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ザワザワ……今日も相変わらず賑わっている冒険者ギルド。
昨日かなりの量を収穫しているので、念の為に朝一番で農場の様子を見たら、何の問題もなく新たな収穫物が沢山実っていた。(無理だろうと思いながらイメージした、収穫が早いってのが成功したからね♪)
子供達も仕事に来たので無理しないように伝えてから、わたし達はギルドにやって来たんだよ。商業ギルドに行く前に声を掛けに来たんだ~。
冒険者さん達は依頼ボードの前で、少しでも良い条件で自分達に出来る内容を求めて真剣だ。わたしはまだ一度も依頼受けてない……奴隷とか店舗とか一通り用事が済んだら依頼受けてみよう!
ハッ!? あの後ろ姿は以前会った事のある美女! 将来のためにお知り合にならなければ!
「おにぇえしゃん、おはようごじゃいましゅ。きょうみょきりぇいでしゅね!」
「え? あら……ありがとう。あまり言われないからとっても嬉しいわ!」
「いわりぇにゃいんでしゅか? みんにゃみりゅめにゃいでしゅね!
あ、わたち、エア・ルミナードでしゅ。どうやっちゃりゃ、しょんにゃにきりぇいににゃりぇりゅんでしゅか!?」
こんな美女にキレイって言わない!? 男たちは馬鹿なのか!?
「‹ファミリーネーム? 貴族様?› お嬢様は……」
なんかボソボソ小声で言ってたようだけど、急にどうしたの? しかもお嬢様って!?
「おじょうしゃまじゃないでしゅよ!? どうちたんでしゅか!?」
「え……っと、貴族様では?」
「ないでしゅ! わたちは、あおにょちゅりゅぎにょかじょくでしゅ♪」
「(チラリ?)それじゃあ、エアちゃん? きれいになりたいの?」
「とうじぇんでしゅ、おにぇえしゃんみちゃいに、きりぇいでしゅたいりゅもいいにょにあこがりぇましゅ~。
ほぁ~、ほんちょにしゅたいりゅいい~♡」
「「ユリアナ、どうしたの? あら、かわいい子ね!?」」
突然後ろからちょっと低めの声が……でも喋り方女性みたい?
「ふひゃ~! びじんしゃんら~!
こんちは、エア・ルミナードでしゅ。おにぇえしゃんのにゃかまでしゅか?」
「貴族「ちやいましゅ!」……様?」
被せて否定! 細マッチョなイケメン2人なんだけど、綺麗にお化粧しててこちらも美人さん
「この子はエアちゃんって言うの、貴族様じゃないらしいわよ? この2人は私のパーティーメンバーで、リリーとラナ。女神の祈りって名前のBランクパーティーなの」
リリーさんは金髪の長い髪を一つに束ねて右肩に流したゆるふわヘアーで、ラナさんは茶色でショートボブ、ユリアナさんは茶色のストレートロングヘア―……3人とも美人だわ~♡
「ぴっちゃりでしゅ! びじん!」
「「な、なんってかわいいの~!」」
「蒼の剣の家族なんですって」
女神の祈りの3人に構ってもらっている間に、他のみんなはハンスさんに声を掛けてたみたいで、2階からギルマスと一緒に降りてくるのが見えたので、そろそろお別れの時間か。
「あにょね~、やたいじょおりにょ、へいみんがいにちかいちょこで、おみしぇやしゃんしゅりゅんでしゅよ~。かいてんちたらじぇひきてくだしゃい!」
「「「必ず行くわ! 楽しみに待ってるわね!?」」」
しっかりお店の宣伝をしてからバイバイする、たとえ3歳でも農場経営をしているオーナーですからね♪
「2軒分の売買契約も終わりましたので、そろそろ奴隷商に行きましょうか?」
土地の購入もこれで3回目(それも立て続けに)なので慣れた物で、商業ギルドに来てそう時間もたたずに終了。
「その前に確認して欲しい物があるんだが……」
「昨日エアさんが色々作りまして、もし良ければそれも商品にと考えています」
「拝見しましょう」
ザックさんとカイルさんが代わりに話してくれるので、私はただ作ったものと鑑定魔道具を差し出すだけで良いのだ!
