幼馴染の彼

あんにん

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  家の中へ入ればバクバクと大きな音をたてる心臓を抑えながら思わず玄関で座り込む
  ここ数ヶ月こんな風に話す事もなかった
  たまにくるメッセージでも前ほど気持ちが上がる事もなかったから少しは平気だと思ってた
  だけどやっぱり顔を見て話してしまえばまだダメで、、、はるにぃに見られてると思うだけで俺の心臓はまだこんなにも跳ねている
  諦めがつくまではすぐに会える距離にいてはいけないんだ.....

 「やっぱり俺の選択は間違ってない」

  そうぽつりと呟いた言葉はまだ誰もいない家の中に吸い込まれていった

  
  その後は受験の追い込みでほぼ毎日学校に残っていたおかげで、はるにぃと顔を合わせることはなかった
 
  そして迎えた受験前日
  地元でも受けられる為少しだけ気は楽だけど不安はあって、、、
  1人教科書を開くけど集中出来ずにいれば、携帯が震え着信を知らせる

 「尚也?今へーきか?」
 「大丈夫だけど、、、」
 「もしよかったらさ、今から家来ない?」
 「えっ?」
 「いやさ、1人で居たらなんか落ち着かなくて、、、それで一緒に復習なんかしながら過ごしてなんなら家泊まってさ、明日朝一緒に出ねぇ?」
 「なるほど、、、、」
 「どうせ尚也も落ち着かなくてそわそわしてんじゃねーの?」
 「別に俺は余裕ですけどね!でもまぁお前がどうしてもって言うんなら行ってもいいけど?」
 「ふーんそう。じゃあいいや。」
 「ごめんなさい嘘です行きます。」
 「最初から素直になれよな」
 「だって、、、なんか悔しくて、、、」
 「なんだよそれ」

  なんて言いながら笑う楓に「すぐ行くからな!」なんて少し大きな声で言えば「分かったよ、待ってるから。」なんてまだ少し笑いながらだけど優しく言ってくれる

  電話を切った後にカバンに必要な物を詰め込みリビングにいる両親に伝え家を出れば少し寒くて、、、

 「上着別のにしたら良かったかな....」

  そう呟きながら歩いていれば前から人影が見えてきた
  フードを被り顔がよく見えず、まだ20時でも辺りは暗い為、少し用心して歩いていればその人物がいきなり早歩きになり俺目の前でピタリと止まった
  驚きと恐怖で固まっていれば「やっぱ尚也だ!」なんて先程まで聞いていた声が俺の名前を言いながらフードをとれば楓で、、、

 「お前さぁ、、、そんな顔が見えにくい格好でいきなり近付いて来られたらビビるだろ」
 「んー?あぁわりぃ寒くてつい」

  なんて言いながら笑えば「ほらっ」そういって俺の前に何かを差し出す
  手を伸ばせば温かい何かが置かれ、見てみればココアで

 「なんで?」
 「ここ来るまで寒いかなー思って買っといた」
 「お前、、、優しいんだな」
 「だからお前にはいつでも優しいだろ?」
 「そうだったな」
 
 なんて言って笑えば「お前それ分かってないだろ」なんて呆れたように返される

  分かってるよちゃんと
  俺に話しかけてくれたあの日から、楓がずっと優しくしてくれてる事

  
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