Another Dystopia

PIERO

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2034年8月 幕引き(会)

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 俺たちは廊下を進む。ただそれだけなのに胸の中での緊張感が増していく。だが、この沈黙に耐えきれなくなったのはやはりというか当然の彼だった。

「無言は苦しいぞ兄弟!
何か面白い話題を上げないか!?」

「無茶ぶりにもほどがあるぞ!?」

「いや、そうでもないぞ。
例えば、『この一件が解決してから俺と聖は結婚するぞ』みたいなことを言ってくれれば場が和むというものだ」

「死亡フラグって知っているか嘉祥寺?
少なくとも、この場では絶対に言わないからな」

「ほう、『この場では』か。
いいことを聞かせてもらった。
アダム、式の準備を我らで整えようではないか」

「そうですね!場所はどこがいいでしょうか?
やっぱり会社の近くがベストですか?」

「いや、ここは都内の中でも最上級のものを…」

 無言の空気から一変し、普段の空気に戻る。悪く言えば緊張感がないが、よく言えばリラックスできているというべきだろう。
 会話の内容自体はかなり呆れてるものだが、俺自身もかなり心の余裕ができた。ありがとうと一こと伝えようとしたとき、二人から先ほどの会話の続きをする。

「兄弟よ。
子供は何人作る予定だ?
我は何人でも問題ないがな!」

「…嘉祥寺場所を考えてくれ」

「あたしもそれは気になる!
あれ、マスターの子供はあたしにとって…何だろう?」

「…はあ、場所を考えてくれ。頼むから」

 前言撤回。雑談に夢中になりすぎて気が緩みすぎている。こんな状況で大丈夫なのかと思った直後、ようやく目的の部屋に辿りつく。
 俺がとらわれていた牢獄の隣。正直に言ってしまえば嫌がらせとしてはこれ以上ない場所だが、それだけである。二人は心配そうに俺を見ていたが、問題ないと言った後、隣の部屋の扉を開ける。
 何者かが立ち寄った後なのか部屋の電気はついたままである。そして部屋の中央にはやけに大きなデスクトップパソコンが置かれている。
 ディスプレイには世界地図が展開されており、画面には点々と赤い光が点滅している。ふとその点滅が何か推測できた俺はそのパソコンを操作して日本を拡大する。

「やはり。これはチープハッカーがどこにいるかを示しているアプリか。
だが、東京周辺に点滅がないのはどういうことだ?あのチープハッカーが本体だから表示されないという理由ならわかるが…」

「兄弟よ。
それなら、小林がすべて塵に還したからだ。
分身体のチープハッカーが東京内の全ての戦力をもって我らを滅しようとしたとき、小林が救出してくれた故、それが原因だ」

 その理由を聞き、俺は納得する。
 俺はパソコンを操作し、ほかに何ができるか調べているとその中で最も重要そうなものを見つけ出す。『惑星Tの降下中止』。ほかの機能が実行されている中、これだけが赤文字で表示され、警告メッセージが出ているということはおそらくこれが元凶を止める方法なのだろう。
 俺はすぐにそのメッセージを実行しようとすると膨大な警告音と共にタイマーとメッセージが表示される。

「ああ、もうめんどくさい!」

「兄弟どうした?」

「これを止めるには暗証番号が必要らしい。
そしてその暗証番号はこのプログラムを解読した先にある。
幸い、制限時間は三十分。少し手間がかかるが、解読するのに時間はそうかからない。
すぐに解読するから少し待ってくれ」

 俺は近くの椅子引き寄せそれに座ると、パスワードを解読するため、ソフトの解読作業を行う。時折、嘉祥寺が解読中のソースを読み、ここじゃいないかと指摘する。
 アカネは周辺を警戒し、誰か来ないか確認している。このまま集中すればすぐに終わる。そう思っていた。



「おい、あんたが教授か?大丈夫か?」

 小林たちは最上階に辿りつくと部屋の奥に血だらけで寝転んでいる人物を発見する。中田はすぐさま救急車を呼び、時崎の様子を確認する。だが、時崎の様態は丁寧に応急手当されていたのか、出血はしていない。最も、このまま放置していれば危ういには変わりないが。

