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大河ドラマの主役になれない、かわいそうな戦国大名
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2024年の大河ドラマが、紫式部を主人公にする事を知っている方も多いでしょう。
2012年の「平清盛」が低視聴率でたたかれたため、堅実路線を歩んでいましたが、やっとチャレンジできる環境が整ったのでしょう。
NHKの大河ドラマで主人公が活躍する時代設定で多いのが、「源平争乱期」「戦国時代~江戸時代初期」「幕末」の三つでしょう。昔は「忠臣蔵」も定番でしたが、平成に入った頃からほとんど取り上げられなくなりました。
(ブラック企業が幅をきかせている現代では、「忠臣蔵」は理解されない)
挑戦して「南北朝期」「応仁の乱」「平将門の乱」など別の時代の人物や出来事を取り上げた作品は、低視聴率のため、翌年は視聴率ねらいの時代設定になることが多いようです。
定番の時代でも多彩な人材がそろっているのは、なんといっても「戦国時代」でしょう。
幕末だと「長州」」「薩摩」「新撰組」「坂本龍馬」「勝海舟をはじめとする幕臣(八重の桜の会津藩も幕臣に分類可能)」の5つのグループに限られるのに対し、
戦国時代は、「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」「武田信玄」「上杉謙信」の5人だけに限らず、彼らの家臣も主役にすることが可能なうえ、「伊達政宗」「毛利元就」など多士済々で、企画担当者は視聴率をねらった企画が考えやすいでしょう。
さらに最近はテレビゲームの影響で、長宗我部元親、立花宗茂、島津義弘などマイナーな武将も若者の間に浸透してきているので、NHKの企画担当者は、「次は誰にしようか」とうれしい悲鳴を上げながら、2017年以降の大河ドラマの企画を考えているでしょう。
(2014年の「軍師官兵衛」のライバルとして、「島津義弘」が噂に上ったこともある)
2024年は、ちょっと冒険して「紫式部」を主人公に据えるようですが。
主の邪推ですが、「天地人」は漫画「花の慶次」のおかげで企画が通ったのでしょう。
(直江兼次は、「花の慶次」の中では、主人公の次にいい男にかかれているから)
そんな、多士済々の戦国時代ですが、歴史の教科書に掲載される人物でありながら、いまだに大河ドラマの主役どころか、脇役にすらなっていない戦国大名がいます。
まず、思いつくのは今川義元ですが、最後が織田信長の引き立て役という終わり方だから、まず選ばれることはないでしょう。
選ばれるならば、従来通り織田信長の敵役というところでしょう。
(企画が通っても、「平清盛」以下の低視聴率になる可能性が高い)
ギリギリのラインで、「おんな城主直虎」が制作されましたが、女戦国大名として研究者も認める今川「寿桂尼」は、主役にできなかった。
さて、ここで記事を読まれている方に考えていただきたいのです。
次にあげる項目を満たしている戦国大名が、大河ドラマの主役にふさわしいかどうか。
1,数多くの合戦で勝利を収めた。
(負け戦もあったが、最終的に勝利を収めた)
2,民衆が暮らしやすくなるように善政を行った。
3,身内からの要請で、それまでの地位をなげうって廃嫡寸前の甥を助けに駆けつけ、家督相続を成功させた。
4,55歳という高齢になって、ようやく一城の主になった。
5,60歳すぎてから本格的に活動を始め、人生の最後で宿敵を破り、国持ち大名となって勝利のうちに88年の生涯を閉じた。
(最近は、64歳没年説が主流)
6、ただの牢人から国持ち大名に出世したといわれてた。
(現在では否定されているが、戦力をほとんど持っていない事実は変わらない)
どうでしょうか。
戦に強く、領民を大事にし、波瀾万丈の人生を歩み、しかも身内も大事にするという、ドラマにするのに打ってつけの戦国大名が実在するのです。
55歳でようやく一城の主なるなんて、「中年(熟年)の星」そのものではないですか。
(最近は30歳前後に城主になった説が主流)
そして、あの司馬遼太郎も、この人物を主人公に小説を書いています。
これほど知名度が高かったにもかかわらず、大河ドラマの候補の噂にすらあがらない、ある意味空気な戦国大名とは、いったい誰か。
歴史ファンの方なら、「あの人ね」と想像できる人。
それは、
北条早雲こと伊勢宗瑞なのです。
彼は、足利将軍家に代々官僚として使える伊勢氏の生まれで、幕府の申次衆(江戸幕府の側用人に相当)をつとめていながら、妹(または姉)の要請でその地位を捨て駿河に下り、甥の家督相続を実現させ、その功績で興国寺城を与えられ、その後戦乱で荒れた伊豆を平定し、それまでより税金をやすくし、疫病に襲われた領民を救済するなど大活躍をします。その後相模を攻め、旧勢力である三浦氏を討滅し、相模を平定してからなくなったという。
理想的なサクセスストーリーなのです。
なのになぜ、北条早雲は大河ドラマの主役に選ばれないのか?
