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第九章 旗印たちの狂宴
9-2 生き残るための諦め ……アンダース
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黒竜旗の波が、寄せては返す。
戦場が、冬が、白炎に燃える。皇帝グスタフを讃える喚呼とともに、銃火が唸り、血濡れた刃が殺意を迸らせる。
帝国軍第三軍団の、黒騎兵の攻勢を受け止めるのは、これで何度目になるだろうか?
こいつらいつまで戦い続けるつもりだ? ──それが、アンダースの率直な思いだった。
騎士団の誰もが、疲弊しきっていた。アンダースも、すでに手持ちの弾と火薬は尽きている。補充もない。
朝から戦い詰めである。昼食を取るどころか、小休止すらできていない。それでも、騎士団の指揮を引き継いだディーツが、共同戦線を張るハベルハイムが、攻撃以外の命令を下すことはない。
ここを突破できれば、勝てる──月盾騎士団の誰もが、教会遠征軍の誰もがそれを夢想ながら、すでに半日が過ぎていた。
そしてまた、黒竜旗の波が動く。
迷いのない、真正面からの攻勢。ただ、僅かだが、敵の戦列は斜行している。
まだ何か仕掛けてくるのか──敵が見せる僅かな機微に、アンダースは驚き、感嘆し、そして呆れた。
「クリスタルレイク側にこちらを追い込むつもりだ! 回り込まれぬよう、黒騎兵の動きを止めろ!」
「無理っすよ……。もう走れませんって……」
「元気そうな奴を行かせろ! 疲れてんのは敵も同じだ!」
完全にやる気を失っているルクレールを怒鳴りつける。重い足取りで、ルクレールの部隊が敵に向かう。
部下たちは懸命に戦っているが、しかし敵の勢いは、完全にこちらを上回っている。
敵は、温存していた一千の予備歩兵隊も投入し、勝負を決めようとしている。対して、こちらにはもう手札がない。兄ミカエル麾下の分離と、断続的な損害により、騎士団の残兵も二千騎を切っている。
初期の攻勢で敵戦線を押し込んだところまではよかったものの、そこで決定打を穿てなかったのが痛すぎた。戦列は保てているが、しかし現状は敵の反撃を受け止めるだけで精一杯である。実態は、進むも退くもできないと言った方が正しい。
前進できぬのなら、後退するしかない。しかし、後退戦は難しい。うまく移行できればいいが、現状の形勢では、後退がそのまま敗走に変わる危険性が高い。
さらに、帝国軍第三軍団は、依然として極彩色の馬賊を温存している。
極彩色の馬賊には、強き北風のオッリが単騎で突っ込んできた以外、目立った動きはない。つまり、あの狂猛な暴風が吹き荒れた瞬間に、クリスタルレイク西岸戦線の勝敗は、月盾騎士団の運命は、決定する。
後退が難しい以上、極彩色の馬賊が動き出す前に突破する以外、活路はない。今、極彩色の馬賊の突撃を受けきれるだけの体力は、教会遠征軍にはない。
しかし、アンダースはほとんど諦めかけていた。
いや、決して勝利を諦めているわけではない。ただ、いつ終わるとも知れぬ戦いに辟易し、延々続く殺し合いに飽きているのは事実だった。
アンダースは上級将校の同僚であるウィッチャーズと、絶えず連絡を取り合った。ただ、どうしたものかと顔を見合わせても、打開策はなかった。
耐えず前線に身を置く同僚は、敵と同じように薄汚れていた。しかしその眼光は、この場にいる誰よりも鋭く、またうっすらと笑っているようにも見えた。
