まさか転生? 

花菱

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「またか……またSSランクとは、それも成獣2体に仔も2体とは。しかも何だワイバーンだと? 無傷で7体って何だよそれ、ゲイルでさえ初めて見るんだろ?
 なぁハリス、これ絶対バカな貴族の耳に入るよな~」


 只今、ギルマスの部屋でちっちゃくなってます……幼女だからじゃないよ、雰囲気がね……痛いのよ。


〔何を狼狽える? このギンは私と同じく神獣で家族共々……仔は現在Sランク程度だろうがSSランクが5体の上に神獣が2体だ。
 この際、我らの事を教えておいた方が良いか……流石に馬鹿はせぬだろう〕

〔馬鹿者共に身の程を教えておいてやった方が親切かもしれぬな。知らずに我らの怒りを買い、命どころか国を失うのは流石に哀れか?〕


 …………神獣2体が怖いこと言ってますけど~!?


「たしかにその方が良いかもしれませんね。知らずに手を出すか、知っても手を出すかでは全く違います。
 国中に知らしめて、もしもの時に知らなかったが通らぬようにした方が裁く側からしても良いのではないでしょうか」


 こらこら、ハリスさんまで一緒になって何て事を言ってるの、駄目だよブルックギルマスさんが信じちゃうよ?


〔気になるのですが、エアさんの幸せを守るために何を躊躇う事があるのでしょう〕

〔〔エアをきずつけるやつはゆるさないんだから!〕〕


 アサギちゃんも双子ちゃんも、どうしたの? 変な影響受けちゃダメよ。


「「「「「「しゃべってる……はぁ」」」」」」

「やはりSSランク、しかも神獣に連なる者……ということか」



 今日の分だけ解体が済んだとゲイルさんが教えてくれたのを切っ掛けにして、子供には難しい話なので、あとの事は大人(責任ある立場の人)にお任せしてお先に失礼します♪
 でも機嫌取りのために、ワイバーンの解体がせめて2頭出来たら、ワイバーン祭り開催を約束したら、ギルマス達喜んでた(チョロイぜ!)

 行先は孤児院

「いんちょうしぇんしぇー、しゃしいりぇでしゅよ~」

「エアさん、差し入れって……昨日もお話ししたように、貰い過ぎで申し訳が無い状態ですのに……あら? 従魔増えたのですか、うふふ、エアさんの大好きなモフモフさんですね?」

「しょうにゃんでしゅ! こにょこが"ギン"、"あしゃぎ"、"しょりゃ"、"ちゅき"でしゅ、しょりゃちょちゅきはふちゃごにゃんでしゅ。かわいいこでちょ?
 しょりぇじぇ~、こりぇがしゃしいりぇでしゅ!」

「……エアさん。私の話を全く聞いてくださってませんね?
 初日は収穫物をすべて、昨日はお茶や、とても貴重な卵にミルク、ポーションなど契約以上の報酬をいただいて、それ程の仕事もしていませんのに。
 今日はこんなに沢山のお肉とは……」

「しょくじゃいほかんこにいりぇてくだしゃいにぇ?」

「食材保管庫……そうだわ、あれはどういう事なんでしょうか? 一昨日頂いた作物がどれもこれも傷まないんですよ、さっき収穫したみたいに新鮮そのもの……不思議よね~?」

 あ、ありゃりゃ? 院長先生……コワコワ? どうしよう、かわいく? やっちゃう?

「おいちいもにょ、い~ぱいたびぇちぇほち~かりゃね? わたち、がんばっちゃ♪」

「あらあら(かわいいわ~)……頑張った? ザック、頑張ったってどういう事かしら?」

 よ~し作戦成功。わたしからザックさんに移ったわ~♪

「あ~、肉に関してはエアは冒険者だから、ランクはDだから大丈夫だけど、明日位には多分Cになると思う」

「Dって、Cになりそう? 訳が分からないわ、冒険者ランクってなかなか上がらないんじゃ?」

「「「エアだから!」」」

 おーい! どういうことですか?

「肉については……だけどね~! 食材倉庫の事は知らないな~」

 ぎくっ! ごまかす……無理だね

「まほーで、じかんていち……」

 ………………

「「「「「ナルホド」」」」」

 はい、呆れた棒読みいただきました。




「⦅ザックさん、さっき私のランクがCになると思うって言ってたけど何で?⦆」

 2日間買いに行けなかった串肉屋さん、今日は買えるかな?

