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鴛鴦の契り
鴛鴦の契り
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――どうして番になったのですか?
とある晴れた昼下がり。一人の青年が、広大な敷地を誇る豪奢な館の中庭で、なんとも言えない顔をして佇んでいた。風通しのよい中庭では、庭師たちの努力によって清々しい空気を放つ芝生が生い茂り、センス良く配置された草木が風と戯れている。その内の一つ、堂々たる立ち姿を見せる巨木の下で、すやすやと眠る佳人が一人。なんとも心地よさそうに昼寝をしてはいるのだが。
「……これはもしかしなくても通報案件?それとも放置した方がいいパターン?」
佳人の番たる男の過保護さが頭に思い浮かび、青年――碧は心なしか引きつった顔をして呟いた。このまま寝かせて風邪を引こうものなら、ここぞとばかりに青河が紫を囲い込んで手ずから世話を焼くだろうことが想像つく。通報したらしたで、こんな所で寝るんじゃないと説教がてら寝室に引きずり込むだろう。
どちらにせよ、後で紫からは盛大な文句を言われるのは間違いない。文句を言われるだけならまだしも、下手をしたら地味な嫌がらせまでついてくるであろうことを考えると、究極の選択である。
「待てよ?通報したら何か貰えるかな?」
ふと、以前青河から貰った和菓子が脳裏に浮かんだ。確か、ハーレム計画を目論み失敗した紫が逃走を図り、その居場所をリークした時の礼だったか。天下の青龍が贔屓にしているだけあって、それはもう美味だった。普段はパフェ以上の甘味はない!と豪語する碧なのだが、思わず別枠に認定してしまった程。
可憐でありながら妖艶な花を模したその菓子は、みずみずしく感じる程に精巧に作り込まれ。小さく切って口に含むと、ふわりと上品に立ち昇る甘い香りが口の中を満たし、するりと喉を滑り落ちていく。口に入れた瞬間に蕩けだす練り切りはすっきりとした甘さをもち、後を引くが重たくならないとい絶妙な加減を――。
そこまで記憶がよみがえった瞬間に、碧の天秤は一気に傾いた。いそいそとスマホを取り出して、いざという時用に教えられている番号を呼び出す。報酬は前回と同じにするか、あるいは別の菓子にするか。真剣に悩む碧。どこまで言っても甘いものが判断基準になっている。良くも悪くもマイペースである。
青河の番号を画面に表示し、発信ボタンに指がかかったその時。ふにゅ、とむずかる声がして。
「……せいがぁ?」
とろりと甘い掠れ声が碧の足元から聞こえた。視線を落とすと、今だ半分以上閉じられた瞳を両手でこすりながら、紫が起き上がった所だった。人の気配がしたため、無意識に番だと思ったのだろう。とろんとした瞳が向けられ、寝起き特有の色気と昨晩の名残であろう気だるそうな雰囲気に碧の背筋がゾクリと震え。
「うわぁめっちゃ可愛い」
思わずパシャリ。条件反射的に写真を撮っていた。確認すると、明るい陽射しが上手く紫を照らし出しており、それはもう目を瞠る美しさであり。
「相変わらず黙っていれば超絶美人」
「……どうして寝起きに、可愛い義弟からディスられないといけないのかな?」
思わず零した本音に、非情に不本意そうな突っ込みが入った。
「目、覚めました?」
「お陰様で。まさか昼寝から覚めたらいきなり失礼な台詞を吐かれるとは思ってなかったけどね」
目覚めてしまったのなら仕方がない、と揃って木の根元に腰を下ろした二人。ニッコリ笑って反撃を開始する紫から、碧はそっと目をそらす。視線の泳いでいる義弟にじとっとした目を向けた紫は、ふふふふふと不穏に笑った。
「で?僕の可愛い義弟君はどうしてスマホを手にしていたのかな?」
