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第3章
茜色に包まれながら二人だけの舞踏会
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ロゼッタはメアリーの部屋の前で思い悩んでいた。
(いざ部屋まで勢いで来たものの…入っても大丈夫なのかな!?それとも一度バージルさんの元へ戻った方がいいかな…?)
立ち去ろうとしたところにガチャリと扉が開きメアリーが顔を見せた。
「え…?ロゼッタちゃん!?何でここに!?バージル兄様と一緒に居るって聞いてたからそっちに行こうと思ってたんだけど!うわ…!ど、どうしたのロゼッタちゃん急に抱きついて?」
ロゼッタはガバッとメアリーに抱きつき泣きそうな顔になった。
「メアリー様…!私、ごめんなさい!私がもっと早く駆けつけていれば!」
「ふふ、そんな事ないよ。だってロゼッタちゃんがあたしのために駆けつけただけじゃなくあの人から助けてくれたんだよ?ロゼッタちゃんってバージル兄様やどこぞの王子達よりよっぽどかっこよかったよ~!あたしのこと心配してきてくれてありがとうね。それと…そんな所に隠れてないで出てきなよ、バージル兄様。」
「え、バージル様!?」
後ろを振り向くと壁から隠れて見ていたのか、ばつが悪そうな顔をしたバージルが現れた。
「ロゼッタちゃん今日は色々付き合わせちゃってごめんね…。あの人の事はまだちょっと、動揺しちゃってるけどもう大丈夫!だからそこのバージル兄様と“リーブル湖”って所に行って気分転換してきて!めっちゃ素敵な場所だからきっとロゼッタちゃん気に入ってくれると思うっ!ほら行った行った~!」
「メ、メアリー様!?ええ!?」
ぐいぐいとロゼッタとバージル引っ張り出し屋敷から追い出されてしまった。
中へ戻ろうとバージルが手をつけたがどうやら鍵をかけられ結局その“リーブル湖”という場所へ赴く形になった。
バージルから“リーブル湖”を聞き出すと徒歩では行ける距離ではないらしく馬車での移動となった。
馬車に揺られながら外の景色を眺めていたロゼッタは次第に笑顔になりバージルも安堵した。
馬車に揺られる事40分ほど山道を進み着いた景色は息を呑むほど絶景だった。
山は高く聳え立ち、湖は澄み渡っていた。
湖の奥に聳える山が美しく水面に写し出され幻想的な世界を感じさせた。
「バージル様なんですかここ!凄すぎませんか!?」
馬車を降りてすぐにロゼッタは駆け出し自然を身体全体に感じた。
「いいとこだろ?あんま走ると危ねぇぞ。」
湖に駆けて向かうロゼッタにやれやれとなりながらも後を追いかけた。
「はいっ!こんなに素敵な場所を教えてくれたメアリー様にはお礼を伝えなきゃいけませんねっ!大丈夫ですよ~!うわー!冷たいっ!」
ロゼッタは湖に靴を脱ぎ素足のまま少しだけ入り冷たさに軽く悲鳴をあげてしまう。
(メアリーさんの言う通りすっごい素敵な場所だ。湖とか川とか見ちゃうと足を浸けたくなっちゃうな~!)
ドレスを上手いことつまみ上げながら冷たく気持ちの良い湖を堪能していたが滑り転けかけた。
「うあッ…!!」
転びずぶ濡れになるかと思いきや知らぬ間にバージルも湖へと入り後から支えてくれた。
「び、びっくしました…!あはは~、すみません。」
「ったく、見てて危なっかしいんだよ。濡れてねぇか?」
「大丈夫ですっ!バージル様が支えてくれたお陰でずぶ濡れにならずにすみましたっ!ぐえ!?なんでお姫様抱っこ!?」
ひょいっと抱き上げられたロゼッタは困惑の眼差しをバージルへと向けた。
「ぐえ!って…お前、貴族令嬢がぐえ!はねぇだろ。もうちょっと可愛らしく。いや、ロゼッタには無理だな。」
「なんですかー!!私だって可愛らしくキャっ!ぐらい言え…言えませんね!?だって急に抱っこされたらそりゃ、ぐあ!ぐえ!ってなりませんか?」
「ぐっ…!はっはっは!いやまぁ急に事が起きた時に声は出るけどよ。なんで、ぐあ!なんだよ。面白すぎんだろ、ぐあ!ぐえ!って。」
盛大に吹き出して笑いが止まらないバージルにロゼッタは顔を赤らめ、わなわなと震え恥ずかしくなった。
「わ、笑わないで下さいよー!誰しも、ぐあ!ぐえ!ぐらい言いますよ!それよりずっとこの湖の中お姫様抱っこもどうかと思いますがー!?」
ロゼッタを抱き上げたままバージルは動かず湖の中に立ったままの状態だったのだ。
「ぐあ!ぐえ!なんて言葉使う奴はロゼッタぐらいしかいねぇと俺は思うぞ。そうだな、一度湖から出るか。落ちないようしっかりしがみついとけよ。」
「うう…その言い方何故か腹立ちます。そんなバージル様にはこうですっ!えい!」
ロゼッタはバージルの頬を引っ張り上げ可笑しくなった顔に笑ってしまう。
「はははは~!バージル様の怖い顔がさらに増しててまるで鬼みたいですっ!」
「おまへなー!あ、危ねぇッ!」
ーーーバシャン!
