『鉄の半生』

篠崎俊樹

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『鉄の半生』

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 俺は、佐賀県の温泉町に生まれた。ちょうど、町の中核に温泉が湧く場所があって、祖母に連れられて、よく温泉に入りに行ったものだ。それは、ちょうど、三歳ぐらいの時で、俺はまだ小さかった。祖母は俺をかわいがった。目に入れても痛くないぐらいに。そして、祖母の一番下の娘である母も、俺をかわいがってくれた。俺自身、祖母と母、それに、当時、温泉町にあった母の実家に同居していた伯父夫婦、そして、いとこたちに囲まれて、その町で、四歳ぐらいまで育った。今いる福岡県朝倉市に引っ越してきたのは、ちょうど、幼稚園に入る時で、俺は、小さい学帽をかぶって、幼稚園生用の制服を着て、入園式に行き、園の前で、桜が舞い散る四月の上旬、写真を撮ってもらった。撮ったのは、ちょうど、入園式に来ていた、近所の知らないおじさんで、俺はうれしかった。そして、俺は毎日、幼稚園に歩いて通い、無事卒園してから、地元の公立小学校に入った。
 だが、その頃から、俺にある異変が生じた。俺が、教室にいると、周りの生徒が変な目で見るようになったのだ。おかしいと思った。何でだろう?と思った。何か異常があるのか?俺がおかしいのか?周りが変なのか?よく分からなかった。ただ、言えるのは、俺の精神が、どうやら、おかしかったということだ。それは後で分かった。俺は、そのことに、中学校入学まで気付かなかった。
 俺にとって、修羅場は、中学校入学と同時に始まった。福岡県久留米市にある学習塾に、二年間通い、家庭教師の先生まで付けてもらって、受験勉強をし、中学受験をして、他県の中古一貫校に入った俺は、勉強がずば抜けてできた。成績は元々優秀で、誰にも負けなかった。受験シーズンに悪い風邪を引いて、第一志望の私立中学校の受験には失敗したが、元々、勉強ができていたので、何とか、進学先は確保できた。進学した学校では、成績優秀で、全校生徒の前で、表彰されたこともあった。運動は音痴だったが、後はできた。俺は、中学校三年間までは、超優等生で通っていて、周りからも一目置かれていた。
 高校は、エスカレーターで入った。一貫校なので、受験はなかった。ただ、俺にとって、難しい事態は、高校に入ってから、顕在化した。周りとの齟齬が酷くなってきたのだ。精神的に参り始めた。そして、高校二年の時に、東京都内にある精神科の病院の外来に罹って、専門医に診てもらった。その医師は、俺の病名を、統合失調症と付けた。精神の病だ。しかも、深刻な類の。当時、処方された精神安定剤は、質が悪く、服用直後、極度に喉が渇いた。俺は、地獄を味わい始めた。これは、生き地獄だった。生き地獄の始まりだった。そして、時を前後して、同居している父親との距離感が出来始めた。何というか、父親は、統合失調症の子供の親にありがちな毒親で、俺は露骨に嫌になり始めた。乱暴で、昔気質で、経営していた会社まで、多額の赤字を計上して、挙句倒産させ、建てていた工場は畳み、残らず取り壊してしまって、跡地は更地にして、工場の取り壊し費用等で作った借金2000万円は、全額、実の弟である叔父に弁済させた。
 俺が、父親を嫌になり始めたのは、ちょうどその頃からで、距離感、いわゆる、ディスタンスが徐々に出来てきつつあった。そして、父親は、年を経るごとに、その暴力的衝動と、感情の荒廃が始まってきて、夜は必ず、浴びるほど、酒を飲み、そのうち、いさめても、暴れ出すようになって、にっちもさっちもいかなくなった。正直な、俺の告白だ。そして、父親が荒れるにつれるのに反比例して、俺は、高校を何とか卒業し、自宅で、パソコンを使って、小説を書くようになった。作家という大げさなものじゃないにしても、真似事だ。それは、父親や親戚縁者には、到底、理解できないことだった。俺が二階の自室で、小説を書いていることを、誰も知らない。俺は、最低以下の生活をしながら、ずっと、与えられたパソコンで、原稿を書いては、ネット上の創作サイトにアップして、集客していた。それが、ちょうど、三年ほど続いた。
