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圏外生活はじめました!
初めてのルームメイト
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寮は間近で見ると、やはりと言うべきか、けっこうなボロだった。壁の塗装は所々どころではなく、面積の大半が剥げているし、出入り口の扉は割れたガラス部分がガムテープと段ボールで補修してある。そして、男が言った通り、寮の玄関であるその扉に新入生の名簿が張り出されていた。五十音順ではないらしく、百近くある名前から自分の名前を探すのは、何だか受験の合格発表みたいだなと嫌な気分になる。
自分の名前を見つけると、その横に数字が振ってあった。『38』それが部屋番号になっているようだ。ここで突っ立ていても仕方が無い。開け放たれたもう一つの扉から中へ入った。
中はひんやりとした空気とは裏腹に、運動部の部室並のすえたような臭いが充満している。そこは下駄箱として機能しているらしく、両サイドに設置された靴箱には、ボロボロの履き古した靴の残骸がいくつかあった。ふと足下を見れば、簀の子に『土足厳禁』の文字が、バスの車体と同様にスプレーで書き殴られている。靴を脱ぎ片手で持ち、寮に足を踏み入れた。
玄関ホールの先に大きな両開きの扉があり、そこに部屋への案内書きが貼られている。案内通りに、電気の点いていない、窓から入る明かりばかりが眩しい暗い階段を上っていく。途中の階層からは、大きな笑い声やら話し声が聞こえてくる。きっと上級生だろう、この寮に居るのなら二年か。出くわすのは面倒なので、自然と早足になった。案内書きの通り、最上階に出ると長い廊下を挟んで沢山の扉が並んでおり、その一つ一つに数字が大きく書かれた紙が貼り付けてある。自分の部屋番号『38』は割とすぐに見つかった。何も考えず、ドアノブに手を伸ばすと、中から人の気配がして、咄嗟に手を引っ込めてしまった。
個室なんて望めないと分かっては居たが、何人部屋なのかもオレは知らなかった。中に誰か居ても数人……けれどバスの乗客を思い出すと、緊張を強いられるのは当然だろう。あんな連中と、これから四六時中同じ場所で生活するのかと、改めて実感してしまえば、重苦しい溜め息が出た。
ウダウダ考えていても始まらない。引っ込めた手を伸ばし扉を開くと、部屋の中に居た奴と同時に思わず「あ」と間の抜けた声を上げていた。
部屋の真ん中で大の字にでもなっていたのだろう。両足を畳に投げ出した状態で起き上がり、妙に怠そうな格好で座っている。まだ来て五分と経っていない場所でよくやれると呆れもするが、なんの躊躇いも無く、早速くつろぐ体勢に入っていたある意味大物なそいつは、脱走者第一号の由々式だった。
「びっくりするでねーか。普通ノックくらいするだろ? 常識だべ」
「これから、ここが自分の部屋なんだろ? 要るか、そんなもん」
つい反論してしまったが、由々式はそれに対して「親しき仲にも礼儀あり」とか訳の分からない事を言い出した。親しくも無ければどんな仲も無い、ほぼ初対面の人間に使える道理かと指摘すると、破顔し慣れた動作で胡座を掻く。
「わしは由々式誠ちゅーんじゃ。ユユシキでもマコトでも好きに呼んでくれ。張り切り君の名前は知っとるよ。夷川じゃろ?」
「……気絶してたんじゃないのか?」
由々式がオレの名前を知っていた事に少し驚いて、思わず疑問が声になってしまった。てか、張り切り君ってなんだ?
