『朝倉の刑事』

篠崎俊樹

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朝倉の刑事

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 二〇二二年九月中旬、福岡県朝倉市の裏道の一角で、事件が起こった。被害者は、無残にも、後頭部を殴られて、失血死し、福岡県警朝倉署の刑事が輪状して、捜査に当たった。いわゆる、殺人事件捜査というやつだ。朝倉署刑事課の犬塚と大山が捜査に行き、犯人を特定し始めた。現場に残っていたのは、犯人の血痕と、被害者のそれだった。犬塚が血液に試薬を当てると、ルミノール反応が出て、被疑者が市内在住の男だと判明した。
「そろそろ、この男のもとへと行くぞ」
 犬塚がそう言って、乗ってきていた覆面パトカーに向けて、歩き出す。犯人は、川添信一という男だった。市内在住で、被害者の吉村恭二さんを殺害し、死体を遺棄した人間だ。大山が頷き、
「犬塚さん、見当は付いてるのか?」
 と訊くと、犬塚が、
「ああ。俺は、このルミノール反応を信じるな。朝倉の刑事を舐めるんじゃねえぞ!」
 と言って、パトカーの運転席に滑り込み、ハンドルを切って、運転し始めた。事件捜査は開始された。刑事たちにとって、正念場であって、必死になる。現場は、血の海だった。一大事だ。犬塚と大山は、川添から事情を聴くために、川添宅へと向かった。実際、現場は、酷い有様だった。これは、殺人事件として、看過できない。二人の刑事はそう思い、犯人と目される川添宅へと急行した。ルミノール反応は、確実だ。ホシは、川添だと目される。試薬は、ちゃんと手元に取れていた。これで、犯人逮捕は間違いないと思われたし、実際、目前まで来ている。警察にとって、捜査は一大事だ。犬塚も、大山も、強い気持ちでいた。警察を舐めるなよ、と。実際、朝倉が、過去に、刑事事件の舞台になったことだって、あった。何度だって。しかも、今回、被害者の吉村さんは、無残な惨殺体となって発見された。川添が犯人であり、逮捕して、事情を聴き、送検するのまでが、警察の仕事だ。まだ、川添宅には着かないが、朝倉市の山後というところに、自宅があって、川添は潜んでいるものと思われる。もうじき、犯人逮捕だ。これで、事件は大団円になるものと考えられた。
 この小説は、短編小説だが、作者は、朝倉市に在住する者として、実際に、日々、朝倉市内を見、感じている人間であって、この話も、実体験を半ば交えて、書いたものだ。この後、犯人と目される川添は逮捕され、犬塚と大山が朝倉署に連行し、取調べが行われる手筈だが、また、朝倉市を舞台にした刑事事件小説を、作者は書くつもりでいる。また、機会があれば、お目に掛かりたい。普段、作者は、ネット小説を書く者として、朝倉市内に在住し、日々、作家としての研鑽を積む、一青年だ。このあたりで、この短編小説を結びたいと思っている。もちろん、この後、警察の取調べが朝倉署内で敢行されたことは、論を待たない。
                            (了)
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