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左江内編

琥珀君から聞こえた

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琥「ご、ごめんなさい!このお写真が玄関にあったので思わず…」

左「………しゃ、写真って?」

何故か顔を紅潮させた琥珀君が
すっ…と、一つの写真立てを差し出す

それを見た途端、俺は一瞬窓から飛び降りようかと思った



琥「僕とのチェキ会のお写真…これ、デビュー直後のものですよね」


わざわざ買いに行った縦長ハート型の写真立てに飾られた、俺と琥珀君のツーショットチェキ


俺が推し始めて直ぐのチェキ会でだけ、琥珀君が当たったのだ


脂汗を書きながら必死にハートポーズをして、隣の琥珀君の可愛さに心臓が潰されそうになりながら頂いた

推し人生の中でも、一番の思い出であるチェキ




………を、調子に乗ってまるでウェディングショットの様に玄関に飾っていた


なんなら仕事に出かける時「行ってきます、奥さん」なんて話しかけてた時もある
客観的に見ると果てしなく気持ち悪いな




そんな、一番隠さなければならないものを

本人が持ってしまっている



左「………………すみません、首吊るので…許して下さい」

琥「えっ!!??何でですか!?!?」

左「こ、こんな恥ずかしいものを本人に見せてしまって…可愛い女の子ならまだしもただのくたびれたリーマンが…生き恥ですねハハハ」


というかリビング来てるって事は

隠しきれてないポスターも、手に持った琥珀君ぬいぐるみも見られてるし


…俺の人生、本当の意味で終わった


フラフラと床に倒れそうになるのを耐えつつ、如何にしてこの痴態の言い訳をしようかと思っていたら




“ぐぎゅるるるるるるるるぅ~~……………”




琥「あっ」

左「…へ、?」


地鳴りのような音が、琥珀君から聞こえた
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