北条早雲は「下克上」の代表格だからという考え方は、当てはまりません。
なぜなら、「下克上」の代表格である斎藤道三は、「国盗り物語」(原作司馬遼太郎)で主役に選ばれています。
マイナーな戦国武将だったから、という説も当てはまりません。
江戸時代から昭和30年代まで、講談本や小説にさんざん書かれていて、江戸時代の人たちには「一介の素浪人から、国持ち大名まで出世した人」ということで、人気者でした。
しかし、最近はマイナーな戦国大名として、知名度は長宗我部元親どころか上杉景勝家臣の直江兼次以下になっています。
なんで、これほどまで知名度が落ちてしまったのか。
主が気がついたのは、戦国時代を舞台にした大河ドラマでは、必ず「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」と絡む事件がある人物限定ということです。
斎藤道三は、信長と同盟関係を結び、美濃の譲渡状を子どもに残すなど、信長との話題に事欠かない上、「国盗り物語」の後半の主役は織田信長でした。
2016年の大河ドラマの主人公真田信繁(幸村)は、徳川家康がらみの話題に事欠きません。
唯一関係ないのが、「毛利元就」ですが、息子の吉川元春、小早川隆景は信長、秀吉との話題に事欠きませんので、物語の最後の方に多少盛り込んでいました。
その点、北条早雲は織田信長が生まれる前になくなっており、信長が生まれた頃は、3代目北条氏康に世代交代をしていました。
そして、信長が絡む話題はほとんどなく、秀吉にあっさり滅ぼされてしまい、矮小なイメージしか残らないようになってしまってます。
織田信長が生まれる前に死んだ人をゲームに出すのも無理があるでしょうし・・・。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に絡まなかったというだけで、空気にされてしまった北条早雲(伊勢宗瑞)さん。
2025年あたりの大河ドラマで、候補にあげてもいいのではないでしょうか。
でも、2024年は「紫式部」だから、翌年は視聴率を狙って「幕末」ものでしょうか?
2012年の「平清盛」が低視聴率でたたかれたため、堅実路線を歩んでいましたが、やっとチャレンジできる環境が整ったのでしょう。
NHKの大河ドラマで主人公が活躍する時代設定で多いのが、「源平争乱期」「戦国時代~江戸時代初期」「幕末」の三つでしょう。昔は「忠臣蔵」も定番でしたが、平成に入った頃からほとんど取り上げられなくなりました。
(ブラック企業が幅をきかせている現代では、「忠臣蔵」は理解されない)
挑戦して「南北朝期」「応仁の乱」「平将門の乱」など別の時代の人物や出来事を取り上げた作品は、低視聴率のため、翌年は視聴率ねらいの時代設定になることが多いようです。
定番の時代でも多彩な人材がそろっているのは、なんといっても「戦国時代」でしょう。
幕末だと「長州」」「薩摩」「新撰組」「坂本龍馬」「勝海舟をはじめとする幕臣(八重の桜の会津藩も幕臣に分類可能)」の5つのグループに限られるのに対し、
戦国時代は、「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」「武田信玄」「上杉謙信」の5人だけに限らず、彼らの家臣も主役にすることが可能なうえ、「伊達政宗」「毛利元就」など多士済々で、企画担当者は視聴率をねらった企画が考えやすいでしょう。
さらに最近はテレビゲームの影響で、長宗我部元親、立花宗茂、島津義弘などマイナーな武将も若者の間に浸透してきているので、NHKの企画担当者は、「次は誰にしようか」とうれしい悲鳴を上げながら、2017年以降の大河ドラマの企画を考えているでしょう。
(2014年の「軍師官兵衛」のライバルとして、「島津義弘」が噂に上ったこともある)
2024年は、ちょっと冒険して「紫式部」を主人公に据えるようですが。
主の邪推ですが、「天地人」は漫画「花の慶次」のおかげで企画が通ったのでしょう。
(直江兼次は、「花の慶次」の中では、主人公の次にいい男にかかれているから)
そんな、多士済々の戦国時代ですが、歴史の教科書に掲載される人物でありながら、いまだに大河ドラマの主役どころか、脇役にすらなっていない戦国大名がいます。
まず、思いつくのは今川義元ですが、最後が織田信長の引き立て役という終わり方だから、まず選ばれることはないでしょう。
選ばれるならば、従来通り織田信長の敵役というところでしょう。
(企画が通っても、「平清盛」以下の低視聴率になる可能性が高い)
