6 / 8
第6話。
しおりを挟む
6
井戸に落とされていた頭蓋骨は、かわいそうな存在として、丁重に葬られるのだが、健三は逆だ。私は、自分の親だったとしても、許さない。実際、健三は最低最悪だった。それは、顔を見ていて分かる。あと、目つきも。何となく、一緒にいて、嫌な感じがしたのだ。私の個人的な述懐は別として、実際、亡き父の人間性は、最低だった。
私は人間の価値を、顔つきと態度に置く。どんなに立派な経歴を持っていても、この二つがだめなら、捨てることにしている。実際、健三はどっちもだめだった。言わずもがなだったのだ。何と言うか、精神病を患っている子供のことが分からなかったらしい。現に、この人は何もしてない。この世の中において。別に、私も、一人の人間として、この人間を軽蔑しきっていたのだ。
ある意味、素が出るらしい。人間性というものは。やってきたことが何もないから、評価など、されない。亡き父に関して、この一点だけだ。今だって、そう思っている。十分すぎるぐらい、十分に。人間性が悪かったから、そうなった。そうとしか言いようがない。
人の評価というものをし切れないらしい。何か、勘違いというか、そういった感じだった。ずっと、そう思って見てきた。私が、二〇代ぐらいのころからすでにおかしくなり、もう、それから先の人生は、暗澹としていた。一発で分かったのだ。あの目つき、顔つき、態度……、もう、何も言うことはない。
盆綱引きは、人を懐旧に赴かせる。私には、そう思えた。実際、過去を振り返るということが、私にとって、痛いほど分かったのだ。別に、こういった行事を経なくても、分かる人には分かるのだろうけど……。何もしない人というのは、罪だ。実際のところ。私は実際、露骨までにそう感じていた。特に、盆綱引きでも、綱の揺れや掛け声の掛かり方、そして、頭蓋骨を引き上げる行事を見ていると、それが分かる。ある意味、それが人間世界の生き様だと思う。人は、何かしてこそ、人間なのである。私は、自分が精神病だから、そういったことが人一倍分かる。何と言うか、当たり前に、と言うか?また、私にとって、健三のような人間は、全くの問題外的存在なのだ。人間としての務めをまるで果たさないし、落ちこぼれ以下だと、レッテルを貼ってやりたい。心からそう思える。つまり、私は亡父に関して、一切投げている。何と言うこともなしに……。(以下次号)
井戸に落とされていた頭蓋骨は、かわいそうな存在として、丁重に葬られるのだが、健三は逆だ。私は、自分の親だったとしても、許さない。実際、健三は最低最悪だった。それは、顔を見ていて分かる。あと、目つきも。何となく、一緒にいて、嫌な感じがしたのだ。私の個人的な述懐は別として、実際、亡き父の人間性は、最低だった。
私は人間の価値を、顔つきと態度に置く。どんなに立派な経歴を持っていても、この二つがだめなら、捨てることにしている。実際、健三はどっちもだめだった。言わずもがなだったのだ。何と言うか、精神病を患っている子供のことが分からなかったらしい。現に、この人は何もしてない。この世の中において。別に、私も、一人の人間として、この人間を軽蔑しきっていたのだ。
ある意味、素が出るらしい。人間性というものは。やってきたことが何もないから、評価など、されない。亡き父に関して、この一点だけだ。今だって、そう思っている。十分すぎるぐらい、十分に。人間性が悪かったから、そうなった。そうとしか言いようがない。
人の評価というものをし切れないらしい。何か、勘違いというか、そういった感じだった。ずっと、そう思って見てきた。私が、二〇代ぐらいのころからすでにおかしくなり、もう、それから先の人生は、暗澹としていた。一発で分かったのだ。あの目つき、顔つき、態度……、もう、何も言うことはない。
盆綱引きは、人を懐旧に赴かせる。私には、そう思えた。実際、過去を振り返るということが、私にとって、痛いほど分かったのだ。別に、こういった行事を経なくても、分かる人には分かるのだろうけど……。何もしない人というのは、罪だ。実際のところ。私は実際、露骨までにそう感じていた。特に、盆綱引きでも、綱の揺れや掛け声の掛かり方、そして、頭蓋骨を引き上げる行事を見ていると、それが分かる。ある意味、それが人間世界の生き様だと思う。人は、何かしてこそ、人間なのである。私は、自分が精神病だから、そういったことが人一倍分かる。何と言うか、当たり前に、と言うか?また、私にとって、健三のような人間は、全くの問題外的存在なのだ。人間としての務めをまるで果たさないし、落ちこぼれ以下だと、レッテルを貼ってやりたい。心からそう思える。つまり、私は亡父に関して、一切投げている。何と言うこともなしに……。(以下次号)