「…伊吹。すぐに部下に連絡を取って頂戴」

「おう。にしても、やられたな。
まさか窓を破って逃げるとは」

 小林と伊吹は割られた窓を茫然と見る。最上階に繋がるエレベーターが一つしかなく、エレベーターからこの部屋まで一本道であったため、チープハッカーに遭遇しないというのはあり得ない。
 もし遭遇しないのであれば部屋に待機しているか。あるいはこのように窓から飛び降りて脱出したか。後者のほうを想定していなかったわけではなかったが、まさか本当に行動するとは思わなかった小林はため息をつき、部屋を探ろうとした。

『おいおい、俺を無視するとはずいぶん寂しいことするじゃないか』

 三人は声の先を振り向く。するとそこにはボールペンの人型であるチープハッカーがそこにいた。小林はすぐに臨戦態勢入るが、チープハッカーは降参したように手を挙げる。

『待ってくれ。俺は戦うつもりはない。
第一、本体じゃない俺を切ったところで徒労に終わるだろう?まあ、そこまで遊びたいっていうならやぶさかでもないが…』

「…いいわ。今のあなたを切っても楽しくないもの。
それで、なんで残ったのかしら?」

『残った理由はちゃんと教授が救出してくれるか確認するためさ。
一応、生みの親なのでね。これくらいは罰は当たらないだろう』

 するとチープハッカーの肉体が徐々に変化し、最終的には雀のような小さな鳥に変化する。この場に用がなくなったチープハッカーはその場から飛び去ろうとしたとき、独り言のようにつぶやく。

「ああ、そうだ。弁田君に一言伝えておいてくれないかな。
もし、生きていたらまた今度どこかでお茶でもしないかって」

 その言葉を最後にチープハッカーはその場を後にする。含みのある言い方だったため、伊吹はどういう意図なのか考えようとした直後、風が奔る。
 すると、部屋の書物が切り刻まれ、本棚が崩壊する。突然の行動に中田と伊吹は驚きつつも怒気を含めて文句を言う。

「何しやがるんだ!?いきなり刃物振り回すんじゃねえ!」

「こればかりは一理あるな。
せめて一言言ってくれよ佐夜」

 しかし、二人の言葉など聞かないで、別の本棚を切り刻む。最終的にはこの部屋にある本棚すべてを切り刻んだ。一見何をしているのか理解できない行動に二人は疑問符を浮かべるような顔をしていたが、小林は真剣な表情で中谷話しかける。

「中田さん。教授を起こすことは可能かしら?」

「医者じゃない俺が言われても答えられないんだが…。
多分無理じゃないか?出血がひどいし…」

 すると小林はてちてちと歩き、突如教授の胸倉を掴む。負傷者の扱いとしては最悪の方法である。加えて、意識を呼び覚まそうと時崎の頬をぺちぺちと叩く。

「ちょ!?」

 突然の行為に中田は小林の行っている行動を止める。小林は不思議そうな表情で中田を見る。

「なんで?っていう表情で見ても起こし方というものがあるだろ?
いやいやそれ以前に気絶している負傷者を叩き起こすなんて馬鹿なことをするな!
常識的に考えてもあり得ないだろ!?」

「え?だって教授はもうこちら側の人間よ。なら、どんな扱いをしても問題ないわ。
それに、ちょっと悠長なことしている暇はないのよ」

「悠長?どういうことだ?」

 すると小林は周囲を見渡しながら話し始める。

「少し嫌な予感がするのよね。一年前、海外から取り寄せた物、デーモンコアがどこにも見当たらないのよ。少なくともそれがどこにあるか見つけない限り、安堵できないわ」



 パソコンを叩き始めて十数分後、ソースの解読が殆ど完了し、残るは三割となった。
 今のところ、妨害するものは誰もいない。このまま順調に進めば問題なくパスワードを獲得することができるだろう。

