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死後の世界
家族。Ⅰ
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彼は起きてしまった。
中途覚醒だと思った。彼に中途覚醒の症状が出始めたのは、悟の”死”について頭の中で考えが駆け巡るようになってからだった。
そしてまた、この日も中途覚醒の症状が現れた。しかしここは彼の居たもとの世界ではない。なぜまた、中途覚醒が起きたのか彼は不思議に思った。
そして中途覚醒の不快感から彼は起きることを余儀なくされた。日はまだ昇っていなかった。おそらく深夜に起きたのだろうと推測できた。夕方から眠り深夜に起きた。彼は中途覚醒であると断定したが、睡眠時間を考えれば当然の結果ともいえた。
「クソッ ファンタジーの世界でもこれか。疲れがでたのか?水でも飲みに行かせてもらうか。」
彼は1階へ降りて水を飲もうとした。中途覚醒のせいで起きると、もう一度眠るのに一苦労すると言うのは、彼の経験上知りえた事実であった。彼の足が正面の部屋へと差し掛かると前に感じた、甘ったるいにおいをさらに濃くしたような匂いが鼻を突いた。彼はつい正面の部屋を見た。扉が少し開いていた。眠気眼の彼は扉の奥を覗いた。
「あら?覗かないでって言ったはずでしょう?」
ナオミの母の姿を見てミノルは一度に感覚が冴えた。昼間に会った彼女の姿とはまったく別の服装をしていた。彼女は胸元の開けた黒くテラテラしたロングスカートの妖艶な服に着替えていた。彼は衝撃を受けた。もしかすると、彼女の夫と何か始めるときなのではないかと邪推した。
「スミマセン」
またも彼は、単純な反応しかできなかった。そして急いで扉を完全に閉めようとした。その行動は彼女の言葉によって遮られる。
「大丈夫よ。ただの仕事服だから。一応もう、今日の仕事は終わったの。これから寝巻きに着替えて明日に備えて眠るところよ。」
ミノルの邪推は、いともたやすく見抜かれた。そして彼は仕事と言う言葉にまた衝撃を受けることになった。あの妖艶な服装でする仕事とはいったいなんであろうか。
昼に挨拶したときの彼女からは彼の元居た世界の普通の母親に見受けられた。その時の印象がさらにギャップとして彼に衝撃を与えた。彼は戸惑った。何か見てはいけないものを見てしまったのだと思った。
「いいのよ?別に。隠してもいないしね。」
彼女の言葉からミノルは確信せざるを得なかった。彼女は娼婦として夜、働いているのだと確信した。ミノルはやはり驚いた。彼女が娼婦であることにも驚いたが彼女はそれを隠そうとしなかった。
そこに違和感を覚えた。彼が元の世界で経験したときは、多くの女性がその職業を隠し、自らの職業が卑しいものだと思っている節を感じた。しかし目の前の娼婦からはそれを感じない。彼女は何か芯をもってその職業に従事しているのだと彼に感じさせた。
中途覚醒だと思った。彼に中途覚醒の症状が出始めたのは、悟の”死”について頭の中で考えが駆け巡るようになってからだった。
そしてまた、この日も中途覚醒の症状が現れた。しかしここは彼の居たもとの世界ではない。なぜまた、中途覚醒が起きたのか彼は不思議に思った。
そして中途覚醒の不快感から彼は起きることを余儀なくされた。日はまだ昇っていなかった。おそらく深夜に起きたのだろうと推測できた。夕方から眠り深夜に起きた。彼は中途覚醒であると断定したが、睡眠時間を考えれば当然の結果ともいえた。
「クソッ ファンタジーの世界でもこれか。疲れがでたのか?水でも飲みに行かせてもらうか。」
彼は1階へ降りて水を飲もうとした。中途覚醒のせいで起きると、もう一度眠るのに一苦労すると言うのは、彼の経験上知りえた事実であった。彼の足が正面の部屋へと差し掛かると前に感じた、甘ったるいにおいをさらに濃くしたような匂いが鼻を突いた。彼はつい正面の部屋を見た。扉が少し開いていた。眠気眼の彼は扉の奥を覗いた。
「あら?覗かないでって言ったはずでしょう?」
ナオミの母の姿を見てミノルは一度に感覚が冴えた。昼間に会った彼女の姿とはまったく別の服装をしていた。彼女は胸元の開けた黒くテラテラしたロングスカートの妖艶な服に着替えていた。彼は衝撃を受けた。もしかすると、彼女の夫と何か始めるときなのではないかと邪推した。
「スミマセン」
またも彼は、単純な反応しかできなかった。そして急いで扉を完全に閉めようとした。その行動は彼女の言葉によって遮られる。
「大丈夫よ。ただの仕事服だから。一応もう、今日の仕事は終わったの。これから寝巻きに着替えて明日に備えて眠るところよ。」
ミノルの邪推は、いともたやすく見抜かれた。そして彼は仕事と言う言葉にまた衝撃を受けることになった。あの妖艶な服装でする仕事とはいったいなんであろうか。
昼に挨拶したときの彼女からは彼の元居た世界の普通の母親に見受けられた。その時の印象がさらにギャップとして彼に衝撃を与えた。彼は戸惑った。何か見てはいけないものを見てしまったのだと思った。
「いいのよ?別に。隠してもいないしね。」
彼女の言葉からミノルは確信せざるを得なかった。彼女は娼婦として夜、働いているのだと確信した。ミノルはやはり驚いた。彼女が娼婦であることにも驚いたが彼女はそれを隠そうとしなかった。
そこに違和感を覚えた。彼が元の世界で経験したときは、多くの女性がその職業を隠し、自らの職業が卑しいものだと思っている節を感じた。しかし目の前の娼婦からはそれを感じない。彼女は何か芯をもってその職業に従事しているのだと彼に感じさせた。
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