26 / 94
24話 日本帝国側の準備
しおりを挟むPW地球年月 1940年1月17日
総理官邸総理執務室にて
「美加子様、これからの日本はどのように舵を切れば宜しいのでしょうか?」
「米内総理。陸軍東条派の連中は、キッチリ片付けたのですか?」
「ハイ、陸軍東条派の連中はについては全て一掃し、畑が知己ある有能な人材を東条派が抜けた穴を埋めています」
「分かりました。次に実行することは考えていますか?米内総理」
「海軍力の増強、石油確保のための南進策というところでしょうか」
「ハァ?アマテラス様は貴男の能力を見誤っていたのかも知れませんね」
「え?一体、私の何処が間違っていたのでしょうか?」
「まず、南進策は下策です。石油が欲しいのであれば、満州国に有望な油田が存在し、これらの油田はマレーシア半島やインドネシアよりも石油が多く産出します。ココを真っ先に採掘しなさい」
「え?満州国内から石油が出るのですか?」
「満州だけではありませんよ。樺太にも陸上、海底油田があるので、コチラも検討した方が宜しいです」
「ハハッ、早急に手配致します」
「それと畑陸相、日中戦争を早急に終戦させなさい。
終戦のために『勝介石』と和平を結びなさい。
ただ、この人物はクセがかなり強いでしょうが、中国を赤化させないための一つの布石になりますから、絶対に講和交渉を進めなさい」
「勝介石と和睦ですか?」
「そうしないと、アメリアに日中戦争に介入される口実を与えてしまい、中国側をアメリアが軍事援助する形になり、日中戦争はいつまで経っても勝てませんから。
それと早急に終戦しないと、逆に勝介石と毛拓糖と結託して中国が赤化してしまいますよ」
「しかし、和睦が実現してもなかなか撤兵が難しいところです」
「畑陸相、中国の撤兵は講和成立後、どの位の期間が掛かる予定ですか?」
「今から実施しても、2年は掛かるかと」
「遅い!今から3カ月以内に講和し、成立後に半年以内に撤兵しなさい!」
「ハハッ!」
「外務大臣!」
「ハイ!」
「有川大臣でしたか。
ヨーロッパ諸国との外交政策はどうなっているのでしょう?」
「ハイ、以前は陸軍筋から日独伊三国同盟を結ぶように強力な圧力を受けていましたが、それもコレまでです。
これからは、新しい外交の姿に生まれ変わらせようと思っています」
「フッ、私は貴男の心の思いを聞くために質問した訳ではないですよ。
まあ、貴男を含めて多くの閣僚達は、陸軍側からの横暴なやり口を嫌がっていましたから、貴男の気持ちは理解出来ます」
「済みません。つい自分の心の内を話してしまいました。
私自身は、三国軍事同盟なるモノには反対していました。
ですが、防共協定は共産主義から日本国を守るために必要だと思い、協定を残しています」
「ふむ、正しい判断です。やはり防共協定は残すべきでしょう。
我が主神も、共産主義は殲滅すべきモノであると解釈していますから。
それより、他のヨーロッパ諸国との関係はどうなっていますか?」
「英国とは以前に同盟を結んでいましたが、軍縮会議、四カ国条約以降は同盟を失効してしまいました」
「有川外相、早急に英国側と連絡を取りなさい。
そして、日本側が英国と同盟を結びたがっていると仄めかして下さい」
「あのう、同盟締結は急がなくても良いのですよね?」
「そうです。同盟締結は最後の切り札ですから、完全締結は天変地異後に検討した方が宜しいでしょう」
「同盟締結の条件(エサ)は何でしょうか?」
「日本側が英国に新技術を提供すること」
「我が日本国が求めるモノは?」
「ビルマの独立支援、英領マラヤの放棄、シンガポールの共同統治」
「この条件だけならば、比較的簡単に英国側は納得しますが?」
「求めるモノはコレだけではないですよ」
「え?まさか、アレは流石に無理かと」
「そのまさかです。オーストラリアとニュージーランドを、英国連邦から日本側に鞍替えさせることが今回の条約目標になります。
とりあえず、オセアニア関係の条件は伏せて、東南アジア関係で話を進めて下さい」
「わ、分かりました。早急に英国大使を通じて交渉を持ちかけてみます」
「有川外相、連邦鞍替えの話を先に進めると拗れる恐れがありますので、あくまで情報収拾と新技術提供の噂拡大に努めるように」
「ハイ、了解しました」
「(さてと、次は宮内省か)」
ミカエルは、宮内大臣である『松川常夫』を総理官邸に呼んで、天皇の人間宣言を早急に行い、約1月半に天変地異が起きる旨を合わせて発表することを申し渡したところ、松川はいきなり難色を示してミカエルに反論した。
「美加子様。天変地異の発表は、皇室からの予言として臣民に受け取られるでしょうが、玉体御自身に『人間宣言』させることは畏れ多いことで、私の立場から勧めることは決して出来ませぬ」
「あぁ?お主、私の命令を拒否する気か? 頭の堅い奴だの。
どれ、ほんの少しの時間を待っておれ」
ミカエルは、松川の目の前で姿を消すと、10秒もしないうちに天皇陛下と侍従長の2人を連れて、松川の前に現れた。
突然現れた博仁と侍従長の姿を見た松川は、その場の床に平伏した。
「何をしているのですか?宮内大臣。さあ、立ち上がって下さい」
松川は、侍従長から肩を貸されて、ようやく立ち上がって博仁と対面した。
「宮内大臣、僕が人間宣言をして何が不都合なのか?」
「い、いえ、陛下に不都合なことは全くございません。
さ、早急に人間宣言と天変地異の発表準備を行いたいと思います」
「うむ、宜しく頼むぞ」
ミカエルは内閣閣僚を始め、各官庁等に天変地異についての準備をするように指導して、転移事象に備えるのであった。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜
華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日
この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。
札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。
渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。
この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。
一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。
そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。
この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。
この作品はフィクションです。
実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる