Another Dystopia

PIERO

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2032年8月 秘匿者の感情(中)

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 小林佐夜こばやしさやという少女は俺が大学に通っている中でも異色の人物だった。
 彼女の実家はいわゆるヤのつく自営業らしく、友人は少なかったらしい。最も、家がそうであって彼女自身はごく普通の少女である。
 そんな彼女と久しぶりに会う俺は堀田と一緒に彼女の自宅に向かっていた。堀田の情報曰く、現在は一人暮らしをしているらしいので彼女の実家に行く必要はない。(むしろ行くならば即刻辞めているだろう)

「ところで、小林は今何しているんだ?」

「確か、着物関連の仕事と聞いているざんす。
あと、副業ざんすね。詳しい内容は本人に聞くと一番いいざんすよ」

 しばらくして少し年期が入ったアパートに到着する。見た目の割には建て替え工事を何度もしているためか、思った以上に頑丈そうに見える。そのアパートの一室のインターフォンを鳴らすと女性の声が聞こえ、ガチャリと鍵を外す音が聞こえた。
 ロングヘアーの黒髪のくせ毛、黒縁眼鏡をかけた女性は寝巻のまま寝ぼけた様子で扉をから現れた。化粧らしいものは一切していないのに綺麗な肌は白橋や聖からはきっと羨ましいがられるだろうが、この態度によってものぐさな人物であるという印象を感じさせる。
 しばらくして意識が徐々に覚醒してきたのか、小林の寝ぼけ眼がはっきりと意識を持ち始めた。

「あらら?これは一体何事?というか、ジョー君の隣の人ってもしかして弁田君?
やだ、すごく久しぶりじゃん。っていうか、ちょっと待って今部屋の状況がかなり悪いからもう少しだけ待って!」

 乱暴に扉がガチョンと閉まられ、扉越しからガタゴトと大きな物音が聞こえる。時折、人一倍大きなものと同時に「痛ッ!!」という苦悶も響き渡った。しばらくしてガチャリと扉が空き、佐夜が再び現れた。

「お、お待たせ。話の内容はジョー君からなんとなく聞いているよ。とりあえず、話が長くなりそうだから部屋に入ってよ」

「お、おう。それじゃあお邪魔します…」

 小林の一室はごく普通の部屋であり一人ぐらいする分には充分な広さだった。しかし、体格がいい堀田がいることで若干空間が狭く感じてしまうが。立ち上がって話をしているのも苦痛なので床に座り俺は小林に要件を伝えようとしたが、その前に彼女が嬉しそうに話しかけてきた。

「にしても弁田君は本当に久ぶりだね。HOMEの騒動以来かな?ジョー君とは何度か交流はあったけど…。そういえば会社立ち上げるって本当?すごいよね!どうやって会社を立ち上げたの?というより、その資金とかはどうやって稼いだ?もしかして宝くじ?それとも給料?いやー昔から弁田君はどこかすごいような気がしていたけど。あ、あとこれお茶ね」

「は、話の途中で悪いが、本題に入ってもいいか?あと、お茶ありがとう」

「どうもどうも。それで、話の本題とは?仕事の依頼?」

 俺は差し出されたお茶を飲みながら小林にニューマンの性格を設定してくれという話をした。現段階では感情や知恵が完成しているがそれらの個性を表す性格をまだ設定していない。これから開発するニューマンのAIに経験を積ませることによって性格を育てることは可能だが、数年後という多大な時間がかかってしまう。かといってアダムのようなプロトタイプに即席の性格を設定しても自分たちにはその技術がない。故に、堀田の推薦で小林に可能かというところまで隠さず全てを伝えた。
 全て話し終えると佐夜は渋そうな表情で堀田を睨んでいた。一方で堀田は何か手でジェスチャーをしていたが小林は大きな溜息を一つ吐いた。

「うーん。いくつか質問」

「どうぞ」

「性格を設定するのはいいとして、そのプログラムを私が打ち込めっていう話なら無理だけど?」

「その点に関しては俺がプログラムを作るから安心してくれ。小林にやって欲しいことは単純に性格を作ってほしいだけなんだ」

 小林は何か悩み始めたかのように深くうなり始めた。一体何を迷っているのかと微妙に聞こえない言葉で呟き始めた。

「…………」

「どうした?はっきり意見を述べてくれないと俺も困るんだが…」

「どんな性格になっても文句は言わない?」

「よっぽどやばい性格じゃない限りな。俺が望むのはあくまで常識範囲内の人格だ。
破壊衝動とか殺人衝動、サイコパス的な性格でなければ大体は問題ない」

「よしわかった!その言葉、しっかりと聞いたからね」

 先ほどの様子とは一変し、楽しそうな表情で机の上に座った。一体何を躊躇していたのかわからなかったが、やる気を出して何かを書き始めた。一体何を書いているのかと聞こうとした矢先に堀田が説明をする。

