日本国転生

北乃大空

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65話 アメリア本土進攻戦略会議 その1

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1942年2月1日 10:00

国防総省大会議室にて

 大会議室には、中破総理と各閣僚の他、国防軍陸海空海兵隊各幹部、帝国軍陸海幹部達が出席し、アメリア本土への進攻作戦の戦略戦術会議が始められていた。

 なお、この会議の司会進行役は進攻作戦立案者である国防総省国家戦略研究所長 斉藤貴史技監であった。


「皆様、お早うございます。本日の会議司会進行役を仰せつかりました斉藤でございます。
 それでは、私が立案した進攻作戦案について説明致します、、、、、」


 斉藤は世界各地での外交交渉による軍事同盟、協定及び日本軍の進行状況について説明を始めた。

・英国軍事同盟締結。

・日独防共軍事協定締結。

・ル連邦シベリア進攻終了、現在占領統治中。周辺諸国へ進攻準備中。

・フィリピン、グアム進攻終了、現在占領統治中。

・マレー半島進攻終了、現在占領統治中。

・シンガポール、現在英国との共同統治中。

・ニューギニア、インドネシア進攻終了、現在占領統治中。

・ビルマ地域、英連邦から日本連邦への移譲終了。現在独立に向け準備中。

・ハワイ進攻終了、現在占領統治中。

・アラスカ進攻終了、現在占領統治中。

・パナマ運河破壊、現在運行不可。

・オセアニア2カ国進攻終了、現在、英連邦から日本連邦移譲後、統治中。

・メキシカ軍事協定締結。

・カナダ軍事協定締結。


「これまでの軍事協定等については、外務省や優秀な外交官の外交努力により勝ち得たモノであります。
 また、ココまでの地域を占領統治するまでに殆どの死傷者を出さなかったのは、軍部及び国防装備庁の努力の賜と言えます。
 また、占領統治がスムーズに進んだことは、情報省の裏工作が効いているのは確かで、この場を借りて御礼申し上げます。

 今までは順調な戦果と占領政策がスムーズに行きましたが、今後攻略するアメリアは敵軍だけで無く住民も一筋縄では行かないと思って欲しいのです。

 それでは、皆様方の今後の戦略等について忌憚の無い意見を発言して、議論して下さい。
 また、私に対して本攻略作戦の疑問点等について質問されても結構なので、ドシドシ質問を宜しくお願い致します」

「それでは私から。斉藤博士はアメリア本土進攻の時期をどの当たりにするかを考えているのかね?」

「ハイ、畑陸相。当初はハワイ、アラスカ占領の勢いに乗じて一気に攻め込んで、敵勢力を叩き潰して全土を占領することも検討しました。
 例えばアラスカのように人が住まない未開の大地ならば拠点都市を抑えれば一気に占領可能ですし、またハワイのように現地民が協力的なところならば占領統治も容易いでしょう。
 しかしアメリアは一つ一つの州が独立国みたいなモノ。それぞれの州に軍隊、警察が存在してこれらの敵対勢力を抑え込みながら占領することは、ある程度時間が必要といえます」

「多勢に無勢というわけではないのだな」

「ハイ、そこで我々はアメリアを兵糧攻めの策を取ろうと考えております」

「ちょっと待て。兵糧攻めと言っても相手は食料輸出国になる程、農産物の生産は豊かだし、石油も生産輸出国だぞ。
 そんな国に兵糧攻めの策なんか効かないと思うが」

「転移事象前は確かにそうでしたが、我々の資源探査衛星で地球内部の資源を調査した結果、アメリア国内の石油埋蔵量は1940年当時のアメリア国内消費量から算出すると、石油が完全に枯渇するまで約2年で、今年の3月の時点でそろそろ底を尽く頃合いではないかと思います」

「え?アメリアから石油が無くなるのか?」

「ハイ、現在石油が産出する国々は、メキシカ、英国、満州、樺太、そして日本です。
 そして、かって前世界では産油国であった中東諸国からは一切石油が無くなりました。
 アメリアも現在我々が占領したアラスカのみで産出し、ル連全体からは一切石油は産出しませんね」

「ということは、アメリア以外にル連も兵糧攻めに出来るわけか」

「ル連は石油不足よりも本当の兵糧、つまり食料関係を兵士から断ち切ることが肝要と言えます。
 現在、先月ドイツと英国は和平を結び、英国から石油をドイツに輸出する代わり、英国は国内鉱山が枯渇した鉄鉱石や石炭をドイツから輸入することで、英国は自国経済、軍隊等の立て直しに取り掛かり、逆にドイツは敵をル連一本に集中することが出来るという互いの相互利益関係に繋がったと思います」

