幼馴染の彼

あんにん

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  それからの日々はあっという間だった
  
  合格発表の日には、2人でパソコンを前に難しい顔をして、お互いに「そっちが先に見ていいよ。」なんて何十分と言い合って、結局自分の携帯で同時に見る事になった
  同時に開いた画面には合格を知らせる文字
  見た瞬間、お互い携帯を投げ飛ばし抱き合いながら喜んだ
  
  卒業式ではこの3年間を振り返って少ししんみりとした
  夢だったはるにぃと同じ学校に通うことになって、憧れの制服に身を包んで喜んだ入学式
  だけど、現実を突きつけられたバース検査の結果、そして紹介された碧さんの存在
  辛く苦しい記憶が多いと思っていたけど、その中にはいつでも励まして支えてくれた楓の存在が居たことでそうでもなかったのかな、と思えるのはやっぱり少しづつ気持ちが前を向いてきているからだろうか
 
  ふと横を見れば同じタイミングでこちらを見た楓と目が合う
  
 「かえで、、、」
 「どうした?」
 「3年間お前と一緒に過ごせてよかった。ありがとう。」
 「俺だってお前と一緒だったから楽しかったぞ。ありがとなっ!」
 「まぁ4月からも同じ学校なんだけどな。なんかお別れみたいな雰囲気出てるけど!」
 「お前が先に言ってきたくせに、、、」

  なんて言いながら笑顔で卒業式を終えれば、新生活に向けての準備を始める

  なかなか終わらない荷造りに投げ出したくなりつつ、お互いメッセージでやる気を出し合いながらなんとか終わらす

  そしてついに家を出る日になれば、やっぱり少し寂しくて、、、
  楓と一緒に駅へ向かう為、玄関で両親と別れの挨拶をしていれば、隣から俺を呼ぶ声が聞こえた
  
 「なおや、、、」
 「はるにぃ、あの日以来だね。」
 「そうだな、、、今日行くのか?」
 「うん。」
 「そっか、、、気を付けてな。」
 「うん。」
 「大学生活頑張れよ」
 「はるにぃも社会人頑張って、、、」
 「ありがとう。」

  そんな会話をしていれば楓から「そろそろ行くぞー。」と呼ばれる

 「じゃあもう行くね」そう言ってその場を離れようとした俺の手をはるにぃが掴む

 「どうしたの?」
 「いや、、、ごめん、何でもない。」

  そう言って手が離れた
  俺はもう一度はるにぃの顔を見て「そっか」と呟いた後にとびきりの笑顔を向け「はるにぃばいばい」そう告げた

  急いで楓の方へ向かい歩き出す
  そして角を曲がった瞬間溢れ出した涙

  大好きだった
  どんな時も俺の事を気にかけてくれて
  優しくしてくれたはるにぃの事が
  小さい時からずっとずっと大好きだったよ

  そんな俺の頭を撫でながら「最後...ちゃんと笑えてたぞ。頑張ったな。」そう優しく楓が呟いた

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