「あれは設定を書いているざんす」

「設定?」

「佐夜氏は大学時代、キャラデザをするのがうまかったざんす。今もその才能を生かしてコミケで本を売っているざんす」

「ふーん。俺には理解できない世界だからよくわからないが、すごいのか」

 すると堀田があり得ないと言いたげな表情でこちらを凝視する。俺は直後に地雷を踏んだなと悟ったが既に時遅く、堀田が語り始めた。

「彼女の作るキャラクターは全年齢版からR版まで何でも作ることができるざんす。というのも佐夜の話曰く、幼少期からずっと妄想ばかりしてその妄想を具体的に描き続けた結果らしいざんす。そのおかげで高校生の頃に新人賞を受賞一歩手前まで審査が進んだらしいけど、内容がちょっと過激すぎて落とされたという過去があったらしくてそれ以降、コミケぐらいにしか本を出す機会がないとかい言い訳を言ってやる気を出していないざんす。あと、弁田氏も知っていると思うざんすけど、彼女は嘉祥寺氏や某と同じ『HOME』の一人であだ名は『妄想だけで逝く変態痴女美人小林』って言われているざんす。ちなみにこのあだ名は割と実話ざんす。あと、書いている本の九割がR指定でその筋の人たちからだと大変好評らしいざんす。無論、某もその一人ざんす。ちなみに、今年のコミケで発売したその本のタイトルがたしか『薔薇の乙女「ちょっと!?さっきから聞いていれば人の黒歴史を次から次へとばらすのやめてくれない!?恥ずかしい通り越して死にそうなんだけど!?いくらジョー君でも怒るよ!?あと、あだ名は嘘ばっかりで事実じゃない!!」

 顔を真っ赤にして涙目なっている小林は堀田を睨め殺すかのような視線で見つめていた。その視線に堀田は法悦な表情を一瞬だけしたが、直後に小林の雰囲気が変わったことを悟り、堀田は沈黙する。
 長い話に付き合わなくてホッとした俺は最後に小林へ俺のメールアドレスと終わったら連絡するようにと書いた紙を机の上に置いておく。案の定、集中してその様子にすら気が付いていない。俺と堀田は集中している小林の家を後にして研究室に戻ろうとしていた。

「それじゃあ、研究室に帰るとするか。そろそろ中田もニューマンの調整を済ませている頃だろう。俺はアダムを回収したらそのまま自宅に帰るが、堀田はどうする?」

「そうざんすね。某はまた泊まり込みでニューマンの調整をするざんす。
あと、佐夜から性格の設定が決まったら某にも教えてほしいざんす。それを知るだけでモチベが上がるざんすから」

 俺は堀田の頼みに対して頷き、そのまま研究室に帰還する。俺の予想通り、中田は既にデータを取り終え、修正している作業の途中だった。俺はそのまま中田にアダムを回収していいかと許可をとると何事もなく中田は頷き、アダムを無事に回収した後、今日のところは自宅に帰っていった。
 後日、この出来事が俺にとって大きな後悔と誤算が生まれることは予想にしていなかった。



 小林に出会って約一週間後、九月に入った。
 あれから研究室に向かおうと足を運んだが、中田や堀田が気が散るという理由で立ち入りを許可されず中に入ることができなかった。一応、研究の進捗はレポートやメールで報告しているため個人的には問題ない。
 小林からも連絡は未だに来ない。性格を設定するという俺には想像できない作業におそらく苦戦しているのだろう。全く仕方のないためにここ最近、俺は現時点でできることに時間を費やしていた。
 最近通販で購入したコーヒーを開封し、お湯が温まるまで窓の景色から街の様子を眺める。かつて住んでいたマンションとは違った景色は賑やかな秋葉原の様子がよく見える。新宿での暮らしも悪くなかったが、ここも過ごしてみて悪くないと思ってきた。

「さてと、それじゃあアダム。早速だが今日も色々勉強をするとしよう」

『マイマスター。今日はどんな話をされるのですか?』

「簡単な常識問題だ。最も、理解度が高いアダムならそう苦戦することはないと思うがな」

 アダムの性格を設定するだけでプログラムはほぼ完成する。しかし、アダムには一つだけ欠けているものがあった。それは現代社会に対する常識である。人工知能であるアダムは演算能力や言葉の理解、物事に対する的確さなどにおいては人間以上の力を発揮するだろう。だが、人間のような道徳は理解していない。より端的に表現するならば人工知能という道具である以上理解する必要がない。だがそれではニューマンの完成とは言えない。
 そのため、俺がアダムに常識や道徳といったものを学ばせているのだ。最も、勉学において一番の適任である白橋は仕事で忙しく、嘉祥寺を含む他はアレだから俺しか教える人物がいないというのも理由の一つだが。
 その成果もあって、アダムは小学生並みだが基本的な常識をインプットしてくれた。簡単な道徳の問題ならば回答できるし、ニューマンプログラムに組み込まれている考えるプログラムによって少し変則的な状況においてもある程度普遍的な回答ができるようになっている。
 そんな勉強を日に一時間調子がいい時は二時間、その後学習結果によるプログラムの調整に一時間、この一週間はそんな日々である。この状況を平和という言葉が一番適しているが破滅への未来までの道は徐々に進んでいることは確かである。
 しかし、この停滞していた平和もようやく進行する。インターフォンが鳴り、俺は画面に映っている人物を確認する。しばらくしてその人物、嘉祥寺が扉をノックして俺の部屋に入ってくる。

