68 / 97
第八章 クリスタルレイクの戦い
8-6 二人の騎士 ……マクシミリアン
しおりを挟む
止まることを知らぬ流血が、粉雪を染めていく。
ゆっくりと、虚な意識が覚醒していく。そして、痛みが襲ってくる。
幸い、手足は動いた。指先まで、欠損はなさそうだった。出血している感覚もなかった。
体中に浴びた血は、馬の血だった。乗っていた馬は、腹から臓物を撒き散らし死んでいた。
胸甲の横腹は、へこんでいた。肋骨は確実に折れているが、それでも呼吸はできた。しかし、馬を叩き殺し、胸甲をへこませるほどの衝撃を受け、なぜ生きているのかは不思議だった。
人面甲の騎士の大剣には、焼かれた騎士の紋章が巻きついていた。どうやら、自身のマントが都合よく絡みつき、大剣の衝撃を緩和したようだった。
マクシミリアンは顔を拭い、体を起こした。しかし、兜を被り直した瞬間、人面甲の騎士と目が合ってしまった。
大剣が唸り、焼かれた騎士のマントが霧散する。獲物を捉えた人面甲の奥の瞳が、狩人の如くぎらつく。
そのときだった。黒い影が、宙を舞った。
護衛である無口な影が、人面甲の騎士に跳びかかる。そして、短剣を甲冑の関節に突き刺し、その動きを拘束する。
「そのまま押さえとけ!」
活路があるとすれば、前だけだ──マクシミリアンは鎧通しを抜くと、再び人面甲の騎士に突っ込んだ。
しかし、均衡はあっという間に崩れた。人面甲の騎士は、雄叫びとともに無口な影の拘束を解くと、背後に腕を回し、紙でも引きちぎるかのように、黒いローブを真っ二つにした。
血の雨が降る。異国の黒いローブが、血と臓物を撒き散らす。人間だった塊が投げつけられ、再び地面に膝をつく。
覆面の奥から、物言わぬ瞳がこちらを見る。
どう見ても死んでいた。いくらこの女が暗殺者であり、数多の暗技に精通しているとはいえ、生きている姿は想像できなかった。
己の弱さを、愚かさを、矮小さを、マクシミリアンは嘆いた。
この者たちに、勝利を、不滅の栄光を与えたいと願ったにも関わらず、結局は己の下らぬ意地に囚われ、大局を見失った。血に酔い、泥に塗れ、地に落ちた。命を懸けて戦ってくれた者たちに、何一つ与えてやれなかった。
指揮官としては失格だった。それでも、その責を負い、潔く死を選ぶという選択肢はなかった。
命果てるまで、俺は戦う。これまでも、そしてこれからも──その一念のみで、マクシミリアンは顔を上げた。
無数の馬蹄が近づいてくる。剣戟の音は遠く、もはや周囲に味方はいない。
人面甲の騎士の背後から、月盾の騎士たちがやってくる。路傍の石でも見るような視線が、馬上から注がれる。
「名もなき雑兵よ。憐れなる戦いの犠牲者よ。己の運命を嘆くな。全ては神の思し召しだ」
無数の視線の中心で、若き月盾の騎士がマクシミリアンを見下ろす。将校用兜の錣から金色の長髪を靡かせ、前時代的な古めかしい直剣を手にした、いかにも高貴な騎士を体現する青年が、悠然と馬を進めてくる。
一目で見て、その男が月盾の長だとわかった。
しかし、当のミカエル・ロートリンゲンは、こちらが誰なのかわかっていないようだった。恐らく、目の前の相手が黒騎兵の隊長だとは、ヨハン・ロートリンゲン元帥の敗北を決定づけた男だとは、高貴なる者たちに蛇蝎の如く忌み嫌われる騎士殺しの黒騎士などとは、毛ほども思っていないのだろう。
そもそも、燃え盛るその青い瞳には、何も映っていなかった。確かにマクシミリアンを見下ろす月盾の長は、しかし何も見てはいなかった。
マクシミリアンは体を起こすと、唾を吐き捨てた。
端的に言えば、何もかもが癇に障った。特に、ミカエル・ロートリンゲンのことは、ことさら気に入らなかった。雑兵扱いされたことよりも、あからさまに上流階級の血族といった見た目の方が、遥かに気に喰わなかった。
感情の赴くまま、マクシミリアンは地面の泥を手に取ると、若き月盾の騎士に投げつけた。泥は古めかしい直剣に弾かれ、その貴人の横顔を汚すことはなかった。