「かってのアメリアの盟友は、敵対国のドイツと仲が良くなったわけか」

「ハイ、そのため英国の北海油田で産出する石油は全てドイツ本国と占領地域に供給される形で、一切アメリアには回ってこないわけです」

「それでは、アメリアは何処から石油を得るのか?」

「メキシカからですね」

「なるほど、そっちに石油を求めるわけか」

「日本とメキシカは軍事協定を結んでいますので、万一アメリアが武力侵攻をして来たとしても、迎撃出来るようメキシカ軍に武器供与する等をして、協力体制を取っている他、我が日本軍もメキシカ軍と共同で迎撃作戦に加わる予定を立てています」

「だが、一応アメリアとメキシカは友好国なんだろう?」

「あくまで表面上はですが、実は過去メキシカは何度もアメリアからの侵攻を受け、メキシカは防衛的な戦争を行っていますが武力が足りずに敗戦し、戦争をする度に領土を取られています。

 メキシカの本音は、いつかはアメリアから領土を取り戻すという気概はあるのですが、アメリアの圧倒的な軍事力に対抗する術を持たず、半ば諦めざるを得ないというのが実情で、アメリアの子分的な国家にならざるを得なく、仕方が無く友好的な態度を取るしかないわけです」

「ふむ、アメリアとしてみれば絶対的な力関係でメキシカは逆らわないだろうとタカを括っているわけか」

「そのような理由から、当初アメリアは軍事的な圧力を背景にメキシカに石油提供を求めると思いますが、我々日本側としては下手に石油禁輸せずに徐々に価格を吊り上げて、アメリアが暴発するようにし向けるわけです」

「それで、博士はいつ頃アメリア側が暴発すると予想しているのかね?」

「製油所の備蓄分や各油田の残油量から予想して、半年以内に完全に0になりますから、その前に必ず行動を起こすと思います」

「そうか、それでは我が陸軍の方も、メキシカ、カナダ等に部隊を派遣出来るように早急に準備させよう」

「部隊派遣の件、宜しくお願い致します。
 私の予想ではおそらく4カ月後の7月第2週当たりと考えております」

「博士、7月上旬に敵が攻める根拠は何ですか?」

「アメリアの独立記念日が7月4日で、その日は土曜日であります。
 例え戦時中であっても、この日はアメリアの独立宣言で建国を記念する日でもあるのです」

「そんなに大切なイベントなのか?」

「ハイ、歴史が浅い国家ですから、このようなイベントは大切にしますね。
 私の予想では、独立記念日を外して日曜日は安息日で、月曜日は仕事準備の曜日ですから、おそらく2週目の火曜日あたりが開戦日になる可能性が高いと思われます」

「斉藤博士、火曜日の根拠は?」

「アメリア大統領の選挙日が火曜日で、アメリア人は仕事始めする時は火曜日の場合が多いからです」

「ふむ、火曜日ね。それでメキシカに攻め込む可能性は高いことは分かったが、逆を突いてアラスカの奪還に動かないものだろうか?」

「ハイ、可能性は0ではありませんが、現時点でアメリアがアラスカから石油が産出する事実はまだ知らないと思います。

 それに、今回メキシカに攻める可能性が高いのは石油を欲しているため。
 メキシカは日本側の要請に基づき、石油単価をドンドン値を吊り上げて行きますが、アメリア国内での石油単価の5倍からスタートし、最終的には50倍に持って行く予定で、アメリア政府の石油購入を断念させるように仕向けるのです」

「そうなると、メキシカ侵攻に向かうわけなのか」

「それにメキシカとは過去何度か戦争し、アメリアは一度も負けていませんので、意外と簡単に侵攻を開始すると思いますよ」

「なるほど、過去の戦争で勝利して負けない自信か」

「ハイ、基本的にアメリアは建国以来、他国に一度も敗北したことが無い国家です。そんな国の鼻柱を折ることも、また一興かなと思います」

「斉藤博士、次にどんな手順でアメリアを攻略するか説明をお願いします」

「ハイ、それでは、、、、、、」

 斉藤はアメリア攻略について、順に説明を始めたのであった。
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