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出会いの雨の色
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その日は、酷く雨が降っていた。既に日が落ち、薄暗くなって暫く経つ。空を鬱々と覆う分厚い雲が、ただでさえ憂鬱な空気感により一層の閉そく感を与えている。
激しい水しぶきが音を立てている中、一人の男がフラフラと歩いていた。名前は青藍。小説家だ。傘を差していても、せせら笑うかのように全身が雨に侵されていく。湿気をすって重くなった前髪をかきあげて、男はため息をついた。鬱陶し気に空の雲を見上げ、失敗だったかと舌打ちした。
そもそも、青藍は好き好んで雨が降る中、外を出歩いているわけではない。俗に言うスランプに陥った彼は、一向に埋まらないパソコンの白い画面に苛立ち、逃げ出すようにして部屋を出た。生憎の天気だったがどうしても部屋に戻る気になれず、そのまま濡れるのも構わずにあてどなく歩き出したのだ。
しかし、徐々に濡れていく全身から体温が奪われていく。部屋に戻りたくないからとごねていれば確実に風を引くだろう。胸のうちでありとあらゆる罵詈雑言を誰に向けてと言う訳ではなく並び立て、重い足を引きずって踵を返した時だった。
「……こんな所に公園なんてあったか?」
ふと目の前に公園がある事に気付き、足を止めた。雨の所為で様子がうかがいにくいが、左程広くない公園のようだ。申し訳程度に遊具が置いてあるのが何となくシルエットから伝わってくる。あたりを見回すと、余り見覚えのない光景であることに気付いた。
「おいおい。オートパイロット状態だったとは言え、半分迷子かよ」
うろ覚えの来た道を思い返しながら、なんとなくの現在地を把握する。無意識のうちにアパートの方向へ向かっていたらしい。大して時間をかけずに帰れる位置にいる事を確認して、思案する。
「ま、どうせ家に帰っても誰がいる訳じゃないし。いっか」
早く帰らなければ風邪をひく、と警鐘をならす理性に言い訳もどきを言い渡し、青藍はふらりと公園に近づいた。普段であれば近づくどころか意識すらしないであろう鄙びた公園に、帰りたくないという思いに背を押されて足を踏み入れる。
「つっても、雨が激しすぎて碌に何も見えねぇな」
一人暮らしの弊害か、はたまた作家としての性か。ついつい零れる独り言。人がいたら確実に不審人物を見る目で見られるな、と他人ごとの様に思い。そのまま足を止めた。何か音がした気がしたのだ。
いや、確かに雨の音がするが、それ以外の何か。そう、まるで、雨が踊っているかの様な、水がはしゃぎ笑っているかの様な、そんな音が。
じっと耳を澄ませてみると、微かにではあるが確かに音がする。好奇心に駆られ、青藍は音のする方へと歩を進めた。近くに公園内を照らす電灯が立っており、その下から音がするようだ。静かに歩み寄った青藍は、息をのんで立ち止まった。
「♪」
そこに居たのは、水の妖精でも雨の精霊でも何でもない。一人の青年だった。傘もささずに、実に楽し気に歌い踊っている。偶に外れる音程が微笑ましく、同じ動作を繰り返している所から察するに振り付けも適当のようだ。雨に濡れて密やかに光る黒髪が艶めかしい。体温を奪われて白くなった肌と、微かに蠢く赤い唇がしっとりと色気を滲ませている。水に混じった泥が跳ねる事を厭わず――むしろそれさえ楽しいのだと言わんばかりにほっそりした足でけり上げては笑う。
なんの変哲もない、乾いた光に照らされたその青年は、しかし、何よりも光を放ち誰よりも生き生きとしているように見えた。
ハッキリ言って、理性的に考えれば異常者であろう。豪雨の中で雨もよけずに笑い踊る青年。普通の人であれば眉をひそめてそっと立ち去るか、下手したら警察を呼ぶかもしれない。だが、青藍はどちらの行動もとらなかった。ただただ、青年の発する生の気配に気おされ、魅了されていた。青年が自分達とは違う別の生き物に見え、指がうずくのが感じられた。