かつて、〈帝国〉で働いていた元傭兵は言った──北部の過酷な気候ゆえか、〈帝国〉の将兵は、伝統的に精強である。そして今、その中でも最もしぶとく、打たれ強く、諦めの悪い将を、我々は相手にしている。この不撓不屈の意志こそが、黒騎兵の、マクシミリアン・ストロムブラードの戦い方である、と。
なぜか楽しそうにも見える同僚に呆れ、アンダースはまた騎兵帽の被りを直した。
そのとき、ディーツ配下の情報将校が、血相を変えて駆けてくた。
「ディーツ様が負傷しました……! どちらかが代わりに指揮を……!」
疲労で弛緩していた空気が、一瞬で凍りつく。この場にいる全員の視線が、上級将校であるアンダースとウィッチャーズに向けられる。
「はっきりしろ! どちらが指揮を引き継げばよい!?」
「深手を負っていましたので、そこまではっきりした命令は……」
歯切れの悪い伝令に、ウィッチャーズが舌打ちする。続く言葉は、誰の口からも出てこない。
重苦しい風が、体にまとわりつく。
ほんの僅かの、沈黙の間──その刹那に、アンダースは諦めた。
「撤退だ! これより月盾騎士団は、当戦線を離脱する!」
煮え切らない空気に業を煮やし、アンダースは独断で命令を下した。
「ちょっと待って下さい! 騎士団長の命令をお忘れか!? 苦境とはいえ、我らはまだ戦える! 戦えるのに、勝利を放棄することなどできない!」
当惑する部下たちをよそに、ウィッチャーズが真っ向から異を唱える。
「よく考えろよ、ジョー。月盾騎士団の存続が第一だ。リンドバーグらのようにむざむざ玉砕し、父上に何と顔向けする気か?」
死人の思い出などどうでもよかったが、ウィッチャーズを説得するために引き合いに出した。傭兵から騎士に取り立てられたウィッチャーズは、父ヨハンに恩義がある。
「ですが……! 撤退するにしても、まずは騎士団長に連絡するべきです!」
「伝令を出して、返事を待つ時間があると思うか?」
「騎士団長の弟とはいえ、独断行動が過ぎます! この状況で我らだけ退却するなど、騎士団長に何と説明する気ですか!?」
「この状況を見てみろよ。説明しなくてもわかるだろ?」
「この劣勢の中で戦線を放棄すれば、ハベルハイム将軍やヴァレンシュタイン元帥には敵前逃亡とも取られ兼ねません! いくら騎士団が独立遊撃部隊とはいえ、今後の信用問題にもなりますよ!?」
感情的に声を荒げる同僚に対し、撤退以外に良い代案があるのかと問い質したかったが、そこまで責めることはしなかった。部下たちの前で面罵するのは、さすがに酷である。
そもそも、意見を聞く気もなかった。いくら上級将校の同僚とはいえ、ウィッチャーズは元傭兵に過ぎない。副官のディーツが倒れた今、いや、騎士団長の兄がこの場を離れた今、騎士団でもっとも発言力があるのは、〈教会五大家〉ロートリンゲン家の子息のアンダースである。
「ときには諦めも肝心だ。勝てぬのなら、せめて騎士団の犠牲を少なくせねば」
ウィッチャーズやその配下は戦闘継続を主張したが、アンダースは大局を見定めるよう、冷静に諭した。
退き際が肝心とは、よく言ったものである。今は、いくら意地になっても勝てない。そして止めどきを見失えば、待っているのは破滅である。
部下たちの返答を待たず、アンダースは撤退の鼓笛を打たせた。ウィッチャーズは目では反対を訴えていたが、撤退の合図が出ると素直に従った。
そのときだった。撤退の合図を目ざとく聞きつけたのか、血と泥と硝煙に塗れた薄汚い騎兵隊が、猛然と突っ込んできた。
あれは、黒騎兵か? ──血濡れたサーベルを手に斬り込んでくる騎兵は、〈帝国〉の黒竜旗がなければ、それさえも判別できぬほどに薄汚れていた。
また、人馬がぶつかる。
殴り合いの様相を呈する斬り合いの中、鬼気迫る表情でアンダースに迫る一騎が、いきなり何かを投げつけてくる。