「兄弟。
もうすぐ解読が完了できるのか?」

「ああ、ややこしいところはだいぶ終わった。
あと少しで解除することができるはずだ」

 ジグソーパズルのように少しずつ目星がついてきた。手ごたえ敵にはあと三分も必要ないだろう。そう思っていた直後、最後のファイルを開く。
 そして俺はそのプログラムを読み始める。だがそれを読み込んだ直後、驚きを隠せなかった。

「…なんだと?」

「どうした兄弟」

「嘉祥寺。驚かないで聞いてほしい。
この最後のプログラム。言語が他のと違う。まあ、そこまではいい。問題なのはこのプログラムに使われている言語はVelu言語だ」

 その言葉に嘉祥寺は驚愕を隠せなかった。Velu言語は嘉祥寺が編み出した独特の言語だ。これを使いこなすのにはかなり時間がかかる。俺ですらタイムリープ前で五年以上使ってようやく慣れた代物だ。
 なのにこの言語を使っている。いや、それは問題ない。問題なのは。

「いつこの言語が漏洩したんだ?嘉祥寺、言語の管理はしているよな?」

「ああ。
我の財産はそう簡単に見つけることはできん。
第一、ネットではなくハードディスクに保管している。
ネットを介した情報ではハッキングしたとしても不可能に近い」

「…全く仕方ないが、この問題は後にしよう。
幸い、解読そのものには時間はかからない」

 俺はキーボードを再び叩き始める。Velu言語は俺の中で最も得意言語だ。加えて、システムそのものも基本だけを入れただけの単純な構造である。今に限ってありがたいと感じつつ、プログラムの解読を進める。
 そしてプログラムの解読を進め、解除していく中で俺は気になるソースが隠されていることに気づく。不安要素は少しでも解読しようと考えた俺はそのソースを読み込む。

「…」

 俺はそのソースを読み、胸の内で葛藤し、恐怖し、全てを悟り、微笑する。いつかの予言。記録しか残っていない誰かの予言。アダムしか覚えていないその予言。今に来たと。
 このソースに気が付いてよかったと安堵する。すると隣にいた嘉祥寺は俺の異変に気が付いたのかすぐに話しかける。

「どうした兄弟?何かおかしなところがあったのか?」

「いや、このプログラムを組んだ人間が巧妙に罠を隠していたからちょっと笑っただけだ。
まあ、ずさんでお粗末なものだけどな」

「嘘だな。その瞳孔は何かをあきらめてたような表情だ。
何かあったのか?」

 だませればよかったと俺は初めて相棒に最悪な考えを浮かばせてしまう。できればこのまま嘘を伝えてやり過ごせばよかったと思った。しかし、俺の相棒はかなり優秀だった。
 俺の表情一つで嘘だと見破った。

「…流石嘉祥寺だな。
仕方ない。アダムを呼んでくれ。彼女が必要だ」

 すると嘉祥寺は大声で廊下で見張りをしているアダムを呼ぶ。するとアダムは元気な声と同時に駆け寄ってくる。俺はその光景を焼き付け、三人がそろったところで話を始めようとする。

「マスター、解除できたの?」

「いや、まだだ。
ちょっとトラブルがあったからアダムに協力してもらおうと思っているんだ」

 子供のような表情でアダムは耳を傾ける。もしかしたら別の手段があったかもしれない。だが、限られた時間の中で最善な手段はこれしかないと思い。俺は心の中ですまない謝罪する。

「管理者権限として命じる。
『嘉祥寺を連れてこの場から去れ』」

 その言葉に嘉祥寺は驚愕の表情と共に俺に問い詰めようとした。だが、それよりもアダムの行動が早かった。先ほどの子供のような感情とは異なり、無機質なロボットとして俺の指示に従って嘉祥寺を速やかに取り押さえた。

「承知いたしました。マスター」

「おい!兄弟!
どういうことだ!
話し合うんじゃなかったのか!」

 暴れている嘉祥寺は取り押さえられているアダムから逃げようとするが、ロボットの力に抵抗できず、捕まってしまう。そしてそのまま部屋から出ていこうとする。
 部屋から出て行った二人を確認し、俺は扉の鍵をかける。しばらくしてアダムの意識も戻ったのか、すぐさま扉からどんどんと乱暴に叩く音が響き渡る。