「迎えすら待てず、逆にバスを迎えに行って誰よりも先にバスに乗っとった。高校デビューに張り切りすぎてて、ちょっとイタイ奴だべ」
気付いたらププッと軽く吹きながら答える由々式の顔に、手に持っていた靴を一足張り切って投げつけていた。盛大に後ろへひっくり返った後、起き上がり小法師のように戻って来ると、奴の鼻は真っ赤に腫れて、目尻には涙が溜まっていた。
「いきなり何するだ!」
「悪いな張り切りすぎて手が滑ったんだよ」
「おっそろしい程の短気だべ。あのキチの春日野とずっと会話しよるだけあるな。そーゆー所は直してくれねーと、これから仲良くやってけねーべ」
「……アイツの同類だと思ってる相手に、よくそれだけ悪態つけるな、お前」
半ば感心していると、由々式は意外そうな顔をして見せる。
「別に同類なんて思ってねーべ。夷川はあのバスん中で唯一のまともな奴だ」
オレも由々式に同じような感想を抱いていたのだが、それをコイツは続く言葉で見事に粉砕した。
「少なくとも、見た目以外はまともな奴だと断言出来るべ」
とりあえず、残った方の靴も、もれなく顔面にぶち当ててやる事に決定した。快音を響かせながら、由々式は後ろへぶっ倒れ、今度はなかなか起き上がって来なかった。
「人の面をとやかく言える程、上等な顔してねえだろ、お前は」
扉の開閉部分は板の間になっており、その先に畳が敷かれている。オレはぼやきながら部屋の中に入り、由々式の側に転がっている自分の靴を拾い上げると、扉脇に揃えられた靴の近くへ同じように置いた。開けっ放しだった扉を閉め、しぶとく畳で呻く由々式を避けつつ、小さなベランダがある窓を開ける。埃や蜘蛛の巣、虫の死骸やらで汚れた網戸が嵌まっているのだが、何かで強く押さえたような弛みがど真ん中にあり、あまり役には立ちそうになかった。色々と思う所はあるが、窓ガラスが割れていないだけマシ、という事にしておこう。
窓の外は隣の真新しい建物の白い壁が眩しい。夏場はそのおかげで多少涼しそうだが、逆に言えば、日光の恩恵を全てそちらに持って行かれていそうだった。微妙にカビ臭さが漂う室内の空気を思うと、その予想は大きくは外れていないのだろう。
窓の下から新入生らしき人影の足音が聞こえてくる。その姿をいちいち確認していたら、気分が余計に塞ぎそうだったので、意識を外から内へと引き戻すと、由々式が顔面を押さえつつ起き上がっていた。
「夷川は酷いべ。顔面がすでに凶器のくせに、やることまで凶暴だ」
「まだ言う気か? どうゆう神経してんだ……ケンカ売ってんのか」
いい加減しつこい由々式の背中に蹴りを入れつつ確認すると、奴はまるでオレを諭すような顔つきで振り返った。
「わしのような一般的な男子高校生のハートをギタギタにしよるんじゃ、夷川の顔は。同種の生物とは思えん。ケンカ売るなんて冗談じゃねーべ。こちとら完全降伏だべ」
また訳の分からない事を言い出した由々式の前に、同じように腰を下ろす。何を言いたいのか探るように、目線を合わせると、靴のダメージを色濃く残した顔が「ぎゃあ」とコウモリでも握り潰したような声を上げた。
「夷川みたいな無双イケメンは、女のいない、その顔面凶器が無意味になる地獄に落ちてしまえばいいべ」
「……もう落ちてるんじゃねえの。お前の言う地獄とやらにオレたち」
そう答えてやると、神妙な顔をし出した由々式は、ジッとこちらを見据え手をおずおずと差し出してきた。
「な……なかよく、仲良くやるべ! 兄弟!」
にかっと笑う顔が妙に苛ついて、思わずその額に手刀を見舞ってしまった。
ぶいぶい文句を言う由々式は、地元のおかげか圏ガクの事を色々と知っているらしく、少し宥めると詳しく説明をしてくれた。
