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17. 再会
しおりを挟む季節も過ぎ竣くんと迎えた3度目の冬
今年も一緒に行く事になり用意を済ませる
一緒に家を出て乗り込んだ新幹線
でも今年は、泊まる場所を変えた
いつもと違う電車に乗り込んだ俺に「あれ?今年は違うんですか?」不思議そうに訪ねてきた竣くんに笑みだけ返す
困惑しながらも着いてくるのを確認して、ホテルに向かいチェックインを済ませる
「今年はさ、大学の近くなんだ、、、」
「それって、、、」
「そう、あきらがいなくなった時過ごしてた場所」
「、、」
「なんか、いけるような気がして、、一緒に着いてきてくれる?」
「はい、、」
「ありがとう」
そして俺たちはホテルを出て大学のある方へ向かった
高校同様、変わらない場所に思い出が一気に溢れ出す
番になった時、二人でドキドキしながら大学へ向かって友達に報告した
すると、友達だけじゃなく周りにいた人も俺達のことを祝ってくれた
間違いなく人生で一番幸せなときだと思った
残りの学生生活を楽しんで、就職して、いずれは子供が出来て、、、そんな明るい未来を想像していた
そんな未来が崩れ去った4年の冬
一人ぼっちになった
番を失い目の前が真っ暗になった俺が世界で一番不幸なんだと思った
友達からの言葉も受け入れられなくて拒絶した
「お前に何が分かるんだ!ほっといてくれ」
そんな酷い言葉も投げかけた
そして心配していた友達に何も言わずにここを離れた
あの時の友達は元気なんだろうか、、、
そんな疑問が浮かんだ時
「結さん、、」竣くんが俺の名を呼んだ
視線を向ければ別の方を向いていて、、
その視線の先を辿れば、俺たちの方を見て驚いた表情をしている、どこか懐かしい顔が見えた
「ゆい?」
「、、ゆうき?」
「久しぶりだな、」
「そう、、だな」
「元気だったか?」
「うん」
「また会えて嬉しいよ。」
「俺もだよ、」
「あの、、結さん?」
「あぁごめんね。大学の時の友達で優希だよ。優希、今俺の隣に住んでて仲良くなった竣くん。」
「初めまして。」
「初めまして。」
優希は竣くんと挨拶をすれば、すぐにこちらに向き直り「元気そうで安心したよ。連絡先変わってないからさ、いつでも連絡してよ。じゃあ行くわ。」そう言うと竣くんに「またね。」そう言って背を向けた
そんな優希を俺は慌てて呼び止めた
すると、優しく「どうした?」と言いながら再び向き合ってくれた
「あの時は、ごめん。お前に酷い態度とった」
「そうだなぁ、"お前に何が分かるんだ!" そう言われた時は何も言えなかったな、、、」
「ごめん」
「気にしてないよ。大事な人を失ったんだ、余裕なんてなくなるよ。」
「でも、」
「俺はさ、今こうしてお前と会えて話せただけで嬉しいんだよ。全てを拒絶してたお前が、こうして外に出てあいつと過ごしてた場所にこうして立ってる、あいつの死を乗り越えて前を向こうとしてるんだろ?それだけで十分だよ」
「、、ありがとう。あの時俺の近くにいてくれてありがとう、、、」
「泣くなよ。竣くんも困るだろ?って思ったら泣いてるし、、、」
「また連絡する、絶対。」
「待ってるな。そんで早く泣きやめよ、一応人は通るんだから、、、不思議な目で見られるぞ。じゃあまたな!連絡絶対だぞ!」
そう言いながら今度こそ背を向けて歩き出した
すると竣くんが「素敵な友達ですね。」そう言いながら目元を拭う
「そうだね、優希はあの頃からずっと優しくていい奴なんだ、。」
「ちゃんと連絡しなきゃですね。」
「今度、俺が今住んでる場所を案内しようかな。」
「いいですね。結さんがバイトしてるお店、凄く美味しいし紹介するのもありですね。」
「いいね、その時は竣くんもおいで。」
「いいんですか?」
「竣くんがいなかったらここに来れる事もなかった。だから優希にもちゃんと紹介したい。」
「分かりました。その時はお邪魔させてもらいますね。」
そんな会話をしていればいつの間にか止まっていた涙
「戻ろうか。」そう言ってホテルへの道を進む
翌日の墓参りでは久しぶりに優希に会った事を報告してまた来年、来る約束をして終えた
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