バージルも結局滑り転けてしまい二人してずぶ濡れになってしまうのだった。
◇◇◇
濡れた服や髪を乾かす為バージルは手から宙に浮かぶ火の玉を出して見せた。
ロゼッタはフワフワと浮かぶ火の玉へ目をキラキラとさせ興奮を抑えきれずまるで玩具を与えられたような子供の姿になっていた。
「バージル様この炎は魔力ですか!?」
「あぁ。これは俺の魔力で大体炎のもんならなんでも出せるぞ。ほらもっとこっちに来い。風邪引くぞ。」
グイッと引っ張られ少し密着する形になってしまう。
二人して湖から少し離れた立派な巨木の下に座り上を見上げると青い空を背景に涼しげに揺れる緑に心が洗われた。
「ぶえっくしゅっ…!!」
風が吹いて濡れた体にはひんやりと感じた。
「大丈夫か?もうちょい強めるか。待ってろ。」
「ありがとうございますっ…!うおっ!すごい火力ですね!はぁ~、暖かいー!バージル様冬には最適ですね。一家に一台バージル様欲しいです!」
火の威力を強めてくれたお陰で服の乾きが増していき髪もほぼ乾いた状態になった。
「まるで俺が冬以外使えねえみてーだな!それとなんだその一家に一台…?俺って!俺は家具かっ!」
「ふっふっふ!冬だけならバージル様居れば絶対安心ですよっ!そうです、家具みたいな物です~。寒い時に暖かい物を出せるから暖房家具みたいな?ふふふ、バージル様が棒立ちして暖房家具になってるの想像しちゃったら…ふふ、はっはっは!だめですー…!はぁ~、涙止まりません~!」
ロゼッタは笑い過ぎて涙が止まらなくなり終いにはお腹まで痛くなってしまう。
「お前ぐらいだぞ!?この俺に暖房家具になれ、なんて。全くロゼッタの考える事は予想外過ぎんだよ!」
「ふふふ、私に予想なんて効きません!ふぅ~、はぁ…笑い過ぎて頬が疲れました~!あ、それよりバージル様ここでなんですが。私と踊って下さいっ!この綺麗な景色を眺めながら踊ったら凄い素敵じゃありませんか?」
ロゼッタはスッと立ち上がりパンパンとドレスについた埃などをはたき落としバージルへと手を差し出した。
「そういや、本来の目的ってそうだったよな。この際陽が沈むまで踊ろうぜ。」
「え!?そんなに踊れるでしょうか?でも…良いですね!この湖に陽が沈む姿はきっと今以上に幻想的ですし、頑張っちゃいましょう~!ご指導宜しくお願いします!」
「大丈夫だろ。ああ、それと前以上にステップ早くすっからついてこいよ。」
「ふふ、望むところですっ!」
空は淡い茜色に染まり湖の水面には橙色の輝きを点在させながら揺れ二人はその幻想的な中に包まれながら踊った。
◇◇◇
「ロゼッタ、遅かったじゃないかっ!お兄様は心配したんだぞー…!怪我でもしたのかはたまた馬車が壊れてしまったのかと…!」
「ライリーお兄様!すみませんでしたっ!!バージル様と調子乗って夕暮れまで踊っちゃって、あ!でもかなりダンスのスキルはレベルアップしましたよ!あれ…?そういえばライアンはいらっしゃらないのですか?」
バージルと夕暮れまで踊ったはいいが帰りの時間まで考えられていなかったロゼッタは急ぎ自分の屋敷へと帰宅した。
屋敷に着いた頃には外は真っ暗ですぐにバージルの城を抜けてよかったと安堵した。
「ライアンはまだ大学でな、帰ってきていないんだ。多分何かトラブルがあったのだろう。さぁ今日は夕食を食べてゆっくり休みなさい。」
(ライアンさん何かあったのかな?ダンス上手く出来る様になったの見て欲しかったなー。明日きっと会えるよね。)
「じゃあライアンには明日いっぱいお話します!ライリーお兄様お夕食はもうすまされたのですか?」
「ああ。俺はさっき頂いたよ。だからロゼッタも食べておいで。」