 俺の次の転機は、大学入学だ。受験のため、予備校にも行ったが、短期間で辞めて、すぐに、宅浪し始めた。自分で参考書や問題集、赤本を買ってきて、受験勉強を続行した。高校まで、進学校にいて、学力の貯金がだいぶあったので、4ヶ月弱ほどの勉強で、地元の私立大学に合格でき、無事入学した。専攻は歴史学で、ゼミにも一年時から通った。そして、福岡市内のワンルームアパートに入居し、学生生活を送り始めた。
 だが、いざ入学してみて、俺ははっきり言って、大学の講義というものが嫌いになった。入学してすぐに、学部の教授たちに、味噌を付けられたのだ。それがあだになり、大学に入って、科目登録をしても、キャンパスには、ろくに行かずに、学部の友達と、文学や小説、創作の勉強会をするようになった。たまには、近くの飲み屋で飲んだ。それが楽しかった。アルコールにはめっぽう弱かったが、俺は、たまに、アパートの近くの飲み屋や居酒屋に行って、ビールなどを飲んで、酔っぱらってから、帰ってきて、朝方、寝たりした。当然、大学の講義など、全くおろそかになる。授業出席率が、40%も行ってなかった。当然、担当教官たちは、俺をにらみ始めた。「お前なんか、来なくていい」と、公然と言い放つようになった。俺は、大学とはますます、疎遠になった。
 そして、三年半後、俺は、父親から、大学を辞めろ、と言われた。除籍扱いでいいだろうと、恫喝され、恐喝まがいのことまで言われて、半ば脅され、無理やり、退学届を出させられた。俺にとって、そう不本意でもなかったが、俺は、大学中退という、最低の身分になって、実家に戻ってきた。俺にとって、鉄の半生は、この辺りから徐々に始まってきた。でも、よかった。俺は、学部教育も嫌いだったし、キャンパスに、そう未練もなかったのだ。そして、俺は、実家に戻って、父親に内緒で、小説の原稿を書くことに精を出し始めた。
 次の転機は、著作の出版と、事実婚の妻との出会いだった。東京都内の出版社から、著作を自費出版で一作出し、書籍の営業等にも、かなり回った。きついこと、この上なかったが、初版1000部は、売り切れなかった。担当編集者からも、俺の書いた原稿は滅茶苦茶に改ざんされ、不本意な形で世に出された。田舎の自費出版の物書きの作品など、書店に行っても、ろくに陳列すらされない。400万円を自費出版の費用として、ぼったくられ、対価は、原稿料2万円ぽっきり。俺は、当然、生活に困って、地元朝倉市のスーパーに、レジ打ちのバイトに行った。賃金は最低で、パートだったから、月給も17万円程度。俺は困って、通っている精神科のドクターに相談し、病院のソーシャルワーカーにも頼み込んで、障害年金を申請して、通り、受給し始めた。その頃から、精神安定剤もよくなり、睡眠導入剤もいいものを処方してもらって、何とか、外の雑音なども気にならずに、過ごせるようになった。寛解というやつだ。そして、俺は、もう一つ、ビッグなことに遭遇した。近くに住む、20歳年上の女性と出会って、めでたく、結婚したのだ。事実婚だった。妻には、前夫との間に、子供が二人いて、息子と娘だった。息子はかわいそうに、妻が学費を出せなかったので、高校まで出してもらって、慣れない建設会社で、きつい営業の仕事をさせられていた。俺は、息子がかわいそうで、しょうがなかった。お前みたいな賢い奴が、何で高卒で、そんな仕事をしないといけないのか?息子の会社の上司は、息子のことを、虫けら同然に扱ったようで、俺は腹立たしかった。そいつらをいっそのこと、刺し殺してやりたいと、心底思った。それに、俺は息子に酒を買ってやりたかった。確か、鹿児島産の森伊蔵を飲みたい、と言っていた。遅くまで仕事をさせられて、夜帰ってきて、安酒を飲んで、寝てから、明け方、また、勤め先に行く息子に、俺は、美味い酒を買ってやりたい、と思った。
