まさか転生? 

花菱

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 神様から貰った自走カートを複製スキルで22台作って、丁度良いのでみんなにお披露目。初めて見る物と、この広い場所では便利な物という事でまたまた大興奮。

 試運転で5~6人に分かれて皆で動かしてみたがスピードはゆっくりでも歩くより早いし、荷物は積めるし飛び降りる事は出来ず、カートの周りに人がいれば動かないので、安全対策も完璧。



 今日の収穫は、奴隷の7家族にもほしい事を伝えると、昨日とんでもない量を持ち帰り、お世話になった方にお返しで配ってもまだまだあるらしいので、その代わりに約束していた杜仲茶とキビトウ茶、牛乳2種類と卵、昼食の時に渡したポーションを作物代わりの報酬にしてもらった。

 孤児院の護衛は話し合いの結果、ドニ家が主にするらしいが今日は念の為のセヴラン家と、その説明にわたしを乗せたビャクで一緒に向かう……その道中で話したことは、一昨日から目まぐるしく生活が変わったが、子供達がとても楽しそうに満足そうに笑うようになり、院長先生をはじめ全員が感謝しているとの事だった……やーめーてー! 恥ずか死ぬ……。



 無事顔合わせと、給金の支払いなど今後の話が出来た。孤児院には必ず護衛が付いて送るからその時お金を持っていくことに。(悩んでた事が解決、良かった~)
 それから大事な今日の報酬。最初の話と違うからキチンと謝らないとね! (なぜか、昨日収穫した物全部持ち帰ってもらったことで逆に怒られた。ついでに今日の報酬についても作物以上だって……)


 野菜や果物ばっかりだからかな? よし、あとで転移して肉取りに行こう! おや? なぜか睨まれてる?



 実は農場を出る時にみんなが付いて来ようとしてたんだけど、昨日から始めたメープルの樹液回収をお願いして正解だった。 
 昨日はポーションと代わりになる薬の実験、今日は今日で奴隷商に行ったりと何かと忙しいせいで庭の散歩も出来ない。せめておいしい物をと思っても準備がいるからね。

「ぐふっ……ぐふふふ……」

〘エア、皆が気味悪がっているぞ……〙

 おっと、つい楽しみで……。帰ったら何をしようかな~、メープルの煮詰めと練乳の煮詰めは当然だし……。


「しょうだ、にぇ~? かみはじょこでかえましゅかにぇ~?」

「紙ですか? ……それでしたら商業地区に店があったはずです」

 セヴランさん達は"突然なぜ紙!?"って顔になってたけど、しばらく考えて思い出してくれたので、予定変更して早速行ってみよ~♪
 紙が必要なんだよ、飴ちゃんに!

「⦅ザックさ~ん。紙を買いに商業地区に行ってから帰るね~。みんなと一緒で大丈夫だから心配しないで~⦆」

 心配させないように、ちゃ~んとイヤーカフで報告も忘れずにしたから大丈夫だよね?



「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか?」

「紙を見せて欲しいのだが、従魔が一緒でも良いだろうか?」

 おう、ここはなかなか高級店なのかしら? 店員の対応が丁寧だわ。従魔同伴の許可をもらい案内されたのは、お店の中程、質の違いで数種類あるみたいだけど色は1色だ。

いんきゅインクはありましゅか?」

 尋ねてみるとそれ程豊富ではないが赤・青・緑はあったので3色とペンを多めに6本、紙はほどほどの品質で良いのでちょっと多いけど100枚を購入。
 紙は高価だろうと思っていたけど100枚買って銀貨6枚だとは。串肉3本と紙1枚が同じって~!


 紙だけのつもりがインクがあったからまたまた予定変更して、お皿を買いにレッツゴー♪


 無かった……求めている物が~。出来れば白が良かったんだよ、インクを混ぜて色が分かるように、でも土色ばかり。
 仕方ないこうなったらこの街に来た日に行ったガラス屋さんに行こう!