「これは良いですね! こんなものが出来るとは……」
今見て貰ってるのは、初級ポーションをHPは塗り薬に、MP・万能・増血薬は飴ちゃんに作り変えた物で、元々初級であり効果が低い物なので、前世で言う常備薬感覚で使用できるようにと挑戦してみたら出来ちゃったんだよね~♪
飴ちゃんの味もいろいろ工夫を凝らしました……やってやったぜ!
「この増血薬はそれほど需要があるのでしょうか?」
「それなんですが、エアさんの説明では女性に需要がありそうですよ? どうも妊娠出産などにも影響するらしいです」
「それで、こちらはシャンプー? トリートメント? 説明を見た感じでは良さそうですね」
「シャンプーは元々売られていますが? 違いがあるのでしょうか?」
「昨日使ってみたけど全然違ったよ~」
「ほう? そういえば、これまでとは違うような……」
「それぞれ小瓶を準備したので、ぜひ一度使ってみてください」
ウル草とトロ草を使ってついに登場、シャンプー・リンス・トリートメントですよ♪ 香りも付けて中々の出来になったんじゃないかと自負しております。(ドヤァ!)
「ではこのシャンプーなどは試させていただいてからとしましょう。それ以外の物はすぐに登録できますが販売だけか、製造法の公表もするかどうします?」
「製造法の公表でも良いんだが、材料が知られていないからな……。もし間違いがあると困るだろう?」
「知られていない材料とは何です?」
「エア出してくれるか?」
ハイハイ、待ってくださいね~。テーブルにいくつかの草を説明しながら置いていく。
「こりぇは、ぶりゅーと、じょうけちゅやくにちゅかいまちゅ。しょりぇかりゃ、うりゅしょうちょ、とりょしょう…………」
「何という事でしょうか……これほどの素材が普通に身近にありながら、ただの雑草とされていたとは」
「こんなにも知られていないものが多いとは……こりゃあ、時々魔道具を持って外に出た方がいいかもな」
道端にあって今まで見ていた草が薬の材料に使えるなんて、ってことでしばらくショックを受けてたけど、ショックから立ち直るとキチンと今後の事を考えてるなんて流石だ!
「ではそれは両ギルドからの依頼としましょう」
「薬師が全員必ず鑑定や、鑑定の魔道具を持っている訳ではないでしょう? そうなるとキチンと見分ける事が出来るようになるまで、新しい素材を利用したポーションは色々な所で作成しない方がいいのでは?
もしくは見分ける事が出来るようになった薬師だけに許可を出すとかでしょうか?」
「ポーションについては製造法の公表をしても良いけど~、それ以外の薬とかシャンプーなんかは公表しない事にしたよ~」
「やっぱりエアの物だからな。ポーションの公表も悩んだんだが多くの冒険者に関わって来るからな」
「……お菓子・飴は……出さない!」
「これに関しては申請はするが公表はなしで。勝手に研究してくれればいいんじゃないか?」
「わかりました。ポーションだけは、薬師に公表しますが新しく見つかった薬草の見分けが出来るまで、作ることを禁じ許可制とします。
それ以外の商品はすべて、公表はせず申請のみですね?