「なんでって、エアは今日何の魔物を倒したか覚えているか?」 

「⦅もちろん覚えてるよ~、だってちょっと前の事だもん⦆」

「エアちゃん、それならわかるでしょ~?」

「⦅え? アーロンさんも分かるの!? ん~?⦆」

「エアさん、もしかして本当にわからないんですか!?」

「⦅ん~、なんだろ、分かんない……カイルさんも分かるんだね、ライルさんも分かる?⦆」

「……わかる……ワイバーン」

「⦅へ? ワイバーンなの? でもあれ、魔法1回だけしか使ってないよ!?⦆」

「たった1回の魔法ですか? エアさん、あとで話だけで良いので聞かせてくださいませんか?」

「⦅もちろんいいよ♪ でもワイバーンか、なんか強いって全然感じなかったのに、ふしぎ~⦆」

「「「「……アハハ……はぁ」」」」



「ひちょ、いっぱいでしゅ……」

 串肉屋さんに到着したけど、二日前より凄い人気だ……。

「凄い人気だね~。サイコロステーキが出来てから、女の人の人気がすごいらしいよ~」

「他のお店でも始めたようですしね。でもやはり味の違いと、何より香りですね、食欲をそそります」



「エアちゃん、買いに来てくれたのか!? ありがとうよ、サイコロだろ? 何本用意する?」

 わたしを見つけたボッズさん(串肉屋さん)は、息子のボブさんにお店を任せて聞きに来てくれたので、20本注文したんだけど、ちょっと思いついた事があって他のみんなに聞かれないようボッズさんに相談……悩む間もなく即決でOKしてくれたけど大丈夫なのか心配になる人の良さだ。わたしは助かるけどね?



「ところで、従魔増えたんだな~。これまたカッコイイ……恩人のエアちゃんを守ってくれよ?」

〘ビャクよ、この者はなかなか良い心掛けをしているようだな〙



 ギンちゃん達の事カッコイイって言ってくれてうれしいけど、恩人って何? おーい、誰か~教えて~。



 ザックさん達にも聞いたのに結局誰も教えてくれないまま帰宅……ぶ~!!


「ただいま」

 家の門を潜るとすぐにアマルダさんと、リサさん(マルセル妻)が、出迎えに来てくれた。

「エアさん、お帰りなさい、怪我はしていませんか?」

「お昼は食べられましたか?」

 心配して声を掛けてくれる。優しいよね~

「けがちてにゃいち、ごはんたびぇまちた~! かじょくがふえたにょ、みんにゃには、あちょでしぇちゅめいちまちゅ。のうじょういってきましゅね~」




「みんにゃ~、おちゅかりぇしゃま~。しょうかいちまちゅ、あたりゃちいかじょくでしゅ」

「この子からギン、アサギ、ソラ、ツキで、ソラとツキは双子なんですよ。これからよろしくお願いしますね」

「「「「うわ~、かっこいい!」」」」

「「「「つよそう、おっきいね~」」」」

「「「「「びゃくちゃんともなかよしなんだね♪」」」」」

「「「かわいい~」」」


 子供たち孤児院メンバーは純粋にカッコイイとか言って喜んでいるけど、農場で働いている大人たち(元冒険者)は……

「「あれって……シルバー……」」

「「SSじゃないか?」」

「「「「でも、エアさんだからな」」」」


 そこ! って言葉聞こえたよ!?


「エアさん。両ギルドからお客様が来られています」

 エミリーさん(ダニエルさん妻)が知らせに来てくれたので、急いで自宅に戻るんだけど、もしお客さんがわたしを訪ねて来た時に庭や農場にいる時は、自宅応接室に案内をお願いしてある。

 まぁ、今現在訪ねてくるような知り合いは両ギルドマスターとサブマス、ゲイルさんとジョルジオさん家族だけなんだけどね♪


 それと不思議な事が一つ……トマスさん達は仕事が終わったら自宅の方の警備や庭の手入れ、各家庭の奥様方とジーナさんはメイドさんになっているんだよね~? 本当にいつの間に!?
 子供達も大人のお手伝いでチョコチョコしてる……勉強をさせてあげたいなぁ~。