この部屋にはあと二人割り振られているらしい。要するに合計四人がこの部屋で寝起きをする。由々式と二人で駄弁っている分には、そう狭く感じる事はないが、四人分の布団を敷けば足の踏み場はないだろう室内を見回して、改めてその小ささを実感する。本棚や机といった物も一切見当たらない所を見ると、下手すると万年床になりかねないなと思った。室内にこもるカビ臭さは、もしかしたら、つい最近までそうやって使われていた名残かもしれない。
先の話になるが、二年に上がると、寮内の二階と三階の部屋を二人で使用するようになるとか。そして三年になってようやく、あの真新しい寮での生活が待っているらしい。ちなみに三年寮は冷暖房完備だが、オレらの当分の住処には扇風機すら贅沢品だそうだ。
「別に地元とか関係ねー。入学案内に書いてあったべ。まさか夷川は読まずに来よったんか?」
オレが頷くと、由々式は肩を竦めて、
「もしかして、圏ガクが普通の学校じゃと思うとるとか?」
心底、気の毒そうな顔をして見せる。稀に居るらしい、圏ガクの噂を全く知らずに入学してしまった奴なのかと、心配してくれているのかもしれない。
「さすがにそれは無いだろ。色々と噂は聞いてたし……ネットで調べたりして来たから、ここに普通な部分があるとは思ってない」
オレが曖昧に答えると、由々式はその話をスッパリと切り上げた。
「まあ、同室が夷川でよかったべ。もし春日野と一緒だったら、今頃あの道を歩いて帰る算段を立てとる所じゃった」
「スバルの部屋番も確認したのか?」
「もちろんだべ。わしの命に関わる情報だ。そりゃ即行探したべ。部屋もかなり離れとる。これでクラスが別なら一年は安心だべな」
いの一番に脱走した奴とは思えない顔で笑う由々式と一緒に、カバンと引き替えに渡された生徒手帳やら冊子を見て過ごしていると、結構な時間があっと言う間に過ぎた。
部屋の外、廊下は次第に人の気配で溢れ、ざわついている。そろそろ新入生が全員揃ったのかもなと、話していると扉を控えめに叩く音が聞こえた。そして唐突にやや乱暴にとでも言えるくらいの勢いで、扉が開いた。
「あ、あのっえっと、その……えっと、あ」
大きいのと小さいのがセットで立っていた。小さい方が慌てて何か言おうとするのだが、なかなか言葉にならず、
「全員揃ったから食堂に集まれ、だとよ」
大きい方が助け船を出すように、用件を的確に伝えてくれた。
自分の名前を見つけると、その横に数字が振ってあった。『38』それが部屋番号になっているようだ。ここで突っ立ていても仕方が無い。開け放たれたもう一つの扉から中へ入った。
中はひんやりとした空気とは裏腹に、運動部の部室並のすえたような臭いが充満している。そこは下駄箱として機能しているらしく、両サイドに設置された靴箱には、ボロボロの履き古した靴の残骸がいくつかあった。ふと足下を見れば、簀の子に『土足厳禁』の文字が、バスの車体と同様にスプレーで書き殴られている。靴を脱ぎ片手で持ち、寮に足を踏み入れた。
玄関ホールの先に大きな両開きの扉があり、そこに部屋への案内書きが貼られている。案内通りに、電気の点いていない、窓から入る明かりばかりが眩しい暗い階段を上っていく。途中の階層からは、大きな笑い声やら話し声が聞こえてくる。きっと上級生だろう、この寮に居るのなら二年か。出くわすのは面倒なので、自然と早足になった。案内書きの通り、最上階に出ると長い廊下を挟んで沢山の扉が並んでおり、その一つ一つに数字が大きく書かれた紙が貼り付けてある。自分の部屋番号『38』は割とすぐに見つかった。何も考えず、ドアノブに手を伸ばすと、中から人の気配がして、咄嗟に手を引っ込めてしまった。