では奴隷商に行かなければなりませんので、申請はまた後日としましょう。それでしたらシャンプーなどの結果も出ているでしょうし」
なんとまあ……わたしの事なのに、わたし抜きですべての話が決定したようですよ!? 楽でいいわね♪
さてさて、ついに奴隷商です。き、緊張してしまいます~。す~は~す~は~
「さあ着きましたよ。ダジュール商会、ここは奴隷商の中でも一番質のいい商会でして、奴隷に対しても丁寧な扱いがされています。
中にはどうしても扱いの悪い所もあるのです、嘆かわしい事ですがね」
ビクターギルマスの案内でたどり着いたのは商業地区にある、見た目ではまるで奴隷商だとは思えないシンプルだがオシャレな建物。
「おやおや、どなたかと思えばビクターさんではありませんか。おや珍しいハリスさんまで一緒とは、いったい何事でしょうかな? それにどうやら他にもお連れ様がいらっしゃるようですし」
中から扉が開き出て来たのは、4~50代の白髪が少し混じった紳士風の男性(貴族の執事してたら似合いそう、高位貴族限定だけど!)物腰柔らかく、ニコニコしてるのに時々怖そう……ただの想像です!!
「突然大人数ですみませんね。実は一家での奴隷を探しているのですが、現在そういった方はいますか?」
ビクターギルマスが代わりに交渉してくれるとの事だったので、わたし達はただ見極めるだけで良いらしいが、出来れば2家族で良い人がいればいいんだけど、そんな都合よくいくかな~?
「家族ですか……数家族いますが、目的をお聞きしても?」
「近々新しく店舗が開く予定でして、そこで従業員として働いていただきたいと思っているのですが、別に元商人などは望んでいません。ただ誠実に主となる方に尽くしていただければいいのです」
「成程。まずどういった奴隷がいるのかから行きましょう」
そういって出されたのは数枚の書類。どうやら簡単な奴隷の情報が書かれているようで、身体が小さい事を利用してみんなの膝の上を移動……ごめんなすって!
覗いてみると、元農家が2家族・元冒険者が2家族・元行商人が1家族・元食堂と酒場経営がそれぞれ1家族で、奴隷になった理由もギャンブルやお酒などの個人の趣味趣向ではなく、経営が厳しくなったとか怪我、病気など理解できる内容だったので一通り面会してみる事に。
困ったな~。2家族の予定だったけど情報だけで見ると、
・農家なら農場の手伝いや、作物販売の店舗で目利きが出来そう。(目利きは出来ても価格設定は苦手?)
・冒険者なら店舗の警備や農場帰りの子供達の護衛。(警護は出来ても、接客は?)
・行商人なら目利き・価格設定・接客・強引な客のあしらいも上手そう。(文字や算術が出来る)
・食堂、酒場経営なら目利き・価格設定・接客・強引な客のあしらいも上手そう。(文字や算術が出来る)
候補としては行商人と食堂、酒場経営の家族だろうが、農家と冒険者の家族にも頼もしい所がある……。
「⦅みんなに相談です。まだ会ってないからわからないけど、もし全員と会って問題が無ければ全家族と契約することになっても良いでしょうか?⦆」
「「「「〔⦅全家族!? なんでだ? 店舗には2家族で十分じゃないのか?⦆〕」」」」
「⦅一度会ってそれぞれの家族を見てからだけど、色々考えられるんだよね~⦆」
わたしが真剣に考え込む様子が気になったんだろう、面会準備のため奴隷商さんが席を外したタイミングで、
「どうしました、何か気になることがありますか?」
ハンスさんから質問、それにブルックギルマスさん以外はわたしに注目していた……ブルックさん……脳筋か?
「もちかちたら、じぇんかじょくとけいやくしゅりゅかみょ?」
「「「「は!?」」」」
あら、さすがにブルックさんも反応したわ! 聞いてたんだね?
「んちょね? おみしぇちょはべちゅに、にょうじょうちょかいりょいりょありゅち~」
「全家族にそれぞれ適した仕事があるという事ですか?」
この滑舌にもかかわらず、理解してくれるビクターギルマス……さすがです!