書きたい。久々に感じる、小説家としての本能であり、青藍にとって生きる源ともいえる衝動だった。
突然、青年が動きを止めた。そして、パッと振り返ったかと思うと、その大きな瞳をこぼれんばかりに見開いた。刹那、青年は現実の人間になった。少なくとも青藍にはそう感じられ、思わず目をこすった。
「えっと、あの?」
柔らかな低めの声。どこか甘やかさを感じるその声が、恐る恐ると言った感じに掛けられ、青藍は我に返った。
「あ、いや、すまん。まさかこんな光景に出くわすとは思っていなかったもんで」
「あはは。それが歩いていたら公園を見つけて、暫く立って雨の音聞いてたんですけど、うずうずしてきて。気付いたら踊ってました」
「気付いたら踊ってましたって……」
クスクス笑いながら青年が説明してくる。青藍としては現実とはどこか違う世界が見えたのだ、と言ったつもりだが誤解したらしい。まぁ下手に本当の事を言って、青藍の方が変な人扱いされてはかなわない、とそのままにすることにした。青年の突飛な言動に呆気に取られていたのもあるが。
よくよく見たら近くに傘が開いたまま捨てられている。青年が差していたものだろう。激しい雨に晒されて、雨水が溜まっている。何と言ったらいいものかと黙り込む青藍を他所に、青年は軽い足取りでそれに歩み寄り、拾い上げる。
「わわわ」
溜まっていた雨水が勢いよく滑り落ち、青年の下半身をさらに濡らす。全身ずぶ濡れの状態なのだから変わらないのだろうが、と動きの鈍い頭で思っていたが。
「くしゅん」
青年のくしゃみでようやく我に返った。
「ってお前ずぶ濡れもいいとこじゃねぇか。さっさと帰って温まらないと風邪ひくぞ」
「うーん。そうだね。お兄さんも似たような感じだけど」
「うるせぇ」
悪戯っぽく目を輝かせた青年がそっと傘を閉じる。なんのつもりだ、と眉を顰めると、差してても水が降ってくる、と笑う。どうやら先程溜まっていた水の残りが傘を差すと降ってくるようだ。すでに傘の意味ないしね、と青年は呟く。
「とにかく。さっさと家に帰れ。俺もいい加減風呂に入りたくなってきたしな」
「うーん。家かぁ。家ねぇ。どうしよ。帰る家なんてないしなぁ」
「はぁ?」
ほけほけ笑って釈然としない返答を返してくる青年。乗りがかった船だしタクシー呼んで、いやこの状態じゃタクシーも嫌がるか。そんな算段を立てていた青藍は間抜けな声を出した。冗談言っている場合か、と睨みつけるがまったく意に介していない。面倒な事になった、と青藍はため息をついて天を仰いだ。
「家出かよ」
「うーん。家出じゃないんじゃない?」
そんな風に言うから、じゃあ家帰れ、ともう一度言うと青年はふわりと柔らかく微笑んだ。そして宣う。
「だって出てくる家もなければ家出にならなくない?」
「言葉遊びしている場合か!」
思わず突っ込むと、お兄さん元気だねぇ、と気の抜ける返答が。本気で警察を呼ぶ事を考え始めた青藍だったが、すすすと近づいてきた青年に気付き動きを止めた。すぐ近くまで接近してきた青年は、少しばかり下の目線から上目遣いに見上げてきて甘やかに囁いてきた。
「じゃあさ、じゃあさ。拾ってくれない?生後20年の黒猫です」
「……はぁ?」
にゃん、と可愛らしく鳴く青年。絶句した青藍は、遠い目をして思った。今日は厄日なのか、それとも最近のツキの無さが極まったのか。なんにせよ、ついてなさすぎる。がっくり項垂れて、いるともしれない神を恨む。
それが、文章を書かずには生きられない小説家の青藍と、絵を描かずには生きられない美大生の青年――常盤の出会いであった。
そして、後に二人揃って――特に青藍が――いるともしれない神に一生分の感謝をささげる事となる、彼らにとってもっとも神聖で大切な出会いの瞬間であった。