 また、娘は、子供を出産する際に、突発性難聴に罹って、左耳が聴こえ辛くなった。障碍者手帳を取得していて、不憫でしょうがない。何で、こんなことになったのか、と思った。俺は自分の健常な耳が、仮に、娘の左耳に移植でもできるなら、移植してやりたいとすら思った。また、娘は、DVDが好きで、中国や韓国の王朝物を好んで見るようだった。娘にも、飽きるほど、ⅮVⅮを買ってやりたい。俺は、妻と出会って、娘とも、知り合ってから、そう思うようになった。
 娘は、地元の短大を出て、保育士の資格を取って、朝倉市内の保育園に勤務し、その聴こえ辛い左耳で、子供たちに誤解されながらも、頑張って、お給料を稼いで、妻の郵便局の口座に、毎月入れた。関心な子だ。俺は、娘がかわいくてしょうがなかった。息子は生意気なのだが、娘は大人しい。この子たちのためなら、死んだっていいと思っていた。命だって、投げ出しても、構わないと思った。それぐらい、妻の家との関係性を重要視し始めたのだ。
 妻は、朝倉市から、車で50分ほど行った、別の町にある縫製工場で働いていた。地元の公立中学校を出た後、学費の安い洋裁学校に行って、苦労して、洋裁の技術を身に付けて、今、縫製工場で、自動車のシートを縫う仕事をしている。当然、貧乏で、家はボロ家だ。不憫だと思った。何で、こんなに苦労して、寄り添って生きてきた家族が、ボロ家に住まわされ、最低の生活をさせられないといけないのか?心底、そう思っていた。そして、俺は決意したのだ。いつか、本職の作家になって、筆一本で立って、原稿料などをいただいて、妻たちに金を上げようと。それが、俺の決意であり、揺るがぬ信念となった。
 俺は、20代後半から、猛烈に小説の新人賞に公募し始めた。ダメもとで。徒手空拳で。引っかからなくてもいい。嫌われても、睨まれてもいい。佳作入選でも取れれば、めっけものだ。俺の自費出版は大失敗で、紛れもない災難だったが、この頃から、俺は乗ってきた。書けると思うようになった。実際、俺は、思っている以上に原稿が書けて、ジャンジャン、送るようになった。それが、俺にとって、唯一できることだった。失敗した過去を取り返したいと思うようになった。
 幸い、統合失調症というのは、文筆に向いているらしい。俺は、自分が、湧いて出るように、作品が書けて、どんどん公募していくようになった。俺にとって、もはや、迷いはなかった。パソコンさえあれば、いくらでも、原稿が書ける。そう思うと、俄然面白くなった。俺は、涙もろく、妻たちの一家のことを思って、泣く日も多々あったが、結局、誰も助けてくれないと分かっていたので、必死で書き続けた。
 俺にとって、転機というのは、次々に訪れたものだ。俺の創作活動が、快進撃とまでは行かなくとも、順調に続くようになって、父親に認知症の症状が訪れ始めた。執筆の傍ら、ネットで調べてみると、どうやら、レビー小体型認知症のようだった。妄想が現れ、幻覚や幻視、幻聴、その他、入浴も掃除も出来なくなり、食事もろくに取れなくなって、最後は突然死が待っているという、恐ろしい病気だ。血糖値も、尿酸値も、コレステロール値も、検査数値は全部悪い。これが、俺にとっては、好敵手だと思えた。長年、俺を苦しめてきた毒親が、ものの見事に、自滅してくれるのだ。これほど、うれしいことはなかった。ある意味、俺にとっては、勿怪の幸い。また、これほどの蜜の味はなかった。そう思えた。妻の家が細々とながらも、ちゃんと続いて、繁栄していくのに対し、父親は、ボールが急坂を転げ落ちていくように、真っ逆さまに落ちていく。これが、レビー小体型認知症の慣れの果てだ。いい気味だと思った。人の不幸は蜜の味。言ってはいけない言葉かもしれないが、俺にとって、長年、俺を言いようもなく苦しめてきた毒親が、自滅、引いては、破滅してくれ、最後は狂い死んでくれることは、俺にとって、痛快事以外の何物でもなかった。