 なんだかセヴラン家とドニ家がオロオロしてるけど気付かない振りで、ドンドン進みますよ~♪




「こんにちは!」

「あら、エアちゃん、いらっしゃいませ。他のみんなは?」

 お店に入ると今日も優しい笑顔で迎えてくれて、付き添いの大人がいないのかと心配まで。


「きょうは、べちゅにょひちょちょ、きまちた!」

「エアさんの下で仕えることになりました。よろしくお願いします」


「がりゃしゅにょ、おしゃりゃありましぇんか? おおきくにゃくちぇいいでしゅ」

「お皿……これはどうかしら?」

 出てきたのはちょうど求めていたサイズで、数も5個あるらしい。他に前回のように密閉できるけど、小さな小瓶も見つけたので迷うことなく購入。



「エアさん、沢山のガラスをどうされるんですか? あ、すみません、余計な事を……」

 セヴラン家のセルダ君が興味を持ったみたいで聞いて来たけど、なぜかすぐに謝ってきた……なぜ謝るの? わたし怖かった!?

「あやまりゃにゃくちぇいいでしゅよ!? どうちたにょ? がりゃしゅはにぇ、いんきゅぢぇちゅかいましゅ♪
 かじゅがおおいかりゃ、てちゅだいおにぇがいしゅりゅかみょ?」

「「何でもおっしゃってください。お手伝いします」」

 アマルダさん(セヴラン妻)、ハンナさん(ドニ妻)が声をそろえて返事をしてくれた。この2家族は一緒に冒険者として活動して来ただけあって息が合ってるよね、とっても仲がいい。




「ただいま~!! ⦅戻ったよ~⦆」

「お帰り。メープルの回収したけど、この後どうする?⦅奴隷のみんなを家に案内するか?⦆」

「ん~⦅手伝ってもらう事もあるかもしれないから、入ってもらおうかな~⦆」

「⦅エアさんと、ビャクさんの事を知っておいてもらった方が良いでしょう⦆」

 ザックさんと2人で悩んでいた所に、カイルさんの提案であっさり解決。やっぱり相談大事だね。




「さあ、どうぞ入ってください。この家も、皆さんの家と同じく靴を脱ぐようになっています」

「ちょっと休憩しながら大事な話があるんだよ~」



「凄いですね。こんな立派な家は初めて見ました!」

「貴族様の屋敷でもここまでの家は無いのでは!?」

「「ひろーい、きれーい、きもちいい!」」

「あの、エアさんは、本当に貴族様ではないのですか?」

 家に入った途端、みんなが呆然と周りを見渡してから口々に言い始めるが、何で貴族って思うんだろう?



「ちあいましゅよ~。ただにょぼうけんしゃでしゅ♪」

「そうだな、ただちょっと規格外の魔法を使ったり、常識が無かったり、連れてる従魔が普通じゃないだけだよな!?」

 ザックさん!? なんか……ごめんなさい?

「とっても簡単に説明すると。ビャクは、神獣フェンリルで、エアは神の愛し子なんだよ~」

 ……前はビャクがまとめたけど、今回はアーロンさんですか。簡潔ですね。

「……大丈夫……ちょっと、すごく不思議な事が起こってもって考えたら良い」

病気や怪我が一瞬で治って、一昨日思い付いた農場がこんな事になって、昨日思い付いて店舗計画も進んでるんですよ」

「え、ちょっちょ、らいりゅしゃん、かいりゅしゃん? しょんにゃ……みんにゃ、ひじょい!(サッ!)パリパリパリ」

 蒼の剣にはあげません! 他のみんなにはそれぞれお皿に入れて、ハイどうぞ!

「「「「うわ~!! ごめんなさい!」」」」

〔お前達……何度目だ? はぁ、まったく。
 エア、これは何度食べても美味いな♪〕

「「「「しゃべってる……フェンリル……神獣?」」」」

「「「「神の愛し子~!?」」」」
 
 やっぱりみんな最初は叫ぶんだ~、お約束だね。でも子供はわかってないからポテトチップスに食いついてるよ?

「「わ~、これすっごくおいしい! しょっぱい、でもおいしい」」



 ようやく大人たちもポテチを食べて

「「「「美味しい! パリパリです」」」」

 美味しい美味しいとみんなでパリパリ♪ 飲み物はミイカンの100%ジュース。うっま~!