「……麗しい人がとてもかわいかったので写真撮りたかった?」
「なんかとっても雑な回答。もうちょっとひねってよ。ついでに言うと、甘いものと天秤に掛けられて即で売られたであろう僕、泣いちゃいそうなんだけど?」
「……なんのことでしょうね?」
バレてる。こそこそとポケットにスマホを突っ込みつつ、とりあえずてへっと笑ってみる。可愛いけど許さないよ?と麗しい笑み。
「……とても悩んだんです。決断に5秒かかったんですから」
「うん。碧にしては上出来かな?でも一般的にそれを即決っていうんだよ?」
本当に青河が来てたらどうなってたか。ぶつくさ呟く紫の顔は心なしか青い。アレコレ想像して、結局喜ばしい未来は見えなかったらしい。頭を抱えて呻きだす始末。なかなかどうして番に容赦ないΩである。あれ程溺愛して大切に囲っているにもかかわらず、相変わらず報われない。碧は思わず可哀想な完璧超人に同情した。
「……なんていうか、いつも疑問だったんですけど。そんだけ毎回騒ぎを起こしてるのに、どうして番に成ったんですか?」
「純粋な瞳が胸にいたい!そしてそんなの決まってる!全てはハーレムの為さ!」
紫にぐさぐさ突き刺さる非難の眼差し。しかし、一行にへこたれない。紫にとっては人生最大の命題なのだ。誰になんと言われようとも。ふふん、と薄い胸を張る紫を横目で眺めつつ、碧は行儀悪く膝に頬杖をつきつつ首を傾げた。
「でも、ぶっちゃけ、それなら別のα探すとか、色々あったんじゃないですか?そりゃ番の解消は簡単じゃないのは確かですけど、青河さんは絶対ハーレム作らないと思うし。それでも青河さんと一緒にいるんですね?」
「まぁね。だって、青河だもん」
失礼と知りつつ踏み込む碧。紫もまた、察しているもののふわりと優しく笑んで答えてくれる。αとΩの絆に悩む義弟の決断――いや、覚悟の手がかりになる事を祈って。番が青河だから、僕は今ここに居るんだよ。甘い響きをそっと舌にのせて、大輪の花の様に微笑んだ。
「青河じゃなかったら、とっくに別の人のところに行ってるよ。青河じゃなかったら、誰だって同じだもん。だったら俺はハーレム計画を優先してる。番が青河だから、計画に失敗しても番であることはやめないの」
「……どうして青河さんだけ?運命だから?」
「それもあるね。だって、運命だったから青河に出会えた。でも、堕ちたのは別の理由」
つい、とどこか遠い所を見つめる瞳をして、紫は呟いた。大事な宝箱を開けて覗き込む様なこそばゆい顔で。
「青河がね、言ってくれたの。"もう、寂しくないだろう?"って。純粋な暖かい思いで、僕を抱きしめて髪を撫でてくれたの。Ωとか、顔とか、そう言うのじゃなくて――ううん、それも含めて僕っていう個を見てくれたの。だから、僕が青河を選んだんだよ」
きっと青河が運命じゃなくても、βであっても、青河を選んでた。そういって胸を張る紫は眩しく輝いていた。βであっても、と口の中で呟く碧。そんな義弟の姿を目を細めて眺めていた紫だったが、ふと悪戯っぽく目を輝かせて身を乗り出した。
「で?で?碧ちゃんは青葉の何処に堕とされたの?」
「ふぇ?!」
言わないと解放しないぞ?とにじり寄られ、碧は盛大に視線を泳がせた。必死に逃げ口を探すも、紫が相手では逃げられない事をさっして肩を落とす。しばらくもごもごと口の中で呟いていたが、ふわりと目元を赤く染め、すぅと息を吸って。
「顔」
「うわぁ。一番報われない回答」
碧もまた、恋人につれなかった。言うに事を欠いてそれか!と嘆く紫。先程とは立場が逆転している。それ以外にないのか、と圧力を増して詰め寄られ、碧は更に真っ赤になった。
「甘いもの食べに連れて行ってくれるとこ。甘いもの譲ってくれること。えっとえっと、それから、いつも甘いもの持ってて事あるごとにくれるトコ」
