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左江内編

俺の生きる意味、琥珀君

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カタカタとキーボードを打って、

目に悪い画面を眼鏡越しに眺めて、

部下に指示しては裏で文句を言われ、

上司にはペコペコと頭を下げ、

そして誰もいない家へ帰宅して

惣菜屋で買った晩御飯をもさもさと食べて寝る。


ロボットの様に同じ事を繰り返す

なんてつまらない日々なのだろうか




そんな俺の生活を照らす、光が現れた





『今日も来てくれて、ありがと~!!!』
『愛してるよみんな~!!!!』


左「愛してるよ!!!!!
琥珀くぅーーーーーーん!!!!!!!!」



地下アイドルグループ<wedge stone>

そのメンバーの一人

皆を元気づける太陽のような笑顔

俺らファンとの距離を近づけようとしてくれる女神のような優しさ

派手なメンバーの中で、敢えて普通でいてくれる親しさを持つ

その名も、琥珀こはく


彼は俺の人生に、推しの存在という

とてつもない幸せを与えてくれた




生活する為だけの無機質な部屋だったのがグッズによって色とりどりになっていた

寝るだけの休日が、推し活によって忙しくも華やかになっていた

どんなに疲れても、握手会や琥珀君のトレカを見るだけで元気になれた


琥珀君は、俺の人生そのものになっていた




それが、ある日





左『か、………か、かかか………解、散………???』




全てが、無くなってしまった
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