「はい、いりょいりょでしゅね!」
「なるほど、では会ってみてからですね。書類上では問題なさそうですが……特に気を付ける必要があるのは元行商人でしょうか? やはり商人は上手に世渡りしますからね」
商人気質の強いビクターギルマスがそれを言っちゃうのね……気を付けよう。
昨日かなりの量を収穫しているので、念の為に朝一番で農場の様子を見たら、何の問題もなく新たな収穫物が沢山実っていた。(無理だろうと思いながらイメージした、収穫が早いってのが成功したからね♪)
子供達も仕事に来たので無理しないように伝えてから、わたし達はギルドにやって来たんだよ。商業ギルドに行く前に声を掛けに来たんだ~。
冒険者さん達は依頼ボードの前で、少しでも良い条件で自分達に出来る内容を求めて真剣だ。わたしはまだ一度も依頼受けてない……奴隷とか店舗とか一通り用事が済んだら依頼受けてみよう!
ハッ!? あの後ろ姿は以前会った事のある美女! 将来のためにお知り合にならなければ!
「おにぇえしゃん、おはようごじゃいましゅ。きょうみょきりぇいでしゅね!」
「え? あら……ありがとう。あまり言われないからとっても嬉しいわ!」
「いわりぇにゃいんでしゅか? みんにゃみりゅめにゃいでしゅね!
あ、わたち、エア・ルミナードでしゅ。どうやっちゃりゃ、しょんにゃにきりぇいににゃりぇりゅんでしゅか!?」
こんな美女にキレイって言わない!? 男たちは馬鹿なのか!?
「‹ファミリーネーム? 貴族様?› お嬢様は……」
なんかボソボソ小声で言ってたようだけど、急にどうしたの? しかもお嬢様って!?
「おじょうしゃまじゃないでしゅよ!? どうちたんでしゅか!?」
「え……っと、貴族様では?」
「ないでしゅ! わたちは、あおにょちゅりゅぎにょかじょくでしゅ♪」
「(チラリ?)それじゃあ、エアちゃん? きれいになりたいの?」
「とうじぇんでしゅ、おにぇえしゃんみちゃいに、きりぇいでしゅたいりゅもいいにょにあこがりぇましゅ~。
ほぁ~、ほんちょにしゅたいりゅいい~♡」
「「ユリアナ、どうしたの? あら、かわいい子ね!?」」
突然後ろからちょっと低めの声が……でも喋り方女性みたい?
「ふひゃ~! びじんしゃんら~!
こんちは、エア・ルミナードでしゅ。おにぇえしゃんのにゃかまでしゅか?」
「貴族「ちやいましゅ!」……様?」
被せて否定! 細マッチョなイケメン2人なんだけど、綺麗にお化粧しててこちらも美人さん
「この子はエアちゃんって言うの、貴族様じゃないらしいわよ? この2人は私のパーティーメンバーで、リリーとラナ。女神の祈りって名前のBランクパーティーなの」
リリーさんは金髪の長い髪を一つに束ねて右肩に流したゆるふわヘアーで、ラナさんは茶色でショートボブ、ユリアナさんは茶色のストレートロングヘア―……3人とも美人だわ~♡
「ぴっちゃりでしゅ! びじん!」
「「な、なんってかわいいの~!」」
「蒼の剣の家族なんですって」
女神の祈りの3人に構ってもらっている間に、他のみんなはハンスさんに声を掛けてたみたいで、2階からギルマスと一緒に降りてくるのが見えたので、そろそろお別れの時間か。
「あにょね~、やたいじょおりにょ、へいみんがいにちかいちょこで、おみしぇやしゃんしゅりゅんでしゅよ~。かいてんちたらじぇひきてくだしゃい!」
「「「必ず行くわ! 楽しみに待ってるわね!?」」」
しっかりお店の宣伝をしてからバイバイする、たとえ3歳でも農場経営をしているオーナーですからね♪
「2軒分の売買契約も終わりましたので、そろそろ奴隷商に行きましょうか?」
土地の購入もこれで3回目(それも立て続けに)なので慣れた物で、商業ギルドに来てそう時間もたたずに終了。
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「昨日エアさんが色々作りまして、もし良ければそれも商品にと考えています」
「拝見しましょう」
ザックさんとカイルさんが代わりに話してくれるので、私はただ作ったものと鑑定魔道具を差し出すだけで良いのだ!