「え、なに餌付け?というか、甘いもの以外に基準ないの?!」
これは青葉のアプローチが悪いのか?と思わず真剣に弟カップルの心配を始めた紫。そんな彼の耳に、か細い声が届き。
「甘いもの食べてる時に、前に座った青葉が"良かったな"って言って目を細めて優しく笑った表情が、好き。俺に対して、"好き"って言ってくれる時のまっすぐで力強い瞳の色が、もっと好き」
「……そっか」
これ以上は勘弁して、としおれてしまった碧の髪をよしよしと撫でて。紫は嬉しそうに笑った。そっと上目遣いに様子を伺ってきた碧が可愛くて、ぎゅっと抱きしめる。
「ちょ、なんですか?」
「碧可愛い!」
「いや、意味不明!」
きゃっきゃ、と可愛らしい二つの笑い声が、中庭に木霊した。今度は茜にも番の好きな所を聞いてみよう、と二人は顔を見合わせて笑った。
「全く。執事が早く帰ってこいっていうから何事かと思えば」
「ああ。それも二人揃ってだからな。なにかヤバいことでも起きてると思った」
穏やかな赤色が空を支配する時分。二つの長身の影が、音もなく姿を現した。その視線の先にあったのは。
額を合わせるようにして、すよすよ寝息を立てる小さな二人。こんなところで寝るな、と叱るべきだが、その幸せそうな表情に思わず頬が緩んでしまう。それが何者にも代えがたい、半身たる番であればなおの事。
示し合わせもなく同時に動いた青河と青葉は、迷わず自分のパートナーを腕に囲い。そっとその額と目尻にキスを落とした。
何処までも平穏で幸せな、二組の番のお話。
---------------
お久しぶりです。
BL大会を直前にして、アピールを兼ねて小話を。もしかしたら、その内削除するかも……。
そして、告知です!
BL大会に参加予定です。
作品は、この「恋するαの奮闘記」の他、「道ならぬ恋」「貴方の事を心から愛してました」「君の絵を探して」の4作品です。宜しければ、応援お願いします!
とある晴れた昼下がり。一人の青年が、広大な敷地を誇る豪奢な館の中庭で、なんとも言えない顔をして佇んでいた。風通しのよい中庭では、庭師たちの努力によって清々しい空気を放つ芝生が生い茂り、センス良く配置された草木が風と戯れている。その内の一つ、堂々たる立ち姿を見せる巨木の下で、すやすやと眠る佳人が一人。なんとも心地よさそうに昼寝をしてはいるのだが。
「……これはもしかしなくても通報案件?それとも放置した方がいいパターン?」
佳人の番たる男の過保護さが頭に思い浮かび、青年――碧は心なしか引きつった顔をして呟いた。このまま寝かせて風邪を引こうものなら、ここぞとばかりに青河が紫を囲い込んで手ずから世話を焼くだろうことが想像つく。通報したらしたで、こんな所で寝るんじゃないと説教がてら寝室に引きずり込むだろう。
どちらにせよ、後で紫からは盛大な文句を言われるのは間違いない。文句を言われるだけならまだしも、下手をしたら地味な嫌がらせまでついてくるであろうことを考えると、究極の選択である。
「待てよ?通報したら何か貰えるかな?」
ふと、以前青河から貰った和菓子が脳裏に浮かんだ。確か、ハーレム計画を目論み失敗した紫が逃走を図り、その居場所をリークした時の礼だったか。天下の青龍が贔屓にしているだけあって、それはもう美味だった。普段はパフェ以上の甘味はない!と豪語する碧なのだが、思わず別枠に認定してしまった程。
可憐でありながら妖艶な花を模したその菓子は、みずみずしく感じる程に精巧に作り込まれ。小さく切って口に含むと、ふわりと上品に立ち昇る甘い香りが口の中を満たし、するりと喉を滑り落ちていく。口に入れた瞬間に蕩けだす練り切りはすっきりとした甘さをもち、後を引くが重たくならないとい絶妙な加減を――。