飛んできたのは、兜だった。
躱そうとしたが、うまく避けきれなかった。咄嗟に刺剣を出して防いだものの、投げつけられた兜は頭にぶつかり、こめかみからは血が出た。
あまりになりふり構わぬ戦いぶりに、アンダースはほとほと嫌気が差した。
「ルクレール! 殿軍を任せる! 敵を押し返せ!」
こめかみから流れる血を拭いながら、アンダースはルクレールの名を呼んだ。
「えぇ……。俺っすか……?」
「金ならいくらでも払ってやる! ほら、とりあえずの前金だ! 取っておけ!」
いつも通り飄々と受け流そうとするルクレールに対し、アンダースはポケットから十字架のペンダントを取り出すと、それを投げ渡した。
「はぁ……。じゃあ貰っときますけど、売ったら不信心だって怒られませんかね?」
信仰心のないアンダースにとってはただの高価な装飾品に過ぎないが、買い取る人間がいれば、それなりの値はつくだろう。金に糸目をつけぬ輩というのは、どの界隈にも存在する。
「国に帰ったら、追加でいくらでも払ってやる! さっさと仕事しろ!」
アンダースは再びルクレールを怒鳴りつけた。ルクレールは困惑しつつもペンダントを受け取ると、部隊を率いて殿へと向かって行った。
混沌とする戦場に、白炎が燃える。その混沌を切り裂き、薄汚い胸甲騎兵が、白炎をまとい駆ける。
月盾騎士団と同じく、黒騎兵も朝から戦い詰めであり、ボロボロのはずである。しかし、サーベル片手に果敢に白兵を挑むその動きは、未だ恐ろしく統率されている。その目に宿る炎に至っては、同じ人間とは思えぬほどにぎらついている。
イカれた戦闘狂どもが、つき合ってられるか──アンダースは、こめかみの血を拭った。しばらくして流血は治まったが、手袋にうっすらと付着した血糊は、どんなに拭っても取れなかった。
早く帰ろう──アンダースは馬首を返すと、先頭切って帰路に着いた。
戦場が、冬が、白炎に燃える。皇帝グスタフを讃える喚呼とともに、銃火が唸り、血濡れた刃が殺意を迸らせる。
帝国軍第三軍団の、黒騎兵の攻勢を受け止めるのは、これで何度目になるだろうか?
こいつらいつまで戦い続けるつもりだ? ──それが、アンダースの率直な思いだった。
騎士団の誰もが、疲弊しきっていた。アンダースも、すでに手持ちの弾と火薬は尽きている。補充もない。
朝から戦い詰めである。昼食を取るどころか、小休止すらできていない。それでも、騎士団の指揮を引き継いだディーツが、共同戦線を張るハベルハイムが、攻撃以外の命令を下すことはない。
ここを突破できれば、勝てる──月盾騎士団の誰もが、教会遠征軍の誰もがそれを夢想ながら、すでに半日が過ぎていた。
そしてまた、黒竜旗の波が動く。
迷いのない、真正面からの攻勢。ただ、僅かだが、敵の戦列は斜行している。
まだ何か仕掛けてくるのか──敵が見せる僅かな機微に、アンダースは驚き、感嘆し、そして呆れた。
「クリスタルレイク側にこちらを追い込むつもりだ! 回り込まれぬよう、黒騎兵の動きを止めろ!」
「無理っすよ……。もう走れませんって……」
「元気そうな奴を行かせろ! 疲れてんのは敵も同じだ!」
完全にやる気を失っているルクレールを怒鳴りつける。重い足取りで、ルクレールの部隊が敵に向かう。
部下たちは懸命に戦っているが、しかし敵の勢いは、完全にこちらを上回っている。
敵は、温存していた一千の予備歩兵隊も投入し、勝負を決めようとしている。対して、こちらにはもう手札がない。兄ミカエル麾下の分離と、断続的な損害により、騎士団の残兵も二千騎を切っている。
