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バキュラビビーの葛藤
マグワヒ
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『疲れた……』
という声も出なかった。
打ち合わせが終わり、家に帰り着くと、俺はまっすぐに寝室に向かった。
そのままベッドに倒れ込む。
「やけに消耗しているな。何かあったのか?」
あとからついてきた美郷が不思議そうに聞いてくる。
『お前のせいだよ!』
と、叫ぶ気力もない。
「稼働不可のようだな。ならば私は先にメンテナンスに入らせてもらう。浴場を借りる」
なんだその言い方。
「お風呂先に入るね!」と、言えばいいのに。
変になってからも風呂が好きなのだけは前と変わらない。
美郷は毎日欠かさず風呂に入っている。
女性らしさが残っていることにホッとする。
「それにしても疲れたな……」
俺は何故、こんなに疲れているのだろう。
「打ち合わせ自体はすんなり進んだのにな……」
わかっている。
美郷が変なボロを出さないか、常に気を張っていたせいだ。
(あんなやつがでてこなきゃ、すべてうまく行ってたんだよな)
こんなに苦労するようになったのも、美郷の中に蘇ったとか言っているアイツのせいだ。
(あいつが現れなければ、俺は幸せになれたのに)
そう思うと悔しくてたまらなかった。
今まで順調だったのに、こんな理不尽なことで台無しにされるなんてあんまりだ。
シャワーの音が止み、風呂場の戸が開く音がした。
美郷が風呂から出たようだ。
リビングの方を見るとタンクトップにショートパンツ姿の美郷が見えた。
髪の毛をタオルで拭きながらパソコンの方へ向かっている。
美郷の裸はだいぶ見慣れている。
しかし、風呂上がりの姿というのは、やはり格別に唆るものがある。
(でも中身はアレだぞ?)
そんな考えが浮かんで萎えてくる。
とはいえ、外見だけなら美郷は最高級品だ。
俺は美郷の姿をもっと眺めようと、ベッドから立ち上がりリビングへ向かった。
髪の毛を纏めた美郷がパソコンのキーボードを叩いている。
湿り気を帯びたうなじが艶かしい。
タイピングの合間にタンクトップの裾から胸の膨らみがチラチラと見える。
エロい。
このまま、抱きついて押し倒したい。
(しかし相手はアレだぞ?)
本能と理性の間で、ものすごい抵抗感が芽生えた。
(無理、だろ)
心が萎えるのを感じる。
(もしも、目の前にいるのが今までの美郷だったら……)
思い出すとむくむくと心の中で湧き上がってくるものがある。
やりたい。
めちゃくちゃにして、嬌声を上げさせてやりたい。
しかし今の美郷は嬌声を上げる代わりに、
『なるほど! なるほど!』
とか叫びそうだ。
(嫌すぎる……)
俺の中で性欲が湧いては消えてを繰り返す。
そうして俺は、美郷の後ろに立ったまま、何もできずに10分ほど固まっていた。
さすがに美郷がこちらの視線に気づいた。
「どうした?」
不思議そうに言いながらこちらを見た。
その瞳も唇も、またエロい。
俺が何とも答えられずにいると、美郷は少し考えた後にこう言った。
「そうか、なるほど。わかった。私とマグワヒしたいのだな」
その言葉に、
(もう、どうにでもなれ)
という気分になった。
今までにないくらい強引に、美郷の唇を奪い、胸を揉みしだいた。
「なるほど、こうやって始まるのか」
美郷の冷静な声が聞こえる。
(気にするな)
萎れそうになる気持ちを必死に性欲で押しつぶす。
愛とか情とか思いやりとか、そんなものはどこかに追いやって、頭の中を本能のみで埋め尽くす。
(目の前にいるのは性処理用の何かだ)
そう思わないと気持ちが持たない。
相手の都合などお構いなしに、
無理やりに、
揉んで、
吸って、
挿れて、
出した。
それを3回繰り返した。
冷静になった瞬間に「よくないもの」が湧いてきそうで、行為を止めることが怖かった。
ふと気づくと、俺は美郷とベッドに寝ていた。
全身が疲れ果てていた。
息が荒い。
「なるほど。これで終わりなのか」
美郷が冷静な声を出した。
その瞬間、突如、吐き気がした。
(気持ち悪い……)
得体の知れない存在との性交渉がこんなにも気持ち悪いものだとは思わなかった。
「今のがマグワヒなのだな」
美郷の声は変わらず冷静だ。
「……意外と、たいしたものではなかったな。幻滅したよ」
つまらなそうに美郷が言った。
「……なんだと?」
頭がカッと熱くなった。
何故にこんなにもむかついたのか、自分でもわからない。