個室なんて望めないと分かっては居たが、何人部屋なのかもオレは知らなかった。中に誰か居ても数人……けれどバスの乗客を思い出すと、緊張を強いられるのは当然だろう。あんな連中と、これから四六時中同じ場所で生活するのかと、改めて実感してしまえば、重苦しい溜め息が出た。
ウダウダ考えていても始まらない。引っ込めた手を伸ばし扉を開くと、部屋の中に居た奴と同時に思わず「あ」と間の抜けた声を上げていた。
部屋の真ん中で大の字にでもなっていたのだろう。両足を畳に投げ出した状態で起き上がり、妙に怠そうな格好で座っている。まだ来て五分と経っていない場所でよくやれると呆れもするが、なんの躊躇いも無く、早速くつろぐ体勢に入っていたある意味大物なそいつは、脱走者第一号の由々式だった。
「びっくりするでねーか。普通ノックくらいするだろ? 常識だべ」
「これから、ここが自分の部屋なんだろ? 要るか、そんなもん」
つい反論してしまったが、由々式はそれに対して「親しき仲にも礼儀あり」とか訳の分からない事を言い出した。親しくも無ければどんな仲も無い、ほぼ初対面の人間に使える道理かと指摘すると、破顔し慣れた動作で胡座を掻く。
「わしは由々式誠ちゅーんじゃ。ユユシキでもマコトでも好きに呼んでくれ。張り切り君の名前は知っとるよ。夷川じゃろ?」
「……気絶してたんじゃないのか?」
由々式がオレの名前を知っていた事に少し驚いて、思わず疑問が声になってしまった。てか、張り切り君ってなんだ?
「迎えすら待てず、逆にバスを迎えに行って誰よりも先にバスに乗っとった。高校デビューに張り切りすぎてて、ちょっとイタイ奴だべ」
気付いたらププッと軽く吹きながら答える由々式の顔に、手に持っていた靴を一足張り切って投げつけていた。盛大に後ろへひっくり返った後、起き上がり小法師のように戻って来ると、奴の鼻は真っ赤に腫れて、目尻には涙が溜まっていた。
「いきなり何するだ!」
「悪いな張り切りすぎて手が滑ったんだよ」
「おっそろしい程の短気だべ。あのキチの春日野とずっと会話しよるだけあるな。そーゆー所は直してくれねーと、これから仲良くやってけねーべ」
「……アイツの同類だと思ってる相手に、よくそれだけ悪態つけるな、お前」
半ば感心していると、由々式は意外そうな顔をして見せる。
「別に同類なんて思ってねーべ。夷川はあのバスん中で唯一のまともな奴だ」
オレも由々式に同じような感想を抱いていたのだが、それをコイツは続く言葉で見事に粉砕した。
「少なくとも、見た目以外はまともな奴だと断言出来るべ」
とりあえず、残った方の靴も、もれなく顔面にぶち当ててやる事に決定した。快音を響かせながら、由々式は後ろへぶっ倒れ、今度はなかなか起き上がって来なかった。
「人の面をとやかく言える程、上等な顔してねえだろ、お前は」
扉の開閉部分は板の間になっており、その先に畳が敷かれている。オレはぼやきながら部屋の中に入り、由々式の側に転がっている自分の靴を拾い上げると、扉脇に揃えられた靴の近くへ同じように置いた。開けっ放しだった扉を閉め、しぶとく畳で呻く由々式を避けつつ、小さなベランダがある窓を開ける。埃や蜘蛛の巣、虫の死骸やらで汚れた網戸が嵌まっているのだが、何かで強く押さえたような弛みがど真ん中にあり、あまり役には立ちそうになかった。色々と思う所はあるが、窓ガラスが割れていないだけマシ、という事にしておこう。
窓の外は隣の真新しい建物の白い壁が眩しい。夏場はそのおかげで多少涼しそうだが、逆に言えば、日光の恩恵を全てそちらに持って行かれていそうだった。微妙にカビ臭さが漂う室内の空気を思うと、その予想は大きくは外れていないのだろう。
窓の下から新入生らしき人影の足音が聞こえてくる。その姿をいちいち確認していたら、気分が余計に塞ぎそうだったので、意識を外から内へと引き戻すと、由々式が顔面を押さえつつ起き上がっていた。