ギリギリのラインで、「おんな城主直虎」が制作されましたが、女戦国大名として研究者も認める今川「寿桂尼」は、主役にできなかった。
さて、ここで記事を読まれている方に考えていただきたいのです。
次にあげる項目を満たしている戦国大名が、大河ドラマの主役にふさわしいかどうか。
1,数多くの合戦で勝利を収めた。
(負け戦もあったが、最終的に勝利を収めた)
2,民衆が暮らしやすくなるように善政を行った。
3,身内からの要請で、それまでの地位をなげうって廃嫡寸前の甥を助けに駆けつけ、家督相続を成功させた。
4,55歳という高齢になって、ようやく一城の主になった。
5,60歳すぎてから本格的に活動を始め、人生の最後で宿敵を破り、国持ち大名となって勝利のうちに88年の生涯を閉じた。
(最近は、64歳没年説が主流)
6、ただの牢人から国持ち大名に出世したといわれてた。
(現在では否定されているが、戦力をほとんど持っていない事実は変わらない)
どうでしょうか。
戦に強く、領民を大事にし、波瀾万丈の人生を歩み、しかも身内も大事にするという、ドラマにするのに打ってつけの戦国大名が実在するのです。
55歳でようやく一城の主なるなんて、「中年(熟年)の星」そのものではないですか。
(最近は30歳前後に城主になった説が主流)
そして、あの司馬遼太郎も、この人物を主人公に小説を書いています。
これほど知名度が高かったにもかかわらず、大河ドラマの候補の噂にすらあがらない、ある意味空気な戦国大名とは、いったい誰か。
歴史ファンの方なら、「あの人ね」と想像できる人。
それは、
北条早雲こと伊勢宗瑞なのです。
彼は、足利将軍家に代々官僚として使える伊勢氏の生まれで、幕府の申次衆(江戸幕府の側用人に相当)をつとめていながら、妹(または姉)の要請でその地位を捨て駿河に下り、甥の家督相続を実現させ、その功績で興国寺城を与えられ、その後戦乱で荒れた伊豆を平定し、それまでより税金をやすくし、疫病に襲われた領民を救済するなど大活躍をします。その後相模を攻め、旧勢力である三浦氏を討滅し、相模を平定してからなくなったという。
理想的なサクセスストーリーなのです。
なのになぜ、北条早雲は大河ドラマの主役に選ばれないのか?
北条早雲は「下克上」の代表格だからという考え方は、当てはまりません。
なぜなら、「下克上」の代表格である斎藤道三は、「国盗り物語」(原作司馬遼太郎)で主役に選ばれています。
マイナーな戦国武将だったから、という説も当てはまりません。
江戸時代から昭和30年代まで、講談本や小説にさんざん書かれていて、江戸時代の人たちには「一介の素浪人から、国持ち大名まで出世した人」ということで、人気者でした。
しかし、最近はマイナーな戦国大名として、知名度は長宗我部元親どころか上杉景勝家臣の直江兼次以下になっています。
なんで、これほどまで知名度が落ちてしまったのか。
主が気がついたのは、戦国時代を舞台にした大河ドラマでは、必ず「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」と絡む事件がある人物限定ということです。
斎藤道三は、信長と同盟関係を結び、美濃の譲渡状を子どもに残すなど、信長との話題に事欠かない上、「国盗り物語」の後半の主役は織田信長でした。
2016年の大河ドラマの主人公真田信繁(幸村)は、徳川家康がらみの話題に事欠きません。
唯一関係ないのが、「毛利元就」ですが、息子の吉川元春、小早川隆景は信長、秀吉との話題に事欠きませんので、物語の最後の方に多少盛り込んでいました。
その点、北条早雲は織田信長が生まれる前になくなっており、信長が生まれた頃は、3代目北条氏康に世代交代をしていました。
そして、信長が絡む話題はほとんどなく、秀吉にあっさり滅ぼされてしまい、矮小なイメージしか残らないようになってしまってます。
織田信長が生まれる前に死んだ人をゲームに出すのも無理があるでしょうし・・・。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に絡まなかったというだけで、空気にされてしまった北条早雲(伊勢宗瑞)さん。
2025年あたりの大河ドラマで、候補にあげてもいいのではないでしょうか。
でも、2024年は「紫式部」だから、翌年は視聴率を狙って「幕末」ものでしょうか?
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