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螺旋 4
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いつものようにバイト先の店長の長話に付き合わされようやく寮に辿り着いた海翔は少しかじかんだ手でカチャリと自転車の鍵をかける。夜の空気は冷たく静けさを包み、ぼんやりとした月明りの下で吐く息が白く漂った
今朝慌ただしく寮を出たせいで、夜はバイトだからと犬飼に伝えそびれたが、きっと察して自宅に戻ったに違いない
そう考えながら玄関の鍵を開けると、廊下の先にあるリビングから明かりが漏れているのが見えた
『超眠いから先に寝るね』
朋からのSNSを確認したのは閉店作業を終えた直後だ。という事は、リビングにいるのはサッカー部の誰かだな・・・
そう思いながらそっとリビングに入ると、練習着のままソファーで寝ている陸の姿が目に入った。恐らく起こそうと試みた誰かが諦めて掛けた毛布に包まって、気持ちよさそうに寝息を立てている。長めの髪を縛ったままだから、食事を終えてすぐ寝落ちしたに違いない
いくら毛布があるといっても、この寒さの中で寝ていたら風邪をひいてしまう
海翔は小さくため息をつくと、陸に歩み寄り乱暴に体を揺すった
「おい、陸、起きろよ。風邪ひくぞ」
「ううぅ・・・ん」
思っていたより早く眠りから覚めた陸がブルっと小さく震えながら目を開けると、海翔が胸元まで掛かっていた毛布を剥ぎ取り頭から被せて押さえつけクククッと悪戯に笑った
「なっ!?ちょっ・・・やめろよ馬鹿」
大袈裟に暴れながら海翔の腕を振りほどき毛布から顔を出した陸が、海翔の頭めがけて振りかざした腕をよけると、
「とっとと部屋で寝ろよ」と何事もなかったかのように背中を向けて階段へと歩いていく
「んだよ・・・あっ!海翔!」
「ん?なに」
「土産あんだよ。今部屋に持ってくから待ってて」
「りょーかい」
立ち上がって毛布を丁寧に畳む陸に手を上げて応えてから、戻った自室で制服を脱ぎベッドの上に脱ぎ捨てたままのトレーナーに着替えていると、トントンと小さくドアをノックして陸が入ってきた
「うっわ、この部屋寒くない?」
「あ、ごめん。まだ暖房つけてなかった」
机の上のリモコンを手にとり暖房ボタンを押す海翔を横目で見ながら、陸はベッドに座るとそのまま仰向けに寝転んで大きく伸びをする
「おまえっ、練習着のまま寝るなよ」
「おーわりぃわりぃ。もー眠くって」
「さっき寝てただろ」
「足りない足りない」
陸は笑い声を殺しながら起き上がると、着替え終わった海翔の前に小さな紙袋を差し出した
「ほらよ」
「おーサンキュ」
それを受け取り机の前の椅子に腰を下ろした海翔が、まじまじと陸の顔を見つめると、陸が薄ら笑いを浮かべて首を傾げた。土産を渡し終えたのにベッドの縁に座ったままの陸に、海翔が小さくため息をつく。
「なに」
「なにって・・・俺が聞きたいんだけど」
「は?」
「何か話があるんだろ?」
図星だった。
真っ直ぐ自分を見つめる海翔から思わず目を逸らし、頭を掻きながら「お前って怖い」と呟く陸に「早く話せよ」と海翔が促す
「あー・・・あんさ」
「うん」
「お前・・・朋と付き合ってるじゃん?」
「うん」
「それって・・・その・・・どんな感じ?」
「ん?何?」
困惑した顔を向ける海翔に陸はうーんと唸りながら腕組みをする。カクカクと小刻みに動く陸の足元に目をやりながら次の言葉を待っていると、足の動きを止めた陸が膝にぱんっと両手を置いて意を決したように口を開いた
「ずばり聞くけど」
「どうぞ」
「男を好きになるって、どんな気持ち?」
あー、そういう話ね
そう納得し、手にした紙袋を指先でカサカサ音を立てて玩びながら海翔は小さくため息をつきながら顔をあげる
「まず、さ」
「うん」
「朋が男だから好きになった訳じゃない」
「うん・・・それは分かる」
まるで、何かの授業を聞いているような真剣な顔で陸が頷く