そこまで記憶がよみがえった瞬間に、碧の天秤は一気に傾いた。いそいそとスマホを取り出して、いざという時用に教えられている番号を呼び出す。報酬は前回と同じにするか、あるいは別の菓子にするか。真剣に悩む碧。どこまで言っても甘いものが判断基準になっている。良くも悪くもマイペースである。
青河の番号を画面に表示し、発信ボタンに指がかかったその時。ふにゅ、とむずかる声がして。
「……せいがぁ?」
とろりと甘い掠れ声が碧の足元から聞こえた。視線を落とすと、今だ半分以上閉じられた瞳を両手でこすりながら、紫が起き上がった所だった。人の気配がしたため、無意識に番だと思ったのだろう。とろんとした瞳が向けられ、寝起き特有の色気と昨晩の名残であろう気だるそうな雰囲気に碧の背筋がゾクリと震え。
「うわぁめっちゃ可愛い」
思わずパシャリ。条件反射的に写真を撮っていた。確認すると、明るい陽射しが上手く紫を照らし出しており、それはもう目を瞠る美しさであり。
「相変わらず黙っていれば超絶美人」
「……どうして寝起きに、可愛い義弟からディスられないといけないのかな?」
思わず零した本音に、非情に不本意そうな突っ込みが入った。
「目、覚めました?」
「お陰様で。まさか昼寝から覚めたらいきなり失礼な台詞を吐かれるとは思ってなかったけどね」
目覚めてしまったのなら仕方がない、と揃って木の根元に腰を下ろした二人。ニッコリ笑って反撃を開始する紫から、碧はそっと目をそらす。視線の泳いでいる義弟にじとっとした目を向けた紫は、ふふふふふと不穏に笑った。
「で?僕の可愛い義弟君はどうしてスマホを手にしていたのかな?」
「……麗しい人がとてもかわいかったので写真撮りたかった?」
「なんかとっても雑な回答。もうちょっとひねってよ。ついでに言うと、甘いものと天秤に掛けられて即で売られたであろう僕、泣いちゃいそうなんだけど?」
「……なんのことでしょうね?」
バレてる。こそこそとポケットにスマホを突っ込みつつ、とりあえずてへっと笑ってみる。可愛いけど許さないよ?と麗しい笑み。
「……とても悩んだんです。決断に5秒かかったんですから」
「うん。碧にしては上出来かな?でも一般的にそれを即決っていうんだよ?」
本当に青河が来てたらどうなってたか。ぶつくさ呟く紫の顔は心なしか青い。アレコレ想像して、結局喜ばしい未来は見えなかったらしい。頭を抱えて呻きだす始末。なかなかどうして番に容赦ないΩである。あれ程溺愛して大切に囲っているにもかかわらず、相変わらず報われない。碧は思わず可哀想な完璧超人に同情した。
「……なんていうか、いつも疑問だったんですけど。そんだけ毎回騒ぎを起こしてるのに、どうして番に成ったんですか?」
「純粋な瞳が胸にいたい!そしてそんなの決まってる!全てはハーレムの為さ!」
紫にぐさぐさ突き刺さる非難の眼差し。しかし、一行にへこたれない。紫にとっては人生最大の命題なのだ。誰になんと言われようとも。ふふん、と薄い胸を張る紫を横目で眺めつつ、碧は行儀悪く膝に頬杖をつきつつ首を傾げた。
「でも、ぶっちゃけ、それなら別のα探すとか、色々あったんじゃないですか?そりゃ番の解消は簡単じゃないのは確かですけど、青河さんは絶対ハーレム作らないと思うし。それでも青河さんと一緒にいるんですね?」
「まぁね。だって、青河だもん」
失礼と知りつつ踏み込む碧。紫もまた、察しているもののふわりと優しく笑んで答えてくれる。αとΩの絆に悩む義弟の決断――いや、覚悟の手がかりになる事を祈って。番が青河だから、僕は今ここに居るんだよ。甘い響きをそっと舌にのせて、大輪の花の様に微笑んだ。
「青河じゃなかったら、とっくに別の人のところに行ってるよ。青河じゃなかったら、誰だって同じだもん。だったら俺はハーレム計画を優先してる。番が青河だから、計画に失敗しても番であることはやめないの」
「……どうして青河さんだけ?運命だから?」
「それもあるね。だって、運命だったから青河に出会えた。でも、堕ちたのは別の理由」
つい、とどこか遠い所を見つめる瞳をして、紫は呟いた。大事な宝箱を開けて覗き込む様なこそばゆい顔で。
「青河がね、言ってくれたの。"もう、寂しくないだろう?"って。純粋な暖かい思いで、僕を抱きしめて髪を撫でてくれたの。Ωとか、顔とか、そう言うのじゃなくて――ううん、それも含めて僕っていう個を見てくれたの。だから、僕が青河を選んだんだよ」
きっと青河が運命じゃなくても、βであっても、青河を選んでた。そういって胸を張る紫は眩しく輝いていた。βであっても、と口の中で呟く碧。そんな義弟の姿を目を細めて眺めていた紫だったが、ふと悪戯っぽく目を輝かせて身を乗り出した。
「で?で?碧ちゃんは青葉の何処に堕とされたの?」
「ふぇ?!」
言わないと解放しないぞ?とにじり寄られ、碧は盛大に視線を泳がせた。必死に逃げ口を探すも、紫が相手では逃げられない事をさっして肩を落とす。しばらくもごもごと口の中で呟いていたが、ふわりと目元を赤く染め、すぅと息を吸って。
「顔」
「うわぁ。一番報われない回答」
碧もまた、恋人につれなかった。言うに事を欠いてそれか!と嘆く紫。先程とは立場が逆転している。それ以外にないのか、と圧力を増して詰め寄られ、碧は更に真っ赤になった。
「甘いもの食べに連れて行ってくれるとこ。甘いもの譲ってくれること。えっとえっと、それから、いつも甘いもの持ってて事あるごとにくれるトコ」
「え、なに餌付け?というか、甘いもの以外に基準ないの?!」
これは青葉のアプローチが悪いのか?と思わず真剣に弟カップルの心配を始めた紫。そんな彼の耳に、か細い声が届き。
「甘いもの食べてる時に、前に座った青葉が"良かったな"って言って目を細めて優しく笑った表情が、好き。俺に対して、"好き"って言ってくれる時のまっすぐで力強い瞳の色が、もっと好き」
「……そっか」
これ以上は勘弁して、としおれてしまった碧の髪をよしよしと撫でて。紫は嬉しそうに笑った。そっと上目遣いに様子を伺ってきた碧が可愛くて、ぎゅっと抱きしめる。
「ちょ、なんですか?」
「碧可愛い!」
「いや、意味不明!」
きゃっきゃ、と可愛らしい二つの笑い声が、中庭に木霊した。今度は茜にも番の好きな所を聞いてみよう、と二人は顔を見合わせて笑った。
「全く。執事が早く帰ってこいっていうから何事かと思えば」
「ああ。それも二人揃ってだからな。なにかヤバいことでも起きてると思った」
穏やかな赤色が空を支配する時分。二つの長身の影が、音もなく姿を現した。その視線の先にあったのは。
額を合わせるようにして、すよすよ寝息を立てる小さな二人。こんなところで寝るな、と叱るべきだが、その幸せそうな表情に思わず頬が緩んでしまう。それが何者にも代えがたい、半身たる番であればなおの事。
示し合わせもなく同時に動いた青河と青葉は、迷わず自分のパートナーを腕に囲い。そっとその額と目尻にキスを落とした。
何処までも平穏で幸せな、二組の番のお話。
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お久しぶりです。
BL大会を直前にして、アピールを兼ねて小話を。もしかしたら、その内削除するかも……。
そして、告知です!
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作品は、この「恋するαの奮闘記」の他、「道ならぬ恋」「貴方の事を心から愛してました」「君の絵を探して」の4作品です。宜しければ、応援お願いします!
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