しかし、泥を受けた瞬間、その高貴なる青い瞳はおぞましいほどに歪んだ。そこには騎士らしい品格は微塵もなく、ただただ醜かった。
「恥知らずな……。所詮は冒涜者の手下か……。汚らわしい……」
その反応を見て、マクシミリアンは嗤った。いくら気高く誇り高い騎士であろうとしても、所詮は俺と同じ人間なのだと思えた。
「卑しき者よ。お前のような羽虫には理解できないだろうが、正義は必ず果たされねばならん。死してその罪を贖い、義を果たせ」
燃えるような青い瞳が、こちらを睨む。言葉の端々に憎悪が滲み、品位ある顔立ちが殺意に歪む。
「神の依り代たる十字架よ。今ここに、悪逆なる〈帝国〉に正義を下します。〈黒い安息日〉に、我が父の死に、どうか報いを……。そして、騎士の誇り汚したる冒涜的存在に、死のお慈悲を……」
義だの神だの、戦場のど真ん中で何をベラベラ喋ってるんだこのガキは……。それが率直な思いだった。
「こっちは自分の仕事をしただけだ……。それなのに、どいつもこいつも冒涜者呼ばわりしやがって……。ふざけんなクソ野郎……」
この手の信心深い馬鹿を殺すのは生きがいだったし、現に殺してやりたかった。だが、もはや立ち上がるだけで精一杯だった。
それでも、マクシミリアンはサーベルを拾い、構えた。
若き月盾の長が、古めかしい直剣を振り上げる。
「羽虫が足掻くな」
若造が。簡単に殺せると思うなよ──。
そのときだった。どこからか、風が吹いた。
刹那、そばにいた人面甲の騎士が、若き月盾の長の体を弾き飛ばす。
そして次の瞬間、唸る矢が、人面甲の騎士の馬を貫いた。
馬鎧ごと馬の首を貫かれ、もんどり打って転倒する巨漢の人馬をよそに、誰もが同じ方向を見た。
血が、視界に滲んだ。
風が唸り、吹き荒ぶ。血を帯びた極彩色の風が、戦場を飛翔する──俺が憧れ、追い求めたもの──強き北風は、今まさに血路を開き、現れた。
ゆっくりと、虚な意識が覚醒していく。そして、痛みが襲ってくる。
幸い、手足は動いた。指先まで、欠損はなさそうだった。出血している感覚もなかった。
体中に浴びた血は、馬の血だった。乗っていた馬は、腹から臓物を撒き散らし死んでいた。
胸甲の横腹は、へこんでいた。肋骨は確実に折れているが、それでも呼吸はできた。しかし、馬を叩き殺し、胸甲をへこませるほどの衝撃を受け、なぜ生きているのかは不思議だった。
人面甲の騎士の大剣には、焼かれた騎士の紋章が巻きついていた。どうやら、自身のマントが都合よく絡みつき、大剣の衝撃を緩和したようだった。
マクシミリアンは顔を拭い、体を起こした。しかし、兜を被り直した瞬間、人面甲の騎士と目が合ってしまった。
大剣が唸り、焼かれた騎士のマントが霧散する。獲物を捉えた人面甲の奥の瞳が、狩人の如くぎらつく。
そのときだった。黒い影が、宙を舞った。
護衛である無口な影が、人面甲の騎士に跳びかかる。そして、短剣を甲冑の関節に突き刺し、その動きを拘束する。
「そのまま押さえとけ!」
活路があるとすれば、前だけだ──マクシミリアンは鎧通しを抜くと、再び人面甲の騎士に突っ込んだ。
しかし、均衡はあっという間に崩れた。人面甲の騎士は、雄叫びとともに無口な影の拘束を解くと、背後に腕を回し、紙でも引きちぎるかのように、黒いローブを真っ二つにした。
血の雨が降る。異国の黒いローブが、血と臓物を撒き散らす。人間だった塊が投げつけられ、再び地面に膝をつく。
覆面の奥から、物言わぬ瞳がこちらを見る。
どう見ても死んでいた。いくらこの女が暗殺者であり、数多の暗技に精通しているとはいえ、生きている姿は想像できなかった。
己の弱さを、愚かさを、矮小さを、マクシミリアンは嘆いた。
この者たちに、勝利を、不滅の栄光を与えたいと願ったにも関わらず、結局は己の下らぬ意地に囚われ、大局を見失った。血に酔い、泥に塗れ、地に落ちた。命を懸けて戦ってくれた者たちに、何一つ与えてやれなかった。