「初めて会った瞬間惚れた。そんで、今に至る」
「・・・終わり?」
「うん、以上」
「そっかー・・・」
陸はそう言いながら大きく伸びをしてまた勢いよくベッドに仰向けになった
「何でそんな事聞きたいんだよ」
当然の海翔の質問に陸が自嘲的な笑みを浮かべ天井を見つめたまま静かに口を開く
「俺さ・・・遠征いってる間、ずっと考えてたんだよね」
「何を?」
「ん・・・・?犬飼さんの事」
思わぬ名前に、海翔がえ?っと顔を上げる。そんな海翔の反応を気にも止めない様子で陸は話を続けた
「もうさ、会いたくて仕方ないんだよ。そりゃ、練習や試合は頭を無理やり空にしてやったけどさ。ほんと、もう犬飼さんの顔ばっか思い浮かべてた」
「あぁ・・・」
それは海翔にも身に覚えがある。それを単純に恋だと言ってしまっても、何ら間違いではないだろう
だけど・・・
「陸、帰ってきて犬飼さんに会った時、どう思った?」
「んー?・・・そうだなぁ、まぁ、そりゃ嬉しかった」
「そうか・・・」
手元を見つめて一瞬黙り込んでから、海翔は懐かしい日を思い出すように目を細める
「俺はさ・・・」
「うん」
「俺は朋とやっと会えた時、抱きたいと思った」
「・・・・」
「朋を抱きしめて自分だけのものにしたいって思った」
「そっか・・・・」
ため息のような声でそう言った後ぼんやりと天井を見つめ続ける陸をチラリと見て、海翔は何だか陸を傷つけてしまったような気がして取り繕うように明るい声を出した
「まぁ、好きっていう形は人それぞれだし・・・正解とかないから」
「まぁ・・・そうだよな」
「いいんじゃない?気になるなら気にすれば」
大真面目な声色で言った海翔の言葉に、陸は思わず吹き出しながら体を起こす
「なんだそれ」
「なんか・・・うまく言えてないな、ごめん」
照れたように笑う海翔につられて、陸も照れくさそうに頭を掻くと
「いいんだよ。否定されなかったっていうのが嬉しい」と、正直な気持ちを海翔に伝えて立ち上がり、いつまでも海翔が手の中で弄んでいる紙袋を指差した
「あ、それ、開けてみてよ」
促された海翔が丁寧に袋を開けて中身を取り出すと、シャランと涼しげな音を立てて、2本のシルバーネックレスが出てきた。ネックレスにはそれぞれ、シルバーのリングが通されている
「なぁ、そのリングの裏側見てみ?」
「ん?・・・・あ・・・」
言われるままに、リングの裏側を見た海翔が小さく声をあげた
それぞれに、海翔と朋の名前が刻印されている
「何かさ、あ、お前らこれ喜ぶだろうな、と思って」
何も言わずじっと掌の上のネックレスを見つめる海翔に、陸が言い訳のように話し続ける
「ほら、夕べ朋とは晩飯食ったからさ、別々に渡してもよかったんだけど・・・何ていうか、こーゆーのはお前が朋に渡した方が喜ぶんじゃないかなぁ・・・とか・・余計なお世話なんだけど・・」
言葉を濁すように、最後は独り言のような声であらぬ方向を見て話す陸に、海翔はプッと吹き出した
「んだよ、いらねーなら返せ」
乱暴に伸ばした陸の手を避けて海翔が立ち上る
「いや、ごめん。嬉しい。マジで嬉しいから、ほんとに」
しつこくネックレスを取り返そうとする陸の動きを器用によけながら、海翔はネックレスを握った手を陸の鼻先に突き出し、陸の動きを止めた
「ありがとう」
「お・・・おう・・」
急に真顔で見つめれられた陸がはにかんだ笑顔を見せて頷き、んじゃ風呂入って寝るわーと大きなあくびをして髪をほどきながら部屋のドアを開けると、海翔が慌ててその背中に小さく声を掛けた
「陸」
「んー?」
「何か・・・役に立てなくてごめん」
「なんだよ。聞いてくれて助かった」
「そうか?」
「おー!じゃーな!おやすみぃ」
振り返った陸の嘘のない笑顔にホッとしながら、海翔は「おやすみ」と小さく応えると手の中のネックレスをギュッと握り締めた
本当は「好き」に違いなどない。陸が犬飼の事を好きだと言うのなら、そうなのだろう
朋の存在が与えてくれるものは計り知れない。友人として、陸が同じ幸せを手に入れるのであれば、それは喜ばしい事だ
