬ばってるにオレはこれからの行動指針を訊ねる。
 
「で?さっちん、オレ達はこれからどうすりゃいいんだ? お前を使えるPCプレイヤーを探すってことだけど、宛はあんのか?」
『はぐはぐ、そんなものはないっ!フィーリングじゃな』
 
 うっわ~~~っ、アバウトかつてきとーだ。
 それでも何かヒントを得ようと聞いてみる。
 
「なんか条件とか資格とかあるんだろ?」
「そうじゃの~、んぐんぐ。魔法が使えることがひとつ、杖術が使えることがひとつ、一番必要なのは闇属性を持っていることじゃな」
  
 食べ終えた串を惜しむようにねぶりながら、さっちんがそんな事を言ってくる。
 アバウトでもてきとーでもなかった。がっちがっちだな、おいっ!
 
 魔法が使えて。
 杖術が使える。これはまぁいい。
 だが、最後の闇属性とやらがよく分からん。
 
 とは言え、このかっこうでは身動きが取り難いので、装備を外さにゃならない。
 
「悪ぃんだが、ちょっと着替え―――」
「さっちん!今度はあそこへごーなのですっ!」
『うむっ!あれも旨そーなのじゃの。行くぞ~~~っっ!』
「れっつらごーです!」
 
 オレが声をかける前に奴等は別の屋台へとすっ飛んでって行ってしまった。
 仕方なく声を掛けるのをやめて、オレは路地へと入り人がいないことを確認してからそうびを外す。
 視点がかなり下がって都市の景色が広がって行く感じがして来る。
 はぁ~と安堵の息を吐きながら、肩をコキコキさせながら広場へと戻ると、フィアーナが両手にクレープみたいなのを持ってやって来た。
 
「あ、ピロさん着替えたんですね」
「まぁな、ここじゃ襲われる事もねぇし、何よりあれじゃ動きづれーからな」
『ほぅ、お主そんな中身じゃったんじゃな。ちんまいの』
 
 オメーに言われたくはねーわ。
 はぐはぐとクレープを食べるさっちんの姿は何とも可愛らしいものだが、アイテムが物を食べるという事についてどういう原理でとかシステムが成っているのかは謎である。
 多分、気にしたら負けって奴なんだろう、うん。
 いろいろ疑問や気になることはあるが、全部棚に上げて気にしない事にする。キニシナイヨ!

 話を戻して、改めて適格者について確認してみる。
 魔法や杖術はスキルを取得すれば問題ないんだが、闇属性というのが分からないのだ。
 そもそもオレ達PCプレイヤーには属性などというものはない。
 おそらく火とか水とから始まる魔法で上げられるものだと思うが、そんなもの見たことも聞いたこともない。
 あとは武器防具アイテム類についてるものだと思ってる。
 ちょい気になったので、自分のステータスを確認しておこうとメニューを出して見てみる事にする。
 
「ん。ないな、やっぱ」
 
 やっぱりそんな記述は一切見当たらない。
 さらにステータスを見てると、なぜかMPが残り3割にまで減っていた。
 
「なんだ?これ」
 
 オレはいつの間にMPを使ったろうかと、首を傾げてしまう。
 
「どうしたんですか?ピロさん。はぐはぐ」
 
 オレの訝しげな様子に気づいたフィアーナが、クレープをみつつ聞いてくる。これもデフォルトだな。
 
「ああ、使った覚えがないのに、MPが激減してるからおかしいなと思ってな」
『うむ!それなら我が使ったのじゃ。大罪都市に転移する為にな』
「は?はぁああっっ!?」
 
 こちらもクレープを喰みながら、さっちんがあっさりとオレの疑問に答えてきたものの、訳が分からずオレは声を上げてしまう。
 
『言うたであろう仮主よ。仮の主であると同時に借りの主ということじゃ。仮主のHPMPは我が使うことも出来るのじゃ』
「……………」
 
 なんじゃそりゃ!である。まぁ確かにこれだけの転移魔法ならば、それだけの大量のMP消費するんだろうと想像できるけど、ちょこっと多すぎじゃなかろうか。
 オレのMPは4桁に迫るほどの量なのだから。(生産やってるとかなりの頻度でMPは上がったりする)
 となると、そう頻繁に使えるもんでもない訳だ。となるとだ。
 
「なら他に使える魔法ってあるんだろう?」
 
 ステータスを見れば分かるが、あえて本人に訊ねる。
 
『いんや、ないな。アレだけがデフォルトで使えるのじゃ。ほかはLvを上げんと分からん。はぐ、ぬふ~』
 
 さっちんは満足そうにクレープを咀嚼しながら答えてくる。
 ちぃ、期待したのに肩すかしか。だけどデフォルトでこれなら、他のも推して知るべしか。使えねぇ………。

「とは言え時間も時間だし、オレはこれでログアウトおちるな。じゃあな、フィアーナ」
 
 なんやかんやと、もう23時を過ぎてしまっている。今日はこれまでだ。
 
「あ、あたしもログアウトします」
『うむ、なら我も戻るととするかの。ではの』
「おわっ!?なっ!」
 
 フィアーナがそう言うと、さっちんも続いて言いながらオレの胸へと足からズブズブと沈んでいった。
 最後に顔だけになった時、ニヤリと笑って消えていった。
 
「心臓に悪いわっ、ったくよ………」
「ピロさん、また明日です」
「おー、今日とおんなじ時間な」
「了解で~す」
 
 フィアーナが敬礼しながら消えて行った。はぁ~………何とも忙しない1日だった。
 オレもメニューを出してログアウトをする。
  
 
 