初期の攻勢で敵戦線を押し込んだところまではよかったものの、そこで決定打を穿てなかったのが痛すぎた。戦列は保てているが、しかし現状は敵の反撃を受け止めるだけで精一杯である。実態は、進むも退くもできないと言った方が正しい。
前進できぬのなら、後退するしかない。しかし、後退戦は難しい。うまく移行できればいいが、現状の形勢では、後退がそのまま敗走に変わる危険性が高い。
さらに、帝国軍第三軍団は、依然として極彩色の馬賊を温存している。
極彩色の馬賊には、強き北風のオッリが単騎で突っ込んできた以外、目立った動きはない。つまり、あの狂猛な暴風が吹き荒れた瞬間に、クリスタルレイク西岸戦線の勝敗は、月盾騎士団の運命は、決定する。
後退が難しい以上、極彩色の馬賊が動き出す前に突破する以外、活路はない。今、極彩色の馬賊の突撃を受けきれるだけの体力は、教会遠征軍にはない。
しかし、アンダースはほとんど諦めかけていた。
いや、決して勝利を諦めているわけではない。ただ、いつ終わるとも知れぬ戦いに辟易し、延々続く殺し合いに飽きているのは事実だった。
アンダースは上級将校の同僚であるウィッチャーズと、絶えず連絡を取り合った。ただ、どうしたものかと顔を見合わせても、打開策はなかった。
耐えず前線に身を置く同僚は、敵と同じように薄汚れていた。しかしその眼光は、この場にいる誰よりも鋭く、またうっすらと笑っているようにも見えた。
かつて、〈帝国〉で働いていた元傭兵は言った──北部の過酷な気候ゆえか、〈帝国〉の将兵は、伝統的に精強である。そして今、その中でも最もしぶとく、打たれ強く、諦めの悪い将を、我々は相手にしている。この不撓不屈の意志こそが、黒騎兵の、マクシミリアン・ストロムブラードの戦い方である、と。
なぜか楽しそうにも見える同僚に呆れ、アンダースはまた騎兵帽の被りを直した。
そのとき、ディーツ配下の情報将校が、血相を変えて駆けてくた。
「ディーツ様が負傷しました……! どちらかが代わりに指揮を……!」
疲労で弛緩していた空気が、一瞬で凍りつく。この場にいる全員の視線が、上級将校であるアンダースとウィッチャーズに向けられる。
「はっきりしろ! どちらが指揮を引き継げばよい!?」
「深手を負っていましたので、そこまではっきりした命令は……」
歯切れの悪い伝令に、ウィッチャーズが舌打ちする。続く言葉は、誰の口からも出てこない。
重苦しい風が、体にまとわりつく。
ほんの僅かの、沈黙の間──その刹那に、アンダースは諦めた。
「撤退だ! これより月盾騎士団は、当戦線を離脱する!」
煮え切らない空気に業を煮やし、アンダースは独断で命令を下した。
「ちょっと待って下さい! 騎士団長の命令をお忘れか!? 苦境とはいえ、我らはまだ戦える! 戦えるのに、勝利を放棄することなどできない!」
当惑する部下たちをよそに、ウィッチャーズが真っ向から異を唱える。
「よく考えろよ、ジョー。月盾騎士団の存続が第一だ。リンドバーグらのようにむざむざ玉砕し、父上に何と顔向けする気か?」
死人の思い出などどうでもよかったが、ウィッチャーズを説得するために引き合いに出した。傭兵から騎士に取り立てられたウィッチャーズは、父ヨハンに恩義がある。
「ですが……! 撤退するにしても、まずは騎士団長に連絡するべきです!」
「伝令を出して、返事を待つ時間があると思うか?」
「騎士団長の弟とはいえ、独断行動が過ぎます! この状況で我らだけ退却するなど、騎士団長に何と説明する気ですか!?」
「この状況を見てみろよ。説明しなくてもわかるだろ?」