でも・・・
「まぁ・・・辛いからやめとけ、なんて言えないよな」
海翔は溜息交じりにそう呟くと、跡が付くほど強く握り締めていたネックレスを机の上に置いた
今朝慌ただしく寮を出たせいで、夜はバイトだからと犬飼に伝えそびれたが、きっと察して自宅に戻ったに違いない
そう考えながら玄関の鍵を開けると、廊下の先にあるリビングから明かりが漏れているのが見えた
『超眠いから先に寝るね』
朋からのSNSを確認したのは閉店作業を終えた直後だ。という事は、リビングにいるのはサッカー部の誰かだな・・・
そう思いながらそっとリビングに入ると、練習着のままソファーで寝ている陸の姿が目に入った。恐らく起こそうと試みた誰かが諦めて掛けた毛布に包まって、気持ちよさそうに寝息を立てている。長めの髪を縛ったままだから、食事を終えてすぐ寝落ちしたに違いない
いくら毛布があるといっても、この寒さの中で寝ていたら風邪をひいてしまう
海翔は小さくため息をつくと、陸に歩み寄り乱暴に体を揺すった
「おい、陸、起きろよ。風邪ひくぞ」
「ううぅ・・・ん」
思っていたより早く眠りから覚めた陸がブルっと小さく震えながら目を開けると、海翔が胸元まで掛かっていた毛布を剥ぎ取り頭から被せて押さえつけクククッと悪戯に笑った
「なっ!?ちょっ・・・やめろよ馬鹿」
大袈裟に暴れながら海翔の腕を振りほどき毛布から顔を出した陸が、海翔の頭めがけて振りかざした腕をよけると、
「とっとと部屋で寝ろよ」と何事もなかったかのように背中を向けて階段へと歩いていく
「んだよ・・・あっ!海翔!」
「ん?なに」
「土産あんだよ。今部屋に持ってくから待ってて」
「りょーかい」
立ち上がって毛布を丁寧に畳む陸に手を上げて応えてから、戻った自室で制服を脱ぎベッドの上に脱ぎ捨てたままのトレーナーに着替えていると、トントンと小さくドアをノックして陸が入ってきた
「うっわ、この部屋寒くない?」
「あ、ごめん。まだ暖房つけてなかった」
机の上のリモコンを手にとり暖房ボタンを押す海翔を横目で見ながら、陸はベッドに座るとそのまま仰向けに寝転んで大きく伸びをする
「おまえっ、練習着のまま寝るなよ」
「おーわりぃわりぃ。もー眠くって」
「さっき寝てただろ」
「足りない足りない」
陸は笑い声を殺しながら起き上がると、着替え終わった海翔の前に小さな紙袋を差し出した
「ほらよ」
「おーサンキュ」
それを受け取り机の前の椅子に腰を下ろした海翔が、まじまじと陸の顔を見つめると、陸が薄ら笑いを浮かべて首を傾げた。土産を渡し終えたのにベッドの縁に座ったままの陸に、海翔が小さくため息をつく。
「なに」
「なにって・・・俺が聞きたいんだけど」
「は?」
「何か話があるんだろ?」
図星だった。
真っ直ぐ自分を見つめる海翔から思わず目を逸らし、頭を掻きながら「お前って怖い」と呟く陸に「早く話せよ」と海翔が促す
「あー・・・あんさ」
「うん」
「お前・・・朋と付き合ってるじゃん?」
「うん」
「それって・・・その・・・どんな感じ?」
「ん?何?」
困惑した顔を向ける海翔に陸はうーんと唸りながら腕組みをする。カクカクと小刻みに動く陸の足元に目をやりながら次の言葉を待っていると、足の動きを止めた陸が膝にぱんっと両手を置いて意を決したように口を開いた
「ずばり聞くけど」
「どうぞ」
「男を好きになるって、どんな気持ち?」
あー、そういう話ね
そう納得し、手にした紙袋を指先でカサカサ音を立てて玩びながら海翔は小さくため息をつきながら顔をあげる
「まず、さ」
「うん」
「朋が男だから好きになった訳じゃない」
「うん・・・それは分かる」
まるで、何かの授業を聞いているような真剣な顔で陸が頷く
「初めて会った瞬間惚れた。そんで、今に至る」
「・・・終わり?」
「うん、以上」
「そっかー・・・」
陸はそう言いながら大きく伸びをしてまた勢いよくベッドに仰向けになった
「何でそんな事聞きたいんだよ」
当然の海翔の質問に陸が自嘲的な笑みを浮かべ天井を見つめたまま静かに口を開く