 レビー小体型認知症?みっともねえ。俺はそう思った。体は臭いし、汚いし、不潔で、皆から、毛虫か、ダニのように嫌われる。いい気味だ。こんな腐ったジジイ、どうにでもなれ、と思った。俺にとって、毒親は毒親だ。それ以外の何者でもない。毎晩、茶の間を占領して、夜は、浴びるほど、酒を飲み、夜は10時間以上寝る。廃人そのものだ。これを廃人と言わずして、何と言うだろう?何もかもが投げやりで、いい加減で、適当。俺は、妻や息子、娘、義理の甥、姪、その他、妻の兄や姉たちと急接近するにつれて、この毒親のことがどうでもよくなった。どこの老人施設にぶち込んでやろうか?そう思うようになった。食事も、別々になった。嫌で嫌でしょうがなかったからだ。あの目付き、態度、臭い体、汚い服……、全部が嫌で、嫌悪の対象でしかない。俺にとって、妻の家は大事だ。命よりも。妻がいずれ、今の縫製工場を退職した後、年金生活になったら、当然、金が足りなくなる。本気で作家になって、筆で立って、稼いで、妻の家に献金したい。そう思うようになった。
 次の転機は、ちょうど、43歳の時だった。ある有名な作家の先生に、オンラインで、弟子入りしたのだ。田舎の自費出版の物書きが作品などを書いて、送って、読んでもらっても、ろくに相手されない。そう踏んでいたが、短編を一作書いて、メールに添付して、送付して、読んでもらうと、「あんたの作品は、奇抜で、エキセントリックで、面白い。何か、病的なタッチだが、俺の原稿を代筆してみないか?」と、好反応の返事のメールが来た。働き盛りで、俺が統合失調症であることも、師匠には、メールにて告げてある。何と言うか、うれしいし、楽しくて、舞い上がらんばかりだった。
 俺は、それから、師匠の原稿を代筆するようになった。粗稿を書いて、メールで入稿し、直してから、師匠が自分の作品として使う。いびつな形なのだが、これが、無名の書き手の金の稼ぎ方だった。でも、障害年金と合わせて、月収が30万円以上になった。当然、金余り状態になる。面白いような状況が続いた。俺にとって、これほど、愉快なことはなかった。愉快痛快。心から、そう思えた。俺は原稿なら、いくらだって書く。いくらでも、妻の家のために貯蓄しておく。だが、レビー小体型認知症の父親、以下、あいつと言わせてもらうが、あいつには、1円もくれてやらない。そう思うようになった。レビー小体型認知症?ハア?そう思って、心の奥底から、軽蔑しきった。王様気分もいい加減にしろよ!そう思って、ひたすら、嫌悪し続けた。
 俺は、いつしか、日々の小説の執筆と、妻の家の方に全精力を注ぐようになり、あいつのことや、親戚縁者とは、疎遠になった。俺の居場所は、自宅二階の書斎だ。あとは、妻の家。俺はある意味、統合失調症が寛解するにつれ、仕事が面白くて、しょうがなくなった。今はいい薬がある。睡眠導入剤だってある。怖くも何ともない。統合失調症というと、変に見られがちで、偏見も多分にあるのだが、自分に自信が付くにつれ、偏見や、病気への蔑視の念なども怖くなくなった。
 対照的で、シンメトリーなのは、あいつだ。レビー小体型認知症。臭いし、汚いし、頭は、1万年ぐらい前の、原始人のような頭。正直、笑える。坂を転げ落ちるように落ちていっている以上、もはや言うことは何もない。そう思えた。実際、俺の作家業が、アシスタントという裏方の形で進んでいくにつれ、あいつは、どんどん落ちていった。当然だ。王様は所詮、王様である。威張っていても、実際、臭いし、汚い。繰り返し、言うが……。俺は思った。あいつに、後ろ盾は何もないと。認知症、とりわけ生存率が最低最悪のレビー小体型認知症は、まさに自滅病だ。そう思えた。
 俺の鉄の半生は、ここまで綴った通りだが、俺にとって、もう一つよかったのは、在宅勤務での仕事が追加で見つかったことだ。これで、外に働きに行くことは止めてもよかった。アルバイトとはいえ、在宅ワークで、副収入を得た。この短い物語は、俺の半生を記したものだ。俺にとって、たとえ43年間でも、鉄と、汗の半生だったのは、いまさら、言うまでもない。結びに記しておくと、俺にとって、これからも、言いようのない苦労や苦悩は続くと思うが、別にいい。愛しい妻や、妻の家族のために、全精力とこの命を懸ける。それは、誓ってもいい。常日頃からそう思って、ここ朝倉の地で、ひっそりと生き続けているのだから……。
                                   (了)



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