「にゃにちようかにゃ~?」

 奴隷のみんなにも、ギルマスやジョルジオさん達と一緒で、異世界転生以外の説明を済ませたけど、まだ夕食までに時間があるし、作り置きだけど料理もある。

「りぇんにゅう、めーぷりゅ、みちゅりょう、ばい、いんきゅ……じょりぇにしゅりゅか」

「どうした? 問題か?」

 ブツブツ独り言を言いながら悩んでいたからだろう、ザックさんが声を掛けて来たので振り向くと、みんなに注目されてた。

「……美味しそうな言葉があった」

 この滑舌で良く美味しい物だとわかったね、さすがライルさんだ。

「あみゃいおいちいのか、たべりぇにゃいにょ……ん~、みちゅりょうちょ、いんきゅじぇ!」

「美味しくなさそうなのになっちゃった~。ほかのがよかったな~」

 ごめんね~、でもこれは甘いのに必要なんだよ、許しておくれ。



 まずは~、蜜蝋の確認からしますかね。(さっき滑舌が悪すぎて蜜蝋が密猟になってたよね~)


 《蜜蝋》
 ハニ―ビーの巣の材料。少量の不純物が入っているが、クリーンでキレイになる。


 流石だわ! 本来ならゴミとか沢山入ってるから何回も濾して綺麗にする必要があるのに、ただ1回のクリーンでいいなんて~。
 確か異臭がするはずだし、道具は専用で用意した方が良いんだよね? 大鍋と注ぎ口の付いた片手鍋、箸、レードル……シリコン型が欲しい! サラとかじゃなくて、固まった蜜蝋を取り出しやすくて、くっつき難いシリコン型~!!(チリリン♪)

 ぐふふっ、これは間違いなく出来たね! おおー、シンプルなキューブ、肉球型……ハニ―ビー型、ビャクの形もあるヒャッホー!

 ふんっふんっふんっふふふふふん♪ 


「「「「「くくくくく……」」」」」

 ん? なんか笑い……(チラ)……みんなが目を逸らしてるけど、肩が小刻みに揺れてる? 気のせいか。

 
 沢山のシリコン型で、どれを蜜蝋に使うか悩む~。蜜蝋に使う型はもちろん使う前にちゃんと複製するけどね~♪
 
「‹ぶんぶんぶん♪›」

「「「「ぶーっはははは……」」」」

「どうちたにょ?」

 いきなり大きな笑い声がしたら驚くじゃない、なんかあった?

〔エ、エア……お尻を振って……踊るだけじゃなく、ぶんぶんと言い出すから……ぶくくく〕

「え……? おちり……ええ~!」

 ビャクが笑いに声を震わせながら教えてくれたけど、夢中になり過ぎて、楽しくて踊って歌ってたのか~! 無かった事にしよう!



「え~、しょりぇでは、おおにゃべでおゆを……」

「うわ~、無かった事にしたよ。さすがエアだな」

「ふふ、それで、何を始めたんですか?」

「はにーびーしゃんにょ、しゅをとかちて、ちゅかいやしゅくしゅりゅんでしゅよ。まほーでみょできりゅんでしゅけじょ~、ちゅくりかたちってほちい。
 あめしゃんにちゅかうんでしゅ♪ あちょは、てをしゅべしゅべにちてくりぇましゅ」


 今回はキューブ型を選択。   

「できまちた。こんじょはこりぇを、けじゅって~とかちて~、しょいまめおいりゅソイ豆オイルちょまじぇて~、HPぽーしょんみょいりぇて~」


 《HP回復クリーム》 製作者 エア・ルミナード
 傷口に薄く塗ると傷が治る。口に入っても大丈夫。
 

「かんしぇ~い♪ こりぇは、ぽーしょんをちゅかわにゃい、ちーしゃいきじゅににゅりゅんでしゅよ。
 じーにゃしゃんジーナさん(シモン妹)、てにきじゅがありましゅね~。ど~じょ♪」

 いきなり話を振られて困惑しているのを良い事に、強引にクリームを塗るようにと押し付ける。


「わ~、凄いです! 傷が治りましたし、サラサラのスベスベです!」

 作っておきながら、目を見張る効果にビックリ。これも販売できるかな? ギルマスさん達に見せてみよう。

「おふりょあがりに、にゅってにぇりぇば、またちがうかみょ?」

「「「あ、あの! 私達も試させていただけませんか!?」」」

 ふっふっふ~、女性陣は気になるようだね? もちろんみんなに渡しますよ~♪
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