「俺さ・・・遠征いってる間、ずっと考えてたんだよね」
「何を?」
「ん・・・・?犬飼さんの事」
思わぬ名前に、海翔がえ?っと顔を上げる。そんな海翔の反応を気にも止めない様子で陸は話を続けた
「もうさ、会いたくて仕方ないんだよ。そりゃ、練習や試合は頭を無理やり空にしてやったけどさ。ほんと、もう犬飼さんの顔ばっか思い浮かべてた」
「あぁ・・・」
それは海翔にも身に覚えがある。それを単純に恋だと言ってしまっても、何ら間違いではないだろう
だけど・・・
「陸、帰ってきて犬飼さんに会った時、どう思った?」
「んー?・・・そうだなぁ、まぁ、そりゃ嬉しかった」
「そうか・・・」
手元を見つめて一瞬黙り込んでから、海翔は懐かしい日を思い出すように目を細める
「俺はさ・・・」
「うん」
「俺は朋とやっと会えた時、抱きたいと思った」
「・・・・」
「朋を抱きしめて自分だけのものにしたいって思った」
「そっか・・・・」
ため息のような声でそう言った後ぼんやりと天井を見つめ続ける陸をチラリと見て、海翔は何だか陸を傷つけてしまったような気がして取り繕うように明るい声を出した
「まぁ、好きっていう形は人それぞれだし・・・正解とかないから」
「まぁ・・・そうだよな」
「いいんじゃない?気になるなら気にすれば」
大真面目な声色で言った海翔の言葉に、陸は思わず吹き出しながら体を起こす
「なんだそれ」
「なんか・・・うまく言えてないな、ごめん」
照れたように笑う海翔につられて、陸も照れくさそうに頭を掻くと
「いいんだよ。否定されなかったっていうのが嬉しい」と、正直な気持ちを海翔に伝えて立ち上がり、いつまでも海翔が手の中で弄んでいる紙袋を指差した
「あ、それ、開けてみてよ」
促された海翔が丁寧に袋を開けて中身を取り出すと、シャランと涼しげな音を立てて、2本のシルバーネックレスが出てきた。ネックレスにはそれぞれ、シルバーのリングが通されている
「なぁ、そのリングの裏側見てみ?」
「ん?・・・・あ・・・」
言われるままに、リングの裏側を見た海翔が小さく声をあげた
それぞれに、海翔と朋の名前が刻印されている
「何かさ、あ、お前らこれ喜ぶだろうな、と思って」
何も言わずじっと掌の上のネックレスを見つめる海翔に、陸が言い訳のように話し続ける
「ほら、夕べ朋とは晩飯食ったからさ、別々に渡してもよかったんだけど・・・何ていうか、こーゆーのはお前が朋に渡した方が喜ぶんじゃないかなぁ・・・とか・・余計なお世話なんだけど・・」
言葉を濁すように、最後は独り言のような声であらぬ方向を見て話す陸に、海翔はプッと吹き出した
「んだよ、いらねーなら返せ」
乱暴に伸ばした陸の手を避けて海翔が立ち上る
「いや、ごめん。嬉しい。マジで嬉しいから、ほんとに」
しつこくネックレスを取り返そうとする陸の動きを器用によけながら、海翔はネックレスを握った手を陸の鼻先に突き出し、陸の動きを止めた
「ありがとう」
「お・・・おう・・」
急に真顔で見つめれられた陸がはにかんだ笑顔を見せて頷き、んじゃ風呂入って寝るわーと大きなあくびをして髪をほどきながら部屋のドアを開けると、海翔が慌ててその背中に小さく声を掛けた
「陸」
「んー?」
「何か・・・役に立てなくてごめん」
「なんだよ。聞いてくれて助かった」
「そうか?」
「おー!じゃーな!おやすみぃ」
振り返った陸の嘘のない笑顔にホッとしながら、海翔は「おやすみ」と小さく応えると手の中のネックレスをギュッと握り締めた
本当は「好き」に違いなどない。陸が犬飼の事を好きだと言うのなら、そうなのだろう
朋の存在が与えてくれるものは計り知れない。友人として、陸が同じ幸せを手に入れるのであれば、それは喜ばしい事だ
でも・・・
「まぁ・・・辛いからやめとけ、なんて言えないよな」
海翔は溜息交じりにそう呟くと、跡が付くほど強く握り締めていたネックレスを机の上に置いた
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