**********
ふと、こんな話を書きたいな、と思って書いてみたのですが。書いている内に、こんな話を昔読んだ気がする……?という気がしてしょうがない作者です。一応お断りしておきますが、盗作やネタを拝借等をしているつもりはありません。気にする方がいらっしゃったらすみません。
激しい水しぶきが音を立てている中、一人の男がフラフラと歩いていた。名前は青藍。小説家だ。傘を差していても、せせら笑うかのように全身が雨に侵されていく。湿気をすって重くなった前髪をかきあげて、男はため息をついた。鬱陶し気に空の雲を見上げ、失敗だったかと舌打ちした。
そもそも、青藍は好き好んで雨が降る中、外を出歩いているわけではない。俗に言うスランプに陥った彼は、一向に埋まらないパソコンの白い画面に苛立ち、逃げ出すようにして部屋を出た。生憎の天気だったがどうしても部屋に戻る気になれず、そのまま濡れるのも構わずにあてどなく歩き出したのだ。
しかし、徐々に濡れていく全身から体温が奪われていく。部屋に戻りたくないからとごねていれば確実に風を引くだろう。胸のうちでありとあらゆる罵詈雑言を誰に向けてと言う訳ではなく並び立て、重い足を引きずって踵を返した時だった。
「……こんな所に公園なんてあったか?」
ふと目の前に公園がある事に気付き、足を止めた。雨の所為で様子がうかがいにくいが、左程広くない公園のようだ。申し訳程度に遊具が置いてあるのが何となくシルエットから伝わってくる。あたりを見回すと、余り見覚えのない光景であることに気付いた。
「おいおい。オートパイロット状態だったとは言え、半分迷子かよ」
うろ覚えの来た道を思い返しながら、なんとなくの現在地を把握する。無意識のうちにアパートの方向へ向かっていたらしい。大して時間をかけずに帰れる位置にいる事を確認して、思案する。
「ま、どうせ家に帰っても誰がいる訳じゃないし。いっか」
早く帰らなければ風邪をひく、と警鐘をならす理性に言い訳もどきを言い渡し、青藍はふらりと公園に近づいた。普段であれば近づくどころか意識すらしないであろう鄙びた公園に、帰りたくないという思いに背を押されて足を踏み入れる。
「つっても、雨が激しすぎて碌に何も見えねぇな」
一人暮らしの弊害か、はたまた作家としての性か。ついつい零れる独り言。人がいたら確実に不審人物を見る目で見られるな、と他人ごとの様に思い。そのまま足を止めた。何か音がした気がしたのだ。
いや、確かに雨の音がするが、それ以外の何か。そう、まるで、雨が踊っているかの様な、水がはしゃぎ笑っているかの様な、そんな音が。
じっと耳を澄ませてみると、微かにではあるが確かに音がする。好奇心に駆られ、青藍は音のする方へと歩を進めた。近くに公園内を照らす電灯が立っており、その下から音がするようだ。静かに歩み寄った青藍は、息をのんで立ち止まった。
「♪」
そこに居たのは、水の妖精でも雨の精霊でも何でもない。一人の青年だった。傘もささずに、実に楽し気に歌い踊っている。偶に外れる音程が微笑ましく、同じ動作を繰り返している所から察するに振り付けも適当のようだ。雨に濡れて密やかに光る黒髪が艶めかしい。体温を奪われて白くなった肌と、微かに蠢く赤い唇がしっとりと色気を滲ませている。水に混じった泥が跳ねる事を厭わず――むしろそれさえ楽しいのだと言わんばかりにほっそりした足でけり上げては笑う。
なんの変哲もない、乾いた光に照らされたその青年は、しかし、何よりも光を放ち誰よりも生き生きとしているように見えた。
ハッキリ言って、理性的に考えれば異常者であろう。豪雨の中で雨もよけずに笑い踊る青年。普通の人であれば眉をひそめてそっと立ち去るか、下手したら警察を呼ぶかもしれない。だが、青藍はどちらの行動もとらなかった。ただただ、青年の発する生の気配に気おされ、魅了されていた。青年が自分達とは違う別の生き物に見え、指がうずくのが感じられた。
書きたい。久々に感じる、小説家としての本能であり、青藍にとって生きる源ともいえる衝動だった。