「夷川は酷いべ。顔面がすでに凶器のくせに、やることまで凶暴だ」
「まだ言う気か? どうゆう神経してんだ……ケンカ売ってんのか」
いい加減しつこい由々式の背中に蹴りを入れつつ確認すると、奴はまるでオレを諭すような顔つきで振り返った。
「わしのような一般的な男子高校生のハートをギタギタにしよるんじゃ、夷川の顔は。同種の生物とは思えん。ケンカ売るなんて冗談じゃねーべ。こちとら完全降伏だべ」
また訳の分からない事を言い出した由々式の前に、同じように腰を下ろす。何を言いたいのか探るように、目線を合わせると、靴のダメージを色濃く残した顔が「ぎゃあ」とコウモリでも握り潰したような声を上げた。
「夷川みたいな無双イケメンは、女のいない、その顔面凶器が無意味になる地獄に落ちてしまえばいいべ」
「……もう落ちてるんじゃねえの。お前の言う地獄とやらにオレたち」
そう答えてやると、神妙な顔をし出した由々式は、ジッとこちらを見据え手をおずおずと差し出してきた。
「な……なかよく、仲良くやるべ! 兄弟!」
にかっと笑う顔が妙に苛ついて、思わずその額に手刀を見舞ってしまった。
ぶいぶい文句を言う由々式は、地元のおかげか圏ガクの事を色々と知っているらしく、少し宥めると詳しく説明をしてくれた。
この部屋にはあと二人割り振られているらしい。要するに合計四人がこの部屋で寝起きをする。由々式と二人で駄弁っている分には、そう狭く感じる事はないが、四人分の布団を敷けば足の踏み場はないだろう室内を見回して、改めてその小ささを実感する。本棚や机といった物も一切見当たらない所を見ると、下手すると万年床になりかねないなと思った。室内にこもるカビ臭さは、もしかしたら、つい最近までそうやって使われていた名残かもしれない。
先の話になるが、二年に上がると、寮内の二階と三階の部屋を二人で使用するようになるとか。そして三年になってようやく、あの真新しい寮での生活が待っているらしい。ちなみに三年寮は冷暖房完備だが、オレらの当分の住処には扇風機すら贅沢品だそうだ。
「別に地元とか関係ねー。入学案内に書いてあったべ。まさか夷川は読まずに来よったんか?」
オレが頷くと、由々式は肩を竦めて、
「もしかして、圏ガクが普通の学校じゃと思うとるとか?」
心底、気の毒そうな顔をして見せる。稀に居るらしい、圏ガクの噂を全く知らずに入学してしまった奴なのかと、心配してくれているのかもしれない。
「さすがにそれは無いだろ。色々と噂は聞いてたし……ネットで調べたりして来たから、ここに普通な部分があるとは思ってない」
オレが曖昧に答えると、由々式はその話をスッパリと切り上げた。
「まあ、同室が夷川でよかったべ。もし春日野と一緒だったら、今頃あの道を歩いて帰る算段を立てとる所じゃった」
「スバルの部屋番も確認したのか?」
「もちろんだべ。わしの命に関わる情報だ。そりゃ即行探したべ。部屋もかなり離れとる。これでクラスが別なら一年は安心だべな」
いの一番に脱走した奴とは思えない顔で笑う由々式と一緒に、カバンと引き替えに渡された生徒手帳やら冊子を見て過ごしていると、結構な時間があっと言う間に過ぎた。
部屋の外、廊下は次第に人の気配で溢れ、ざわついている。そろそろ新入生が全員揃ったのかもなと、話していると扉を控えめに叩く音が聞こえた。そして唐突にやや乱暴にとでも言えるくらいの勢いで、扉が開いた。
「あ、あのっえっと、その……えっと、あ」
大きいのと小さいのがセットで立っていた。小さい方が慌てて何か言おうとするのだが、なかなか言葉にならず、
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