「マスター!?なんでこんなことをしたの!?」

「おい弁田!
ちゃんと説明しろ!出ないとまじで怒るぞ!」

 二人の怒声を聞き、俺は少しだけ後悔する。説明してしまえば二人に負担がかかってしまうのではないかと。だからこそ、俺は何も言わないままデスクトップパソコンの前に立つ。
 犠牲になるのは何も一人でいい。俺はそう決心し最後のプログラムの解読が完了する。全てのパスワードの解読が完了し入力しあとはボタンを押すだけとなった直後、画面に警告の文字が現れる。
 『プログラムの終了と同時にこの部屋のデーモンコアが起動しますがよろしいでしょうか』という悪魔の警告。つまり、このプログラムを止めるものは間違いなく死ぬということである。
 アダムにこの操作を任せるという手段も考えたが、パスワードの入力方法は特定のVelu言語の法文を入力してから数秒以内に入力しなければならないという厄介極まりないものだったため、アダムにはそんなことはできない。
 故にこの手段をとった。俺はワンタイムパスワードをすぐに入力できるようにVelu言語を起動しようとしたとき、部屋の隅から一匹のネズミが現れる。

「…チープハッカーか。人の死にざまを見に来たとは趣味が悪いな」

『まあな。だが、想定通りだった。
弁田君は大切な人間のために自分の命を懸けることができる人間だからね。
だからこそ問いたい。なんで他人のために命を懸けることができるんだ?』

 宿敵のチープハッカーを前に俺は考える。今までは未来を変えるためなら命を懸けてもいいと考えていた。しかし、今は違う。俺は単純明快にその理由をチープハッカーに答える。

「大切な人だからだ。俺の命以上に大切な人だから命を懸けることができる。
それだけだ」

『…そうか。そんな答えか。
まあ、納得した』

 チープハッカーの質問に答えた俺はVelu言語でプログラムを起動する。すると画面にワンタイムパスワードが表示されすぐさま俺はそのパスワードを入力し、解除のボタンを押す。

『あばよ。俺の最大の敵よ
未来を変えるために戦い、そして今に敗れたものよ』

 瞬間、俺のいるこの部屋全体に死の青白い閃光が包む。俺はすぐさまその光の根源を断つため、すぐさまデスクトップパソコンを破壊し、内部に仕組まれているデーモンコアを取り除いた。
 直後、部屋中に包まれていた光は収まり、最後には金属が落ちる音だけが床に響き渡った。

「これで…終わったか?」

 直後、俺の全身の力が抜け始めていることが理解した。先ほどの閃光によって肉体が汚染されたのだろう。もう助からない命である。
 だがその前にやらなければならないことがある。俺は鉄の扉を前に待っている二人に声をかける。

「悪い待たせた」

「おい弁田!さっきから反応がなかったが大丈夫なのか」

 嘉祥寺がかけてくれた言葉は怒りではなく心配だった。そのことに俺は優しいと感じつつもすぐにやってほしいことを言う。

「さっきは無理やり締め出して悪かった。
どうやらパスワードを解除したときにこの扉が自動的に鍵がかかってしまう仕組みがあったんだ。
だから無理やりとはいえ、二人には部屋から出て行ってもらった」

「?それならばアダムだけで充分だろう。
なぜ我も?」

「嘉祥寺にはすべて終わったことを小林たちに伝えてほしい。
アカネは何かあると困るからその場で待機してくれ。
あ、それからこの扉を破壊するためにノアを連れてきてくれ」

 すると嘉祥寺は「承知した!」と元気な声を出しその場を後にする。直後、俺の平衡感覚が狂い始めた。徐々に吐き気と熱に襲われ、俺は呼吸を荒くしてその場に座り込む。

「マスター大丈夫?」

「ああ、…大丈夫だ。
悪いがちょっと寝る。来たら起こしてくれ。
悪いな…聖。ちょっと戻れそうにないかも」

 そして俺はその場で眠り始める。全ての気力を使い切り、何も考えることができなくなるほど俺は深く眠りにつく。そんな中、最後に思ったことはただ一つだった。
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