「これは良いですね! こんなものが出来るとは……」
今見て貰ってるのは、初級ポーションをHPは塗り薬に、MP・万能・増血薬は飴ちゃんに作り変えた物で、元々初級であり効果が低い物なので、前世で言う常備薬感覚で使用できるようにと挑戦してみたら出来ちゃったんだよね~♪
飴ちゃんの味もいろいろ工夫を凝らしました……やってやったぜ!
「この増血薬はそれほど需要があるのでしょうか?」
「それなんですが、エアさんの説明では女性に需要がありそうですよ? どうも妊娠出産などにも影響するらしいです」
「それで、こちらはシャンプー? トリートメント? 説明を見た感じでは良さそうですね」
「シャンプーは元々売られていますが? 違いがあるのでしょうか?」
「昨日使ってみたけど全然違ったよ~」
「ほう? そういえば、これまでとは違うような……」
「それぞれ小瓶を準備したので、ぜひ一度使ってみてください」
ウル草とトロ草を使ってついに登場、シャンプー・リンス・トリートメントですよ♪ 香りも付けて中々の出来になったんじゃないかと自負しております。(ドヤァ!)
「ではこのシャンプーなどは試させていただいてからとしましょう。それ以外の物はすぐに登録できますが販売だけか、製造法の公表もするかどうします?」
「製造法の公表でも良いんだが、材料が知られていないからな……。もし間違いがあると困るだろう?」
「知られていない材料とは何です?」
「エア出してくれるか?」
ハイハイ、待ってくださいね~。テーブルにいくつかの草を説明しながら置いていく。
「こりぇは、ぶりゅーと、じょうけちゅやくにちゅかいまちゅ。しょりぇかりゃ、うりゅしょうちょ、とりょしょう…………」
「何という事でしょうか……これほどの素材が普通に身近にありながら、ただの雑草とされていたとは」
「こんなにも知られていないものが多いとは……こりゃあ、時々魔道具を持って外に出た方がいいかもな」
道端にあって今まで見ていた草が薬の材料に使えるなんて、ってことでしばらくショックを受けてたけど、ショックから立ち直るとキチンと今後の事を考えてるなんて流石だ!
「ではそれは両ギルドからの依頼としましょう」
「薬師が全員必ず鑑定や、鑑定の魔道具を持っている訳ではないでしょう? そうなるとキチンと見分ける事が出来るようになるまで、新しい素材を利用したポーションは色々な所で作成しない方がいいのでは?
もしくは見分ける事が出来るようになった薬師だけに許可を出すとかでしょうか?」
「ポーションについては製造法の公表をしても良いけど~、それ以外の薬とかシャンプーなんかは公表しない事にしたよ~」
「やっぱりエアの物だからな。ポーションの公表も悩んだんだが多くの冒険者に関わって来るからな」
「……お菓子・飴は……出さない!」
「これに関しては申請はするが公表はなしで。勝手に研究してくれればいいんじゃないか?」
「わかりました。ポーションだけは、薬師に公表しますが新しく見つかった薬草の見分けが出来るまで、作ることを禁じ許可制とします。
それ以外の商品はすべて、公表はせず申請のみですね?