「せめてノックして俺が来るまで待ってくれよ」

「それは失念していた。
高揚する我のこの感情を抑えられなかった。
久しぶりだな戦友。
長き戦が終わりようやくこの居城へ参上できたぞ。
だがしばらく見ないうちに俺が知っている光景とだいぶ変わったか?」

「そりゃあ、引っ越しからだいぶ時間が経過したからな。
家具は置いたし、荷物も整理が終わって段ボールも全部処理したし。
それより、前に話していた件について覚えているよな」

「無論、心配ない。
そのためにここへ参上したのだからな。
戦友よ何か飲み物はあるか?この残暑ともいえる暑さに流石に我も堪えてしまってな」

「ならアイスコーヒーを準備するから少し待っていてくれ」

 俺は前もって用意していたお湯を使ってインスタントコーヒーを通常の二倍入れる。その後、氷を大量に入れ、お湯から冷たい水に代わるまでスプーンでかき混ぜる。それだけで完成だ。
 この苦みを感じつつも微妙に酸味を感じる常人ならまずいと言っても過言ではないこのコーヒーが俺たちは好きなのだ。大学生時代、白橋が試しにそのコーヒーを飲んだ時はあまりのまずさに吹いたことはよく覚えている。
 コーヒーを飲みつつ一息を入れた俺たちは椅子に座って窓の景色を眺めながら早速本題に入った。

「ベクター。ニューマン進捗状況はどうだ?」

「あとでレポートを渡すが、俺たちが目指している完成形と比較すると八割完成している。
後は試行錯誤して細かい調整を整えるだけだな」

「なるほど。ではアダムの知識はどうだ?」

「最近は日常生活の常識を備えさせている。
ある程度は問題ないぐらいには学習しているさ」

 そこで嘉祥寺はコーヒーを一気に飲み干し、ポケットからブドウ糖の飴玉を口の中に放り投げる。大きな溜息を吐いた嘉祥寺は先ほどとは態度を変えて話を続けた。

「話は変わるが、あのファイルを知っているのは弁田と俺だけだな?」

「お、おう。いきなり変わるのはちょっと心臓に悪いから一言言ってくれ」

「悪いな。じゃあ早速作業に取り掛かろう」

 すると嘉祥寺は席を立ち、鞄を手にして俺の部屋を後にする。俺もそのあとを追ってアダムが置いてある俺の自室に入っていく。俺はパソコンのロックを解除してFRのファイルを嘉祥寺に『DC計画』と呼ばれるデータを嘉祥寺に見せた。しばらくの間、嘉祥寺は近くの机に座って無言のままパソコンの画面に表示されてるそのレポートと睨めっこしている。

「…ふむ。…なるほどな」

「何かわかったのか?」

「少なくとも一つ言えるのは情報が足りないな。このDCが何を示しているのか。まずそれを知る必要がある。開示できるファイルは全て閲覧したが、いずれもこのDCという言葉に辿り着くキーワードが存在しない。
 だがこの計画はきっとろくでもない計画だ。しばらくはアダムの知恵を借りて他のファイルを解読する必要があるな」

「まじか。ファイルって言っても山ほどあるぞ。はあ、まずそこからか」

「いや、探す必要はない。パソコンをかせ」

 嘉祥寺にパソコンを渡すと凄まじい速さでファイルをクリックし続けた。とてもではないが、俺の目では負えない。
 直後、嘉祥寺の手が止まった。そのファイルをクリックして開くと暗号だらけのページを表示して説明する。

「このファイルのその計画のヒントが隠されているはずだ。俺の予想が正しければ他のファイルにも計画の詳細を分けているはずだ。アダム、悪いがこのファイルの解読を頼む」

「わかりました。嘉祥寺さん、すぐに解読を行います」

 アダムがすぐに解読を始める。それをただ見つめることしかできなかった俺は笑うしかなかった。俺は嘉祥寺に礼を言おうとした直後、嘉祥寺は真剣な表情のまま話を続けた。

「今まで疑念にしか思わなかったが、今日で確信した。
なあ、弁田。お前は俺たちが住んでいるこの世界とは別の場所、

言うならば平行世界、もしくは未来から来たのか?」

 その言葉の意味を理解するのに俺は一瞬時間が停止した。
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