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第三章
振り回してやりました。
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私の決定に不服そうな顔を見せたのは、シスターだけではありませんでした。
「やれと言ったり、止めろと言ったり、一体どっちなんだい」
サリー様がまた文句を垂れていらっしゃるのです。
「受けたくないと言ったのは貴女じゃありませんか。お気持ちが変わられましたか?」
「いいや、別に異議はないよ。今回の件はなしだ」
回りくどいお返事を頂き、図々しいシスターを放置してお暇しようと、サリー様も立ち上がります。
「え、え? 嘘、やめてよ。一度言ったことを覆すなんて酷いわ! 女神様の罰が当たるんだからぁ」
私たちが本気だと悟られたのでしょう。シスターは親に捨て置かれた幼子のような表情で、サリー様に縋り始めました。
昔なじみの女性に手を上げるのは心苦しいでしょうと、私は泣く泣くシスターの手をぴしゃりと払いのける役目を引き受けます。
「私たちは罰ではなく、加護を頂戴したいのですわ」
膝から崩れ落ちたシスターに、スカートの裾を少し持ち上げ一礼致します。そして、後ろ髪を引かれていらっしゃる甘ちゃんなサリー様の腕を掴んで部屋を出ました。
「お願い待って! 私に出来ることなら、全てします。だから、部屋に戻って」
しかし、シスターは形振り構わず、サリー様の足に縋りつきます。ズルズルと数歩引きずられ、お召し物で廊下を清掃する姿があまりに憐れでした。
「女神の加護について、私の知っている限りの情報を提供するわ。だから、お願い、話を聞いて」
ようやく、シスターが交渉の席についたようでございました。元より、女神の加護、聖女についての情報は持ち合わせておりませんので、少々乱暴なことになりましても、色々と教えて頂くつもりでしたので、穏便に済んで私にとっても何よりです。
再びシスターの私室へ戻りましたら、今度はお茶ではなく、ワイングラスでおもてなしを受けました。
「やれと言ったり、止めろと言ったり、一体どっちなんだい」
サリー様がまた文句を垂れていらっしゃるのです。
「受けたくないと言ったのは貴女じゃありませんか。お気持ちが変わられましたか?」
「いいや、別に異議はないよ。今回の件はなしだ」
回りくどいお返事を頂き、図々しいシスターを放置してお暇しようと、サリー様も立ち上がります。
「え、え? 嘘、やめてよ。一度言ったことを覆すなんて酷いわ! 女神様の罰が当たるんだからぁ」
私たちが本気だと悟られたのでしょう。シスターは親に捨て置かれた幼子のような表情で、サリー様に縋り始めました。
昔なじみの女性に手を上げるのは心苦しいでしょうと、私は泣く泣くシスターの手をぴしゃりと払いのける役目を引き受けます。
「私たちは罰ではなく、加護を頂戴したいのですわ」
膝から崩れ落ちたシスターに、スカートの裾を少し持ち上げ一礼致します。そして、後ろ髪を引かれていらっしゃる甘ちゃんなサリー様の腕を掴んで部屋を出ました。
「お願い待って! 私に出来ることなら、全てします。だから、部屋に戻って」
しかし、シスターは形振り構わず、サリー様の足に縋りつきます。ズルズルと数歩引きずられ、お召し物で廊下を清掃する姿があまりに憐れでした。
「女神の加護について、私の知っている限りの情報を提供するわ。だから、お願い、話を聞いて」
ようやく、シスターが交渉の席についたようでございました。元より、女神の加護、聖女についての情報は持ち合わせておりませんので、少々乱暴なことになりましても、色々と教えて頂くつもりでしたので、穏便に済んで私にとっても何よりです。
再びシスターの私室へ戻りましたら、今度はお茶ではなく、ワイングラスでおもてなしを受けました。
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