『お墓』

篠崎俊樹

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『お墓』

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 俺は、福岡県某所の田舎町で、新聞店に勤めていて、夜起きて、食事を取ってから、家を出、電動自転車に乗って、新聞店に行く。いつも、闇夜の中、新聞配達の仕事を頑張っているのだ。俺自身、かなり疲れていて、長年、隣町の精神科に通っているものだから、薬なども飲んでいるし、夜も、睡眠導入剤を服用して、寝付く。はっきり言って、地獄という状態も、過去にはあった。今はない。今は、いい薬が出ているし、飲み間違いなどがなければ、大抵、大丈夫だ。
 俺の新聞配達コースに、お墓がある。夜行くと、闇に光っていて、不気味で、はっきり言って、嫌な存在だ。俺は、そのお墓を横目に見ながら、通り過ぎる。それが一番いい対処法だと思えるからだ。俺自身、気は楽じゃない。はっきり言って、配達は間違えれば、所長からは怒鳴られるし、油断できない。俺は、必死で、配達する。間違えれば、電動自転車を引き戻してから、確認して、また、配達し直す。
 俺は、統合失調症の症状があるのだけれど、今のところ、いい薬で、寛解していて、何ともない。また、夜も、というか、昼間から、睡眠導入剤を服用して、寝付く。疲れているときは、遠慮なしに寝てしまう。それで、いいと思う。俺は元々、幾分、頑張り過ぎで、夜も早く寝たいし、俺の家に来る訪問看護の看護師が、薬を届けてくれるので、楽な感じだ。もう、幻聴等も聴こえないし、安心して、配達業務に勤しめる。
 まあ、俺にとって、昼間でも、寝る前に服用する睡眠導入剤が、キーポイントで、寝付けば、すぐに、布団に突っ伏して、あとは記憶がない。先ほど話に出たお墓なのだけれど、夜行くと、気味が悪くて、俺もなるだけ素早く通り過ぎて、大きく時間は割かない。俺にとって、できることは、新聞店の仕事を必死で頑張ることだ。俺が、死者の眠る墓などを、具に見る時間はない。
 俺のことも書いたし、お墓のことも、仕事のことも書いた。この短編小説は、ホラーなのだけれど、ここら辺りで結稿して、結びとしたいと思う。また、類似の話を思い付けば、書いてみたい。心から、そう思っている。最後に付言しておくと、俺は、今夜も、つまり、二月下旬の、こんなに冷える夜も、普通に、電動自転車に乗って、新聞店に出勤して、自宅に帰れば、睡眠導入剤を服用してから、お風呂に入り、寝るのだ。それは、俺の生活パターンでもあって、譲れない代物だった。もちろん、電動自転車を漕ぐのだから、安全には十分気を付けて、行くつもりでいる。ということで、最後が長くなったけど、小説を結稿させて、この原稿は、某小説の賞に公募するために、サイトにアップする。俺の思い、つまり、夜のお墓を通る時の恐怖感が少しでも伝われば、幸いであって、それ以上は望まない。
                             (了)
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