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しおりを挟むひとしきり泣いて落ち着いた俺はゆっくりと楓から離れる
「もう大丈夫なのか?」俺の顔を覗き込みながらそう聞いてくる楓に「うん、大丈夫。ありがとな。」笑顔を見せながらこたえて
「俺さ諦めようと思う。」
「えっ?」
「はるにぃのこと諦める。」
「いいのか?」
「うん、、、ほんとは恋人が出来たって言われたあの日に諦めるべきだったんだよ。」
「それは、、、」
「それで俺やっちゃいけない事やっちゃったし、、、」
「なにしたの?」
「勉強会の日にさ、恋人からヒートがきた事知らせるメッセきてたのに、、、それ隠してそのまま勉強会始めた。」
「おまえ、、、」
「最低だろ?バース性について色々教えられてたのに、、オメガにとってヒートがどんな状態になるのか知ってたはずなのに、、、俺は自分の欲の為に、、、」
「確かに、、それは最低だな、、、」
「だよね、、、」
「陽斗さんにはそれ言ったのか?」
「、、、言ってない。その日は終わった後に連絡に気付いたはるにぃが慌てて家出ていってその後会っても言えずにいたから、、、」
「慌てて出ていったって、、、もしかして俺がその陽斗さん見かけてお前の家行った時か?」
「うん、、、」
「はぁ、あの時少しは罪悪感あったか?」
「最初はあった、、、でもはるにぃが出てって1人になった時には全くなかった、、、むしろ恋人の事を恨めしく思ってた、、、」
「そっか、、、」
「あの時元気づけようと色々してくれたのにごめん。」
「俺は別にいいよ。それよりちゃんと謝らなきゃいけない相手他にいるだろ。」
楓のその言葉に俺は頷くしかなかった
"そうだよね、、、あんな事して謝らなきゃいけないのは はるにぃとその恋人の碧さんだ"
そう思った俺ははるにぃにメッセージを送る
[急にごめんね。ちょっと話したい事があります。]
するとすぐに [何かあったの?今日尚也の家行くから。] そう返ってきた
その返事を見て楓の方を向き「今日はるにぃと会える事になったからちゃんと話す。」そう言えば「そっか。」そう零した
話すと決めたけど怖くて、、、あんな事をした俺の事をはるにぃはどう思うだろうか
呆れるだろうか。軽蔑されるだろうか。
そんな事をぐるぐると考えていればはるにぃから[今から行くね。] そんなメッセージが届く
「はるにぃ今からくるみたい、、、」
「じゃあ俺は帰るな。」
「うん。」
ほんとは帰って欲しくない。
近くにいてこれから話す俺の事を見守って欲しい
だけどこれは俺が自分で蒔いた種だから、そんな事は言えなくて
そんな俺の気持ちが顔に出ていたのか楓の手が俺の頭に乗る
"なんだ?" そう思った瞬間思いっきり撫でてきた。もう髪の毛がボサボサになるほどに。
いきなりの事に驚いていれば「頑張れよ。」そう言って部屋を出ていった
気付けば階下で楓と母親が会話しているのが聞こえ慌てて追いかければもう玄関の扉を開け外に出るところだった
「かえで!!」名前を呼べば振り返り足を止めてくれる
「あっ、、その、、、」上手く言葉が出てこなくてつい俯いてしまう。そんな俺に「俺の事は気にすんな。ほら、陽斗さんきたよ。」そういってきた
楓のその言葉に顔を上げればこちらに向かって歩いてくるはるにぃの姿が見えた
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