『警察』

第3話。

　　　　　３
　日下部と奥菜、それに、警視庁の刑事たちも集まってきている。新宿は、ごった返し始めた。警察官は、多数集ってきている。日下部が銃を手に取り、ゆっくりと、正眼に構えた。『瑠衣』は、多数の客でごった返していて、日下部に続き、奥菜も入っていく。警察官たちは、皆、疲れ知らずだ。連日、必死の思いで、働く。ここ新宿は、繁華街で、皆が、夜、ネオンに灯されながら、夜遅くまで働いている。警察官も、ホストも、キャッチも皆、連動して、動きながら、この街を維持している。日下部が、
「奥菜、午後十一時に突入開始だ。それまで、外で待つぞ」
　と言って、ゆっくりと息をついた。実際、夜は長い。一晩中、ネオンが灯っている。奥菜が息をつき、肩を怒らせながら、
「日下部さん、お疲れでしょう？」
　と訊いた。日下部は、
「いや、そうでもない。俺も、適当に頑張ってるだけだ」
　と返し、ゆっくりと頷いてみせる。その横顔に嘘はない。また、嘘があるわけもない。真っ正直なのが、この日下部警部補の特徴だった。