突然、青年が動きを止めた。そして、パッと振り返ったかと思うと、その大きな瞳をこぼれんばかりに見開いた。刹那、青年は現実の人間になった。少なくとも青藍にはそう感じられ、思わず目をこすった。
「えっと、あの?」
柔らかな低めの声。どこか甘やかさを感じるその声が、恐る恐ると言った感じに掛けられ、青藍は我に返った。
「あ、いや、すまん。まさかこんな光景に出くわすとは思っていなかったもんで」
「あはは。それが歩いていたら公園を見つけて、暫く立って雨の音聞いてたんですけど、うずうずしてきて。気付いたら踊ってました」
「気付いたら踊ってましたって……」
クスクス笑いながら青年が説明してくる。青藍としては現実とはどこか違う世界が見えたのだ、と言ったつもりだが誤解したらしい。まぁ下手に本当の事を言って、青藍の方が変な人扱いされてはかなわない、とそのままにすることにした。青年の突飛な言動に呆気に取られていたのもあるが。
よくよく見たら近くに傘が開いたまま捨てられている。青年が差していたものだろう。激しい雨に晒されて、雨水が溜まっている。何と言ったらいいものかと黙り込む青藍を他所に、青年は軽い足取りでそれに歩み寄り、拾い上げる。
「わわわ」
溜まっていた雨水が勢いよく滑り落ち、青年の下半身をさらに濡らす。全身ずぶ濡れの状態なのだから変わらないのだろうが、と動きの鈍い頭で思っていたが。
「くしゅん」
青年のくしゃみでようやく我に返った。
「ってお前ずぶ濡れもいいとこじゃねぇか。さっさと帰って温まらないと風邪ひくぞ」
「うーん。そうだね。お兄さんも似たような感じだけど」
「うるせぇ」
悪戯っぽく目を輝かせた青年がそっと傘を閉じる。なんのつもりだ、と眉を顰めると、差してても水が降ってくる、と笑う。どうやら先程溜まっていた水の残りが傘を差すと降ってくるようだ。すでに傘の意味ないしね、と青年は呟く。
「とにかく。さっさと家に帰れ。俺もいい加減風呂に入りたくなってきたしな」
「うーん。家かぁ。家ねぇ。どうしよ。帰る家なんてないしなぁ」
「はぁ?」
ほけほけ笑って釈然としない返答を返してくる青年。乗りがかった船だしタクシー呼んで、いやこの状態じゃタクシーも嫌がるか。そんな算段を立てていた青藍は間抜けな声を出した。冗談言っている場合か、と睨みつけるがまったく意に介していない。面倒な事になった、と青藍はため息をついて天を仰いだ。
「家出かよ」
「うーん。家出じゃないんじゃない?」
そんな風に言うから、じゃあ家帰れ、ともう一度言うと青年はふわりと柔らかく微笑んだ。そして宣う。
「だって出てくる家もなければ家出にならなくない?」
「言葉遊びしている場合か!」
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「じゃあさ、じゃあさ。拾ってくれない?生後20年の黒猫です」
「……はぁ?」
にゃん、と可愛らしく鳴く青年。絶句した青藍は、遠い目をして思った。今日は厄日なのか、それとも最近のツキの無さが極まったのか。なんにせよ、ついてなさすぎる。がっくり項垂れて、いるともしれない神を恨む。
それが、文章を書かずには生きられない小説家の青藍と、絵を描かずには生きられない美大生の青年――常盤の出会いであった。
そして、後に二人揃って――特に青藍が――いるともしれない神に一生分の感謝をささげる事となる、彼らにとってもっとも神聖で大切な出会いの瞬間であった。
**********
ふと、こんな話を書きたいな、と思って書いてみたのですが。書いている内に、こんな話を昔読んだ気がする……?という気がしてしょうがない作者です。一応お断りしておきますが、盗作やネタを拝借等をしているつもりはありません。気にする方がいらっしゃったらすみません。
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