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32. 対面
しおりを挟む近くへ駆け寄った俺の目に映ったのは頭から血を流しぐったりとしている竣くんの姿で
その近くでは先程の女の子が父親らしき人に抱きしめられながら泣いていた
「竣くん!!!」
名前を呼びながらさらに近くに寄るけれどその目は閉じられたままで反応を示さない
すると聞こえてきた救急車の音
駆け寄ってきた救急隊員に言われるがまま距離を取り、目の前でストレッチャーに乗せられるのをただ呆然と眺めていれば近くにきていた凪くんに「一緒に行かなくていいんですか!?」と強めに言われた
その言葉にハッとして後を追いかけ友人であることを伝え同乗させてもらい一緒に病院へ運ばれた
その間も目を覚ますことはなくただ無事を祈る事しか出来なくて、、、
病院に着き運ばれていく彼の後を追えば声を掛けられ止められた
そこからは言われた場所で待つ事しか出来なくて
しばらくすると、バタバタとこちらに向かってやってくる男性と女性の姿が見えた
すぐに竣くんの両親だと分かり立ち上がって軽く頭を下げれば2人も頭を下げる
「初めまして、花白結と言います。」
そう自分の名前を告げれば2人が固まり顔を見合せた
「初めまして。竣の父親で、雅也といいます。こっちは妻の美菜子です。」
紹介された美菜子さんはそのまま頭を下げた
その後は、連絡を受けた後からショックで疲労のみえる美菜子さんをソファに座らせ、雅也さんと少し離れた場所で会話を交わした
「竣からこの間話を聞きました。」
あの時、2人の気持ちを確認した日に言っていた "両親に話す" の言葉、それの事だろうと思い静かに言葉を待った
「竣に事故の話をした時も結さんの話を聞いていたんです。お隣さんで、優しくて自分の好きな人なんだって」
「でも、全てを知って諦めるんだって泣きながら言ってました。その後すぐにこっちに戻ってきたけどずっと暗くて、、、」
「ある日、いきなり家を飛び出して行ったんで驚いたんです。慌てて連絡したら "行ってくる" だけで、、、翌日帰ってきた姿を見て驚きました。笑ってたんです。もう数ヶ月、家で笑ってなかった竣が笑顔で「ただいま」って。」
「その日のうちに結さんとあの場所で再会して話した事を聞きました。やっぱり好きなんだって、そして、結さんも自分の事を想ってくれているという事も、、、結さんやその友人からも暖かい言葉を貰ったことも、、ほんとにありがとうございます。」
そう言って頭を下げる雅也さんに慌てて顔を上げるように言う
「私、あきらが死んでからずっと閉じこもってたんです。これじゃあいけないって地元出てここに来て、そこで隣に引っ越してきた竣くんと出会って助けられたんです。お礼を言うのはこっちの方なんですよ、、、。」
「そうなんですね、、、」
「聞いた通り、私は竣くんに想いを寄せています。出来るのならこれからは恋人として一緒にいたいと思ってます。でも竣くんよりも10以上も年上の私ですから、、、オメガですが、子を産むことももう出来ないと思います。親御さんからしたら、、、
「私達は気にしていません。息子の、、竣の気持ちが第一ですから。竣が結さんといたいと言うなら私達はそれを応援するだけです。」
「ありがとう、ございます。」
「まずは一緒に竣の無事を祈りましょう。」
「そうですね、、、」
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