「この劣勢の中で戦線を放棄すれば、ハベルハイム将軍やヴァレンシュタイン元帥には敵前逃亡とも取られ兼ねません! いくら騎士団が独立遊撃部隊とはいえ、今後の信用問題にもなりますよ!?」
感情的に声を荒げる同僚に対し、撤退以外に良い代案があるのかと問い質したかったが、そこまで責めることはしなかった。部下たちの前で面罵するのは、さすがに酷である。
そもそも、意見を聞く気もなかった。いくら上級将校の同僚とはいえ、ウィッチャーズは元傭兵に過ぎない。副官のディーツが倒れた今、いや、騎士団長の兄がこの場を離れた今、騎士団でもっとも発言力があるのは、〈教会五大家〉ロートリンゲン家の子息のアンダースである。
「ときには諦めも肝心だ。勝てぬのなら、せめて騎士団の犠牲を少なくせねば」
ウィッチャーズやその配下は戦闘継続を主張したが、アンダースは大局を見定めるよう、冷静に諭した。
退き際が肝心とは、よく言ったものである。今は、いくら意地になっても勝てない。そして止めどきを見失えば、待っているのは破滅である。
部下たちの返答を待たず、アンダースは撤退の鼓笛を打たせた。ウィッチャーズは目では反対を訴えていたが、撤退の合図が出ると素直に従った。
そのときだった。撤退の合図を目ざとく聞きつけたのか、血と泥と硝煙に塗れた薄汚い騎兵隊が、猛然と突っ込んできた。
あれは、黒騎兵か? ──血濡れたサーベルを手に斬り込んでくる騎兵は、〈帝国〉の黒竜旗がなければ、それさえも判別できぬほどに薄汚れていた。
また、人馬がぶつかる。
殴り合いの様相を呈する斬り合いの中、鬼気迫る表情でアンダースに迫る一騎が、いきなり何かを投げつけてくる。
飛んできたのは、兜だった。
躱そうとしたが、うまく避けきれなかった。咄嗟に刺剣を出して防いだものの、投げつけられた兜は頭にぶつかり、こめかみからは血が出た。
あまりになりふり構わぬ戦いぶりに、アンダースはほとほと嫌気が差した。
「ルクレール! 殿軍を任せる! 敵を押し返せ!」
こめかみから流れる血を拭いながら、アンダースはルクレールの名を呼んだ。
「えぇ……。俺っすか……?」
「金ならいくらでも払ってやる! ほら、とりあえずの前金だ! 取っておけ!」
いつも通り飄々と受け流そうとするルクレールに対し、アンダースはポケットから十字架のペンダントを取り出すと、それを投げ渡した。
「はぁ……。じゃあ貰っときますけど、売ったら不信心だって怒られませんかね?」
信仰心のないアンダースにとってはただの高価な装飾品に過ぎないが、買い取る人間がいれば、それなりの値はつくだろう。金に糸目をつけぬ輩というのは、どの界隈にも存在する。
「国に帰ったら、追加でいくらでも払ってやる! さっさと仕事しろ!」
アンダースは再びルクレールを怒鳴りつけた。ルクレールは困惑しつつもペンダントを受け取ると、部隊を率いて殿へと向かって行った。
混沌とする戦場に、白炎が燃える。その混沌を切り裂き、薄汚い胸甲騎兵が、白炎をまとい駆ける。
月盾騎士団と同じく、黒騎兵も朝から戦い詰めであり、ボロボロのはずである。しかし、サーベル片手に果敢に白兵を挑むその動きは、未だ恐ろしく統率されている。その目に宿る炎に至っては、同じ人間とは思えぬほどにぎらついている。
イカれた戦闘狂どもが、つき合ってられるか──アンダースは、こめかみの血を拭った。しばらくして流血は治まったが、手袋にうっすらと付着した血糊は、どんなに拭っても取れなかった。
早く帰ろう──アンダースは馬首を返すと、先頭切って帰路に着いた。
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