「はいっ!それじゃあ湯浴みした後お夕食頂きますっ!それと本を持っていらっしゃるということはライリーお兄様これから書斎にいかれるのですよね!少し早いですが、おやすみなさい!あまりご無理なさらないで下さいっ!それでは!」
ライリーへ、ペコリと頭を下げ湯浴みをするべく侍女オリビアの後をついて行った。
湯浴み後、温かい夕食を綺麗に完食した後ロゼッタは自室へと戻り柔らかく大きなベッドへと潜り込んだ。
ロゼッタはユキくんをギュッと抱きながら天井を見上げ今日の出来事を思い出す。
「今日はほんっとに色々あったな~!あのミケーラ様には未だに怒りが収まらないよー!!後はメアリー様とはもっともっと仲良くしたいし、あのメアリーゼ様はもしかしてバージル様とメアリー様のお母さんだったのかな?今度会えたら聞いてみよ~!」
「来月に舞踏会だからそれまでには一般的かそれ以上の淑女を学びきってみせるぞー!ふぁ~、ライアンさんが帰ってくるまで待ちたかったけどダメ、かも…。ふぁあー…ライ、アンさん…ーー…。」
ロゼッタはユキくんを抱きしめたまま夢の中へと落ちてしまうのだった。
ロゼッタは明日に待ち受ける災難をまだ知らない。
(いざ部屋まで勢いで来たものの…入っても大丈夫なのかな!?それとも一度バージルさんの元へ戻った方がいいかな…?)
立ち去ろうとしたところにガチャリと扉が開きメアリーが顔を見せた。
「え…?ロゼッタちゃん!?何でここに!?バージル兄様と一緒に居るって聞いてたからそっちに行こうと思ってたんだけど!うわ…!ど、どうしたのロゼッタちゃん急に抱きついて?」
ロゼッタはガバッとメアリーに抱きつき泣きそうな顔になった。
「メアリー様…!私、ごめんなさい!私がもっと早く駆けつけていれば!」
「ふふ、そんな事ないよ。だってロゼッタちゃんがあたしのために駆けつけただけじゃなくあの人から助けてくれたんだよ?ロゼッタちゃんってバージル兄様やどこぞの王子達よりよっぽどかっこよかったよ~!あたしのこと心配してきてくれてありがとうね。それと…そんな所に隠れてないで出てきなよ、バージル兄様。」
「え、バージル様!?」
後ろを振り向くと壁から隠れて見ていたのか、ばつが悪そうな顔をしたバージルが現れた。
「ロゼッタちゃん今日は色々付き合わせちゃってごめんね…。あの人の事はまだちょっと、動揺しちゃってるけどもう大丈夫!だからそこのバージル兄様と“リーブル湖”って所に行って気分転換してきて!めっちゃ素敵な場所だからきっとロゼッタちゃん気に入ってくれると思うっ!ほら行った行った~!」
「メ、メアリー様!?ええ!?」
ぐいぐいとロゼッタとバージル引っ張り出し屋敷から追い出されてしまった。
中へ戻ろうとバージルが手をつけたがどうやら鍵をかけられ結局その“リーブル湖”という場所へ赴く形になった。
バージルから“リーブル湖”を聞き出すと徒歩では行ける距離ではないらしく馬車での移動となった。
馬車に揺られながら外の景色を眺めていたロゼッタは次第に笑顔になりバージルも安堵した。
馬車に揺られる事40分ほど山道を進み着いた景色は息を呑むほど絶景だった。
山は高く聳え立ち、湖は澄み渡っていた。
湖の奥に聳える山が美しく水面に写し出され幻想的な世界を感じさせた。
「バージル様なんですかここ!凄すぎませんか!?」
馬車を降りてすぐにロゼッタは駆け出し自然を身体全体に感じた。
「いいとこだろ?あんま走ると危ねぇぞ。」
湖に駆けて向かうロゼッタにやれやれとなりながらも後を追いかけた。
「はいっ!こんなに素敵な場所を教えてくれたメアリー様にはお礼を伝えなきゃいけませんねっ!大丈夫ですよ~!うわー!冷たいっ!」
ロゼッタは湖に靴を脱ぎ素足のまま少しだけ入り冷たさに軽く悲鳴をあげてしまう。
(メアリーさんの言う通りすっごい素敵な場所だ。湖とか川とか見ちゃうと足を浸けたくなっちゃうな~!)