では奴隷商に行かなければなりませんので、申請はまた後日としましょう。それでしたらシャンプーなどの結果も出ているでしょうし」
なんとまあ……わたしの事なのに、わたし抜きですべての話が決定したようですよ!? 楽でいいわね♪
さてさて、ついに奴隷商です。き、緊張してしまいます~。す~は~す~は~
「さあ着きましたよ。ダジュール商会、ここは奴隷商の中でも一番質のいい商会でして、奴隷に対しても丁寧な扱いがされています。
中にはどうしても扱いの悪い所もあるのです、嘆かわしい事ですがね」
ビクターギルマスの案内でたどり着いたのは商業地区にある、見た目ではまるで奴隷商だとは思えないシンプルだがオシャレな建物。
「おやおや、どなたかと思えばビクターさんではありませんか。おや珍しいハリスさんまで一緒とは、いったい何事でしょうかな? それにどうやら他にもお連れ様がいらっしゃるようですし」
中から扉が開き出て来たのは、4~50代の白髪が少し混じった紳士風の男性(貴族の執事してたら似合いそう、高位貴族限定だけど!)物腰柔らかく、ニコニコしてるのに時々怖そう……ただの想像です!!
「突然大人数ですみませんね。実は一家での奴隷を探しているのですが、現在そういった方はいますか?」
ビクターギルマスが代わりに交渉してくれるとの事だったので、わたし達はただ見極めるだけで良いらしいが、出来れば2家族で良い人がいればいいんだけど、そんな都合よくいくかな~?
「家族ですか……数家族いますが、目的をお聞きしても?」
「近々新しく店舗が開く予定でして、そこで従業員として働いていただきたいと思っているのですが、別に元商人などは望んでいません。ただ誠実に主となる方に尽くしていただければいいのです」
「成程。まずどういった奴隷がいるのかから行きましょう」
そういって出されたのは数枚の書類。どうやら簡単な奴隷の情報が書かれているようで、身体が小さい事を利用してみんなの膝の上を移動……ごめんなすって!
覗いてみると、元農家が2家族・元冒険者が2家族・元行商人が1家族・元食堂と酒場経営がそれぞれ1家族で、奴隷になった理由もギャンブルやお酒などの個人の趣味趣向ではなく、経営が厳しくなったとか怪我、病気など理解できる内容だったので一通り面会してみる事に。
困ったな~。2家族の予定だったけど情報だけで見ると、
・農家なら農場の手伝いや、作物販売の店舗で目利きが出来そう。(目利きは出来ても価格設定は苦手?)
・冒険者なら店舗の警備や農場帰りの子供達の護衛。(警護は出来ても、接客は?)
・行商人なら目利き・価格設定・接客・強引な客のあしらいも上手そう。(文字や算術が出来る)
・食堂、酒場経営なら目利き・価格設定・接客・強引な客のあしらいも上手そう。(文字や算術が出来る)
候補としては行商人と食堂、酒場経営の家族だろうが、農家と冒険者の家族にも頼もしい所がある……。
「⦅みんなに相談です。まだ会ってないからわからないけど、もし全員と会って問題が無ければ全家族と契約することになっても良いでしょうか?⦆」
「「「「〔⦅全家族!? なんでだ? 店舗には2家族で十分じゃないのか?⦆〕」」」」
「⦅一度会ってそれぞれの家族を見てからだけど、色々考えられるんだよね~⦆」
わたしが真剣に考え込む様子が気になったんだろう、面会準備のため奴隷商さんが席を外したタイミングで、
「どうしました、何か気になることがありますか?」
ハンスさんから質問、それにブルックギルマスさん以外はわたしに注目していた……ブルックさん……脳筋か?
「もちかちたら、じぇんかじょくとけいやくしゅりゅかみょ?」
「「「「は!?」」」」
あら、さすがにブルックさんも反応したわ! 聞いてたんだね?
「んちょね? おみしぇちょはべちゅに、にょうじょうちょかいりょいりょありゅち~」
「全家族にそれぞれ適した仕事があるという事ですか?」
この滑舌にもかかわらず、理解してくれるビクターギルマス……さすがです!
「はい、いりょいりょでしゅね!」
「なるほど、では会ってみてからですね。書類上では問題なさそうですが……特に気を付ける必要があるのは元行商人でしょうか? やはり商人は上手に世渡りしますからね」
商人気質の強いビクターギルマスがそれを言っちゃうのね……気を付けよう。
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