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悟の世界
朝食。
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「おはよう。」
優しく声をかけてきたのはサトルだった。
カーテンの隙間から射す光が彼の横顔を照らしていた。
ミノルは彼の挨拶に眠気眼ながらに答えた。
「あぁ おはよう。」
二人は朝の支度を整えた。ひげを剃り、髪形を整え、歯を磨いた。
ミノルは今日はどこへ連れて行ってくれるのだろうかと思った。
サトルは今日も何か新しい価値観を見せてくれるんじゃないか。
そう期待した。
「まずは、朝食だね。良いお店があるから案内するよ。」
サトルはそう言った。
二人は受付の老婆に挨拶をして、チェックアウトを済ませた。
その際、朝からいちゃつく女性二人が目に留まった。朝から食欲をそぐことをするなぁ。
ミノルはそう思った。
しかし同時に、同性同士がいちゃつくことに対して違和感を覚えない自分を自覚した。
自分の価値観が徐々に寛容になっているのだと思った。そう思っているとサトルが歩き始めていった。ミノルはそれに続く。
まずはホテル街を抜けた。それから随分長く歩いた。空は晴れていた。町の開けた場所に来た。
店が多く並んでいた。
きっとこの店たちもこの町に住む人々が作り上げた幸せの一つなんだろうな。
ミノルはその光景を見てそう考えていた。
「さぁ。このお店だよ。」
サトルの案内してくれた店は小さいが明るい雰囲気のいわゆる小粋なお店だった。
「いらっしゃい!おはよう。」
店主のおばさんが声をかけた。二人は挨拶を返した。ミノルはいかにも優しそうなおばさんだと思った。
そして二人はテーブルに着いた。
「モーニングを二つください。」
おばさんは、はぁい、とまた優しく返事をしてくれた。
サトルは慣れた様に言った。さすがにおススメする店だけあってよく通っているんだなぁとミノルは感じた。
また、この世界にもモーニングというのがあるんだとぼんやり考えた。今考えると、昨日の酒場でも自分の知っているメニューばかりが出されていた。ファンタジーの世界に来たのにそこは残念だなぁと、どうでもよさそうな事を考えていた。
すると唐突にサトルが口を開いた。
「実はね。このお店、始めて入るんだ。前から良いとは思ってたんだけれどね。」
サトルはいたずらっぽく笑いながら言った。
ミノルは吹き出して笑いそうになった。
そして、彼のこういった突飛な性格を思い出した。
「この世界に来てからも相変わらずだなぁ!」
ミノルはそういいながら笑った。
「相変わらず?そうかな?」
サトルは本気か冗談なのか分からないような調子でそう返事をした。そんなやり取りを交わしている間に二人にモーニングが届いた。
「今日はこれを食べ終わったらまた面白いところに連れて行くよ。ナオミちゃんもいるんじゃないかな?」
サトルがそう言ってから二人はモーニングを口に運び出した。
優しく声をかけてきたのはサトルだった。
カーテンの隙間から射す光が彼の横顔を照らしていた。
ミノルは彼の挨拶に眠気眼ながらに答えた。
「あぁ おはよう。」
二人は朝の支度を整えた。ひげを剃り、髪形を整え、歯を磨いた。
ミノルは今日はどこへ連れて行ってくれるのだろうかと思った。
サトルは今日も何か新しい価値観を見せてくれるんじゃないか。
そう期待した。
「まずは、朝食だね。良いお店があるから案内するよ。」
サトルはそう言った。
二人は受付の老婆に挨拶をして、チェックアウトを済ませた。
その際、朝からいちゃつく女性二人が目に留まった。朝から食欲をそぐことをするなぁ。
ミノルはそう思った。
しかし同時に、同性同士がいちゃつくことに対して違和感を覚えない自分を自覚した。
自分の価値観が徐々に寛容になっているのだと思った。そう思っているとサトルが歩き始めていった。ミノルはそれに続く。
まずはホテル街を抜けた。それから随分長く歩いた。空は晴れていた。町の開けた場所に来た。
店が多く並んでいた。
きっとこの店たちもこの町に住む人々が作り上げた幸せの一つなんだろうな。
ミノルはその光景を見てそう考えていた。
「さぁ。このお店だよ。」
サトルの案内してくれた店は小さいが明るい雰囲気のいわゆる小粋なお店だった。
「いらっしゃい!おはよう。」
店主のおばさんが声をかけた。二人は挨拶を返した。ミノルはいかにも優しそうなおばさんだと思った。
そして二人はテーブルに着いた。
「モーニングを二つください。」
おばさんは、はぁい、とまた優しく返事をしてくれた。
サトルは慣れた様に言った。さすがにおススメする店だけあってよく通っているんだなぁとミノルは感じた。
また、この世界にもモーニングというのがあるんだとぼんやり考えた。今考えると、昨日の酒場でも自分の知っているメニューばかりが出されていた。ファンタジーの世界に来たのにそこは残念だなぁと、どうでもよさそうな事を考えていた。
すると唐突にサトルが口を開いた。
「実はね。このお店、始めて入るんだ。前から良いとは思ってたんだけれどね。」
サトルはいたずらっぽく笑いながら言った。
ミノルは吹き出して笑いそうになった。
そして、彼のこういった突飛な性格を思い出した。
「この世界に来てからも相変わらずだなぁ!」
ミノルはそういいながら笑った。
「相変わらず?そうかな?」
サトルは本気か冗談なのか分からないような調子でそう返事をした。そんなやり取りを交わしている間に二人にモーニングが届いた。
「今日はこれを食べ終わったらまた面白いところに連れて行くよ。ナオミちゃんもいるんじゃないかな?」
サトルがそう言ってから二人はモーニングを口に運び出した。
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