ドレスを上手いことつまみ上げながら冷たく気持ちの良い湖を堪能していたが滑り転けかけた。
「うあッ…!!」
転びずぶ濡れになるかと思いきや知らぬ間にバージルも湖へと入り後から支えてくれた。
「び、びっくしました…!あはは~、すみません。」
「ったく、見てて危なっかしいんだよ。濡れてねぇか?」
「大丈夫ですっ!バージル様が支えてくれたお陰でずぶ濡れにならずにすみましたっ!ぐえ!?なんでお姫様抱っこ!?」
ひょいっと抱き上げられたロゼッタは困惑の眼差しをバージルへと向けた。
「ぐえ!って…お前、貴族令嬢がぐえ!はねぇだろ。もうちょっと可愛らしく。いや、ロゼッタには無理だな。」
「なんですかー!!私だって可愛らしくキャっ!ぐらい言え…言えませんね!?だって急に抱っこされたらそりゃ、ぐあ!ぐえ!ってなりませんか?」
「ぐっ…!はっはっは!いやまぁ急に事が起きた時に声は出るけどよ。なんで、ぐあ!なんだよ。面白すぎんだろ、ぐあ!ぐえ!って。」
盛大に吹き出して笑いが止まらないバージルにロゼッタは顔を赤らめ、わなわなと震え恥ずかしくなった。
「わ、笑わないで下さいよー!誰しも、ぐあ!ぐえ!ぐらい言いますよ!それよりずっとこの湖の中お姫様抱っこもどうかと思いますがー!?」
ロゼッタを抱き上げたままバージルは動かず湖の中に立ったままの状態だったのだ。
「ぐあ!ぐえ!なんて言葉使う奴はロゼッタぐらいしかいねぇと俺は思うぞ。そうだな、一度湖から出るか。落ちないようしっかりしがみついとけよ。」
「うう…その言い方何故か腹立ちます。そんなバージル様にはこうですっ!えい!」
ロゼッタはバージルの頬を引っ張り上げ可笑しくなった顔に笑ってしまう。
「はははは~!バージル様の怖い顔がさらに増しててまるで鬼みたいですっ!」
「おまへなー!あ、危ねぇッ!」
ーーーバシャン!