「おまたしぇちまちた、どうちたんでしゅか?」

「悪いな急に来て。実はな……」

「すみません、実はエアさんに新たな契約獣が出来たと聞きまして、お店の事でお話しも確かにあるのですが、出来ればぜひ新たなご家族にお会いしたいと思いまして」

 ビクターギルマスさんソワソワしてるし、ハリスさんもすでに視線はギンたちに釘付け


「こにょこたちでしゅ、ぎん、あしゃぎ、しょりゃ、ちゅき。にゃかよくちてくだしゃい」

「カッコイイですね! 話に聞いたことはありましたが初めて目にします。お子さん達は可愛らしいですねぇ。
 エアさん家族が増えた事おめでとうございます」

「ありがちょうごじゃいましゅ♪」

「あの、それでお願いがあるのですが……ずっと我慢していたんです……従魔様方を触らせていただけませんか!?」

 ずっと我慢って……。みんなの許可をもらってしばらく全員でモフモフタイムに突入したのは言うまでもない。




「ほぅ……。ありがとうございました。皆さんそれぞれに素晴らしいフワフワサラサラをお持ちですね。エアさんが羨ましいです、時々で良いので触らせていただけませんか?」

 と、うっとりした感じでお願いされました。もちろん快く了承したよ? モフ仲間の会結成じゃ~!


「さてそろそろ本日のもう一つの要件、店舗についてお話していきましょう。
 申請を出していただいた物についてですが、すべて終了しました。それで……」

「ちょっちょまっちぇくだしゃい。えみりーしゃん、おみせにかかわりゅひちょを、よんじぇくだしゃい」

 お茶を出すために室内にいたエミリーさんに頼むと、すぐみんなを呼んで来てくれたので、改めてお話しを開始した。
 思った通り早速明日から店舗営業を開始できると説明を受け、商品の価格はある程度商業ギルドから平均的な価格を聞いて、そこから独自に(もちろん値が崩れない程度で)上下して良いらしい。



「明日は店舗の準備、明後日開店にしましょうか? 値段設定もですが、ポーションなどを並べる作業もありますからね」

 というカイルさんのアドバイスを受け明後日開店が決定。まだ話があるのでその間にダニエルさんを中心に値段を決めて、あとで教えて欲しいとお願いするのは忘れない。これでもオーナーだから♪


「ザック達に魔物のなすり付けをした5人だがな、話を聞いてから治療と療養の介助って名目でギルドの職員を付けていたんだ。
 幸い奴らにお前達の事を話す奴はいなかったようだし、ようやく動けるようになって、明日ギルドに来ることになったんで知らせておく。
 ギルマスである俺と、サブマスのハンス、それと各部門責任者が立会いのもと奴らの罪を暴く予定になっているんだが、まあ間違いなく奴らに逃げ道は無いんだがな、お前達も来てくれ」

 ようやくか……あの悪党5人組、覚悟しているがいい! ふはははは~



「それから、神獣様方を含め公表してしまってはとの事ですが……私どもは、いい考えだと思います。
 知らずに手を出し痛い目に合うか、知っていて尚手を出しに懲らしめられるかでは話が違ってきますし、知らせておくことで手を出してくる人数が格段に減るでしょう」

 それって、ちょっと前にギルドで話した事だよね、何でビクターギルマスさんが知ってるの? 移動してくる最中に聞いたのかな?

「そこで! 両ギルドで領主様に報告してこようと思います。ですので、ビャクさん達にはもう少し大きくなって頂きましょうか、そうすれば流石にビャクさんはウルフ系に間違えられることもないでしょう」

 もう少し大きく? 普段は2メートル位の大きさになってもらってるんだけど、3メートル位でいいのかな?

「これくりゃいでいいでしゅかにぇ~?」

「これが最大ですか?」

「もっちょおおきいでしゅよ♪ ごめーちょりゅくりゃい」

「そんなにですか……これくらいで十分だと思います」 

「ぎんちゃんたちは、りょくめーちょりゅはいきましゅね!」

「「「「6!?」」」」 

 久しぶりに見る大きなビャクの姿にもう我慢の限界です! モッフモフの毛に埋もれちゃう~♪

〔ククク、エアはモフモフが本当に好きだな〕

 さすがイケメンフェンリル、体が大きくなると声も少し変わって低めのいい声~♪ 
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