 

 翌日は相変わらず女子2人組にノートを強請られながら授業を受け、学校を終えた後はバイトをこなして家へと帰る。
 今日はコンビニ飯で、とくに何の用意もすること無くテレビを見ながらパクパクと食べていく。
 今回の新作弁当はいまいちだな。むむぅ。
 
 ニュースではとある王国の生活状況が流されてる。
 貧富の差が激しく、貴族と平民の間がきな臭くなってきているらしい。
 つーかここ、父さんの国じゃんか。昔小っちぇー時と小学生ん時、父さんに連れられて行った記憶はあるものの朧気なものだ。
 あの日の事を除いて。
 
 上に立つ人間は大変そうだなと、耳のピアスをいじりつつ食事を終える。
 今日は宿題が全くなかったので、VRルームで明日の予習をしてからログインす―――
 
「んん?どういう事だ?」
 
 ログイン出現指定カ所が増えていた。ギルドホームと大罪都市に。
 もちろん賑わっている方の大罪都市だ。
 基本ログアウトした地点でログインするものなんだが、別に登録してある場所ならばそこにログインできる。
 オレは大罪ダンジョン2カ所に行ってるが、登録はしてなかった。
 
 勝手に登録?そんなシステムがあったのか?いや、この前行った時にはなかったはずなんだが………。まぁ、考えても仕方がないか。
 昨日の続きということもある。てな訳で大罪都市からログインするとしよう。
 
 オレがログインすると、街特有の人のざわめきが聞こえ、広場の中の大きな噴水が目に入ってくる。
 さーて、フィアーナは来て――――
 
「どわっ?」
 
 メニューを出そうとすると、オレの胸からうぞぞとさっちんが頭からせり上がって来た。
 
『仮主よ!ようやく来よったか。我は腹ペコじゃ、なんか食わせ』
 
 開口一番そんな事をのたまって来た。
 しゃーねーなぁ~と俺はメニューを出して塩にぎりを3つさっちんへと渡す。うぬぅ………また作り溜めしねーと。在庫が心許なくなってきた。(主に誰かさんのせいで)
 
『ほっほ~う!ライスウィードの実じゃな。こうやって食わうのか。面白いの』
 
 そう言ってさっちんは塩にぎりをひとつ齧り付く。
 今度こそフィアーナを―――ー
 
「ピロさんっ!ピ~~ロ~~~さ~~んっ!!」
 
 が、どうやらあっちの方で見つけてくれたようだ。ドダダダという音が聞こえてくる勢いで、こっちにやって来る。
 
「ピロさんっ!大変ですっ!お金がなくて食べ物が買えませんっ!!どうすればいいんでしょっ!!」 

 こちらも開口一番、実に下らないことを言って来た。何なんだろうこの食いしん坊キャラ共は。
 多少呆れながらオレは答える。
 
「アイテム売ればいいんじゃね?それなりに金にはなるぞ」
「おおっ!その手がありましたかっ!あ、でも骨しか無いですけど………」
 
 ………そうだった。現在手持ちのドロップアイテムはゴブとスケルトンのドロップアイテムばっかりだった。
 たしかにそれほど高くは買ってもらえなさそうだが、質より量という話もある。
 となれば向かうのは、商店かもしくは討伐ギルドの買い取り所となる。
 だが、こう広いと場所が分からんから、一旦ここを出てあっちの大罪都市の討伐ギルドに行くか、あとは………。
 
「すいませ~~ん!モンスターの素材買ってくれるところって、どこにあるか分かりますか?」
 
 オレが沈思黙考してると、フィアーナが近くにいた緑髪の青年へ聞いていた。物怖じしねーな。ちっとだけ羨ましくもある。
 
「ああ、冒険者ギルドで買い取ってくれると思うよ。場所はこの東通りを先に行った所にある大きな建物だから、行けば分かると思うよ。じゃあね」
「ありがとうございました~」
 
 青年は顔を赤らめながら、フィア-ナの問いに答え去って行った。
 美少女に聞かれれば男は答えぬ訳にもいかないからな。ナイス!フィアーナ。
 
「ピロさん、こっちだそうです。行きますよ~」
 
 フィアーナが東通りとやらを指差して言って来たので、オレもそれに続こうしたところで考え直しそのまま路地へと向かう。
 
「そっちじゃないです、ピロさん」
「悪ぃ、ちょい鎧装備すっから待っててくれ」
「なんでです?」
「受け手の印象操作ってヤツだ。小っちぇのより、でっかい方が強そうだろ?」
「なる程~」
 
 オレが路地に向かおうとするとフィアーナが戻って来たので簡単に説明すると、納得の声を聞きながらオレは路地に入ってとっとと装備を変える。
 路地から出てフィアーナと一緒にそのまま東通りとやらを進んで行く。
 通りはかなり広く馬車の通る道と人の歩く道に分かれていて、人もそれなりに通行している。
 
『うむ、あるいは冒険者ギルドなら適格者がおるやも知れんな』
「冒険者ギルドにか?さっちん」
『あるいはじゃ………』
 
 塩にぎりを食べ終えたさっちんが、指をなめなめそんな事を言って来た。
 そんな簡単に行くもんだろうか。そっちの方は見つかればめっけもんだろ思うことにして、冒険者ギルドへ向けて歩いて行く。
 すでに先を行っていたフィアーナが立ち止まっていて、こっちに向かって手を振っていた。(鎧だと走れないからな)
 冒険者ギルドね。はてさて、いったいどうなる事やらだ。
 
 
 
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