「ふざけんなよ! この野郎!」
気がついたときには、俺は美郷に向けて拳を振り上げていた。
という声も出なかった。
打ち合わせが終わり、家に帰り着くと、俺はまっすぐに寝室に向かった。
そのままベッドに倒れ込む。
「やけに消耗しているな。何かあったのか?」
あとからついてきた美郷が不思議そうに聞いてくる。
『お前のせいだよ!』
と、叫ぶ気力もない。
「稼働不可のようだな。ならば私は先にメンテナンスに入らせてもらう。浴場を借りる」
なんだその言い方。
「お風呂先に入るね!」と、言えばいいのに。
変になってからも風呂が好きなのだけは前と変わらない。
美郷は毎日欠かさず風呂に入っている。
女性らしさが残っていることにホッとする。
「それにしても疲れたな……」
俺は何故、こんなに疲れているのだろう。
「打ち合わせ自体はすんなり進んだのにな……」
わかっている。
美郷が変なボロを出さないか、常に気を張っていたせいだ。
(あんなやつがでてこなきゃ、すべてうまく行ってたんだよな)
こんなに苦労するようになったのも、美郷の中に蘇ったとか言っているアイツのせいだ。
(あいつが現れなければ、俺は幸せになれたのに)
そう思うと悔しくてたまらなかった。
今まで順調だったのに、こんな理不尽なことで台無しにされるなんてあんまりだ。
シャワーの音が止み、風呂場の戸が開く音がした。
美郷が風呂から出たようだ。
リビングの方を見るとタンクトップにショートパンツ姿の美郷が見えた。
髪の毛をタオルで拭きながらパソコンの方へ向かっている。
美郷の裸はだいぶ見慣れている。
しかし、風呂上がりの姿というのは、やはり格別に唆るものがある。
(でも中身はアレだぞ?)
そんな考えが浮かんで萎えてくる。
とはいえ、外見だけなら美郷は最高級品だ。
俺は美郷の姿をもっと眺めようと、ベッドから立ち上がりリビングへ向かった。
髪の毛を纏めた美郷がパソコンのキーボードを叩いている。
湿り気を帯びたうなじが艶かしい。
タイピングの合間にタンクトップの裾から胸の膨らみがチラチラと見える。
エロい。
このまま、抱きついて押し倒したい。
(しかし相手はアレだぞ?)
本能と理性の間で、ものすごい抵抗感が芽生えた。
(無理、だろ)
心が萎えるのを感じる。
(もしも、目の前にいるのが今までの美郷だったら……)
思い出すとむくむくと心の中で湧き上がってくるものがある。
やりたい。
めちゃくちゃにして、嬌声を上げさせてやりたい。
しかし今の美郷は嬌声を上げる代わりに、
『なるほど! なるほど!』
とか叫びそうだ。
(嫌すぎる……)
俺の中で性欲が湧いては消えてを繰り返す。
そうして俺は、美郷の後ろに立ったまま、何もできずに10分ほど固まっていた。
さすがに美郷がこちらの視線に気づいた。
「どうした?」
不思議そうに言いながらこちらを見た。
その瞳も唇も、またエロい。
俺が何とも答えられずにいると、美郷は少し考えた後にこう言った。
「そうか、なるほど。わかった。私とマグワヒしたいのだな」
その言葉に、
(もう、どうにでもなれ)
という気分になった。
今までにないくらい強引に、美郷の唇を奪い、胸を揉みしだいた。
「なるほど、こうやって始まるのか」
美郷の冷静な声が聞こえる。
(気にするな)
萎れそうになる気持ちを必死に性欲で押しつぶす。
愛とか情とか思いやりとか、そんなものはどこかに追いやって、頭の中を本能のみで埋め尽くす。
(目の前にいるのは性処理用の何かだ)
そう思わないと気持ちが持たない。
相手の都合などお構いなしに、
無理やりに、
揉んで、
吸って、
挿れて、
出した。
それを3回繰り返した。
冷静になった瞬間に「よくないもの」が湧いてきそうで、行為を止めることが怖かった。
ふと気づくと、俺は美郷とベッドに寝ていた。
全身が疲れ果てていた。
息が荒い。
「なるほど。これで終わりなのか」
美郷が冷静な声を出した。
その瞬間、突如、吐き気がした。
(気持ち悪い……)
得体の知れない存在との性交渉がこんなにも気持ち悪いものだとは思わなかった。
「今のがマグワヒなのだな」
美郷の声は変わらず冷静だ。
「……意外と、たいしたものではなかったな。幻滅したよ」
つまらなそうに美郷が言った。
「……なんだと?」
頭がカッと熱くなった。
何故にこんなにもむかついたのか、自分でもわからない。
「ふざけんなよ! この野郎!」
気がついたときには、俺は美郷に向けて拳を振り上げていた。
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