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第三章
絶叫させてやりました。
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「貴女、正気なのッ! なんて事をしてくれたの! あぁ、もう、ああああああああもおおおおおお!」
一仕事終えた私を見て、ユリア様は半狂乱になりました。
マールマールを常用しているらしい『ドール』たちを更正させるべく、私は見目麗しいシスターたちを片っ端から縛り上げました。もちろん、それだけでは終わりません。信頼の置ける呪術院に教会の馬車を使って搬送し、マールマールの術式を解除してもらえるよう手配したのです。
彼女たちの部屋から没収したマールマールも全て焼却処分済み。『ドール』が使用していた部屋は、キレイさっぱり空っぽになりました。
「何をそんなに驚いていますの。これくらい朝飯前ですわ。私、理解させることも染め上げることも得意ですのよ」
私を吹きだまりのような、このように不健全な場所に押し込むなど言語道断です。そのような理不尽は一刀両断してやる他はありません。
「ほんっとに何を言ってるの貴女は! ドールはマザーの人形だって言ったでしょう! 彼女たちはマザーの手足なのよ、それを全て排除するなんて!」
「いいえ、彼女たちは人形ではありませんわ。一人一人、ちゃんと人格のある人間です」
「そういう話をしているんじゃないの! 彼女たちを何処へやったのか言いなさい。今すぐ連れ戻さない……と」
ユリア様が私の肩に掴み掛かってきた時、フッと肌に触れていた空気が急に下がったような気がいたしました。
目の前に迫っていたユリア様の顔色も真っ白です。パクパクと言葉なく口を動かすユリア様の間の抜けたお顔を眺めていますと「ユリア」と地の底から這い上がってくるような、恐ろしい声音が聞こえてきました。
力なくユリア様は私から離れると、まるで道を空けるように一歩身を引き、その場で恭しく跪きます。そのおかげで開けた私の視線の先には、降って湧いたように一人の老婆が立っていました。
「ほほ、これがお前の用意した餌かえ。なかなか威勢がいい」
紹介されずとも、この老婆が何者か分かってしまいます。諸悪の根源、女神の加護を有した聖女様、ユリア様の言う所のマザー様。
「…………!」
言ってやりたい事は山ほどあります。けれど、体が全く動きません。
「よく肥えた雌じゃ。ほほ、これを使えるなら凡百など無用。よい、此度の件は不問としよう、ユリア」
あぁ、それだけではなく、老婆の視線が私の体を撫で回している。グッとひとりでに胸が持ち上げられ、痛いくらいにナニカに握られている。
「もし、失敗したら……分かっているね」
透明な、視線としか感じられないモノに嬲られ、私は不快感でいっぱいでしたが、金縛りとでも言うのでしょうか、指先一つすら満足に動かせず、ただただ目の前の老婆を見つめます。
一仕事終えた私を見て、ユリア様は半狂乱になりました。
マールマールを常用しているらしい『ドール』たちを更正させるべく、私は見目麗しいシスターたちを片っ端から縛り上げました。もちろん、それだけでは終わりません。信頼の置ける呪術院に教会の馬車を使って搬送し、マールマールの術式を解除してもらえるよう手配したのです。
彼女たちの部屋から没収したマールマールも全て焼却処分済み。『ドール』が使用していた部屋は、キレイさっぱり空っぽになりました。
「何をそんなに驚いていますの。これくらい朝飯前ですわ。私、理解させることも染め上げることも得意ですのよ」
私を吹きだまりのような、このように不健全な場所に押し込むなど言語道断です。そのような理不尽は一刀両断してやる他はありません。
「ほんっとに何を言ってるの貴女は! ドールはマザーの人形だって言ったでしょう! 彼女たちはマザーの手足なのよ、それを全て排除するなんて!」
「いいえ、彼女たちは人形ではありませんわ。一人一人、ちゃんと人格のある人間です」
「そういう話をしているんじゃないの! 彼女たちを何処へやったのか言いなさい。今すぐ連れ戻さない……と」
ユリア様が私の肩に掴み掛かってきた時、フッと肌に触れていた空気が急に下がったような気がいたしました。
目の前に迫っていたユリア様の顔色も真っ白です。パクパクと言葉なく口を動かすユリア様の間の抜けたお顔を眺めていますと「ユリア」と地の底から這い上がってくるような、恐ろしい声音が聞こえてきました。
力なくユリア様は私から離れると、まるで道を空けるように一歩身を引き、その場で恭しく跪きます。そのおかげで開けた私の視線の先には、降って湧いたように一人の老婆が立っていました。
「ほほ、これがお前の用意した餌かえ。なかなか威勢がいい」
紹介されずとも、この老婆が何者か分かってしまいます。諸悪の根源、女神の加護を有した聖女様、ユリア様の言う所のマザー様。
「…………!」
言ってやりたい事は山ほどあります。けれど、体が全く動きません。
「よく肥えた雌じゃ。ほほ、これを使えるなら凡百など無用。よい、此度の件は不問としよう、ユリア」
あぁ、それだけではなく、老婆の視線が私の体を撫で回している。グッとひとりでに胸が持ち上げられ、痛いくらいにナニカに握られている。
「もし、失敗したら……分かっているね」
透明な、視線としか感じられないモノに嬲られ、私は不快感でいっぱいでしたが、金縛りとでも言うのでしょうか、指先一つすら満足に動かせず、ただただ目の前の老婆を見つめます。
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