指揮官としては失格だった。それでも、その責を負い、潔く死を選ぶという選択肢はなかった。
命果てるまで、俺は戦う。これまでも、そしてこれからも──その一念のみで、マクシミリアンは顔を上げた。
無数の馬蹄が近づいてくる。剣戟の音は遠く、もはや周囲に味方はいない。
人面甲の騎士の背後から、月盾の騎士たちがやってくる。路傍の石でも見るような視線が、馬上から注がれる。
「名もなき雑兵よ。憐れなる戦いの犠牲者よ。己の運命を嘆くな。全ては神の思し召しだ」
無数の視線の中心で、若き月盾の騎士がマクシミリアンを見下ろす。将校用兜の錣から金色の長髪を靡かせ、前時代的な古めかしい直剣を手にした、いかにも高貴な騎士を体現する青年が、悠然と馬を進めてくる。
一目で見て、その男が月盾の長だとわかった。
しかし、当のミカエル・ロートリンゲンは、こちらが誰なのかわかっていないようだった。恐らく、目の前の相手が黒騎兵の隊長だとは、ヨハン・ロートリンゲン元帥の敗北を決定づけた男だとは、高貴なる者たちに蛇蝎の如く忌み嫌われる騎士殺しの黒騎士などとは、毛ほども思っていないのだろう。
そもそも、燃え盛るその青い瞳には、何も映っていなかった。確かにマクシミリアンを見下ろす月盾の長は、しかし何も見てはいなかった。
マクシミリアンは体を起こすと、唾を吐き捨てた。
端的に言えば、何もかもが癇に障った。特に、ミカエル・ロートリンゲンのことは、ことさら気に入らなかった。雑兵扱いされたことよりも、あからさまに上流階級の血族といった見た目の方が、遥かに気に喰わなかった。
感情の赴くまま、マクシミリアンは地面の泥を手に取ると、若き月盾の騎士に投げつけた。泥は古めかしい直剣に弾かれ、その貴人の横顔を汚すことはなかった。
しかし、泥を受けた瞬間、その高貴なる青い瞳はおぞましいほどに歪んだ。そこには騎士らしい品格は微塵もなく、ただただ醜かった。
「恥知らずな……。所詮は冒涜者の手下か……。汚らわしい……」
その反応を見て、マクシミリアンは嗤った。いくら気高く誇り高い騎士であろうとしても、所詮は俺と同じ人間なのだと思えた。
「卑しき者よ。お前のような羽虫には理解できないだろうが、正義は必ず果たされねばならん。死してその罪を贖い、義を果たせ」
燃えるような青い瞳が、こちらを睨む。言葉の端々に憎悪が滲み、品位ある顔立ちが殺意に歪む。
「神の依り代たる十字架よ。今ここに、悪逆なる〈帝国〉に正義を下します。〈黒い安息日〉に、我が父の死に、どうか報いを……。そして、騎士の誇り汚したる冒涜的存在に、死のお慈悲を……」
義だの神だの、戦場のど真ん中で何をベラベラ喋ってるんだこのガキは……。それが率直な思いだった。
「こっちは自分の仕事をしただけだ……。それなのに、どいつもこいつも冒涜者呼ばわりしやがって……。ふざけんなクソ野郎……」
この手の信心深い馬鹿を殺すのは生きがいだったし、現に殺してやりたかった。だが、もはや立ち上がるだけで精一杯だった。
それでも、マクシミリアンはサーベルを拾い、構えた。
若き月盾の長が、古めかしい直剣を振り上げる。
「羽虫が足掻くな」
若造が。簡単に殺せると思うなよ──。
そのときだった。どこからか、風が吹いた。
刹那、そばにいた人面甲の騎士が、若き月盾の長の体を弾き飛ばす。
そして次の瞬間、唸る矢が、人面甲の騎士の馬を貫いた。
馬鎧ごと馬の首を貫かれ、もんどり打って転倒する巨漢の人馬をよそに、誰もが同じ方向を見た。
血が、視界に滲んだ。
風が唸り、吹き荒ぶ。血を帯びた極彩色の風が、戦場を飛翔する──俺が憧れ、追い求めたもの──強き北風は、今まさに血路を開き、現れた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる