上 下
50 / 88
琥珀編 ②

勝てるわけない

しおりを挟む
そうだ

なんで考えなかったんだろう


左江内さんに恋人がいるかもしれないって事を

そうじゃなくても、きっとあの女性は狙っているのだろう


琥「……勝てるわけ、ないよね…」


だって、後ろからちらりと見えただけでも分かるくらい可愛らしい人だった

左江内さんの腕に絡んで笑っていた

左江内さんも、……嫌そうではなかった


比べて僕は、可愛くも無いしかっこよくも無い
鈍臭いし迷惑ばかりかけている


…良心で優しくしてもらっていただけなんだ

それなのに思い上がった僕は、なんて愚かなんだ


琥「……早く、出ていかなきゃ」

借金はあと数万で払い切れる、その後は住み込みで働ける所を探そう


そもそも何も進展していない関係だったんだ

勝手に思い上がって喜んで、勝手に落ち込んだだけ


必死にあの場から離れようと走り続けて

人気のない公園のベンチに座り込んだ

目の前が潤んで仕方ない



…ここ、そういえば左江内さんが缶ココアをくれた場所だな

琥「…僕のバカ、勝手に振られたみたいに、感傷に浸ろうとしてさ……ッ」




涙を零さないようにと青空を眺めた


雲ひとつない空だけが映る視界を、不意に何かが覆い隠した




大「よー、元気そうじゃないねウケる」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【BL】Christmas tree〜僕たちの偽りの顔〜

樺純
BL
トモヤはある日、同じBARに勤めるユキトにあるお願いをされる。それは女装し自分の彼女のフリをしてほしいとのこと。トモヤは絶対に嫌だと断るが金欠だったこともあり、謝礼欲しさにそのユキトのお願いを受けてしまう。初めての女装に戸惑いながらも周りが思わず振り返るほどの美女に変身したトモヤ。そんな時、偶然にもトモヤは女装姿のまま有名なホストのジョウと出会ってしまう。女慣れしたジョウに不快感を露わにするトモヤ。しかし、ジョウはトモヤが男だとも知らず、女装姿のトモヤに惹かれてしまうのだが…

無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話

タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。 「優成、お前明樹のこと好きだろ」 高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。 メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?

【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました

及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。 ※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど

野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。 愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。 それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。  ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。 イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?! □■ 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 完結しました。 応援していただきありがとうございます! □■ 第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

魔法菓子職人ティハのアイシングクッキー屋さん

古森きり
BL
魔力は豊富。しかし、魔力を取り出す魔門眼《アイゲート》が機能していないと診断されたティハ・ウォル。 落ちこぼれの役立たずとして実家から追い出されてしまう。 辺境に移住したティハは、護衛をしてくれた冒険者ホリーにお礼として渡したクッキーに強化付加効果があると指摘される。 ホリーの提案と伝手で、辺境の都市ナフィラで魔法菓子を販売するアイシングクッキー屋をやることにした。 カクヨムに読み直しナッシング書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLove、魔法Iらんどにも掲載します。

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。 彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。 しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。 幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。 運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

処理中です...