バージルも結局滑り転けてしまい二人してずぶ濡れになってしまうのだった。
◇◇◇
濡れた服や髪を乾かす為バージルは手から宙に浮かぶ火の玉を出して見せた。
ロゼッタはフワフワと浮かぶ火の玉へ目をキラキラとさせ興奮を抑えきれずまるで玩具を与えられたような子供の姿になっていた。
「バージル様この炎は魔力ですか!?」
「あぁ。これは俺の魔力で大体炎のもんならなんでも出せるぞ。ほらもっとこっちに来い。風邪引くぞ。」
グイッと引っ張られ少し密着する形になってしまう。
二人して湖から少し離れた立派な巨木の下に座り上を見上げると青い空を背景に涼しげに揺れる緑に心が洗われた。
「ぶえっくしゅっ…!!」
風が吹いて濡れた体にはひんやりと感じた。
「大丈夫か?もうちょい強めるか。待ってろ。」
「ありがとうございますっ…!うおっ!すごい火力ですね!はぁ~、暖かいー!バージル様冬には最適ですね。一家に一台バージル様欲しいです!」
火の威力を強めてくれたお陰で服の乾きが増していき髪もほぼ乾いた状態になった。
「まるで俺が冬以外使えねえみてーだな!それとなんだその一家に一台…?俺って!俺は家具かっ!」
「ふっふっふ!冬だけならバージル様居れば絶対安心ですよっ!そうです、家具みたいな物です~。寒い時に暖かい物を出せるから暖房家具みたいな?ふふふ、バージル様が棒立ちして暖房家具になってるの想像しちゃったら…ふふ、はっはっは!だめですー…!はぁ~、涙止まりません~!」
ロゼッタは笑い過ぎて涙が止まらなくなり終いにはお腹まで痛くなってしまう。
「お前ぐらいだぞ!?この俺に暖房家具になれ、なんて。全くロゼッタの考える事は予想外過ぎんだよ!」
「ふふふ、私に予想なんて効きません!ふぅ~、はぁ…笑い過ぎて頬が疲れました~!あ、それよりバージル様ここでなんですが。私と踊って下さいっ!この綺麗な景色を眺めながら踊ったら凄い素敵じゃありませんか?」
ロゼッタはスッと立ち上がりパンパンとドレスについた埃などをはたき落としバージルへと手を差し出した。
「そういや、本来の目的ってそうだったよな。この際陽が沈むまで踊ろうぜ。」
「え!?そんなに踊れるでしょうか?でも…良いですね!この湖に陽が沈む姿はきっと今以上に幻想的ですし、頑張っちゃいましょう~!ご指導宜しくお願いします!」
「大丈夫だろ。ああ、それと前以上にステップ早くすっからついてこいよ。」
「ふふ、望むところですっ!」
空は淡い茜色に染まり湖の水面には橙色の輝きを点在させながら揺れ二人はその幻想的な中に包まれながら踊った。
◇◇◇
「ロゼッタ、遅かったじゃないかっ!お兄様は心配したんだぞー…!怪我でもしたのかはたまた馬車が壊れてしまったのかと…!」
「ライリーお兄様!すみませんでしたっ!!バージル様と調子乗って夕暮れまで踊っちゃって、あ!でもかなりダンスのスキルはレベルアップしましたよ!あれ…?そういえばライアンはいらっしゃらないのですか?」
バージルと夕暮れまで踊ったはいいが帰りの時間まで考えられていなかったロゼッタは急ぎ自分の屋敷へと帰宅した。
屋敷に着いた頃には外は真っ暗ですぐにバージルの城を抜けてよかったと安堵した。
「ライアンはまだ大学でな、帰ってきていないんだ。多分何かトラブルがあったのだろう。さぁ今日は夕食を食べてゆっくり休みなさい。」
(ライアンさん何かあったのかな?ダンス上手く出来る様になったの見て欲しかったなー。明日きっと会えるよね。)
「じゃあライアンには明日いっぱいお話します!ライリーお兄様お夕食はもうすまされたのですか?」
「ああ。俺はさっき頂いたよ。だからロゼッタも食べておいで。」
「はいっ!それじゃあ湯浴みした後お夕食頂きますっ!それと本を持っていらっしゃるということはライリーお兄様これから書斎にいかれるのですよね!少し早いですが、おやすみなさい!あまりご無理なさらないで下さいっ!それでは!」
ライリーへ、ペコリと頭を下げ湯浴みをするべく侍女オリビアの後をついて行った。
湯浴み後、温かい夕食を綺麗に完食した後ロゼッタは自室へと戻り柔らかく大きなベッドへと潜り込んだ。
ロゼッタはユキくんをギュッと抱きながら天井を見上げ今日の出来事を思い出す。
「今日はほんっとに色々あったな~!あのミケーラ様には未だに怒りが収まらないよー!!後はメアリー様とはもっともっと仲良くしたいし、あのメアリーゼ様はもしかしてバージル様とメアリー様のお母さんだったのかな?今度会えたら聞いてみよ~!」
「来月に舞踏会だからそれまでには一般的かそれ以上の淑女を学びきってみせるぞー!ふぁ~、ライアンさんが帰ってくるまで待ちたかったけどダメ、かも…。ふぁあー…ライ、アンさん…ーー…。」
ロゼッタはユキくんを抱きしめたまま夢の中へと落ちてしまうのだった。
ロゼッタは明日に待ち受ける災難をまだ知らない。
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