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
『夢』
篠崎俊樹
ホラー
私が書いた、夢をテーマにした、短編ホラーです。ゾッとする話です。読むと、思わず、背筋が凍ります。第6回ホラー・ミステリー大賞にエントリーします。大賞を狙いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ヴァルプルギスの夜~ライター月島楓の事件簿
加来 史吾兎
ホラー
K県華月町(かげつちょう)の外れで、白装束を着させられた女子高生の首吊り死体が発見された。
フリーライターの月島楓(つきしまかえで)は、ひょんなことからこの事件の取材を任され、華月町出身で大手出版社の編集者である小野瀬崇彦(おのせたかひこ)と共に、山奥にある華月町へ向かう。
華月町には魔女を信仰するという宗教団体《サバト》の本拠地があり、事件への関与が噂されていたが警察の捜査は難航していた。
そんな矢先、華月町にまつわる伝承を調べていた女子大生が行方不明になってしまう。
そして魔の手は楓の身にも迫っていた──。
果たして楓と小野瀬は小さな町で巻き起こる事件の真相に辿り着くことができるのだろうか。
冀望島
クランキー
ホラー
この世の楽園とされるものの、良い噂と悪い噂が混在する正体不明の島「冀望島(きぼうじま)」。
そんな奇異な存在に興味を持った新人記者が、冀望島の正体を探るために潜入取材を試みるが・・・。
ヒナタとツクル~大杉の呪い事件簿~
夜光虫
ホラー
仲の良い双子姉弟、陽向(ヒナタ)と月琉(ツクル)は高校一年生。
陽向は、ちょっぴりおバカで怖がりだけど元気いっぱいで愛嬌のある女の子。自覚がないだけで実は霊感も秘めている。
月琉は、成績優秀スポーツ万能、冷静沈着な眼鏡男子。眼鏡を外すととんでもないイケメンであるのだが、実は重度オタクな残念系イケメン男子。
そんな二人は夏休みを利用して、田舎にある祖母(ばっちゃ)の家に四年ぶりに遊びに行くことになった。
ばっちゃの住む――大杉集落。そこには、地元民が大杉様と呼んで親しむ千年杉を祭る風習がある。長閑で素晴らしい鄙村である。
今回も楽しい旅行になるだろうと楽しみにしていた二人だが、道中、バスの運転手から大杉集落にまつわる不穏な噂を耳にすることになる。
曰く、近年の大杉集落では大杉様の呪いとも解される怪事件が多発しているのだとか。そして去年には女の子も亡くなってしまったのだという。
バスの運転手の冗談めかした言葉に一度はただの怪談話だと済ませた二人だが、滞在中、怪事件は嘘ではないのだと気づくことになる。
そして二人は事件の真相に迫っていくことになる。
涙のキセキ
桜 偉村
ホラー
西川健介、降谷一真、雪城明美、太田悠馬、本間友梨奈、相川友葉の六人で構成されたYouTuberグループ『ヨナス』。
順調に活動をしていたが、ある時期を境にメンバーの友葉に異変が生じる。
良く物を落とす。何もない道で躓く事が増えた。彼女の異変を認識した『ヨナス』は、友葉を病院へ連れて行った。その結果、彼女が脊髄小脳変性症である事が発覚する。
突然の悲報に混乱するメンバーだったが、リーダーである健介を中心になんとか前を向いた。
しかし、その矢先に彼女が誘拐されるという事件が起きる。
犯人からの電話を受けた健介達は仲間を取り戻す為、指定された施設に向かうが、そこでは未知なる困難が待ち受けていた——。
犯人により開催された過酷な『実験』。その目的は何なのか。友葉の未来は。人間の極限状態をテーマにした、信頼と死の物語。
怪異少女は愛が欲しい
偽物道化師@アルファポリス
ホラー
【恋】それは、愛情。
【恋】それは、言葉にできない思い。
【恋】それは、病気だと思っていまう苦しさ。
そんな、【恋心】は果たして人間以外の存在においても起こる感情なのでしょうか?
A.だったら創りましょう、その物語を!!by.作者
恋なんて一度もしたことのない作者が書く、人外(妖怪、霊、化け物.etc..)と人間【恋(笑)】のホラー物語。
#ホラー
#男主人公
#怖くない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる